あらすじ
「あんたは山を降りなさい」。薬草のお茶で身体の悪い人を癒してきた祖母の言葉が、十八歳になった雫石の人生を動かす。自給自足の山の生活を離れ、慣れぬ都会で待っていたのは、目の不自由な占い師の男・楓との運命的な出会い。そしてサボテンが縁を結んだ野林真一郎との、不倫の恋だった。大きな愛情の輪に包まれた、特別な力を受け継ぐ女の子の物語。ライフワーク長編の幕が開く。
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Posted by ブクログ
最近のよしもとばななの本、途中で読むのをやめてしまってた。
なんだか、いつも同じ話の感じがしたり、
スピリチュアルとか宗教とか、なじみでないものに入って行けなくて。
でもこの『王国』、まさにスピリチュアルなものが出てくるしいつもの調子なのだけど、要所要所はっとさせられる記述や展開があって、登場人物たちもなんだか愛すべき人たちで、すごく沁みた。
よしもとばななの小説は、現実的ではないようなきれいな台詞が並ぶので、少女マンガだとかリアルじゃないと思う人はいるかもしれないけど、それはちょっと違う。
多分彼女の小説は、伝えたい事や言いたい事を物語にのせて書いているので、それがリアルだとかそうじゃないとかいうのはちょっと視点がずれていて、その物語の奥にある厳しく大きいものを見ると、その深さにただただ感動する。
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“日々がだらだらと、ただ心の中の荒れた畑の土が元に戻るまでじっと待っているしかないように、過ぎていった。とにかく放っておいてほしかったのだ。毎日が過ぎていく中で、一滴一滴、なにか大丈夫になるための水がたくわえられていく…..それだけをつないでいたのだ。”
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その3は恋愛について書かれていた印象。
別れた彼のことを考えると目の前が暗くなるという表現がまさにでした。
人の種類・部類についても描かれていて、なぜか共感。言葉にするのは難しいけれど、幹のしっかりとした芯のある恋愛や人間関係を築いてみたいと思わされました。
人を好きになった先にある恐怖。ずっと・永遠という言葉を信じる怖さについて少し書かれていた部分があり、共感。
優しく、おしゃれに、深く、恋や愛、人間関係について自然も交えながら書かれている本。読めば読むほど深みが増しそう。
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やっぱり好きです、この世界観。。。
淡々とした中にも、激しい葛藤があって、でもそれを受け入れた時、視界が拓けるんだなぁ。。。
悲しい出来事も、辛い選択も、すべてが何かにつながっている。。。
それは、雫石のように魔女の血をひいた人でなくても同じ事。
光が差して、風がなびく。
日に照らされて、深呼吸できる。。。
何気ない日常の出来事や、当たり前の出来事も、大事にしたいと、そう強く思いました。。。
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外側の自然と、自分の中の自然とつきあうことをテーマにしているシリーズ。
よしもとばななさんは主人公達のことをはずれものと言っているようだが、このシリーズのはずれものの生き様は純粋で感動する。
恋人ではない男と女のフリーな心地良い関係もおもしろい。
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あぁ、人に何かを条件付きで求めてしまうのはなんてばかばかしくてつまらないことなんだろう。今の自分の状況と重なって、やっぱり私は大丈夫だと思えた。
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自分も彼女と一緒に復活できる気分になれた。
高橋くんのお母さんの描写がなんでこんな伝わってくるのか不思議なんだけど、あたしまで嫌いだ!とおもった。
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その3です。雫石ちゃん(主人公)の人生をたどることで、私の方が雫石ちゃんより年上ではあるのだが、「人生こういうときはこうやって生きたらいいよ」ということを見せられている感じ。と私は思いました。人生だ。
「アルジャーノンに花束を」について言及があるのですが私はまだ未読なので、読んでみたいと思った。また読みたい本が増える!
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慎一郎とのお別れには胸が締め付けられた。この3話はお別れのお話だった。失恋したら心に響きそう。私は、まだそんなに人生を経験してないので、キュッとなるぐらいだった。でも本当に涙目になる作品だった。真一郎との恋が淡い
Posted by ブクログ
好きです(*^^*)
普遍な、今人として大事なことが
忘れられてしまった物事が
さも普通にさらっと書かれていることに驚愕します。
今まで気づくことが出来なかった自分にも。。。
生と死と
人は生を生きているのか
死に向かって生きているのか
日々大切に生きていけることを
願わずにいられなくなる一冊です(*'▽')
Posted by ブクログ
最初の2巻では、社会不適合者達が自分の世界こそ素晴らしいと、俗世界の人を下に見てるような表現が多く、ムカムカして読み進めた。しかし、3巻の雫石の失恋から、暖かい空気が全体を包んで、いつものバナナ節で完結。
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毎日感じる予感や大切な感覚を真正面から受け止めて、感じて、正直に、正面から生きていかないと、鈍い、ただへらへらしてるだけの人になるのだろうな。
物事のからくりは、本当はとても単純で当たり前のことなのかもしれない。
私は物事の真ん中を見るのが不得意だけれども、もしかするとそれはもっと深いところでシンプルに出来ているのかもしれないな。
私は真一郎くんや、キレイな高橋くんのお母さんと同じ部類の人のような気がした。それはそれでいいのかもしれないけど、強い魂の持ち主になりたいなぁ。
Posted by ブクログ
(16.09.11)
三部作の最終巻。
雫石の嫌な予感から始まる。
同棲を控えた真一郎と一緒に、彼の親友だった高橋くんの庭を訪ねて伊豆に行った二人。高橋くんは園芸の腕が立つ車イスの少年だったが、すでに亡くなっていた。そしてその母は真一郎の初恋の相手だった…
その後片岡さんと台湾に行った雫石。色んな縁を感じながら、片岡さんの温かさにも触れ、徐々に心も癒えていく。
全体的に文学的で、読み終えてあまりスッキリもしない。でも温かみのある、シリーズだった。ばななさんの文章には脱帽を覚える。
Posted by ブクログ
はい。その3コレをまっていました。
台湾がどのように書かれているのかとても楽しみでした。台湾は懐ひろい緑あふれる美麗島として、雫石が再生(?)する聖地のように描かれておりとてもうれしくなりました。
なんか最近の私は『よしもとばなな』をうけつけないモードだったのですが、、すごいねー、、やっぱりぐいぐい読んじゃって自然に『よしもとばなな』の世界にどっぷり。これが作家の力というものなのでしょうか?もともと『よしもとばなな』チャンネルはあったけど、読み進めるうちにぴったり周波数が合うように『よしもとばなな』の世界にどっぷりでした。
人に傷つけられた心の傷は、人にしか治せないのねと思いました。読むタイミングや自分の環境によって登場人物の好き嫌いがでてきそうなので、気になった人はメモしておこうと思う。私は片岡さんのファン。そして、雫石が高橋くんのお母さんをなんだかとっても嫌いな雰囲気がすごく共感できた。
文庫版あとがきに筆者の小さなテーマと大きなテーマが書かれていておもしろかった。「はずれものでもなんとか生きる場所はある」か。。
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あっという間にその3まで終わっちゃった。
何かちょっと痛かった。
それまで通じ合えてた(それが錯覚だとしても)誰かとの関係が、思いも寄らないきっかけで壊れてしまうということ。
一旦壊れてしまうともう、何を言っても話し合っても元には戻らないということ。
それまでは大好きで、少し話せば解るような関係だったはずが、どう頑張っても解り合えなくなってしまう…という経験が私も何度かあるけれど、それはきっと関係にひびが入ってしまった瞬間に、相手への信頼とか愛情が揺らいでしまうせいなのだと思う。
人は変わらないのにそうなってしまうのはやはり、心の内側の問題だ。
…なんてことを考えながら読んだ。
悲しくなったけれど、そういうものだ、という妙な納得もあった。
世俗で生きていれば、周りが“普遍”とか“常識”の枠に当て嵌めようと色々言ってきたりもするけれど、自分の人生なのだから、最後には自分が納得出来ればいいのだと思う。
この物語の主要な人物たちは、まったく普遍的ではないし、常識からも外れている。でもそれが自分なのだと底の方でみんな腹を決めているからこそ、きらきらと輝いて見えるのだと思った。
それでもたまに表面の部分が揺らいだりするところも、人間らしくて素晴らしい。
何だかまたぼんやりしたレビューになってしまった。
とりあえず、勇気をもらった、ということ。
続編というか、アナザーストーリーがあるので、次はそれに進みます。
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そうかぁ。こういうことになるのか。
その2を読んでいた時にはこの展開は予想できなかった。
でもそういうこともあるなと、諦めにも似た感覚もある。
自分を冷静に客観的に見ることはなんて難しいのだろう。
何かに執着してしまって、意固地になっている自分の強がりをどうやって見抜いて脱力させればいいのか。
打ちのめされた後、どう生きるのか。
雫石はすごいなぁと思う。
とても柔軟で清らかだ。
楓も片岡さんも、おばあちゃんも、みんな柔らかい。
やはりこの物語はとても優しい。
力を入れすぎてガチガチになった心と身体をほぐしてくれる。
力んでいたなと気付かせてくれる本だと思う。
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片岡さんとの距離がずいぶん近くなった。
失恋した雫石を一生懸命なぐさめてくれるのがほほえましい。
不倫期間、あんなに素敵な関係だった真一郎君がすっかり色あせて
つまらない男に見えてしまう。恋愛って勝手だねぇ。
片岡君の庭、秘密の花園。
彼が生きていて出会ったらまた雫石の人生は違ったかも。
ていうか、そんなに植物や自然とつながってる人がいるのかなぁ?
この小説の中では普通のことみたいに描かれているけど。
でも、そういう感受性を少しでも持てたら、楽しそう。
いや楽しいというのはちょっと違うか?
なんか、世界が広がってワクワクしそうな感じがする。
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悲しかったり、胸に穴があいたようになったり
こわかったりすることがあると
人は当然の幸せというものにも思いをはせるようになる。
毎日生きているだけで
同じ人に会えるだけでも
うんと嬉しい。
落ち込んでいないとわからない良きことというのは絶対にある。
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”出ないと決めているのは、他ならない自分自身なのだ。それで、ずいぶんと時間がたってしまってから出ようと思った頃には大変な重さになっているらしい。”
”自分は被害者だ、だまされた、相手がひどいというふうに思うと、うそでも一瞬は楽になるのだが、ほんとうのことではないのでいつしか重くなってくる。肉が切り裂けるような真実のほうがいつだって絶対ましなのだ。”
”あのね、人が出会うときにはどうして出会ったかっていう意味があって、出会ったときに秘められていた約束っていうのが終わってしまうと、もうどうやってもいっしょにいられないんだよ。”
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このシリーズ、単行本刊行時には共感度が低かったのが
30歳を過ぎたころに読み返したら、しっくりときた。
山を下りなくてはならなくなった雫石の気持ちが
わかるようになったのだと思う。
懐に余裕が出たので文庫本で4冊まとめ買い。
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王国シリーズ第三部。
三部を読むために、私はこのシリーズに呼ばれたのではないかと思う。完全に思い込みだけど。
人はどうしたって変わっていくもので、たくさんの要素で繋がりあうものなんだな、と。
惑い迷い悩み落ち込み。雫石の悲しい体験とそこからの復活は同時に、私のかつての体験の総括となった。
心がさーっと、大掃除された気分。
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なんだか悲しい話だな、と思った。別に真一郎君と一緒にいてもいいじゃないか、と思うけど、それは違うのか。いずれにせよ、自分が信頼できて、落ち着ける場所は、そこではなかったということなんだろうな。
Posted by ブクログ
どうしてもよしもとばななさんの作品は自分に置き換えて読んでしまうので、感情的な感想しか出てこない。
完璧なラストに思わず、ボーッとしてしまった。
文章自体は、もしかしたら今までの作品のなかでは歯切れが悪いと思う。しかし、その中にあるキラッと光ったり、ずっしり思い黒々とした石のように見えてくる文章が素晴らしいと感じた。
Posted by ブクログ
「王国」第3部。ここに書かれているものはファンタジーのような感じもするのだが、人間が元々持っている能力のような気もする。「なんとなくうまくいかないな気がする」とか「なんとなく嫌な予感がする」という、マイナス的な「なんとなく」という感覚を言葉で表現しているのではないかとも思えてくる。二人ならうまくやれていたのに第三者が入ってくると途端に関係がぎくしゃくしたり、本当は「なんとなく」そうなることはわかっていたのに…。というような経験は皆さんにもあるのではないかと思う。
それでも新たな一歩を歩みださないと前へは進めない。そうした勇気をくれる作品かもしれない。
Posted by ブクログ
アナザー・ワールドを除くと一応の終わりということになるのか。
主人公の感性が都会にいる私と違い、またその変化の機微が詳細に描かれているため感情移入がしやすい。抽象的な内容が多く書かれているが、「分からない」ということがなく今の私の置かれている状況にのっかる。
心の健康、癒しにつながり、またふとした時に読み返したい作品だと思った。
Posted by ブクログ
シリーズ3冊目にして完結編。うーむ、かなり前に読んだので、あらためて1冊目があまり思い出せない(さらには他の物語とも混線気味)。番外編もある模様。