あらすじ
一般人には存在を知られず、政財界からは「神」と崇められている、永代院。地図に載らない広大な屋敷に、当主の由継を中心に、複数の妻と愛人、何十人もの子供たちが住まい、跡目をめぐって争っていた。そんな中、由継の息子・駒也は、父の女・鞠絵に激しく惹かれてゆく。許されぬ愛は、やがて運命の歯車を回す。破滅の方向へ――。「神」と呼ばれた一族の秘密と愛憎を描く、美しく、幻想的な物語。
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Posted by ブクログ
再読しよう…と思ってなかなかかなわなかったけれど、「皆川博子の辺境薔薇館」を手にしたきっかけで再読できました。
わたしはこちらも好き。「雨の塔」はもちろん大好きです。
『永代院』という、世俗から隔離され、とてもとても雲の上で脈々と受け継がれてきた一族を中心に描かれる愛憎と、
後半はそれが崩れ去る展開と…浸りました。
最初の章が源氏物語のようで、としたら永代院は…いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に……と始めてしまいたくなる。帝、桐壺、光源氏、藤壺、結構近い気がします。
再読して、和琴と泉水も近いんだな、と気づきました。
西の家が島根にあることにようやく気付き、改めて神なんだなぁと。大学があるのも三重県あたりだったら…
特権階級を引きずり下ろすかのごとく滅ぼしたけれど、それは経済に混沌をもたらす引き金に、みたいな幕引きも面白かったです。
正義中毒というか、好奇心で滅ぼされたのは一体どっちだったんでしょうね、という。
それでも、前半の、閉じた世界でもがく少年少女たちの息苦しさと幻のような儚い世界観はさすがでした。
宮木あや子さん、こっちのA面の系統のほうが好きです。校閲ガールシリーズや「婚外恋愛に似たもの」のB面系統も楽しいけれど、たまらなく好きなのはこちら。
皆川博子さんの解説、皆川さんにしか書けない解説だ…としみじみ思います。
Posted by ブクログ
同じ作者の「野良女」がはっちゃけてて面白かったので購入。
一般般庶民にはその存在を秘匿されているが、政財界からは神と崇められる「永代院」一族の滅びが幻想的に描かれている。
登場人物の名前や設定から想像するに、古事記や源氏物語など、古今のいろいろなお話がモチーフになっていそう。
ストーリーは永代院の人間の視点で描かれる数章と、彼ら一族が何者なのか探る週刊誌記者目線の章とに大きく分かれている。
前者の世界観は美しく残酷なおとぎ話チックだが、後者の世界は一転して世相を反映したサスペンスタッチ。あまりにも世界観が違うことに少し違和感を覚えてしまった。
難しいテーマなだけに、料理の仕方次第ではもうちょっと壮大な話になったのでは、という物足りなさが残る。