あらすじ
「あんたは山を降りなさい」。薬草のお茶で身体の悪い人を癒してきた祖母の言葉が、十八歳になった雫石の人生を動かす。自給自足の山の生活を離れ、慣れぬ都会で待っていたのは、目の不自由な占い師の男・楓との運命的な出会い。そしてサボテンが縁を結んだ野林真一郎との、不倫の恋だった。大きな愛情の輪に包まれた、特別な力を受け継ぐ女の子の物語。ライフワーク長編の幕が開く。
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Posted by ブクログ
その3です。雫石ちゃん(主人公)の人生をたどることで、私の方が雫石ちゃんより年上ではあるのだが、「人生こういうときはこうやって生きたらいいよ」ということを見せられている感じ。と私は思いました。人生だ。
「アルジャーノンに花束を」について言及があるのですが私はまだ未読なので、読んでみたいと思った。また読みたい本が増える!
Posted by ブクログ
好きです(*^^*)
普遍な、今人として大事なことが
忘れられてしまった物事が
さも普通にさらっと書かれていることに驚愕します。
今まで気づくことが出来なかった自分にも。。。
生と死と
人は生を生きているのか
死に向かって生きているのか
日々大切に生きていけることを
願わずにいられなくなる一冊です(*'▽')
Posted by ブクログ
”出ないと決めているのは、他ならない自分自身なのだ。それで、ずいぶんと時間がたってしまってから出ようと思った頃には大変な重さになっているらしい。”
”自分は被害者だ、だまされた、相手がひどいというふうに思うと、うそでも一瞬は楽になるのだが、ほんとうのことではないのでいつしか重くなってくる。肉が切り裂けるような真実のほうがいつだって絶対ましなのだ。”
”あのね、人が出会うときにはどうして出会ったかっていう意味があって、出会ったときに秘められていた約束っていうのが終わってしまうと、もうどうやってもいっしょにいられないんだよ。”
Posted by ブクログ
なんだか悲しい話だな、と思った。別に真一郎君と一緒にいてもいいじゃないか、と思うけど、それは違うのか。いずれにせよ、自分が信頼できて、落ち着ける場所は、そこではなかったということなんだろうな。
Posted by ブクログ
(1-3巻、同じレビューを書きます)
私が学生だった頃、よしもとばなな氏といえば、吉本隆明氏のご令嬢ということで、昭和の知識人の家庭で育まれた文芸界のホープ、よく言えばサラブレッド、悪く言えば二世、みたいな印象でした。
ここにきて幾つか作品を読むと、結構ねっとりと心の底を描写しつつ、しかも恋愛がらみの作品が多いことが分かりました。
つまりクセがある。大分ね。
好き嫌いでいうと、とても好きともいえないのですが、私の書籍の買い方というのは、結構一気に買ってしまうことが多いことから、過去に一気買いしたものを今般読み進めようと本作品を手に取ったものです。
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結論から言うと、結構ハマりました。
スピリチュアルな感じのエッセンスを濃い目にブレンドするのが氏の特徴かと思います。そうした精神世界の話を入れ込むのは好き嫌いがあるかとは思うのですが、今回の作品はわたくし的には結構好きかもです。
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どういう背景か、両親がおらず、祖母に育てられた主人公雫石。祖母も祖母で、未だ色気を匂わす一方、雫石ととともに山奥に引っ込み、山の草や実からなる茶を客に提供し細々と生きているという設定。
その生活はやや貧しいながら自然と共に生のリズムを刻むような生活。
そして山のふもとで開発が始まり、薬草茶の原料となる草木に本来の力が失われつつあると分かると祖母はさっさと商売を畳むことを決意。山を引き払い、ネットで出会った彼氏のいるマルタ島へと渡る。
一人残された雫石は山を下りて初めての一人暮らしをするも、占い師の楓、その彼氏の片岡さん、シャボテン園で働く真一郎くんなどと出逢い、導かれるようにして人生を歩むことに。
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こうして振り返ると、主人公雫石の自己陶冶小説なのですが、個人的には彼女の「受け止める」姿勢になんというか感銘を受けました。
無菌室のような山奥から世俗へと降りてくる。世の中には汚い人もいる。清い人もいる。不倫もあるし、結婚も離婚もある。
そういうものに当初はあてられていたものの、次第に文脈や想像とともに受け止め、消化するようになる。
その受容のしかたは非常にホーリスティックで、全体が運命論みたいな向きも感じられますが、他方で、全てに正誤はなくあるがままを受け取るという従容とした老子的ニュアンスも感じられました。
その受け止め方は、思い込みと決めつけで相手を憎しみとともに見下げるのではなく、飽くまでフラットに受け入れる態度。そういう姿勢の主人公に好感が持てました。
彼氏の真一郎くんと別れる雫石の、「あるべきところに収まるようになったのだ」(自分ではなくほかの人とそもそも一緒になる運命みたいな)という達観はちょっとすごい。20代そこそこでそういう達観しているのは先ずあり得ない話とは思いますが、自分の元から去る・しかも半ば裏切りのような形で去る人をも赦せる人間、すごいと思います。そんな広い心持ちになりたいゆえ、いっそう心に響いたのかもしれませんが。
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ということで、よしもと作品はこれで三作目。
三巻まとめて買ったのですが、実は第四巻もあるそうですね。これも早々に読まねば、と思います。