よしもとばななのレビュー一覧
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不安定な土台の上で成り立つ安定を描いた物語。素直で正直な登場人物の会話が愛おしい。日常を感じさせる壁画制作のシーンと浮世離れした中島君やみの君との会話のコントラストにより、ちひろの柔軟で中立的な人柄を印象付けた。自分をちひろと似ているとも感じたし、こうなりたいという憧れの存在のようにも感じた。中島君が抱えていた過去は、想像と少し違っていて驚かされたが納得もした。前半にはこれといって大きな出来事は起きず、ただただ物語の雰囲気を楽しむだけにとどまったが、後半は印象的な場面や言葉に魅せられ、しっかりと味わいつつもページを捲る度にはやる気持ちを抑えられなかった。
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よしもとばななさんの文章はやさしくて分かりやすい、だけど決して平坦なものではなくて心に刺さる言葉がたしかにあるから好きだ。疲れているときに読むとリラックスできるような安心感がある。
母を失ったちひろと、何やら大きな過去を抱える不思議な中島くん。恋とは断言できない絶妙な感情のもとで繋がる二人は必然的に出会っていたのだと思う。少し淡泊にも思えるちひろの性格はただ冷たいだけではなく、きちんと中島くんと適切な距離感を保って接しているからこそ、二人の関係性が好きだった。中島くんがちひろを「気持ちの暴力が少ない人」と表現するのがとてもしっくりくる。きっとこういう人は本当に少ないのだろうし、自分で判断でき -
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病気になった人のほうがつらいと、誰が決めたのだろう、と私は思った。病気にならず、泣かず、ちゃんとごはんを食べて、散歩もして、友達に会ったりしている人のほうがつらいということもあるかもしれないと、なぜ彼は思わなかったのだろう。
まるで春にきれいな風が吹いてきて鼻先がちょっとあたたかく甘い匂いがするのが好きなのと同じように、冬にストーブの前にいて膝が熱くなって幸せになるように、ただただ楽しかった。
人の、感じる心の芯のところは、決して変わることがないようだ。
人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。いつのまにかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた重く苦し -
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【自由研究】人はなぜ老いるのか?⑥完
「人がいちばん恐れているのはきっとあの夜が来ることなんだろうと思う。だからみな宗教にすがったり、お祈りしたり、健康診断に行ったりするんだろう」(本書より)
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そもそも自分がこの自由研究を始めたきっかけは、親や親戚が高齢で病気がちになったことでした。
歳だからしょうがないのか?なぜ長く生きて病に苦しまなくてはならないのか…?
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人は死があるからこそ懸命に生きると私は思っていますが、果たして自分が老いたときもそう言えるのか?…甚だ自信がありません。
「そのときに私たちはあんな美しい顔をしているだろうか?よれよれかもしれないけど生き様が全部出た佇まい -
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ハワイが舞台の三つの短編集
よしもとさんの作品を読み慣れていないせいか、初めはわかっている様でわかっていないのかも?と戸惑い気味でした
それでも登場人物達が、それぞれの人生観や思い、考えを会話の中ではっきり主張していて面白いなと感じていました
そして三番目の『銀の月の下』に突入
ああ、やっと来ました
特に小樽のお店のトイレでコホラちゃんが涙するシーンは、引き込まれました
母親って、親である前に一人の女なんだけれど、そんな姿は見たくないし、それを子供はなかなか受け入れられない
そしてそのとても大切にしていたものを失った時の辛さの表現の仕方が、とても上手いなと思いました
__それでも思うのだ。強 -
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ネタバレ土肥っぽい〜
西伊豆に行きたすぎるのよ。景色がすてき。
原付でも持って行って、西伊豆でぼーっと数週間くらい過ごそうかしら。好きなときに泳いで、好きなときに本を読んで。ときどきは勉強や仕事もして。
いつもダイビングいくところに住まわせてもらってさ。すごく素敵なアイデアな気がしてきた。トップシーズンなる前か後がいいね。
かき氷やさん。エスプレッソがあるかき氷やさんというのがいい。あと、こだわったシロップを用意しているのもいい。舞台芸術をやった主人公が手作りでお店を作るというのもなんかいい。
あとは、主人公が元彼とかき氷を食べて、それをきれいというはじめちゃんもいい。わたしもその人と話してるとき -
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ネタバレこれも積読本から。
ハードカバーで。
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さようなら、
私の世界。
幸せの魔女が、復讐の旅にでた。
どこまでも暗く、哀しみに満ちた
世界を最後に救ったものとは——
大きな愛に包まれる、
ばななワールドの新境地!
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久しぶりにばななさんの作品を手に取りました。
この方の文章は独特というか、
どうしてこんな書き方読ませ方できるんだろう、と。
久しぶりに再会したような気持ちです。
同じ状況をほかの方が書いても、
ばななさんのような文書にはならないんだろうな、と。
両親を事件で亡くし、
たった一人で生