よしもとばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
乾いてひび割れた地面に、しとしと落ちてしみていく水みたいな。そんな小説だなと思った。
彼女の目線が怖いくらい素直で、目に映る情景が哀しいくらい綺麗で、透明なんだけど、どこか優しくて。話自体はすごく重たい話しなんだけど、重苦しさはなくて。なんだろう…当たり前のようでふだん目にもとめてないような、忘れてしまっていた何かほんとうに大切なものを取り戻していくような、そんな感じがして、「彼女」にとっても読み手のわたしにとっても、これはある部分で癒しの物語なんだなと感じた。
吉本ばななの本は、取り立てて何かあったわけではないけれど、なんとなく気持ちが落ち込んだり不安になった時、気持ちがぐらぐらして心も -
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死の匂いがしみこんだ人にしかできない、ほんとうの思いやりを私はかぎわけていたのかもしれない。
買ったものの、表紙の絵がなんとなく怖くて読めてなかった。この人がとかげさんかな?
一瞬で読めてしもた、久しぶりに本読んだのに…
とかげもひとかげの後ろに載ってて、だいぶここ変わったなってとことかあってひとかげの表現の方が好きだなあってとこが結構あった。
最初によしもとばななさんのコメント?みたいなので書いてよかったって本人も言ってるけどうんうん!って思う
自分の中の子どもに気づいてる人が読むとちょっと泣きそうになる部分があるかもしれない、私はそうだった… -
Posted by ブクログ
よしもとばななさんの小説を読むの結構久しぶりかも。読みやすいし染みるなぁと改めて思いました。
この本はとくに短めだしわりと平坦というか、大きな事件はあまり起きない内容で、だけど大切な人の死と多少のオカルト的な要素というばななワールドは確かに存在していて、人が死ぬ小説とかオカルト的なものは嫌いという人も多いから好き嫌いは分かれると思うけれど、それだからこそ唯一無二の世界観なのだろうか、と考えたりした。
痛いからこそ傷ついている人に優しいし、登場人物たちも当然完璧ではないから作中でもがいたり苦しんだりしていて、それを読みながら読み手も再生していける感覚があるのだと思う。
幼い頃に両親をなくした姉 -
Posted by ブクログ
よしもとばななは甘くて明るい。上質な砂糖菓子みたいに、甘いんだけど、くどくない。
既読作品でも感じましたが、今作は特にそんなばななカラーを強く感じました。
薄明るいピンク色の世界に、キラキラ輝く金色の粒子が舞ってるような世界でした…。
のっけから不穏なセンテンスで物語は始まって、これは…重いやつや……と覚悟を持って読み進めたら、なんのなんの。失ったある人との記憶や温もりを糧に、軽やかに日々を過ごす主人公の姿が、ただただ眩しい。
大切な人を失った人間は、失うことの悲しみを知る人間は、その分優しく、強くなれる。
そうでありたい。
そうであってほしい。
そんな祈りのようなメッセージを優しく伝え -
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ネタバレ吉本ばななの紡ぐ世界はいつも優しくて理解のある人たちが溢れていて、ちょっと非日常な状況でも主人公の考えそのものはあまり突拍子のないものじゃなく、ただただ「ああ、そうかもなあ」と思わされる。そして最後に無理矢理じゃなく、それなりの穏やかなエンディングが待っている。そういうところが好きです。下北沢って一度行ったことあるくらいだけど美味しいものがたくさんありそうだなあという印象。そこにキッチン感はある、かも?
ただ、最後本当にちゃんとお母さん、家にいたのかな…?っていうよく分かんない不安が…。
尚、序盤で共感できないお母さんのご意見がありました。
「一日の時間の流れって、夕方になる前にぐうっと長くな -
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ネタバレよしもとばななさん、初めてよみました。
有名な方なのに なんとなく御縁がなかったのか、特に避けていたわけでもなく、食わず嫌いのような感じだった…のかなぁ?不思議。それがいま、こうして触れているのも不思議です。
たまたま、10年くらい前の雑誌のインタビューをみて、そのまま流れるように読んでみました。
自分であること、そこには世界があること、誰のものでもなくて、急かされていなくて、卑屈になることはなくて、大事なものを大事にしていられるしあわせ。
生き方、言葉にならない寂しさ、仕事をするということ、自分とも重なったり違ったり、悩みながら生きている人はどこかしらにひっかかるところがあるのではと感じ -
Posted by ブクログ
突然の交通事故で最愛の婚約者を失った女性が、臨死体験から恢復し、周囲から見守られ周囲を見守りながら、「大切なひとを失った自分」を受け入れ、自らの生を肯定していく、というストーリー。
作者お得意の「喪失→再生」もの。ここまで千篇一律に同じテーマを繰り返していること自体に敬服させられる。視点人物がこの世界の輝きと人間のあたたかさを改めて見出していく様子を描く表現はほとんど職人芸的で、掛け値なしで「うまいな」と思わせられる。欠落を抱えた人物どうしが出会い、スピリチュアルなものも含めて交歓を経て、互いが互いをケアしあっている様子をさりげなく描き取っていくさまもさすがの筆づかいである。
問題 -
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ネタバレ双子の母親を持ちいとこ同士の昇一と由美子が、昇一の母の遺言をもとに双子である母たちにまつわる過去の悲惨な思い出をひとつずつ紐解いてまわる物語(夢の中の話で、由美子はその事件の時にすでに死んでいた)
はじめてよしもとばななの小説を読んだ。ここの登場人物の感性がよしもとさんの内側から生まれ出てきたものならば、少年少女時代の感性をここまで緻密に言葉で表現できるものだろうかと驚嘆した。自分自身の原体験を再現するには、記憶の鮮明さだけではなく、子供時代の少ない語彙では言葉にできなかった感情を、あらためて言語化して、可能な限り自然に適合する言葉を選ばなければならない。その際にかかるフィルターはきっと、年