よしもとばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
《本文より》
「ごめんね、急に行かなくてはいけなくなったの。
家のつごうに逆らえるほど大人じゃない自分の年齢が悲しい。
向こうから必ず電話するから。
あなたの人生にいっぱいいっぱいいいことがこれからも起こりますように。
もうお昼寝の時に手を握ってあげられないし、アイスコーヒーにミルクと蜂蜜をいっぱいいれてぐるぐる混ぜて飲みほすあのやり方もできない。
あなたは私のなんだったの?
自分じゃないのに自分みたいなあなた。
あなたの人生にいっぱいいいことがこれからも起こりますように。
満天の星のように、きれいな滝の水みたいにどんどんふりそそぎますように。
あなたにもあなたのママにも遠くにいるあなたのパパにもこのお祈りが届きますように。」
いろんな意味でありえないことだったのに、ものすごく好きになってしまっていた。彼はいちばんずるい角度から私の心にすとんと入ってきて、思いもよらない方法ですっかり私の心を奪っていた。
道徳的で真剣に考えているふうでも私の考えていることは自分を守ることばかりで、かたや死んだ弟のために自分の人生をいったんすっかり投げ出し、でも犠牲的にはならない珠彦くんのほうがよっぽどぶれていない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ海外との比較、日常の出来事、思い出などを通して、
よしもとばななさんの理想や希望といったものが書かれた本だと思う。
よしもとばななさんの理想や希望はのんびりしたものが多いように感じたが、
よしもとばななさん自身は、とてもバイタリティのある人だと思った。
そのなかで、私が一番好きだった文章は、
「朝起きて、隣に寝ている赤ちゃんを見ると、向こうもうっすらと目を覚ます。そして、私の顔を見て、にっこりと笑う。いちばんはじめの顔が笑顔だということは、一日のはじまりを何の疑いもなく受け入れているということだろうと思う。何てすごいことだろう!」
私も一日を笑顔ではじめられるようにしたい。 -
Posted by ブクログ
よしもとばななさんの小説は好きだが、彼女自身は私は苦手な種類の人だなと、このエッセイを読んで感じた。
確かに犬や花、ゆっくりと流れる時間、温かみのある人、お店を愛する様子がうかがえるので、素敵な人だなと思う気持ちもある。
しかし、そういう素敵な人たちにも2種類いて、
「自分が愛するものを大切にして自分らしく生きることに一本な人」
と、
「自分が愛するものを大切にしていて、そうではない人をかわいそうな人だと軽蔑している人」
だ。
そして私はよしもとばななさんは後者のように感じた。
例えば、地震が起きたとき前にいた人に「こわかったですね」と話しかけたらその人に睨まれたエピソードや、飲み屋の店長が融通が効かない人だったとき、「私たちを冷静に見れば、それなりの職についた人間で、もしいい対応をしていれば他の客も連れてきたかもしれないのに」とコメントしていたことなど、あちこちに上から目線の分析と感じることがあった。
そういうことを批判したり、エッセイに書くのが悪いと思うのではなく、「素敵な人」という立場で「本当に心に余裕のないかわいそうな人たちね」という書き方が気に障るのだ。
「こういうゆったりした時間は素敵だと思った。それに比べて日本は・・・」だとか「花屋にきてささっと店員さんに話しかけてくれた女性は品があって素敵だった。それに比べて前にいた人はえらそうな態度で・・・」といったように、前半でとめておいてくれればいいものを、後半の「それに比べて」の内容を書いてしまうから、なんとなく読んでいて気持ちがよくないのだ。
どうせだったらすごく毒舌で批判しまくる人の方が気持ちがよくて私は好きだ。
最後に、よしもとばななさんがなぜ死をテーマにした小説を多く書くのかわかるエッセイだったのは良かった。
本当はとても繊細で敏感で考え深い人なんだと思う。 -
Posted by ブクログ
よしもとばななのエッセイは初めて読むのかな。女性らしい独特の感性で、正直戸惑うことのほうが多い。
全体として感謝してるものたちへ といったタイトルが似合いそうな内容で、いろんなことを分かち合えれた幼馴染とか風邪のときに料理を送ってくれた知り合いとか忌野清志郎さんとか河合隼雄さんとか感謝の言葉が綴られるのだが、個人的な人の話は、「それはよかったね」としか言いようのない自慢話を聞いてるみたいだ。
基本に深い苦悩の中にいるばななさんがいてそれを救ってくれた人たちという話になってるものが多い。その苦悩の部分は共感するところがあって、ちょっと独特の世界になっている。
印象に残ったところ2つ。
「私が三十代後半になったある時期から突然、なんとも言えない雰囲気になるようになった。しょぼくれたというか、もりさがるというか、あるべきものがないとしか言いようのない雰囲気だ。」
これは子どもがいないで年寄りばかりになるるしょぼくれ感ができてくる。そういう時に子どもができて一気に盛り上がるだした。子どもの存在感は大きい。そういうことはあるかもしれない。
「いいじゃないか、その場のいいことが見つけられれば、生きてるかいもあるっていうものじゃないか。そう思えたら、風邪だろうが寝不足だろうが失敗しようが、なんでもないと思えるようになった。その日の私はそうだったんだから、しかたない。原因があって改善できるものなら、次回直せばいい。軸を架空の自分ではなく、たとえだめな自分でも今の自分に置くこと」
あるのは今と今の自分だけという認識を深める ということ。よく言うことだけど覚悟のようなものを感じる文章です。
「今は今のベストをつくしかない」と書いている。 -
Posted by ブクログ
恐ろしく共感出来る章と、共通点の欠片もない章と、両極端に分かれた。
でも、やっぱりこの人の書く文章は好き。
最近、江國さんにもハマってる。
この二人の、同い年、東京出身、お父様がもの書きという共通点はなんだか必然に思えてしまう。
かねてから疑問だった、よしもとさんの死生観。
ご両親も健在だし(先月お父様が亡くなりましたが…)、お姉さんも健在。
家族を亡くしたわけではなさそうなのに、何故こんなにも確固としたものがあるのか。
しかもそれは的外れのものではない。実際に母を亡くした私の心に寄り添い、癒してくれた。
その答えにこのエッセイで触れられました。なるほどああいう経験があったのか。
その章に、少し涙が出た。
エスプレッソ飲みたくなってきたゾ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3章に分かれていて、海外旅行、動物、植物、人間について書かれたエッセイ。
色々な場所に旅行に行かれていて、とてもうらやましかったです。
ただし。著者ならではの繊細で透明で鋭い感覚で景色や自然を見つめているので、私でもこんなに発見できるのかという気持ちもありました。
後半は、人間のやりとりの中で、皆で同じ方向に幸せを共有する力を忘れつつあるのではないかという事が繰り返し出てきたように、思われました。
最後に、著者は、本当は毎日が旅だ。旅の前はもう前と同じ自分では帰ってこられない。と、いう気持ちがあるという。
現代はあまりに決まり事の中に閉じ込められて生きていて、小さな自由さえ思いつけなくなっている。だからこそ、人生は自分のもので、・・・絶対人にはゆずることのできない、自分だけのものすごい、でっかい、たくさんの、かけがえのない、びっくりするような、にんまりしちゃうような思い出をつくろう!