よしもとばななのレビュー一覧
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「ライフワーク」という言葉の威圧感に、買ってからもなかなか開けられずにいました。でも、読み始めてみたら、なんてことはありませんでした。何にビビッていたんだか自分でもさっぱり分かりません。いつも通りのよしもと作品でありました。さらさら、と、なんでもないことのように、とんでもない言葉が綴られています。重い言葉を必要以上に重くしない、ギリギリ軽すぎるかもしれない、位の重力で描くスタイルがいつも好きなところです。「王国」にも同じことが言えます。特記することがあるとしたら、雫石の自然観がとっても良い。好き。それから、雫石という名前が好き。もっとも、自分の子供の名前には、どうかしら、と思うけれど。一見すれ
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《本文より》
「ごめんね、急に行かなくてはいけなくなったの。
家のつごうに逆らえるほど大人じゃない自分の年齢が悲しい。
向こうから必ず電話するから。
あなたの人生にいっぱいいっぱいいいことがこれからも起こりますように。
もうお昼寝の時に手を握ってあげられないし、アイスコーヒーにミルクと蜂蜜をいっぱいいれてぐるぐる混ぜて飲みほすあのやり方もできない。
あなたは私のなんだったの?
自分じゃないのに自分みたいなあなた。
あなたの人生にいっぱいいいことがこれからも起こりますように。
満天の星のように、きれいな滝の水みたいにどんどんふりそそぎますように。
あなたにもあなたのママにも遠くにいるあなたのパパ -
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ネタバレ海外との比較、日常の出来事、思い出などを通して、
よしもとばななさんの理想や希望といったものが書かれた本だと思う。
よしもとばななさんの理想や希望はのんびりしたものが多いように感じたが、
よしもとばななさん自身は、とてもバイタリティのある人だと思った。
そのなかで、私が一番好きだった文章は、
「朝起きて、隣に寝ている赤ちゃんを見ると、向こうもうっすらと目を覚ます。そして、私の顔を見て、にっこりと笑う。いちばんはじめの顔が笑顔だということは、一日のはじまりを何の疑いもなく受け入れているということだろうと思う。何てすごいことだろう!」
私も一日を笑顔ではじめられるようにしたい。 -
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よしもとばななさんの小説は好きだが、彼女自身は私は苦手な種類の人だなと、このエッセイを読んで感じた。
確かに犬や花、ゆっくりと流れる時間、温かみのある人、お店を愛する様子がうかがえるので、素敵な人だなと思う気持ちもある。
しかし、そういう素敵な人たちにも2種類いて、
「自分が愛するものを大切にして自分らしく生きることに一本な人」
と、
「自分が愛するものを大切にしていて、そうではない人をかわいそうな人だと軽蔑している人」
だ。
そして私はよしもとばななさんは後者のように感じた。
例えば、地震が起きたとき前にいた人に「こわかったですね」と話しかけたらその人に睨まれたエピソードや、飲み屋の店 -
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よしもとばななのエッセイは初めて読むのかな。女性らしい独特の感性で、正直戸惑うことのほうが多い。
全体として感謝してるものたちへ といったタイトルが似合いそうな内容で、いろんなことを分かち合えれた幼馴染とか風邪のときに料理を送ってくれた知り合いとか忌野清志郎さんとか河合隼雄さんとか感謝の言葉が綴られるのだが、個人的な人の話は、「それはよかったね」としか言いようのない自慢話を聞いてるみたいだ。
基本に深い苦悩の中にいるばななさんがいてそれを救ってくれた人たちという話になってるものが多い。その苦悩の部分は共感するところがあって、ちょっと独特の世界になっている。
印象に残ったところ2つ。
「私が三 -
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恐ろしく共感出来る章と、共通点の欠片もない章と、両極端に分かれた。
でも、やっぱりこの人の書く文章は好き。
最近、江國さんにもハマってる。
この二人の、同い年、東京出身、お父様がもの書きという共通点はなんだか必然に思えてしまう。
かねてから疑問だった、よしもとさんの死生観。
ご両親も健在だし(先月お父様が亡くなりましたが…)、お姉さんも健在。
家族を亡くしたわけではなさそうなのに、何故こんなにも確固としたものがあるのか。
しかもそれは的外れのものではない。実際に母を亡くした私の心に寄り添い、癒してくれた。
その答えにこのエッセイで触れられました。なるほどああいう経験があったのか。
その章に、 -
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ネタバレ3章に分かれていて、海外旅行、動物、植物、人間について書かれたエッセイ。
色々な場所に旅行に行かれていて、とてもうらやましかったです。
ただし。著者ならではの繊細で透明で鋭い感覚で景色や自然を見つめているので、私でもこんなに発見できるのかという気持ちもありました。
後半は、人間のやりとりの中で、皆で同じ方向に幸せを共有する力を忘れつつあるのではないかという事が繰り返し出てきたように、思われました。
最後に、著者は、本当は毎日が旅だ。旅の前はもう前と同じ自分では帰ってこられない。と、いう気持ちがあるという。
現代はあまりに決まり事の中に閉じ込められて生きていて、小さな自由さえ思いつけなくなってい