よしもとばななのレビュー一覧
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あっという間にその3まで終わっちゃった。
何かちょっと痛かった。
それまで通じ合えてた(それが錯覚だとしても)誰かとの関係が、思いも寄らないきっかけで壊れてしまうということ。
一旦壊れてしまうともう、何を言っても話し合っても元には戻らないということ。
それまでは大好きで、少し話せば解るような関係だったはずが、どう頑張っても解り合えなくなってしまう…という経験が私も何度かあるけれど、それはきっと関係にひびが入ってしまった瞬間に、相手への信頼とか愛情が揺らいでしまうせいなのだと思う。
人は変わらないのにそうなってしまうのはやはり、心の内側の問題だ。
…なんてことを考えながら読んだ。
悲しくな -
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交通事故に遭い死の淵から生還した小夜子だったが、恋人は喪ってしまった。体は大きく損傷し、魂もすり減った。私が死んでいたらよかったのに……しかも事故の後遺症で幽霊が見えるようになってしまった。そんな小夜子はある日、アパートでずっと微笑んでいる女性の幽霊を見かけ―ー京都を舞台に、日常の中で命の輝きを見出し、ゆっくりしかし確実に再生の道をたどる物語。
前に借りようと思ったけどなかったもの(代わりにどんぐり姉妹読んだ)冒頭がいきなりショッキングな書き出しだったのでなんかサスペンスなにおい! と思ったけど全然そんなことはなく。何を期待していたんだ。
京都が舞台だった。ここんとこ、というかばななさんの作 -
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「『自分は自分だけだし、自分だからこそいいこともあるんだし』と自分だけはせめて思ってあげてください」(p96) 今の自分の状況ともよく重なって、勇気をいただいたことばでした。
女性の社会進出の苦労を問われた質問で、「てきとうでワイルドになっても、いいと思うのです」と言ってのける懐の大きさがあるかと思えば、包み込むような優しさもあって、救われたエッセイでした。嘘偽りのない、着飾りのないことばに心の汚れが落とされる感じがしました。
ダメな自分も受け入れて、前に進んでいけるような人間になりたいと思います。考え方自体で、人生をもっと得できる気がする! -
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そうかぁ。こういうことになるのか。
その2を読んでいた時にはこの展開は予想できなかった。
でもそういうこともあるなと、諦めにも似た感覚もある。
自分を冷静に客観的に見ることはなんて難しいのだろう。
何かに執着してしまって、意固地になっている自分の強がりをどうやって見抜いて脱力させればいいのか。
打ちのめされた後、どう生きるのか。
雫石はすごいなぁと思う。
とても柔軟で清らかだ。
楓も片岡さんも、おばあちゃんも、みんな柔らかい。
やはりこの物語はとても優しい。
力を入れすぎてガチガチになった心と身体をほぐしてくれる。
力んでいたなと気付かせてくれる本だと思う。 -
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雫石とおばあちゃん、雫石と楓、雫石と片岡さん、雫石と真一郎くん、その全ての関係が美しくて読んでいて幸せな気持ちになる。
雫石がそれぞれのことを、それぞれに愛しているのが分かる。
一つとして同じ関係も同じ愛情もない。
人との関係って本当に代わりのないものなんだ。
そのことが本当には解ってなかったなと反省。
そして雫石がテレビを見て発見したこと。
「あんなよどみを、あんなくささを飲み込んでもびくともしないなんて、そしてあの人たちが夜に光るコケ類のようにちゃんとそれぞれの美しさを持って生きることを許されているなんて、世界とはなんと包容力があって、すごい浄化作用を持っているのだろう。」
「私はただこ -
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著者が文庫版のあとがきのなかで、
「なんちゅー悲しい話を書いてしまったんだ」と
読み返しながら思ったと書いていましたが、
読んでみた僕としては、そんなにすごく悲しい話には思えないんですよ。
そりゃ、登場人物たちは人生のなんやかやに縛られて自由ではない。
でも、自由ではないなりに、
そのなかでの自由を獲得できているように読み受けました。
与えられたカードはよくなくても、
それをどう使っていくかというのは比較的できている人たちが主要人物でした。
著者は、登場人物たちの持って生まれた星周りというか、
やっぱり与えられたカードというか、
そういうのに対して「悲しい話」と言っているのではないかなと
そ -
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読み終えてあとがきを見てわかったのだけど、これは3.11の震災のことを思って書かれた小説なのだそうです。
よく「死と隣り合わせ」と言うけれど、そうじゃない状態で生きている人なんてこの世の中にはひとりもいないと思う。
事故にあって1時間後に死ぬかもしれない、急病で明日死ぬかもしれない、だけどそのときはそんなことを少しも考えずに生きている。
みんな同じ条件で生きていて、特別な人間がいるわけではないと思う。
この小説は、冒頭で大切な人をなくした主人公が、自分も死の淵から生還したあと、半分生きていて半分死んでいるような人間に生まれ変わって、少しずつ自分を取り戻して再生していく物語。
でも、それを経