感情タグBEST3
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面白かったー。
文体も美しくて世界観がきちんとしていて引き込まれた。
「太陽の庭」では一気に世界が変わり永代院を追い詰める。
展開もよくラストも納得だった。
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2016年、20冊目は宮木あや子。
財政界に強い影響力を持つ「永代院」は一般には知られず、地図にも載らない場所にあった。
永代院に纏わる連作短編、5編収録。
『雨の塔』の続編(?)的位置付けの作品。『雨の塔』の全寮制女子大も随所に出てきますし、その成り立ちもわかるので、やはり、ソチラを先に読んだ方が、より楽しめるでしょう。しかし、構成は全く異なります。
個人的には、前半の「野薔薇」「ウツボカズラ」の2編が好み。後半にかけて「永代院」の核心が明らかになっていくんだけど、ソコよりも閉鎖された世界で暮らす「駒也」「和琴」の話に引き込まれた。コチラの方が、宮木あや子の良さ出てる気がする。
★★★★☆の評価は少し甘め。
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ある一部の人たちからは神と崇められ、地図には載らない秘密の地、特別な一族がこの日本にはいる。
ぞくぞくするような面白さで、一気に読み切りました。
現実離れした物語を読んでいるような気でいたら、ふいに鋭い問いかけがあったり、世界観に浸りつつも、神のいない世界を想像したら味気なくて寂しい気持ちになりました。
読んでいて新鮮だったのが、永代院に連なる人たちが主となる章で、インターネットもなければスマホも出てこない、情報が随分少ないんですよね。
今私がそんなことになったら不便でしかないんだけど、最初からその状態が通常であればかえって情報に翻弄されることがなくていいかもしれない…なんて思うくらい、どこか静かな世界でした。
ある種守られ、穏やかで、一方でどろどろした内実を孕んだ世界は、やはりとても特殊でした。
格差社会だ、格差が広がっていると今でも叫ばれるけど、昔だって十分に階層は分断されていて、むしろ流動性が少なかった分今よりも格差のある社会だったかも。
話が二転三転してしまうのだけど、個人的に神様がいる世界というのは幸せで、そして同時に危険な世界なんだと思っています。
信じられる絶対的な存在があることはとても心強いし、心の安定にも繋がるでしょう。けど、それを守るためならどんなことでもする…という心境に繋がるから怖い。
さて、永代院の是非はともかく、古くから続いているものを同じように守り続けることは、なんとも難しいものですね。
こんな世界があっちゃいけないと思う気持ちと、もっとこの世界を見ていたいという気持ちとが半々。解説で知ったのですが、前作で「雨の塔」という作品があるのを知ったので、そちらも読んでみたいと思います。
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『雨の塔』と双璧をなす、ともその続編とも言える1冊。
第1章の「野薔薇」を読んだ段階では、「源氏物語の現代版か?」と思ったが、そんなありふれた物語ではなかった。
『雨の塔』では謎のままに終わった“岬の学校”の正体が明らかになる。
読みながらずっと『雨の塔』より前の話なのか後の話なのか考えていたが、結局は同時代の物語だったことがラストで分かる。
終幕に向かう展開が非常に現代的だな―と思ったら、刊行からまだ1年と少ししか経っていなかった。納得。
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神と崇められる影の組織、永代院。
日本の中にあるとは思えない、法律を無視したその不思議な成り立ちが面白いです。
そしてその中で生きる人たちの葛藤、
また一般市民が上流階級に抱く、憧れや妬み、、、
お互いの理解不足によってすれ違い、命を脅かすほど人を傷つけてしまう恐ろしさが、とても切ないです。
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約2年前に読んだ『雨の塔』は、
面白くはあったがピンとこなかった。
でも、今回の『太陽の庭』を読んで、
(リンクしていることを知らずに読んだが)
あ~そういうことだったのか、と納得。
浮世離れした耽美な世界が広がる。
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美しく幻想的。
だからこそ際立つ残酷さ。
宮木さんの美しい世界観に浸れる作品。
後半にある、宮木さんには珍しいミステリー要素も違和感なく楽しめた。
雨の塔。文芸あねもね収録の短編も合わせて読むと更に世界が広がります。
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ああ、良かった。相変わらず、イイ。けれど「ちょっと宮木あや子って人の本を読んでみたい」という人には、まず他の作品から入ってください。と言っておいた方が無難かな? と思う作品です。私自身まだ著作全てに触れたわけではないのですが、微妙に感触が違うんですよ。いつも以上に(この作品と関連のある「雨の塔」よりも)現実離れしているというか、少女マンガを読み慣れている人ならすんなりと受け入れられる世界なのでしょうけれど、モヤモヤ感があるんです。でもこのモヤモヤがファンにとっては快感なのです。少なくとも、私にとっては。
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イラストが鳩山郁子さん、帯が宝野アリカさん、解説が皆川博子さん、という、とても豪華な、宮木あや子さんの小説です。
解説で、皆川博子さんも書かれていますが、私も、前半の、永代院の楽園(或いは鳥籠)を読んで、映画の『エコール』を思い出しました。
私もやはり、同じ原作から映画化された『ミネハハ』よりも、『エコール』の方が断然好きです。
『ミネハハ』の方は、『エコール』のように、美しく幻想のベールで包んだりはしておらず、全ての謎を剥ぎ取ってしまっているようで、あまり好きではありません。
この小説も、前半は、敢えて描かれない謎が多数ありますが、その謎が、あからさまに書かれていなくても、読んでいる内に、何となくわかってきます。
しばしば登場する、『雨の塔』との関連性も嬉しいところ。
しかし、後半、週刊誌の記者をしている柿生とその上司の山下は、永代院を覆う全てのベールを引き剥がそうとします。
そして、楽園は崩壊し、神々は黄昏を迎えます。
結局、それは、本当の神自身が望んだ事だったのですけれども。
それから、「西の家」に関しては、皇なつきさんの、『蛇姫御殿』を思い出しました。
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地図にも載っていない永代院
かつては神と崇められていたその一族は破滅へと向かっていく
義理の母に恋慕を抱き子を孕ませた罪は一生消えることはない
岬の全寮制女子大の全容と一族の秘密と愛憎を描いた物語
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こういう閉ざされた空間に身を置き、人間関係が限られていると、相手に対する思いも必然的に強くなりそうだ。
一人に向けられる愛情も憎しみも、増幅するんじゃないかって。
Posted by ブクログ
同じ作者の「野良女」がはっちゃけてて面白かったので購入。
一般般庶民にはその存在を秘匿されているが、政財界からは神と崇められる「永代院」一族の滅びが幻想的に描かれている。
登場人物の名前や設定から想像するに、古事記や源氏物語など、古今のいろいろなお話がモチーフになっていそう。
ストーリーは永代院の人間の視点で描かれる数章と、彼ら一族が何者なのか探る週刊誌記者目線の章とに大きく分かれている。
前者の世界観は美しく残酷なおとぎ話チックだが、後者の世界は一転して世相を反映したサスペンスタッチ。あまりにも世界観が違うことに少し違和感を覚えてしまった。
難しいテーマなだけに、料理の仕方次第ではもうちょっと壮大な話になったのでは、という物足りなさが残る。