あらすじ
下町の小さなステーキ&ハンバーグのお店「ジュージュー」を舞台に繰り広げられる、おかしくも切ない物語。美津子は両親から受け継いだお店を、遠縁で元恋人でもある進一と共に切り盛りしている。常連のお客さんたちは、みんなどこかに欠落を抱えながらも、精一杯今日を生きている人ばかり。世の中はどうにもならないことばかり。でも、おいしいハンバーグを食べれば、つらいことがあっても元気を取り戻せる! 生きることの喜びをギュッと閉じ込めた傑作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
よしもとばななさんの作品には飲食店で働く人がよく出てくる。
本作は下町の老舗ハンバーグ店ジュージューが舞台。そこに集まる人々をよしもとばななさんの透き通った目がひっそりと見守っている。
大人になるとどうしたって背負うものが増えていって、そういうものにがんじがらめになっている自分にうんざりするけど、この作品の主人公みたいに澄んだ目で見てみたらまた違った自分でいられるのかもしれない。
Posted by ブクログ
短いのに何故か読むのにすごく時間がかかってしまった。
よしもとばななさんの聞いたことないけれどどこか懐かしくてすごく共感できる表現の数々に涙してしまった。
夢中になって読むような本ではないかもしれないが、確実に心を温めてくれる作品。
自分の大事な人がこの世からいなくなってしまった時に、その人が好きだったものにその人のかけらを探してしまうのはすごく理解できて涙が溢れた。
Posted by ブクログ
小さな世界で、世界を愛する方法が丁寧に描かれている。
良く生きていく上で必要な価値観がいっぱい詰め込まれているなと感じた。
読んでいる途中でなんども深呼吸をしてしまった。
とてもすき。
Posted by ブクログ
おんおん泣くことは無かったけれど、
常にうっすら涙ぐむ感覚のまま読み終えました。
ばななさんの作品の登場人物は、皆芯があって強い。けど繊細でか弱くて、優しくて、自分があるからこそ冷静でどこか冷めて感じる部分もあって、、いのちの大切さや儚さを、知っている人達だと思う。
みんな似て感じるけど
優しくて素直な人たちだったな。
亡くなった人へ話しかけた言葉は海の中の気泡が上昇していくように、空に向かって、小さな泡のように登っていくのだろうか、的な表現がなんか記憶に残った。
そうだといいな。
後から見返して探したけどどのページか見つからない。
ー読み終えたのは2024年1月ー
Posted by ブクログ
よしもとばななさんの小説は死がいつもある。
ただ、その死を暗いものではなく、死を思って生きている感じがする。
あと、よしもとばななさんの小説で好きなのは空気!!こちらで、想像するしかない部分だけど、とてつもなく自然で、とてつもなく優しい空気を纏ってる。あ、大丈夫!って包まれてる感じがする。
もちろん押し付けがましくない。
Posted by ブクログ
どうしようもなくしんどいし、物語の主軸に”死”がある。なのになぜこんなにキラキラしていて、見える世界はシンプルで、浄化された気持ちになれるのだろう。
Posted by ブクログ
「死」がもたらす存在感の表現が素晴らしい!
母の死の悲しみを抱えつつ、父も、進一も、毎日ハンバーグを焼く。進一の両親との過去や、進一との過去を抱えて毎日を過ごす日々…。しかし、少しずつ幸せなニュースが舞い込み、幸せな空気が流れていく。今まであった過去までを包み込むような…。
人は、こうやって乗り越えていくんだよな。あ〜、生きていくって、やっぱり素晴らしいな、と思える小説だった。
Posted by ブクログ
なんだか癒された。
肉を食べること、わたしは大好き。なんで大好きなのかがわかった気もする。色んな考え方があると思うけど、自分は肉を食べ続けると思うし、死んだら地球が、宇宙が食べてくれるといいなと思う。
ジュージューといい音すると、いいな。
夕子さんみたいな人って、全人の憧れよね。
Posted by ブクログ
主人公の立場からしたら中々にハードモードな人生だと思うんだが、それを感じさせないぐらいこのハンバーグ屋さんは主人公にとっては大切な居場所なんだということが伝わってきた。
お母さんはお空にいて目に見えないけれど、愛情深い人のようでうらやましい。
Posted by ブクログ
お母さんを亡くしてしまって明るさを失った父、兄弟の様な相手との妊娠、そして失恋
ストーリーだけを言葉にすると暗くて悲しい物語のように思えるが、これを表現豊かに明るくポップに描けるのが吉本先生すごいなぁ
お母さんが発する言葉や、主人公が得た気づきの際に使う言葉が本当に好き
Posted by ブクログ
イラストが目を惹き手に取りました。町のステーキ屋を舞台にした家族物。いとこ同士で過去に関係があったりクセもありつつも、よしもとばななさんの感情を丁寧に表現する文章に理解できない関係性でも読み進めることができました。
Posted by ブクログ
生きるって、素晴らしい!ほんとに薄っぺらな言葉になってしまうけど、そう思った。
愛とか恋とかじゃなくて今日作ったハンバーグを一緒に笑って食べれるようなそんな関係の相手が私にも見つかるといいなぁ…
Posted by ブクログ
約7年半ぶりの再読。内容はほぼ忘れていたけど、やっぱり好きだと思った。初読の頃とは自分の身の回りも変わって、感じることも変わったので、星を一つ上げました。こんな素敵な人たちの一員でいられたらと思い、また、こんな素敵な関係を自分も作りたいと思った。ものごとへの向き合い方、筋の通し方が好き。悲しいこともつらいことも、ゆっくりとでも、こんな風に前に進んでいけたらいい。
Posted by ブクログ
ステーキ屋を営む家族とその周りの人達の物語。
どんなものにも人にも歴史があって、その積み重ねで自分達が生きていて、それを繋いでいくのは自分達で、自分も歴史上の1人になるんだなあってしみじみ思った。登場人物が過去に何らかの悩みがあったけど、それを乗り越えて生きていく姿が良かった。
Posted by ブクログ
友達にかつて勧められていて、花のベッドでひるねしてについての書評だかツイートだかで好きって書いてるのを見たら、なんだか無性に読みたくなって。今。
あー、、今で良かったんだ。じんわり。
家族のこと。
満ち足りた気持ちでねむりに落ちる。
Posted by ブクログ
ジュージューというハンバーグステーキ屋さんの娘のお話。ただそれだけで親近感を感じて購入。こちらも家族のお話で悲しい過去もあるのだけど読んだ後とてもすっきりする物語。ばななさんの物語好きだ。
Posted by ブクログ
よしもとばななさんの作品がようやく去年から、少しずつ自分の中にしみてきて、読み進めているところ。
以前から愛読していて、親交もあるらしい小泉今日子さんが、以前テレビで、ばななさんの作品は死生観に共感できて、といった話をしていた。
このお話もそうだけど、身近で亡くなった人、悲しみにくれる残された人、その人の残りの人生、そこが本当に丁寧に、やさしく、バランスよく描かれていて、読み終わった後、何か明確なものがあるわけではないけれど、大丈夫だと思える。
Posted by ブクログ
著者が文庫版のあとがきのなかで、
「なんちゅー悲しい話を書いてしまったんだ」と
読み返しながら思ったと書いていましたが、
読んでみた僕としては、そんなにすごく悲しい話には思えないんですよ。
そりゃ、登場人物たちは人生のなんやかやに縛られて自由ではない。
でも、自由ではないなりに、
そのなかでの自由を獲得できているように読み受けました。
与えられたカードはよくなくても、
それをどう使っていくかというのは比較的できている人たちが主要人物でした。
著者は、登場人物たちの持って生まれた星周りというか、
やっぱり与えられたカードというか、
そういうのに対して「悲しい話」と言っているのではないかなと
そういう気がしました。
さらに言えば、そこからぱたぱたと大空へはばたくようなことは
できなかったりする人たちだから、
そこにも悲しみというものは感じられるわけです。
ただ、鎖に繋がれたような状況の中での自由に甘んじている人には、
その悲しみは感じられないのかもしれない。
そういう意味で、僕がすごく悲しい話には思えなかったのには、
僕自身がはたからみたら悲しみを感じてしまうような状況に
あるのだろうなあなんて、考えてしまったところでした。
___
違うから好きになるのに、違うから届かない。
___
本作には91ページに上記の一節がありましたが、響きましたね。
その人と自分には違いがあるからその違いによって
その人に惹きつけられたのに、
その違いゆえに手が届かない、
違いゆえにはばかられる、というのはあるよなぁと思った。
はたして、僕に対してもそう感じる人はいるのかどうか。
なにげない気持ちから何かをつかみとる感性がすごいですよね。
下町の良さっていうか、スローな街のよさ、
かけがえのなさも感じられて、そういうところもよかったです。
おもしろかった。
出てくる人物たちに愛おしさを感じて、
読み終わると名残惜しいのはおもしろかった証拠です。
Posted by ブクログ
昔からこの世界観が大好き。
ゆっくりと、静かに、心が揺さぶられるような。
箱にしまっていたはずの過去が、そっと左右に振られる、水を染み込ませてじわっと染み出す、そんな感じ。
苦しくて、どうしようもなく悲しくなるけど、そんな中にも日常の暖かな光がさしてきて、じんわりあったかい気持ちにもなる。
不思議な世界。
Posted by ブクログ
2025/05/30
下町が舞台なんだけど、死について考えさせられる描写もあり、全体的にきれいな静謐さを感じた話だった。あとがきで「悲しい話」だと、よしもとばななさんは言っていたが、私はそうは思わなかった。最後は、全員少しだけ気持ちが上向きで終わっていてよかったと思った。
Posted by ブクログ
一度は悲しみの底に沈んだ人たちが
前に進もう!と意気込んでいるわけではないんだけど、ゆっくりじんわり周囲の輪郭を確かめながら時の流れに身を任せて進んでいく物語。
我々読者はワンシーンを覗き見させてもらっているような感覚。
全てを咀嚼できた、とは思わない。
これは私が悲しみの底に沈んだことがない表れなのか。(悲しいことは色々あるけど、底には行ったことがないのかも)
これは物語を構成して、書こう!と思ってかけるものではないと思う。
ゆえに唯一無二なんだろうね、この方は。
読んでる時も、読み終わった後もふわふわしてる。
Posted by ブクログ
吉本ばななさんの初読み。
フォロワーさんのレビューを見て、手に取った一冊。
今まで読んだ本とは、全然種類が異なっていて、一口で趣味が「読書」と言っても、好きな作者や作風が異なると全然わかりあえないこともあるだろうなと感じました笑
本書についての印象ですが、繊細で丁寧という感じです。(吉本ばななさんの作風全体に言えることだったらすみません)
わかる人にだけわかる世界観という感じ?
私が好きだったシーンは、養子として進一を引き取ったみつこの両親がお金をもらわなかったことについて触れるところ。
「お金では買えない縁をもらったんだから、お金に変えたらバチがあたる、とママはよく言っていた。」
こういう感覚って余裕がないと生まれないと思う。
すごく素敵な感性だと思う。
自分の気づかないを気づかせてくれる瞬間って、本を読む醍醐味だよなぁって思いました。
Posted by ブクログ
あるステーキ屋さん一家の中で巡る物語。
一家の一人一人暗いものを抱えているけど味は変わらないハンバーグ。
最初、進一の勝手さに嫌になったが進一も進一ながらに過去があったからこそのことだったんだなと思った。
ミステリアスな夕子さん最後まで過去に何があったか分からないが、夕子さんの中にある『生』はゆっくりながらも丁寧なんだなと思った。
タイトルいいよね
Posted by ブクログ
期待を裏切らない、よしもとばなならしいスローなストーリー。この世界観がたまらなく好き。命を食し命を造り命を絶やすということを当たり前に思っているけれどそれはめちゃくちゃ尊いことだと久々に気付かされた。
個人的には一番最近読んだチョコレートグラミーと価値観が真逆なところがまた面白かった。同じ街で暮らすことを水槽だと、息苦しいと感じるか、その街での変わらない日々を関係性を一生ものと捉えるか。美しい言葉の紡ぎで後者とするのがさすがばななです。そして私はそれが好き。
Posted by ブクログ
著者文庫版あとがきの「なんちゅう悲しい話なんじゃ」には、悲しくなる話じゃないぞと思ったが、ほとんどの登場人物が家族を失ってる(進一は両親との関係破綻)と思うと確かに悲しい話。
でも、そこからゆっくり進んでいく話。
Posted by ブクログ
あとがきには、悲しい話とあるけれど、そんなでもない気がする。
じんわりと、再生の物語。確かにあまりハッピーではないかな。
悲しみは漂っているのに、なんとなく物語の中のすべてのひとびとが羨ましい気持ちになる。よしもとばなならしい世界です。