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かつて初恋の少年に送った手紙の一節が、ハワイアンの調べに乗って耳に届いた。「ひとの人生を縫い上げる」キルト作家となった私は、その歌い手とともに、空と海と大地が接するハワイ島最南端の地〈サウスポイント〉を訪ねるが……。世界の果ての、奇跡の恋――楽園の島を舞台に、満ち溢れる生命の輝きと、男と女そして家族の絆を描く。デビュー20周年を飾る感動の長篇。[写真・潮 千穂]
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Posted by ブクログ
切なくも美しい人間の感情や思いが美しい言葉で描かれている一冊 自分にとって思い出の地であり、 幾度となく足を運び、 いつでも心のどこかに憧れと尊敬の念を抱いている島、「ハワイ島」 そんなハワイ島の情景が描かれており、 匂いや気候、空気までが思い出され、 懐かしい気持ちでいっぱいになった あの...続きを読む島であの島の人々と静かなウクレレの曲を聴きながら、ラナイで過ごしたいと思ってしまった
私は初期のよしもとばななさんの作品が好きだとばかり思っていたのに、だいすきになってしまったこの本の初版は2011年らしく驚いた。 主人公は破天荒で破滅的な家庭に育ち、なかなか気を休められなかった幼い頃に同じく破天荒な家の男の子と惹かれ合います。 しかし家の事情で離れ離れになり、懸命に大人になって自...続きを読む分の生活を手に入れた頃とある歌を聞くことになります。 そしてその歌は昔、自分が好きだった男の子に宛てた手紙が歌詞で‥というお話だった。 * よしもとばななさんの作中に出てくる美しい人たちへの表現が好き。 艶艶な黒髪でとか、桜色の唇とか、透き通るような肌とか、まつ毛のびっしり生えた大きな瞳とか、そんなありきたりな容姿なんかを言及するんじゃなくて、内側から発光するような引力を文章にできるのがすごい。 そしていつものように美味しそうな食べ物たち。はちみつ(加熱しないはちみつなんて!白いなんて!)とかうるさそうに見えて裏手の森の音の聞こえる居酒屋のだし卵とか、丁寧に人のためにつくるパエリアとか。 ハワイの描写も美しくて、想像していてとてもたのしかった。あえて写真を検索しないで、ただいつか行きたいなあって思った。 周囲の人に気を取られがちだけど、早くに大人にならなくてはいけなかった主人公の、愛がなかったわけではないけど辛かった過去もじんわりと癒されていったのに安心した。 ひさびさに、よしもとばななさんの作品を読むとそのきらきらが体中に満ちる感じを味わって、とてもしあわせになった。 * ところで主人公は"てとらちゃん"と言って、はじめはひらがなのぽてぽてしたこの名前に馴染めなかった。けれど物語を最後まで読んでこの子の名前がてとらであることにとっても納得した。 名前にすると、響きもとてもかわいい! テトラポット: 消波ブロックは、海岸や河川などの護岸や水制を目的に設置するコンクリートブロック。 波消しブロックと呼ばれることもある。 Wikipediaより引用
かなり好きな作品だった。よしもとさんらしい、素敵で癖のある登場人物。複雑な家庭で育った主人公たち。きれいな言葉と、きれいな時間と、うまく表現された淋しさと切なさと、悲しさ。 一語一句も読み逃してはいけない気がする、よしもとさんの言葉が、すっと入ってきた。 情熱的ではないけど、運命のような2人の愛が...続きを読む、ハワイという大らかな場所でまた実を結ぶあたりは、一気に読み進めてしまった。家族という存在の大きさも響いてくる作品だった。
そのときにそうだと思うことをしていけば、 ちゃんとつながっていくのだと思う。 日常の中のしあわせを見逃さずに、 味わって生活していきたい。
この設定、どこかで読んだと思ったら『ハチ公の最後の恋人』の続編ということでこちらも再読中。 宗教観・説教臭さが他の作品より薄くてすごく好きな1冊でした。 今の私の心に寄り添ってゆっくりゆっくり焦らずに良いんだと優しい元気をもらいました。 ★2016年再読 やはり好きな本でした。
吉本ばなな作品はもういいやと思ってたのに発見してしまい、読みました。 主人公がいつも過酷な人生の試練に晒されるんだけど、苦しみ悲しみつつも割と淡々としていて、そういう主人公を熱烈に愛する誰かとスピリチュアルに導く誰かが出てきて…という点においては、いつものやつね!って感じだった。 でもハワイの空気感...続きを読む、ウクレレの存在などが不思議に心を癒すんですよね。ハワイ行ったことないから知らんけど(笑) 大きな感動とかは無かったけど、手元に置いて、折に触れまた読み返すのだろうという予感はあります。 そしてこれ、『ハチ公の最後の恋人』の続編らしいので、ハチ公〜もこれから読んでみようと思います。
読む時の気分によって⭐︎3になったり⭐︎4になったりしそうな作品。 楽園の穏やかでキラキラした風や音や空気を求めているときにはさぁーっと心に染みてきて、求めていないときには「ふーん」って印象になるかもしれない。 それでも、やはりあのハワイが持つ独特の情緒は誰にとっても素敵なもので、「あの感じ」をたま...続きを読むに求めるくらいの気持ちの余裕は常に持っていたいものだなぁとも思った。 私は『ハチ公の最後の恋人』は未読なので、純粋にこの作品を一つの完結した物語として楽しんだ。 よしもとばなな作品に登場する女の子たちは、どの子もみんな傷つきやすくて、でもしなやかに強くて、何かを諦めてはいるけれど同時に明日を創り出そうとする強いダイヤの粒みたいなものを秘めていて、読んでいて力になることはあれ嫌な気持ちになることは全然無い。今回もそう。ひとりで色んなものを抱えこみながら、ハワイアンキルトを作るテトラちゃんはとても素敵だった。 生きることに前向きになれる、日常に潜む小さくて愛らしい出来事にちゃんと目を向けたくなる、陳腐な表現になってしまって我ながらナンだけど、実際ほんとにそうなんだよな。 特にドキッとした文章は、テトラちゃんの以下の言葉。 「人生はうんとはじめのころに至福のほとんどを知るものなの。人によって違うけれど、至福の鋳型はそのときに作られる。そしてその後はほとんどずっとそれを取りもどすための戦いなの。」 まさしく。 ドンピシャで正解。 こういう感覚を文字に起こせるなんて、ばななさんは、短歌も上手そうだなぁと感じる。
家族の風景。 みんな悲しみを抱えても、たとえ立ち止まっていても、いつかは前に進んでいく。そんな命を見守る大地が、あの世とこの世の結び目のハワイなんだな。 最近のスピリチュアルな筆者の傾向は、あまり登場しない。いわば、よしもとばななの映像美の前半期とスピリチュアルな後半期の結び目みたいな作品だった。
ハワイ行ったことないけど、椰子の木の合間から見える星、肌に感じる暖かい夜の空気、ビールとポテトの匂い、ベンチの質感までなぜか想像できてしまった だけど愛する人を失ったマリコの心の痛みの全ては想像できなくて、いつか誰かを失った時に思い出すのかな、てちょっと思った "変わらないから一生分かり...続きを読む合えないし、変わらないからこそ素晴らしい彼"、テトラちゃんでも、間違っているなあって思いながら悶々と暮らしていくのだろうって思うのなんか安心する 誰かを一生愛していくのってすごく難しいけどその人の変わらない部分を尊敬して、自分と違う部分を許して受け入れていけたらいい、重く考えないでそれでいいよねって思わせてくれた 私の小説が好きな理由が詰まってるような本だった
" ママといっしょに寝ても、ママはだれよりも遠かったし、ママにおんぶされて寝ても受け止められている感じはなかったなあ。そんなことを思い出した。ママは私を愛しているけれど、たいていいつもそれどころではない。自分がハイでいられるかどうか、それがママの人生の最重要事項だった。それからママは自...続きを読む分以外にはほとんど興味がない。でも、優しいママなんていうのが幻想だっていうのももうわかっていた。例えばここの家の人たちだってきっと単にとことん空気が読めない人たちで、自分勝手。 パパは死ぬまで私の名前を呼んでいたけれど、お酒に酔ったような状態だったのは確かだ。自分に娘がいるという気持ちにも酔っていただろう。 人間なんてだいたいみんなそんなもの。だから人には夢のようなものやキルトがひつようなのだろう。たまにその中から甘い懐かしい豊かなものが立ち上がってきたときの思い出だけが。 ほんのわずかにしょげた私が窓から空を見上げると、おそろしい量のつぶつぶの星が夜空を満たしていた。すごい、と息を飲んで、首を出して上を見上げた。天の川が空を渡っている。向こうがこっちを見ているみたいな光だった。首が痛くなるころには気持ちは元に戻っていた。無数の星の光がこちらにせまってくるような感じのそのきもちわるさをみていると、あたりにも遠く多すぎるものに圧倒されていると、ただ感じのいいことだけなんて面白くもなんともないな、と思えてきて、救われる思いだった。 " このひと文がすごく好きで何度も読みたいと思った。 " 「ここでインチキなことをするとほんとうに百倍になって天の雷が下るような気がする。そして美しい考えはよその百倍くらい身を結びやすいんだ。そして人々の悲しみはすばやくなぐさめられる。どうしてだかわからない、奇跡は簡単に起きて、あまりにも簡単すぎてみんな奇跡ということを忘れてしまうくらい。」 " と珠彦くんがハワイのことを変なところなんだって住み始めてすぐに思ったって言ってた。吉本ばななさんが「ビッグアイランド」ハワイ島に恋をしているのがたくさん伝わってきて、自分もいつか住んでいる土地と思いを通じ合えるようなほんとうの意味で地に足をつけた暮らしをしていきたいと思った。
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