よしもとばななのレビュー一覧
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「王国」第2部。前作からはそれぞれの登場人物の住む環境が異なり、それによってどのような変化がもたらされるのかが描かれている。
新しい環境というのは、本人が思っている以上に心に負荷がかかることであり、今まで上手くできていたことが急にできなくなったりすることも珍しくない。そして、環境の変化は人間関係にも変化をもたらす。それが自分にとってよい方向に向かうのか、それとも悪い方向に向かうのかは想像できない。しかし、周囲の人には案外その景色が見えたりしていることもある。その言葉に救われた経験は誰しもが持っているのではないだろうか。そんなことを思い出させてくれる作品。 -
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現実とはややかけ離れ設定ながら、人の温かさや傲慢さなど、悲喜こもごもが集約されている作品。寂しいとき、心が一人ぼっちになっているとき、そういうときに寄り添ってくれる人がいるというのは大変ありがたいもの。それが人の素晴らしさでもある一方で、そこに嫉妬や妬みなどの感情が沸いてしまう人がいることも事実。
また、ある人の発するオーラというか波長というか、そういったものを敏感に感じ取れるという人もいる。世の中には様々な人がいるのだが、あたたかく見守るということも大切なことだと感じる。
最近では、譲り合うとか思いやるということも減ってきたのではないかと感じてしまう。 -
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ハワイに会いに行きたいと思った。そして日本も。
印象に残った言葉
どんな人もそれぞれがトップである場所では同じように大変で、同じようにすばらしいのだから。同じようにぐっとこらえ、ぐちをのみこみ、一瞬にかけて、自分が自分をちゃんと見ているから大丈夫、と毎日を積み重ねる。
自分が自分にとってぴったりくる役割の中にすんなりいること。その中でたったひとり、遅い歩みでも進んでいること。自分が自分でいるだけ、それ以上の幸せがあるだろうか。なんといってもこの世にそれができるのは自分だけなのだ。
誰かを自分と比べてうらやましいと思ったり、だれかがちゃんとわかってくれさてすれば、自分はこんな状況にはいな -
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言葉にしようとすると消え去ってしまうものや
繰り返しやってくる夜や朝の中で
夢となっていくしかない儚い瞬間を
“美しい言葉”で表現してくれているばななさん♡
読んでいる間だけ出会える彼らたち…
読んでいたら いつの間にか眠りについてて
起きたらいつもの朝がはじまってて…
全部夢だったのかと思うほどで…
でも確かに私の傍らにはこの作品がいてくれてた…
窓から射している陽はいつものように
部屋を真っ白にさらしていたとしても
読んだ時の余韻がじわりと甦ってきて
新しい世界の面影を映し出す朝へと変えてくれた…
今はいない人に話しかける言葉は
決して -
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昔からよく読んでいるよしもとばななさんの作品の中でも、とりわけスピリチュアル色が強い作品だったように思う。私は自分の思想と読書は切り離せる方だけど、苦手な人はとことん苦手のような気がした。
よしもと作品によく見られる設定の「若い主人公だけど親が既に亡くなっている。しかも普通ではない死に方で」は今回も同じくで、たまに見られる「新興宗教にはまっていた家族」の設定が今回は加わる。
美人で浮世離れしたところのある母親が新興宗教のようなものにはまり、最終的に自死を選んだ。そういう共通の経験とともに幼いころから一緒に生きてきた、まこと嵯峨の物語。
まこは大学生であり、その独特な存在感を生かして演劇もして -
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短い文章がたくさん入っていて読みやすいので、逆に読むのに時間がかかった。
小分けにして何日もかけて読んだ。
内容は旅に出て感じること、日本(特に東京)のこんなところが生きづらい…というようなことが主なんだけど、わかるな〜と思った。
東京にいるとつい、日々のタスクやノルマに追われてあっという間に一日が終わってしまうけど、ふと散歩に出た時に感じる季節のにおいとか、人との関わりとか、そういう時代も場所も関係なく感じられることが、本当は生活に必要なんだと思う。
この本の中に「人生は思い出を作ること」というような文章があって、仕事とか現実的なことでモヤモヤしてた気持ちが少し晴れた。
本当にそう思う -
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初めてのよしもとばなな氏の作品。
序盤の母と娘の描写はあまり響かなかったが、中島くんが出てからは面白くなった。
頭良い変人キャラが好き。
テーマとしては、傷を負った人が、他者と関わりながら少しずつ傷を癒やしていく(許していく)という内容かなと。
少しの傷を持つ主人公が、より深い傷をもっているだろうと推測される中島くんに対して、引け目を感じながらも、少しずつ惹かれていく描写が良かった。
さすが著名な作家というような、表現力でグイグイと引っぱられる感じ。
2人の絶妙な距離のとり方、傷つけない関係が、自分とは真逆の生き方だなという感想を持った。
個人的には中島くんの正体が気になってしまい、謎の