【感想・ネタバレ】まぼろしハワイのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

脆くて儚くて温かい…人間のそういう部分の表現にいつも惹かれる。
ハワイってエネルギッシュで甘やかで、どこか切なくて…読んでいるだけで心が満たされていく感じがした。

0
2023年04月22日

Posted by ブクログ

3編の話で構成されている本書。
1作目を読み終えた時、きっと1作目がいちばん面白いだろうと思っていたのに、私の心をいちばん掴んだのは3作目。思わぬ展開。もう諦めていたけれど、やはり恋は素敵だと思わせてくれる。
時空を超えた不思議なことは起こるのだろうと、ばななさんも思っているんだ、ということも発見。

0
2023年04月12日

Posted by ブクログ

書き上げるまで5年を要した、という力のはいった一冊です。
接点は小樽のトイレでした。
そこは時空を超えて繋がっていました。
このお話を空想だけで描いたのであれば、それは想像力が素晴らしすぎます。
何か感じるものがあって、それをもとに膨らませたのではないでしょうか。
ばななさんはハワイに関する本をたくさん書かれています。
ハワイは彼女にとって何かを感じさせてくれる、とても大切な場所なのではないでしょうか。小樽もね。

0
2023年02月14日

Posted by ブクログ

もう読んでる時のティッシュの消費量が半端じゃない
ぐらい泣いてまう。もう本当に悲しいんだけど綺麗で
素敵で、
どれだけ読むのに時間がかかってもいいか
ら、その場その場の情景とか、その人の気持ちとか丁
寧にゆっくり理解して想像して消費したいって思う
本。
これは絶対に単語本が欲しい。何度も読み返し
い。

0
2022年05月19日

Posted by ブクログ

ことばのかけらひとつひとつに、エネルギーがじんわりとこもっていたので、まるで少し冷えた箇所を温めるような一冊だった。

心が弱ってしまったときに、もう一度読みたい。

0
2018年01月08日

Posted by ブクログ

「どうして世界はこんなにきれいなのに、なんだか悲しいんでしょう?」
「それはね、ばななちゃん、逆よ。きっとね、悲しいからきれいなのよ。きれいだから続けていくのよ。」
あとがきまで心惹かれることがたくさん詰まった小説でした。きっとこの本を手にした時から、自分もハワイに世界に愛されてるって感じることが出来る一冊だと思います。

0
2016年02月29日

Posted by ブクログ

ぽろぽろ静かに涙を流しながら読み進めた。あざみさんの踊るスカートのゆれる動きや、夜の海のそばの空気が伝わってきます。2作品目の人生について語り合うシーンがとても印象的。「小さなことをこなしていく連続が人生なんだ」と思うと、家事が苦じゃなくなりました。

0
2015年07月27日

Posted by ブクログ

2回目。
前回はただハワイにひかれて読んだけれど、今回はいろいろ教えてもらえた。
手元に置いておきたい本です。

0
2015年04月22日

Posted by ブクログ

友人からもらった小説。
ハワイにまつわる物語×3
どれがいちばん好きか選べないくらい、どの物語も力強くて哀しくて優しい。
読み終えてまず強烈に思ったのが「ハワイに行きたい」ということで、それは南の島でバカンスしたいというよりは、この物語にあるようなエネルギーの中で何も考えずに夕陽を眺めたいような、そういう感覚。
もしかしたら今の自分は思いのほか疲れていて、魂の似通った誰かに洗いざらいいろんなことを打ち明けたいという欲求があるのかもしれない、と思った。

この本をくれた友人が「姉さんと僕」というお話のなかの「生きていること」について語っているあたりがしっくりきた、ということを言っていたのだけど、「生きていることとは、何でも順番を追っていかなきゃならないということ」っていうところ、私もものすごく、そうだな、と思った。
(私が毎朝している)朝起きてシャワー浴びて朝ごはん食べて身支度して、という大まかな流れのなかにも、着替えを準備したり身体を洗ったりパンを焼いたり紅茶をいれたり髪を乾かしたりいろんな順番を追っていて、それで1日が成立していて、その繰り返しを営むことが「生きていること」。死んでしまったらその順番を追うことさえできないということ。
そういう当たり前にある、つまらなくも見える日々の尊さを、よしもとばななさんの小説はいつも気づかせてくれる気がする。

運命とか縁とか、普段から意識して生きてるわけじゃないけれど、不意にそういうものを強く感じる瞬間がある。
今この小説をプレゼントしてもらってすぐに読んで、雑事だらけの日常を考え直すきっかけになったのもある意味運命。
幼い頃に抱えた傷だとか痛みだとか、もはや過去のことになりつつある悲しみとか、時間とともに和らいで消えたように思っていても、実はそんなに変わらないまま残っていて、だからこそそこに触れても一緒に笑える人とか、全部無駄なことに思えるようなエネルギーが時々必要なのだと思う。

0
2020年11月24日

Posted by ブクログ

知らない感情・人生を追体験
描写があまりにも丁寧で綺麗で、勝手な想像が許されず、ただ流れる時間を追体験する不思議な面白さ。
とてもいい時間だった。

0
2024年05月19日

Posted by ブクログ

うーんやっぱり一つめが一番好き。それにしてもよしもとばななさんの情景描写、この一冊の中だけで何箇所か泣いてしまったくらい綺麗でぐっと引き込まれて心の機微を捉えてて、匂いがするくらいうまいな。ハワイの風の匂いや温かさが感じられる一冊。子供のころのハワイ旅行の感覚を思い出して心がキュンとなりました

0
2023年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ハワイに行ったことないのに、ハワイを懐かしく思い出し、温かく包まれている気分になりました。
ばななさんの感性豊かな目を通して見たハワイがありました。

0
2023年10月21日

Posted by ブクログ

ハワイが舞台の三つの短編集
よしもとさんの作品を読み慣れていないせいか、初めはわかっている様でわかっていないのかも?と戸惑い気味でした
それでも登場人物達が、それぞれの人生観や思い、考えを会話の中ではっきり主張していて面白いなと感じていました

そして三番目の『銀の月の下』に突入
ああ、やっと来まし
特に小樽のお店のトイレでコホラちゃんが涙するシーンは、引き込まれました
母親って、親である前に一人の女なんだけれど、そんな姿は見たくないし、それを子供はなかなか受け入れられない
そしてそのとても大切にしていたものを失った時の辛さの表現の仕方が、とても上手いなと思いました
__それでも思うのだ。強い人であるお母さんは自分で決めた正しい道をあゆんでいるけれど、その強さはあの日、私の中にあった最後の子供らしさ、かわいさしさをすっかり殺したと。__

そして広田さんと出会って、辛過ぎる思い出が違うものに変化する
そんな事ってあるのかどうかわからない話ですが、素敵な話だと思いました

あ〜、ハワイの甘い香りを嗅ぎたい。。。

0
2023年07月13日

Posted by ブクログ

『ハワイ行きたい、どうしようもなく行きたいよ、ねえ、いっしょに行かない?』

2020年に世界を突如襲ったコロナ禍。マスクな毎日、リモートワークな毎日、そして移動の自粛が叫ばれる毎日となって、国内旅行はおろか、海外旅行など夢のまた夢となってしまった現代社会。それまで日頃の頑張りを旅行先の素晴らしい時間を思ってなんとか支えてきた方にはとても苦しい毎日が続いていると思います。

そんな海外旅行という言葉の先に真っ先に思い浮かぶ場所、もちろん人によってそんな場所はさまざまとは言え、ランキングの上位に必ずあがるのが『ハワイ』です。新婚旅行の行き先として人気を博して以来、コロナ禍以前の2019年には実に157万人もの日本人が訪れていたという『ハワイ』。その数なんと94%にものぼるという圧倒的なリピーター率がその数を支えてもいます。そんな数多くのリピーターだった皆さんの今の心情、それこそが『ハワイ行きたい、どうしようもなく行きたいよ』という持って行き場のない鬱屈とした思いだと思います。それは、私、さてさての心の叫びでもあります。

さて、ここにそんな『ハワイ』を舞台に描かれた作品があります。『両親の仕事のつごうでハワイと日本を行ったり来たり』、『家族でよく行ったのもハワイ』、そして『ハワイにくるのははじめて』と、それぞれの『ハワイ』が描かれるこの作品。『なんで僕たちハワイに来てまでえぞ菊なんだろう』と、思わずにんまりするような記述に満ち溢れたこの作品。そしてそれは、『取材を含め、これだけ書くのに五年かかった。入魂の小説集です』と、作者の吉本ばななさんが語られる『ハワイ』に始まり『ハワイ』に終わる物語です。

『ハワイ行きたい、どうしようもなく行きたいよ、ねえ、いっしょに行かない?』と、あざみに突然言われて『秋だもんね』と、『あまり意味のない返事をした』のは、主人公のオハナ。そんなオハナは、『いろんなことが終わってしまって』、でも『なにか足りなくていつでも涙がこぼれてきそう』な気分の中にいました。『自分のパパが死んだ三ヶ月後にはもうハワイに遊びに行きたい、なんて私どこかおかしいのかな』と続ける あざみは『私は東京にいるのが淋しいの。だってどこに行ってもパパとの思い出ばっかりだもん』と言うと『にこっと笑』います。『私がママとパパと最後に旅行に行ったのも、ハワイのオアフ島だった』と過去を思い出すオハナに『向こうで卒論書けばいいじゃない』とハワイ行きの話を続ける あざみ。そんな あざみは『両親の仕事のつごうでハワイと日本を行ったり来たりしていて、その頃からずっとフラをやっていてたまにお手伝いでステージに出』てもいました。オハナにとって、あざみは『年は近いけれど』『義理の母』という、歳の差六つの娘と母の間柄。『この春に心臓の発作を起こして、急に死んでしまったパパのお葬式をいっしょに戦い抜いて、もっと仲良くなった友達でもある』という今の二人の間柄。そして、そんな オハナと あざみは『ホノルルの空港に降り立』ちました。『いっしょにハワイに来るのははじめてだね』と訊く あざみに『ううん、一回だけ…あったよ。ねえ、パパのこと思い出しているの?』と訊き返すオハナ。『うん』と答えた あざみは『オハナの手が、パパに似ているな、と思ったら泣けてきて』と言い、そんな手をオハナはぎゅっと握りました。そんな二人のハワイ、オアフ島の旅が描かれていきます…という表題作でもある最初の短編〈まぼろしハワイ〉。まるで自分が『ハワイ』へと出かけたような感覚にさせてくれる好編でした。

ピンクのプルメリアの花が描かれた浮き輪に入った特徴ある顔立ちの女性のイラスト、そして「まぼろしハワイ」という直球ど真ん中の書名がもうそれだけで『ハワイ』どっぷりを演出しているこの作品。文庫本の〈あとがき〉で、作者の吉本ばななさんが、『ハワイにがむしゃらに立ち向かいながら書いた、懐かしい中編集です』と書かれている通り『ハワイ』を作品の舞台とする三つの中編から構成されています。作品間に関連はありませんが、とにかく舞台を『ハワイ』とした瞬間に見事なくらいに同じ世界観の上に描かれていくのが特徴です。日本人が訪れる海外の観光地として真っ先に思い浮かぶのが『ハワイ』だと思います。実際、『ハワイ』を舞台とした作品には、”このホテルの客はみんな、嘘をついてる”というミステリーな世界を描いた近藤史恵さん「ホテル・ピーベリー」、”ハワイという所は、私にとってちょっと特別な場所である”とご本人が特別視される山本文緒さん「パイナップルの彼方」などがあります。また、私は現時点で未読ですが、この作品の作者である吉本ばななさんには、他にも「ゆめみるハワイ」、「サウスポイント」など『ハワイ』を舞台に描かれた作品があります。そう、画家がお気に入りの景色をキャンバスに描くように、作家さんの中にも自らが愛する場所を作品の舞台に描きたくなる、その代表的な場所が『ハワイ』なのだと思います。私も何度か『ハワイ』を訪れたことがありますが、間違いなく特別な場所です。海外の他の場所を訪れるのとは全く違う感覚がそこにはあります。自らの故郷がいつまで経っても特別な場所であるのと同じように、第二の故郷と言っても良いような感覚に陥るのが『ハワイ』だと思います。この感覚は残念ながら『ハワイ』の地を踏まれたことのない方には恐らく理解いただけない感覚だとも思います。その一方で、『ハワイ』を一度でも訪れた方には、その魔法と言っても良い魅力にすっかり囚われてしまうのを感じます。そう、この作品は『ハワイ』を愛する方には必読書と言って良い作品だと思います。

そんなこの作品は舞台が『ハワイ』である以上、夥しい数の『ハワイ』を描写した箇所が登場しますが、その中から”ハワイを愛する人”にはこれだけで夢見心地になるような表現を三つ抜き出してみましょう。

まず一つ目は、日本で”ハワイを想う”感覚です。

『あの体をなでるような風、薄青くどこまでも続く空の広がり、やたらに濃い緑、白く尖っては巻き込まれていく波の様子、長い長いワイキキのビーチの砂のしっとりとした感じ…どんなに音があっても、なぜか音がない世界のようなあの島』。

これは絶妙な表現です。私が思い浮かべる『ハワイ』そのものです。最後の一文の『どんなに音があっても、なぜか音がない世界』という表現など、これぞ私が言葉にできなかった感覚を見事に言い表してくださった!と、吉本さんに感謝したい思いです。そんな島の感覚をさらにこんな風にも描く吉本さん。

『ハワイはどうして私にこんなに優しいんだろう…あんなに小さい島々なのに、どこまでも大きくそこを訪れる全員を受け入れている素晴らしい場所、それがハワイだと感じる』。

もうただただ見事としか言いようのない文章が続きます。そうです、これが『ハワイ』。ただの観光地なんかじゃ全くない、どうしてリピートする人が後をたたないのかの理由がここにあるのです。ああ、たまらなくなってきました。

次は、そんな『ハワイ』の地へ旅立ってみましょう。『ハワイ』到着直後の感覚を表した表現です。

『ホノルルの空港に降り立つと、とたんに違う種類の光が降ってきて、はっとして目が覚める…体中の細胞が甘く感応的に動き始める。…車は出発し、ノースショアに向かう道をぐんぐんと北上した』。

『ハワイ』未踏の方には、だから?何?という感覚かもしれませんが、『ハワイ』を愛する方には、あ、もうダメ、メロメロメロ…という感じではないでしょうか。そうか。ワイキキに行かないでノース直行でハレイワに行くんだ、そうすると宿泊先はあそこかな?…ともう気持ちが『ハワイ』に飛んでしまったそこのあなた、そう、物語はあなたが期待する光景をどんどん描いてくれます。

はい、三つ目は直球ど真ん中です。

『マツモトのシェイブアイスを食べた。七色に光る氷、駐車場のごみすて場のすっぱい匂い。アイスを買う人の長い行列がお店からはみだしているところ、なにもかもがいつも通りで、めまいがした』。

ハレイワ名物の『マツモトのシェイブアイス』。2015年に新店舗に改装されましたので、執筆年からこの作品は旧店舗を描写していることになりますが、それでも印象はそんなに変わらないと思います。『シェイブアイス』=”かき氷”。『ハワイ』未踏の方には、”かき氷”なんて、日本で幾らでも食べれるじゃない、その一言で終わると思うのですが、『七色に光る氷』と描写される吉本さんのこの感覚。”かき氷”ではない、『マツモトのシェイブアイス』という神々しいものがそこにある、それが『ハワイ』を愛する人の感覚なのです。たかが、”かき氷”が特別なものになる感覚、やはり彼の地が抱く不思議な力というものは確かにあるのだと思います。おまけをつけておきましょう。その後の旅程、『思いついて急にカフクに向かった』と書けば何が出るかお分かりですね。

『エビは、ガーリック味のとただゆでたのを、シュリンプとプローンの二種類で注文した。ビールがほしいところだねえ』。

はい、もうたまりません。我慢できなくなってきました。レビューを書くのを中断して、『ハワイ』旅行の計画を立てたくなってきました(笑)。

さて、そんな『ハワイ』てんこ盛りのこの作品ですが、三つの中編の内容について触れておきましょう。

・〈まぼろしハワイ〉: 『年は近いけれど、あざみさんは義理の母なのだ』という主人公のオハナ。父親を『心臓の発作』で亡くしたオハナは、『私ができたのもハワイ(ハネムーン・ベイビーだった)、そして家族でよく行った』という『ハワイ』にあざみと二人で旅に出ます。そこで、見るもの、出会う人、そんな中で何かを掴んでいくオハナの物語。

・〈姉さんと僕〉: 『姉さんは実の姉であるだけではなく、僕にとっては母さんでもある』と、『交通事故で死んだ』両親に代わって『僕を育て』てくれた姉と暮らすコーが主人公。そんなコーは、姉に『男の影』が全くないことを気にしていました。そんな姉と弟が、おばさんの結婚式のために初めて『ハワイ』を訪れます。そんな場で姉のある秘密を知るコー。

・〈銀の月の下で〉: 『お父さんと水野さんと水野さんと前夫との間にできたおじょうさんの春香ちゃんの三人』で『ハワイ』に来たのは主人公のコホラ。急に『お見舞いに行く』必要ができて先に帰国した三人の一方で一人『ハワイ』に残ったコホラは、偶然にも『幼い頃から面識がある作家』の広田と出会います。偶然にも出会った二人は一緒の時間を過ごしていきます。

三つの中編はいずれも『ハワイ』を舞台としています。さらに具体的に言えば前二者がオアフ島、最後のみハワイ島を舞台にしています。主人公の名前が『オハナ』、『コー』、そして『コホラ』というのは、ハワイ語で、”家族”、”砂糖キビ”、そして”クジラ”という意味になります。流石にちょっとやりすぎな気もしますが、ハワイの雰囲気感の演出としては面白いと思います。上記してきた通り、そんな物語には『ハワイ』を視覚的に、聴覚的に、そして感覚的に描写した表現が散りばめられています。そんな舞台背景が三つの中編の一体感を作り出していますが、もう一つの特徴が、そんな『ハワイ』という場での時間を共にするそれぞれ二人の人物が描かれていくところです。ただし、そんな二人の関係性は見事に異なります。義理の母と娘、姉と弟、そして旧知の作家と女性という三つのペアが、『ハワイ』という地で共に過ごす時間が描かれていくこの作品。『ハワイ』という場所は、とても不思議な感覚をもたらしてくれる場所だと思います。生まれ故郷でもないのに、まるで第二の故郷であるかのように不思議なくらいに感じる安心感、安らぎ感、包まれ感。その感覚を吉本さんは次のように表現します。

『ハワイにいると、人間はいつだって抱かれているんだと思う。世界に抱かれることはただ甘いだけではない。死も含めた大きな明け渡しの中で、くるまれているのだ』。

そんなくるまれる感覚の中で、人の心は安心感の中に解放されていきます。この作品の主人公たちは、それぞれに喪失感の中に日本での暮らしを送っていました。そんな主人公たちが安らぎの感情の中に喪失を癒していく物語。そこには、『ハワイ』を愛する方には極めて納得感のある『ハワイ』の地だからこその癒しの感覚を見る物語が描かれていました。

『ハワイ』の魅力を美しい言葉で紡ぎ出す吉本ばななさんの筆の力が光るこの作品。『ハワイ』という特別な場所が強い説得力をもって主人公たちに力を与えていく様を感じさせるこの作品。

『読者のみなさんが、ハワイに行きたくなりますように』と語られる吉本さんの『ハワイ』愛が全編に渡って具に感じられる、『ハワイ』に始まり『ハワイ』に終わる、『ハワイ』の魅力満載な作品でした。

0
2022年12月26日

Posted by ブクログ

めんどくさいなーとか、やだなーってことを
くり返していく日々がある、しあわせ。
かみしめたい。

ハワイに行ってみたい!
パワーに包まれたい!

0
2022年02月11日

Posted by ブクログ

私はハワイに行ったことがないので、独特な甘い香りとか、風とか、そういうものがわからないけど、行ってみたいなぁと思った。
開放的にしてくれたり、過去を思い出して浸ってみたり、まったりのんびりしたり。そういうことができる特別な場所なんだろうな。少なくともよしもとばなさんにとっては。
みんな寂しいのに、温かい。そういう話がつまってる。

0
2021年12月10日

Posted by ブクログ

ハワイに関する3つの短編集
「家族」や「喪失」などの共通点もある

3つの短編(中編)+掌編的なあとがき
・まぼろしハワイ
・姉さんと僕
・銀の月の下で
・波



・まぼろしハワイ
高校卒業まで父子家庭だった女の子が大学卒業前に父を亡くし、8歳上の義母とハワイに行くお話


両親を失ったオハナと、フラダンサーのあざみさん
まったく親子には見えない年の差だし、2人の認識もそう思ってないんじゃなかろうか?

あざみさんを育てたハワイという土地
そして母のように慕うマサコさん

マサコさんが小さい子供を亡くした事があって聞けば答えてくれる事を確信しながらも尋ねないところがなぜか心に響いた
聞いてはいけないという遠慮ではなく、聞かなくてもわかるという傲慢でもなく、聞かなくてもいいという達観めいたものだろうか?

ちなみに「オハナ」はハワイ語で広義の家族という意味らしい

自分と父を置いて死んだ母
しかし自分は愛されていなかったのではないという事を、過去の日記とハワイにいるという事から思いを馳せるのがなんだかすてき



・姉さんと僕
両親を亡くした姉弟が二人暮らしをしているお話
書き出しの描写から、姉弟がまるで近親婚をしているかのような想像をしてしまったけど、そうではなかった

恋人と夫婦の違いって何でしょうね?
一緒に住む、世話を焼くという行為

アップルちゃんとだけうまくいっているのは、あっぷるちゃんにも不倫関係の彼がいるからなわけで
なんだか不思議な関係ですね



・銀の月の下で
子供のときに両親の離婚により母と離別した女の子の話

父と再婚相手とその娘との4人旅行
他三人は知人の不幸で一足先に帰国し、一人残ったコホラが出会った男性

コホラはハワイ語でクジラ

母とその彼氏との旅行中、トイレで泣いた記憶

母と彼氏が同室で自分が一人部屋
母への期待が裏切られた失望感、2人が同室という嫌悪感、それを言い出せない自分のやりきれなさなんだろうか


今回は父の恋人の提案で自分と父が同じ部屋というのが何だか救われた理由なんじゃなかろうか


しかしまぁ、誰かの感情のしわ寄せで自分が泣く行為はよくわかる
自分勝手に生きている人の身近な人は大変だと思う

それよりも広田さんの行動や言動が、未だにこんなおっさんいるのかねと思う
まぁ、お金を持ってる小説家ならありえるのかね




3編通じて、日本での不幸な出来事の悲しみを、ハワイのスピリチュアルな体験で癒やすというのが描かれている
吉本ばななの描写力のおかげなんだろうけど、大げさな表現はしていないのにハワイの独特な神秘性を感じられる文章になっている

月並みな表現だけど、これを読んでハワイに行ってみたくなる
それと同時に、実際のハワイはこんな幻想的なところだけではなさそう
だからこそ、タイトルが「まぼろしハワイ」なんじゃなかろうか


「世界はこんなに美しいのに、なぜ悲しいのでしょう」
という文章が心に残る
作中では、悲しいから美しいし、美しいから続いていると語られている
悲しさだけではないけど、美しさに悲しさの要素は確かにあると思える


この本、総じて理解するのにもっと時間が必要かもしれない
輪郭が見えないもやもやした神秘性と、その中にある生きるヒントが隠されているのはわかるんだけど、具体的に言語化できない
それこそ、あと何年後かにもう一回読み返したときにわかるんだろうか?

これを書くのに、取材含めて5年かかったというのも理解できる


唯一、小説として読みにくかったのが、誰が言ったセリフなのか特定に迷う部分多数
「と、○○が言った」という対象が、前のセリフなのか、その後のセリフなのか統一されていない
同じ人が2連続の「」で話しているところもあるよね?

吉本ばななは「キッチン」「TUGUMI」しか読んでなかったけど、前からこんな書き方する人だったっけ?

0
2021年09月01日

Posted by ブクログ

夏らしいタイトルにひかれて。TSUGUMI、N・P、それらとはまた違った夏。これは常夏。
アムリタで東南アジアの常夏のもつ感じが描かれていたが、あの感じを追い求めた結果生まれたものだと思う。単なる常夏のリゾート地がみせる能天気なお気楽以上に、常夏の島のもつ気だるくもどこかさびしく、それでいてそのまま受け入れてくれるような不思議な感じに魅せられていたのだと思う。それはゴーギャンがタヒチで見つけたものであり、似たような感じだと、松村栄子さんの明日、旅人の木の下でのシンガポールのむっとする暑さのような。
ハワイという常夏の世界は、よしもとさんらしさに強く出会ってしまう、そんな場所なのかなと思う。出てくる登場人物のひとつひとつの作品が、生み出すのにとても苦しい思いをされているような気がする。みんな息の詰まるような感じを抱きながらハワイの海を眺めているような気がする。
ハワイという土地はそんな息苦しさを開放することもなく、ただ静かにあるだけだ。痛みや傷を受け止めるのには時間がかかるもの。そんな時間を与えてくれるのが、ハワイという土地なのかもしれない。

0
2021年08月15日

Posted by ブクログ

最近ハワイが熱くきてるので、ハワイの雰囲気を感じたくて。

ばななさんの小説はわかるようでわからない、わからないようでわかる。という相変わらずの独特な空気が流れていて、行ったことないけど想像するハワイの空気に合っていると思った。大きな母なるものに包まれている安心感と、すべては有限だという刹那的な感じと。

生きてるってことの描写が独特で、心に残った。順番をきちんとおっていくこと。最初は、え。って思ったけど、そうかもしれないって今思う。

2020.6.2

0
2020年09月25日

Posted by ブクログ

あぁ、ハワイに行きたい。
温かく澄んだ空気感、色鮮やかな世界観を思い出しました。現実を忘れ、癒されたくなりました。
あぁ、ハワイに行きたい。。

0
2020年01月22日

Posted by ブクログ

またまたばななさんワールド。

とても大切にひとつひとつの物語が描かれていて、それがハワイと、そして地球と、生きているということと繋がっていて、キラキラしている物語たちでした。

何かで悩んでても、結局は大きな世界のゆりかごの中の出来事であって、世界は広くて美しくて偉大で、生かされているんだということ。

偶然と必然とが入り混じっていて、だけど確かにそこにあるもの。

大切なものって日常でいつも認識できてたら、毎日が素晴らしいだろうに、なかなか見えないんだよなぁ。

あぁ、ハワイ、行きたいなぁ。

0
2017年09月17日

Posted by ブクログ

ハワイ行きたい、と思っていたら見つけた一冊。ハワイ云々以前にやはりよしもとばななの作品はどストライクだ…。本当に表現がきれい。主人公に感情移入する、というより主人公が見ている風景を自然と妄想してしまう。3つの短編のうち、やはり「まぼろしハワイ」が一番好きだったけど、「銀の月の下で」も面白かった。
実ではなかなか、人と話す時に人生観とか生と死とか踏み込めないし、自分の想いとか考えをその場で言葉にして議論することってすごく難しいんだけど、よしもとばななの作品の中ではわりと自然にそれが行われている、そこに憧れる部分もあるのかもしれない。家族でも恋人でも友人でもいいのだけど、そういう話をさらっとできる、そんで感情の波に逆らうでなく、ただ委ねることができるって素晴らしいよなあと思う。

ああハワイ行きたい。でも帰ってきたくなくなるんだろうな。

0
2016年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 大好きなハワイを舞台にした3つの短編集。
 目を閉じれば波の音、甘い風の匂いが漂ってきそうなほど、著者の選ぶ言葉たちに酔いしれた。
 表題作「まぼろしハワイ」は、大切な家族を亡くし残された娘と年の近い義母の二人旅。
 「姉さんと僕」は、両親の死と引き換えに生を受けた僕と、そんな彼に青春の全てを捧げて育てた姉の旅。
 「銀の月の下で」は、両親の離婚以来人との距離感がわからなくて、何か痞えたまま生きているような女性の旅。
 ハワイの空は、そんな彼らを、いやどんな人をも優しく包んで、生きることのうつくしさを教えてくれているようだ。
 大切な人を亡くしても、石鹸が小さくなっていくように過ぎていく生きている者の時間は、あまりに切ない。生きるって順番を追ってきちんと経ないと進まない雑事の連続だけど、恋したり、酔ったようになったり、いい景色を見たりするのはその隙間の時間、死んだらそれができなくなるんだ、だから生きていたほうがいいんだって、自分の経験をもって身体の底から言える人には何もかなわないなあ。

0
2016年05月24日

Posted by ブクログ

ハワイを舞台にした短編がいくつか納められていますが、空気感は全部同じ。ちょっと繊細な人々の心の動きが丁寧に描かれていて、大した事件も何も起きないけれど、引き込まれる作品でした。普通だったらこんな感じの作品はあんまり好きではないのだけれど、この本は、傷ついた人をもふわっと包み込んでくれるハワイの空気みたいで、ちょっといい気分になりました。(行ったことないけれど。)

0
2017年10月16日

Posted by ブクログ

ハワイには行ったことがないけど、いつか行ってみたいなぁ、波の音を聴いて、空気を吸って、食事をして…過ごす時間の中ではどんなことを感じるのかなぁ、人生感変わったりして。人とのつながりには何か理由があるのかな。私は母である自分が一番好き、と感じた。

0
2023年09月11日

Posted by ブクログ

最近の本だと思っていたら、もう15年以上前だった。色褪せないなぁ。
よしもとばななのハワイにまつわる小説をいくつか読んできて、ハワイ行ってみたいなぁから いよいよ私もいつか行かなければいけないのでは、という気がしている。

0
2023年07月25日

Posted by ブクログ

ハワイに行きたい。ハワイに行ってみたい!!!一生に一度は絶対にハワイに行ってやる!!!と決意を新たにしました(笑)

単なる陽気な土地だけでなく、物悲しさや命の息吹を感じられる場所。そんなハワイを舞台に繰り広げられる物語。中編の作品集。

ばななさんの繊細な物語を久々に読んで心がちょっとだけザワザワしました。

0
2017年03月20日

Posted by ブクログ

2015/11/15
ハワイに行きたくなった。
いや、ハワイでなくてもいい。どこか海の見える静かな場所で、自分のこれまでのこと、これからの人生のこと、そんないろんなことを考えたいと思った。

0
2015年11月15日

Posted by ブクログ

ハワイで、哀しい出来事と向き合う人々のおはなし。
優しく切ない空気が漂うキラキラした1冊。

ただ、息つく暇が無いというか、ずっと同じテンポで同じ調子が続くのが少し退屈だったのと、大事なことを全て言葉にしてしまうもったいなさを感じた。

0
2015年09月28日

Posted by ブクログ

ハワイを舞台にした3つの短編集。

現実と幻想が一つになったような不思議な空間「ハワイ」のもつ空気感が伝わってくる。

人々の悲しみも人生の歪みもここに来れば知らぬ間に癒え、生きる活力がわいてくる。まさに再生の地。

0
2015年05月26日

「小説」ランキング