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悲しいお別れを、やさしく見守ってくれるチーム葬儀屋。お葬式のご用命は、真心と信頼の旅立ち・セレモニー黒真珠まで――小さな町の葬儀屋「セレモニー黒真珠」を舞台に、シッカリしすぎなアラサー女子・笹島、喪服が異常に似合う銀縁メガネ男子・木崎、どこかワケあり気な新人ハケン女子・妹尾の3人が織り成す、ドラマティック+ハートウォーミングストーリー。連作短編全6作品を収録。
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Posted by ブクログ
短編だから背景を省いてあるから一気に読めるし、続きが気になって止めるのに苦労した。 仕事の熱意や人に接する態度、自分はどうなんだろうと反省もしながら一気読み。 優しい文章で書いているので心が清浄できた気もする。
小さな町の葬儀屋“セレモニー黒真珠”に勤務する3人の物語を連作で。 アラサーなのに42歳ぐらいに見える、所作が美しい女性社員・笹島。幼い頃から葬儀屋に就職するのが夢だったイケメンのメガネ男子・木崎。訳ありのハケン女子・妹尾という面々の、葬儀屋を舞台にしたラブコメで異色。昔ブイブイ言わせていた社長も...続きを読む頼もしく、さくさく読めて痛快爽快。
少し前、電車で目の前に座った事務服姿の女性が集中して読んでいて、表紙が印象的だったので探した。 登場人物が魅力的。 読んでよかった。
読書で、久々に泣いた。 重松清さんの「その日の前に」を 読んだ以来かもしれない。 あちらも、死がテーマだったけれど、 こちらは、大笑い、のちの、大泣き。 話の振り幅に驚く。 過去のヒトの冷たさに、 背筋が凍る話もあれば、 見事なチームワークに、 ココロ極暖になる話もあり。 笑えて、泣けて、ゾクリも、...続きを読むホロリも。 宮木さんの底知れぬ魅力を、 まるごと味わえた一冊でした。
亡くなったことを、誰かに惜しまれる人と、惜しまれることもなく、気づかれないままの人もいる。でもどちらであってもその人には必ず人生があった。
花宵道中を読み終わらないうちに購入、そして先に読み終えてしまった 笑 「葬儀屋」というテーマと表紙に惹かれて購入。サラッと読めます。 皆さん思われているように、続きが気になるな~
読み易いお仕事小説でした。死について考えさせられる事もあったけど、そんな重々しくもなく。素敵な登場人物達でした。お葬式する時には是非頼みたい。
あなたは、自分の『葬儀』に何を望みますか? 人はいつか死を迎えます。人が生物である限りそんな未来は誰にも必ず訪れます。昨今、”エンディングノート”という言葉を聞くようになりました。人が亡くなる前に遺される人に対して要望を伝えるための書類と定義もされる”エンディングノート”。そんな書類には、自分がこ...続きを読むの世で最後の瞬間を飾る葬儀のことも記すことができます。 しかし、私たち日本人は”縁起が悪い”という言葉と共に、死にまつわる事ごとを口にすることを避ける傾向にあります。そんな結果論の先に、遺された者が『「人が死んだ」という事実に動転』する中に『膨大な情報からひとつの葬儀屋を選ぶ』必要が生じてしまいます。そう、一つのビジネスとして、人の最期を『セレモニー』として彩ってもいく葬儀会社の存在がそこに浮かび上がります。では、身近なようで知る機会のないその”お仕事”の裏側にはどのような世界があるのでしょうか? さてここに、『地元密着型』の葬儀会社を舞台にした物語があります。女性二人、男性一人の三人の従業員に光が当てられていくこの作品。葬儀会社の”お仕事”の裏側に見えるようで見えなかった世界を垣間見るこの作品。そしてそれは、『セレモニー黒真珠に入社したのは、その名前に惹かれたからだ』という思いのその先に、死者に向き合い続ける従業員たちの姿を見る物語です。 『このたびは本当にお悔やみ申し上げます』と、『何度目か判らないその言葉を遺族に残し』、『契約書を抱えて』車へと戻ってきたのは笹島と木崎。そんな二人が『さすがに一年は難しいんじゃないの?』と『三月末から雇った二十一歳の派遣女子』・妹尾(せのお)のことを話題にしていると当の本人から電話がかかってきました。『隣町の老人病院で檀家の男性がひとり死んだ』という『懇意にしている寺から』の情報。『一番早くに故人側へ営業をかけることができれば、半分以上が決めてくれる』という結果論に基づき、二人は『電話で聞いた病院へ向かい』ます。場面は変わり、事務所へと戻ってきた二人に『冷たい麦茶を』持ってきてくれた妹尾。『「セレモニー黒真珠」で働き始め、三ヶ月と少し』という妹尾は、『三十五歳くらいにしか見えない老け具合と落ち着き具合も評価されて』います。そんな妹尾に『この仕事の前ってなにしてたの?』と訊く 木崎に『スナックとか、そういう地味な水商売です』と返す妹尾。再び場面は変わり、『週があけて』、妹尾は『日々の営業にも一緒に回りたいと言い出し』ました。そんな妹尾に『もしかして社員になるつもりがあるの』と訊く木崎に、『…人が死ぬのを待ってるんです』と答える妹尾。『意味が判らず』『顔を見合わせる』笹島と木崎に、『今日いった病院に入院しています。あの病院でホトケさんが出たとき、一番最初に電話する葬儀屋が、セレモニー黒真珠なんですよね』と語る妹尾は『派遣会社に登録したとき、黒真珠さんの仕事がきたら絶対に回してくださいって言いました』と続けます。それを聞いて『天職は葬儀屋じゃなくて興信所なんじゃないのか』と思う笹島。そして、『オフィスに戻った三人』という中に一本の電話がかかってきました。『お電話ありがとうございます、真心と信頼の旅立ち、セレモニー黒真珠です』と対応する妹尾に、『十一仁病院の美濃です』と語り出した相手は、『ホトケさんがひとつ、男性で三十四歳。多発生骨髄腫。もう遺族きてるんで至急笹島さんと寝台車寄越してくれませんか』と続けます。そして、電話を置いた妹尾に『男?女?遺族は?年齢は?』と矢継ぎ早に尋ねる笹島に『男です。遺族はおそらくお母様がひとり、年齢は三十四歳で癌で、身長は一八五センチなので棺と骨壺はLLサイズが必要だと思います』と答える妹尾。それに『美濃のオッサンがそこまで詳しく言うかね、っていうか棺は三サイズあるけど、骨壺はワンサイズしかないよ』と返す笹島に、妹尾は『…たぶん、私が待っていた人です』と答えます。そんな妹尾に『一緒にくるよう』指示する笹島ですが、『でも、家族には会えませんので私は』と『怯えた表情で訴える妹尾に』、『いや、アナタの都合とかじゃなく。身長一八五で男性とかだと、正直私と木崎だけだと遺体運ぶのきついのよ…』と笹島は説明しますが『大丈夫です。死因は癌ですし、もともと痩せてましたし』と妹尾は頑なに断ります。『せめて世間にひしめく普通の妻のように、骨を拾うことはできない代わりに、あの人の死に水を取りたい。そう思ってこの業界に入ったのに、現実はあまりにも重』いと思う妹尾。そんな妹尾は『このときを、待っていたのではなかったのか、私』と自問します。葬儀会社「セレモニー黒真珠」で働く三人の従業員一人ひとりに光を当てながら葬儀会社の”お仕事”が描かれていきます。 “小さな町の葬儀屋「セレモニー黒真珠」を舞台に、シッカリしすぎなアラサー女子・笹島、喪服が異常に似合う銀縁メガネ男子・木崎、どこかワケあり気な新人ハケン女子・妹尾の3人が織り成す、ドラマティック+ハートウォーミングストーリー”と内容紹介にうたわれるこの作品。兎にも角にも強烈な印象を与える表紙に心を奪われた私。はい、この作品はいわゆる”ジャケ買い”をした作品になります。小説の表紙は作品の内容を表すものだと思いますが、この作品の表紙はそんな次元を超えて、私が今までに見てきた小説の表紙の中でもNo.1に位置するくらいに一度見たら忘れられないインパクトを与えてくれました。 そんな作品の魅力は本の内容も同様です。ノリに乗った宮木さんの筆の力で、ぐいぐい読ませてくれる、そんな魅力がこの作品にはあります。まずは、そんな宮木さんのコミカルな筆致を少し見てみましょう。 ・『女は地上四十階、夜景の見えるレストランでプロポーズ』を受けたという場面で登場するこんな表現です。 ↓ ・『咀嚼していたタピオカ入りココナッツプリンを盛大にふき出した(鼻からも)』。 → 本来ロマン溢れるシーンにも関わらず、『男の顔が生真面目なのに鼻の下に粒胡椒が付きっぱなし』という光景を見た先に起こったこの反応。『鼻からも』というのが良い味です? ・『鉄の蓋の上に漬物石を三十個くらい重ねるレベルで封印していた。それなのに、こんな紙切れ一枚でガラガラと崩れるものなのだなぁ、と妹尾は思う』。 → これも上手い表現だと思います。『鉄の蓋の上』に『漬物石を三十個』という厳重な封じ込めが『紙切れ一枚』で崩れるという例え。描かれているシーン自体はかなり深刻な場面なのですが、この軽妙な表現が入ることで深刻になりすぎない中に絶妙なバランスの物語が描かれています。 ・『あと一ヶ月で三十歳になる。ということすら忘れて生きてきた』 ↓ ・『免許証の更新葉書を伴って、日本郵政株式会社が否応なく年齢を告げにやってきた』。 → 要は三十歳の大台に乗るという前の心境を表した箇所ですが、そんな年齢感をまさかの『免許証の更新葉書』を使って表現する宮木さん。こんな離れ技のような表現、どうやったら思い浮かぶのでしょうか。宮木節とも言えるこういった表現の数々、抜き出しでは十分に伝わらないと思いますが、一度ハマると抜けられない魅力があると思います。 そして、この作品の何よりもの特徴は「セレモニー黒真珠」という葬儀会社の”お仕事小説”が描かれていくところです。葬儀会社を舞台にした小説は多々あります。私が読んだ中ではなんと言っても町田そのこさん「ぎょらん」が印象的でした。”人が死ぬ際に残す”という珠=「ぎょらん」を噛み潰すことで死者の最期の願いがわかるというその物語はインパクト絶大です。一方で宮木さんのこの作品は町田さんのような飛び道具はありませんが、葬儀会社で働く三人の従業員に順に光を当てていくのが特徴です。では、まずはそんな葬儀会社を描いた箇所を見てみましょう。 ・『葬儀屋は基本、土日出勤が欠かせない。たいていの葬儀は土曜日に通夜、日曜日に告別式が行われるからである』。 → 確かにそうかもしれませんね。参列者のことを考え、また喪主側の事情もあって週末にかかるようにスケジュールされることが多いように思います。ということで、『週末の火葬場は争奪戦である』という状況が生じます。そこに、従業員の大変さが描写されます。 ・『夏場は遺体が腐りやすい』という中に、『葬儀屋が毎日バイクに積んでドライアイスを届けることになる』という展開。 ↓ ・『ドライアイス保存をしていると、日数が経つにつれ死後硬直も手伝って、だんだん遺体が青白く透き通った蠟人形っぽくなってゆく』 → なんともゾクッとするリアルな描写です。『蝋人形っぽくなってゆく』『遺体』…考えただけで怖いです。しかし、葬儀会社の『社長はそういう状態の遺体が美しくて良い』と考えるのだそうです。う〜ん、どうなんでしょう。思い浮かべるとどんどん怖くなってくるのでこのあたりにしておきましょう(笑)。とは言え、もっと怖い話を最後に一つ…。 ・『霊感のある者は、よほど強靭な精神を持っていない限り、簡単に取り憑かれる』。 ↓ ・『四十度を超える高熱、丑三つ時の徘徊、自らの記憶にない記憶による発言…』。 → ちょっと、ゾゾゾゾゾ…という表現を抜き出しましたが、はい、この作品には単なる”お仕事小説”の枠を超えて、ちょっとだけスピリチュアルな世界が顔を出します。目が光り輝いてきたあなた、そう、この作品はそんなあなたが(を)待っていた作品かもしれませんね(笑)。 葬儀会社の”お仕事小説”が描かれるこの作品は上記した通り三人の従業員に光を当てていきます。 ・笹島: 女性、29歳だが42歳くらいに思われている。表紙の主。 ・木崎: 男性、25歳(年相応)。 ・妹尾: 女性、21歳だが35歳くらいにしか見えない。 この作品は六つの短編が連作短編を構成していますが、そんな六つの短編の中に、それぞれに一癖二癖ありそうな登場人物に隠された素顔が明らかになっていきます。ジャケットに描かれた和装の女性・笹島は作品冒頭に『結婚しよう、いや、してください』という男性の台詞の先にプロポーズを受けたことが明らかにされます。しかし、『仕事と俺とどっちが大切なんだ』と言われた言葉の先に今の葬儀会社で働く姿が描かれています。一体、そんな彼女に何があったのか?そのキーワードが、 『好きな人の葬式と結婚式、出たくないのどっち?』 です。さて、そこにはどんな物語が描かれるのでしょうか?次に、男性で光が当てられるのは25歳の木崎です。『幼少のころから「葬儀屋になりたい」という夢を持っていた』という木崎は地元の葬儀会社である「セレモニー黒真珠」に就職します。そんな彼のキーワードが、 『火葬場の煙を見るのが、好きだった』 です。『葬式のあの何とも言えない荘厳さと悲しさが好き」という理由で入社』したという、このキーワードそのまんまな木崎ですが、二人の女性の人生に良い塩梅に絡んでいきます。そして、冒頭謎の存在として登場するのが派遣社員の妹尾です。『大抵が日雇いと同じで、ひとつの葬儀が終わればまた別の会社の葬儀へ、というのが葬儀業界の派遣の常』にも関わらず、『三ヶ月と少し』という期間、「セレモニー黒真珠」で働き続ける妹尾は素性が怪しさ満点です。そんな彼女のキーワードが、 『人が死ぬのを待ってるんです』 です。もう怪しさ満点ですね(笑)。しかし、そんな妹尾は 『今の妹尾にとって、セレモニー黒真珠は彼女の居場所だった。掛け替えのない、居心地の良い居場所だった』 という思いの中に日常を送っています。そんな三人が繰り広げていく人間模様は人間臭さ満点に展開していきます。そこに宮木さんはさらに工夫を入れられます。登場人物三人による六つの短編…となると、一般的には一人二編ずつ視点を変えていく物語が予想されます。しかし、宮木さんはそのような単純な構成をとりません。五編目〈あたしのおにいちゃん〉は短編タイトルからどことなくその相手が予想できてはしまいますが、まさかの存在によって、三人だけの物語からは見えなかった登場人物の別の側面を見せてくれます。また、最期の短編〈はじめてのお葬式〉はもう全く予想もできない人物視点の物語が展開することで、「セレモニー黒真珠」という物語自体に奥行きを付与してもいきます。とても魅力的な三人の登場人物による六つの短編が見せていく葬儀会社の”お仕事小説”であるこの作品。こんな葬儀会社に是非自分の最期を委ねたい、そんな思いに包まれる人間臭さに溢れる物語がここにはありました。 『お電話ありがとうございます、真心と信頼の旅立ち、セレモニー黒真珠です』。 『地元密着型』の葬儀会社である「セレモニー黒真珠」を舞台にしたこの作品。そこには、三人の従業員がそれぞれの人生において、葬儀会社を働く場として選んだ先の物語が描かれていました。葬儀会社の”お仕事小説”であるこの作品。コミカルに、それでいてシリアスにも描かれていくこの作品。 宮木さんの勢いのある筆の魅力に、まさに酔うように読ませていただいた、そんな作品でした。
葬儀社のお仕事小説。キチンとしている葬儀社のスタッフにも喜怒哀楽はあるわけで。なかなか普段は興味を持って見ない葬儀社というお仕事について学ぶと、見る目が変わるかも。
葬儀屋を舞台とした6編の連作短編集。 結構重たかったり、胸が痛くなる描写があるもののすっきり読みやすい。葬儀屋の面々それぞれ個性的で、彼らの仕事に取り組む姿勢に背筋が伸びる。 笑いあり、涙あり、キュンあり、色々な要素が詰まった一冊でした。
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