【感想・ネタバレ】みずうみのレビュー

あらすじ

ママを看取ったちひろは、ななめ向かいのアパートに住む中島くんと奇妙な同居生活を始めた。過去に受けた心の傷によって、体の触れ合いを極端に恐れる中島くん。中島くんに惹かれながらも、彼の抱える深い傷に戸惑いも感じているちひろ。恋と呼んでいいかわからない二人の関係が続く中、ある日中島くんから、一緒に昔の友達に会ってほしいと頼まれてーー。苦しみを背負った人々を癒す希望の物語。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

遅かれ早かれ、彼は消えていってしまうだろう__
危うさと儚さを引き連れた恋の始まり。
話の中を漂う言葉は、奥底の暗闇まで見えるほどに綺麗で澄んでいた。私の中に溜め息にも似た小さな感嘆が積み重なってゆくのを感じれて、嬉しくなった。

0
2025年07月18日

Posted by ブクログ

ここ最近で1番好きな作品かもしれません。
なう(2025/06/15 03:04:09)


最後の方になぜその人物がそういう事になったのかをカミングアウトする様子が衝撃でした。同時に、見た事が無いのにその時の心情を纏った様子で生きる人物の様子が頭の中にふと浮かんで来て少し同情してしまいます。

やかさにふんわり包まれた傷が、雲に見え隠れする星みたいに時々チラチラ見え隠れしているような感じでした‎。

屋外で読んでもぐらっと心を揺さぶられる言葉や、生きていく中で大切にしたいセリフや考え方が多い作品です。

0
2025年06月15日

Posted by ブクログ

気持ちの暴力が少ない人たちが愛し合うとこんなに思いやりに溢れて、相手の気持ちを重んじて想い合うことができるんだなと思った

本当に「あぶなっかしいふたりだというのに、薄い氷の上を歩いているような、どちらかが転んだら共倒れになるくらい、弱々しい組み合わせ」な2人がお互いにお互いを支え合って前に進めてて本当によかった。

パリでも幸せに暮らしてね

0
2024年04月24日

Posted by ブクログ

休みの日に部屋でゆっくり紅茶でも飲みながら、しずかに読みたい本。

内容は重めではあるのだけど、文体や浮かんでくる風景がとてもきれいで、私はとても好き。
本の随所に、人生で大事なこととか人間の本質が詰まっている気がして。
それを読み漏らさないように、じっくり噛みしめて読みたくなる。

誰かと本気でつきあうこととか、人を愛すること…
それは恋人でも、母と娘、父と娘、母と息子、見ず知らずの子どもに対するものでも、
それぞれの愛の形や表現があって、
どれも素晴らしいものだね。

この本を読んだら、
私は誰かを本気で愛せたことがあったのか?
子供が生まれたとして、ここまで全力で愛せるのか?

今まで私が愛していたと思ったことなんか、生ぬるくも感じるけど
今は未熟だったとしても、いつかそんなふうに本気で人を愛せるようになりたいなと思う。

その人にどんなに深く壮絶な過去があったとしても、その人が好きならば
ちゃんと今を見て、向き合って、
良いも悪いもなく、その人のすべてを受け止められる懐の深さを持ちたい。


あと、本の中の大事な場面で
登場人物が馬に出会って、馬にとても心動かされ救われ、感謝するというところがあるのだけど
その部分がとても好き。
馬は本当にそういう生き物だと思う。
馬も愛だ。
そんな馬を愛せた登場人物も好き。

0
2023年04月22日

Posted by ブクログ

ひさしぶりに出会った、だいすきだなぁと思える本
ちょっと変わってるけど魅力的な人たちが出てくるお話
中島くんとみずうみのほとりに住む兄弟との関わり

0
2021年04月27日

Posted by ブクログ

読んでいくうちに、うまく言葉に表せないような温かさが積もっていくイメージ。出てくる人たちが本当に好きです。

0
2021年03月27日

Posted by ブクログ

大人になる気はなくても、こうして人は押し流されて選んでいるうちに大人になるようになっている。選ぶことが大切なのだと思った。

中島くんにも、ちひろさんにも、ミノくんにも、チイにもなりたいと思った。よしもとばななさんの描く物語の登場人物は、どうしてこんなにも魅力的なんだろう。孤独を美しいと、尊いものだと思える。優しくて綺麗な魂。

0
2019年02月25日

Posted by ブクログ

言葉の選び方がほんとうにすきだなあ。曖昧でゆらゆらしてるような淋しさを、なんて上手に言葉にしちゃうんだろう。いろんなかたちの愛情が見えた。決して明るくないけどすごくやさしいと思う。

0
2024年11月09日

Posted by ブクログ

いいお話でした
誰も死ななくて良かったし
二人が別れなくて良かった
何とも、ほんわかした雰囲気の中
結構ハードな話もあり〜〜
でもでも、良かったよ

0
2024年07月26日

Posted by ブクログ

わたしの亡き母への思いとちひろの思うことには重なるところがたくさんありわたしの思いも掬われる、救われるが、終盤畳み掛けて明らかになる中島くんのことが、どうしてもちひろより苦しくて、苦しかった

0
2024年05月12日

Posted by ブクログ

ちひろの、中島くんの抱える過去の悲しい出来事との向き合い方や考え方、接し方や発言に至るまでほんとうにすばらしかった.....。いちど経験しなければ絶対にわかり得ないことをわかったように会話を合わせたり同情したりするのって最低だよな、でも無意識に自分はそれをやっちゃってる気がするな...
人を想うってこととか世界の捉え方から個々に与えられた尊厳とか、勉強になる小説だった。
矛盾したところがない登場人物たちの真っすぐさに感銘を受ける。3年前に読んでたけどその時はどんな感想を持ったんだろうか...。

p154のすきな文
「ほんとうに人を好きになるということが、今、はじまろうとしていた。重く、面倒くさいことだったが、見返りも大きい。大きすぎて、空を見上げているような気持ちになる。飛行機の中でら光る雲の海を見ているような気持ちに。
それは、きれいすぎて悲しい気持ちととてもよく似ている。
自分がこの世界にいられるのが、大きな目で見たら実はそう長い時間ではないと気づいてしまうときの感じに、とてもよく似ていたのだ。」
この文で涙した

0
2024年03月27日

Posted by ブクログ

きれいなニホンゴ表現だよ。
ボクも何気ないことを思ったり、聞いたり、話す時に自然と出てきたら良い表現。回りくどくて、大げさで、気取りすぎだあ、なんて言われるかもだけど。ふふふ、それって感情が豊かってことだよね。
褒め言葉だよ、ゼッタイ。

0
2023年12月04日

Posted by ブクログ

不安定な土台の上で成り立つ安定を描いた物語。素直で正直な登場人物の会話が愛おしい。日常を感じさせる壁画制作のシーンと浮世離れした中島君やみの君との会話のコントラストにより、ちひろの柔軟で中立的な人柄を印象付けた。自分をちひろと似ているとも感じたし、こうなりたいという憧れの存在のようにも感じた。中島君が抱えていた過去は、想像と少し違っていて驚かされたが納得もした。前半にはこれといって大きな出来事は起きず、ただただ物語の雰囲気を楽しむだけにとどまったが、後半は印象的な場面や言葉に魅せられ、しっかりと味わいつつもページを捲る度にはやる気持ちを抑えられなかった。

0
2023年10月05日

Posted by ブクログ

久しぶりにばななさんを一冊読みきった。やっぱり言葉にしにくい感情を上手に言葉で救い上げてくれる。読書体力が復活しつつある。この調子で、他のばなな作品も読んでいきたい。

0
2023年09月28日

Posted by ブクログ

よしもとばななさんの文章はやさしくて分かりやすい、だけど決して平坦なものではなくて心に刺さる言葉がたしかにあるから好きだ。疲れているときに読むとリラックスできるような安心感がある。

母を失ったちひろと、何やら大きな過去を抱える不思議な中島くん。恋とは断言できない絶妙な感情のもとで繋がる二人は必然的に出会っていたのだと思う。少し淡泊にも思えるちひろの性格はただ冷たいだけではなく、きちんと中島くんと適切な距離感を保って接しているからこそ、二人の関係性が好きだった。中島くんがちひろを「気持ちの暴力が少ない人」と表現するのがとてもしっくりくる。きっとこういう人は本当に少ないのだろうし、自分で判断できるものではなくて、他人から見なければ分からないものなのだと思う。

0
2023年09月03日

Posted by ブクログ

やっぱりばななさんの文章は、どこがいつも物悲しいけど、最後には、心の置き場所をちゃんとくれる。すごく好き。

0
2023年08月14日

Posted by ブクログ

過去に傷を負った2人がお互いを癒しながら静かに再生していく物語。ちひろも中島くんも、慎ましく誠実で嘘がない。不完全なところが人間らしい。
『読み取れる感受性だけが宝なのだ。』物理的な距離感や言葉を伝え合うような目に見えることだけが真実ではない。お互いの感受性によって確かに感じられる繋がりや絆は尊い。
私はいつも心が落ち着かない時、なかなか本が読めない。よしもとばななさんの本は心を静かに整えてくれるので、むしろそんなときにこそ読むべきなのだろうと思う。

0
2022年10月29日

Posted by ブクログ

いままで急激な展開とか、人間関係の複雑なものとかを読んでたから、落ち着いた。
同調する、結婚する、sexする、なんかそうしないといけないみたいな、パートナーってのはそういうものと決めつけられてる気がしてすごい嫌だったけど、自分の求めるパートナーのあり方を肯定された気がしてすごい嬉しかった。
焦らなきゃ行けないと思ってたけど、焦る必要は全くないなって思った。

0
2021年06月19日

Posted by ブクログ

切なく、儚く、でも永遠に残るを感じる作品でした。
全体的にとても好きです。

飛行機の中で、光る雲の海を見ているような…
きれいすぎて悲しい気持ちととてもよく似ている。
自分がこの世界にいられるのが、大きな目で見たら実はそう長い時間ではないと気づいてしまうときの感じに、よく似ている。

このくだりがいいです。

0
2021年06月14日

Posted by ブクログ

久しぶりに吉本ばななさんの小説を読みました。

この小説に限ったことではないけれど、吉本ばななさんの本を読むと『そのままの自分でいいんだよ』って閑かに肯定してもらえたような気持ちになる。
すごく感動して涙したり、幸福な気分に包まれるような読書体験とはまた全然違った独特の甘みみたいなものが残る。


この小説の中では特に、主人公二人の出会いからお互いを気にかけるまでの描写がとても好きだった。昔、同じような経験をしたことがあったけど、その自分の経験までも、より一層美化されるような感じがした。

0
2019年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中島くんの深刻で厳しい体験と心の傷。
みずうみのそばの友人。

どこかはかなげな感じの彼ら。
そのせいなのかそれともばななさんのタッチによるのか、深い悲しみも刺々しく突き刺すようなものではなく、薄いベールを通しているかのような感じで伝わってきた。

ちひろと中島くんの距離感。
無理をしないさせない感じがいい。

地面から少し足が浮いてるようなちょっと浮遊したような感覚もあって、なんだか気になる作品だった。

0
2015年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大好きなママが死んでしまった主人公。
過去に壮絶な経験をしたのであろう中島くんとの出会い。
付き合っていると言えるのかどうか、でも毎日一緒にいるような不思議な関係。

どうまとめたらいいのか分からないくらい、いい意味で物語の中に境目がなくて、起承転結というほどの話の転換もないのだけど、ただ水の上に浮かんでいるうちに流されて遠くまで来てしまったような読後感。

文量も多くないので、さらっと読めて、まとまった時間が取れない人にもおすすめだなと思いました。

ばななさんの作品は、作品に流れてる空気感がとても心地いい印象。
ほんの一瞬の、秋の過ごしやすい気候みたいな、そういう空気感が閉じ込められていて、重たくなくてくどくなくて、でも軽すぎないからいいなと思ったりします。

0
2025年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以前読んだ吉本氏の『鳥たち』という作品が、半カルト集団の生き残り・自死遺族を扱う、とてもドロドロとしたものだったので、今回も重たいのかなあと戦々恐々としつつ臨みました。

ところが、何でしょうか、本作品も独特のアクは有りましたが、希望が感じられる、読み口良い作品であったと思います。

・・・
本作は母親を亡くしたちひろが、恋人未満の天才引きこもり的な中島くんとの仲を徐々に深めてゆく話。

で、中島くんもまた幼少期に負った傷を抱えて生きているのだが、ちひろはその傷にアプローチせず、彼から話が出るのをゆっくり待つ姿勢を取る。そして彼から話を打ち明けられて、徐々に中島くんにもちひろにも変化が訪れてゆくが…。

・・・
捉えどころのない、章区切りのないスタイルは前回読んだ『鳥たち』と一緒でしたが、今回はそれが良い方向に作用したように感じました。

ちひろと中島くんの仲がまんじりともしない様子は、章区切りがあると、あああそこでやっぱ変化があるのかなとか勝手に想像がついちゃうのですが、本作のように区切りが無いと、展開は常に想像外であり、あたかも映画でも見ているかのような、展開の驚きを味わえたと思います。

そして恐ろしい過去の事実と不可思議な体験とともに、二人の将来が開けてゆく、という明るい展望が読み口を更に良いものにしていたと思います。

・・・
ただ、相変わらず沈殿しているテーマは、暗め。

カルト教団に誘拐された過去を持つ中島君は自分の心を殺すことで精神の安寧を保つ(洗脳を回避する)ことに成功。

さらにその後カルトを救出されたあとも、心配性に輪をかけた母親の溺愛に辟易としつつも、彼女の死までそれに付き合った。要するに心の傷に更に塩を塗り込んで、鎧をまとった心を育て上げてしまった。

頭では理解しているなかで、心を殺してきたため、当然コニュ障的な人間(でも学問はできる、というか心を殺して打ち込む)になってしまった。

そういう人に寄り添える人が近くに居ないという状況こそ、自由過ぎる・紐帯を持たない現代の病根なのかもしれません。

そこまでではないにせよ心に傷を負うちひろはそんな中島くんに寄り添う姿が、ほっこり。

霊能力者とかも出てくるけど、やはり本作の主人公かつキーパーソンはちひろの心のひろさ。

・・・
ということでよしもとばなな氏の作品でした。

作風全般は凄い好きというわけではないのですが、今回のは結構好きな感じでした。

今後もぼちぼちと渉猟してゆきたいと思います。

0
2025年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「星の子」を思い出した。
いわゆる2世と呼ばれる子どもたちの視点ではなく、直で影響を受けている人たちの話を読むとしたら危険だろうか。

0
2025年05月25日

Posted by ブクログ

何気ない日常の中に
ふと現れる非日常が綴られている

別離が待っていると分かっているのに
人はどうして触れてみたくなるのだろう…
出逢って 触れて 得て 恋をして…

当たり前のように生きていることが
実は絶妙なバランスの上になりたっていて
とても危うい世界の中を 奇跡の連続で
歩んでいるのだと気づかされる…



ちひろや中島くんの
慎ましく 誠実で 嘘がないところが好きだな

過去に傷を負ったふたりだからこそ
寄り添いながら
相手を想いやる言葉 一つひとつに
懐の深さを感じる



全ての感情に共感するわけではないけれど
ふと見せる断片的な輝きに救われた想いになる…

いつも淋しさの果てまで
連れていかれる文章なのに
最後には必ず 心の拠り所を
ちゃんと残してくれている

ばななさんの言葉たちは
私にとって心を調律する大切な贈り物です

0
2024年10月06日

Posted by ブクログ

ばななさんの文章はやっぱり、暗い。暗いけれど、よくよく目を凝らしてみると闇夜に光るボタンのような明るさに気付く。歯医者の待ち時間、母の買い物を車で待つ間、部屋が寒くて窓際で背に温かさを感じながらして細切れに読み切ったから感触が薄い……しっかりと正面から読んだらこの物語の暗さに飲み込まれそうだけれど、覚悟を持って今度また、しっかり読みたい。

0
2024年01月05日

Posted by ブクログ

とある友人をずっと思い出していた。物事の感じ方とか、似てるんじゃないかな。

なんなら今も中島くんみたいなケースは起きているんだろうと思う。傷ついた人のことを理解することは難しいけれど、ちひろのようにフラットに、悪意を最大限に減らして付き合うことができたらいいと思う。

0
2023年01月06日

Posted by ブクログ

初めてのよしもとばなな氏の作品。

序盤の母と娘の描写はあまり響かなかったが、中島くんが出てからは面白くなった。
頭良い変人キャラが好き。

テーマとしては、傷を負った人が、他者と関わりながら少しずつ傷を癒やしていく(許していく)という内容かなと。
少しの傷を持つ主人公が、より深い傷をもっているだろうと推測される中島くんに対して、引け目を感じながらも、少しずつ惹かれていく描写が良かった。
さすが著名な作家というような、表現力でグイグイと引っぱられる感じ。
2人の絶妙な距離のとり方、傷つけない関係が、自分とは真逆の生き方だなという感想を持った。

個人的には中島くんの正体が気になってしまい、謎の青年の正体を恋人目線から解き明かす、文章がきれいなミステリとして読んでしまっていた。

短いし、読後感も良い作品。

0
2022年03月27日

Posted by ブクログ


ママの夢を、ママが死んでからはじめて見た。

大好きなママがこの世を去った。ちひろはか弱い身体で何かを抱えている中島くんと、静かなみずうみのほとりの一軒家へと出かける。
.
物語がすーっと入って行く感じ。主人公は中島くんの過去を知ってもものすごく動揺することは無く大きな乱れがない印象。かといって全部受け入れてる訳でもなく、正直に話せるあたりが成熟してる。壁画で表出して整理してるのかな。中島くんが今にも消えてしまいそうで生命力もっとあってくれ…
.

0
2021年12月26日

Posted by ブクログ

旅館で手にとって読みかけ帰らなくてはいけなかったので、後日読み直しました。

久しぶりの吉本ばなな。

ありそうだけどやっぱり現実感のない設定で物語としては面白いのだけどやっぱり共感しにくいかな。

0
2019年08月16日

「小説」ランキング