宮木あや子のレビュー一覧
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ネタバレ「作り物の空は、日の光を降らしてはくれないんだよ、小津。」
なんて、愛しいんだろう。
ねえ幕の下ろし方まで完璧なんて、そんなのは狡いよ。
作中に出てくる人物たちはみんな、どこか傷付いて痛々しい。
分類としては少女小説になるのかな。
私はこれを百合小説とは呼びたくないな、と思う。
愛しい、かなしい。と、そればかり思いながら読んだ。
三島が当然の様に要求する事を我儘だと思う人もいるだろうし、小津の斜に構えた思想が苦手な人もいるだろうな。偶像を押し付ける津岡の事も、優し過ぎる矢咲の事も、誰かは無責任だと言うのかも知れない。
行き場のない苦しみを抱えて、何も自分で決められず生きるしかない -
Posted by ブクログ
ネタバレ
資産家の娘達がこの世の果ての塔に閉じ込められる、って設定だけでわくわくしてたけれど、実際は女の子の弱くて繊細で美しい描写がもりだくさんのお話で、胸がいっぱいになる。
ずっと側にいてほしい、どこにも行かないでほしい、って気持ち。捨てられた彼女達がそれを切に願う所が皮肉のようで苦しくなる。
香りが特徴的な小説。
シャンプーの桃の香り、煙草の香り、焼き上がったマフィンの香り、インスタントコーヒーの香り。香りが印象づいているのは魅力的。
ずっと小津はいつか海に帰るのだろうと思ってはいたけれど、凄く苦しい。矢咲は、帰ったらまた顔を合わせて話そうね、と未来を語れたけれど、そう考えられなかった小津のこ -
Posted by ブクログ
2023年の読み納めはこちら。久しぶりの宮木作品、待ってました。
やっぱり好きだわ~。
パイロットの夢を諦めて一流ホテルに勤めていた治真は、中途採用で航空会社NALへCAとして入社。かつて彼の父はNALのパイロットであったが薬物使用の疑いでその職を奪われた。父を信じている治真はなぜそんな嘘がまかり通ったのか、自分の夢も燻り続けながらも新たな道で訓練が始まる。
大学同期とのやり取りや、先輩CA・保安検査員との日常会話など相変わらず宮木節を感じる会話のテンポが好き。珍しくちょっとした謎も散りばめながら、最後はやっぱりすっきり終わるお仕事小説+ちょっとラブあり。
あっという間に読み終わって楽しい