よしもとばななのレビュー一覧
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「彼と暮らしていた今よりも少し若き熱い日々を思い出すたび、やはり目の前が暗くなった。あの日に戻れないなら、もう私の人生にはなんにもない、そんな気持ちがしょっちゅうこみあげてきた。楽しさだけを基準にするなら、話し上手で勘がよく、人の気持ちをさっと察して的確なことを言える彼との暮らしはやっぱり楽しかったのだ」
「誰かの生きがいを生きるという重み」
「自分自身のことを愛してない人といると、それだけでとてもつらいしら苦しいんだ」
「先の約束をひとつする度に、未来に小さな光がひとつ灯った。それを実感できるくらい弱っていた。このところずっと今日を泳ぐのでせいいっぱい、明日は溺れるかも、そんな感じだっ -
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失恋と都会の疲れを癒すため、故郷へ戻ってきたほたる。大きな川の流れるその町で、彼女は大切な何かを取り戻せるだろうか。
長く続いた愛人関係を清算して、故郷に戻ってきたほたるという女性と、故郷で出会う人たちとの癒しと再生の不思議な話。
自分で何も選んでいないのにただ流させるように生きることは、自分もそう生きていた自覚があるので良くないことだという意識がずっとあったのですが、自然に、あるように流れてそのまま居ついてしまう事も、実はそんなに悪くないのかも……? と、少し救われるような気分になりました。
何も否定せず、そっと背中を押してくれる。
実際にはタイトルは、都会の生活で疲れ、奪われていた本 -
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ネタバレ★3.5
久しぶりにばななさんの元へ帰ってまいりました。
精神が底つきそうなときにいつもばななさんの本を漁ってる自分がいるので、ばななさんの作品はわたしにとってそういう命綱みたいな存在なのだな、と気づく。
文章から滲み出るやさしさと、時に本質をつんっとされるような言葉が相変わらず好き。
自分にとっての小さなしあわせ、わたしも改めて考えてみて、しあわせなことに囲まれているなあって思いたいなと思ったし、やっぱりばななさんの文章みると、少しでも感情がしあわせに動いた時に、なんでしあわせって思ったかなって言語化できるようになりたいなあとも思った。
_φ(・_・
(前略)そういうものをいっぱい持って -
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『どんなに明るい気持ちで、どんなに私たちを愛して去っていったとしても、もしくは生きるのがどんなに困難であったとしても、私たちはやっぱり悲しい。最後の最後まで私たちに一日でも多く会おうとしてくれなかったことが。』
最終的には、いつものばななさんの言葉達に救いあげてもらえたけれど。
ひたすら続いている出口のない暗いところを彷徨っている感覚で、ここ数年ずっと考えている命についてドンピシャな内容だったからか、
もう読むのを辞めてしまいたいと思うほど、冒頭から途中まで苦しくて、痛々しくて、つらくて、何より腹立たしかった。
人間の数だけ命や生き方や死に方への考え方はあるかもしれないけど、何があろう -
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ネタバレ『TUGUMI』や『キッチン』がベストセラーの「吉本 ばなな」さんは、2003年から2015年まで「よしもと ばなな」に改名していました。
「吉本 ばなな」は、仕事をやりますよ、他のことは知りません、という名前だったから、赤ちゃんが小さいうちは、それではダメだなと思いひらがなにしたそうです。
だから、子供が大きくなってから再度「吉本 ばなな」に戻したのですね。
あと、エロ話が大好きな姉がたびたび登場しますが、「ハルノ宵子」という漫画家さんでした。
このエッセイは、好き勝手にのびのびと書かせてもらったそうで、とくに妊婦の時の様子はおもしろく読めた。
餃子が大好きで、具合が悪くて吐いた後でも -
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「王国」第3部。ここに書かれているものはファンタジーのような感じもするのだが、人間が元々持っている能力のような気もする。「なんとなくうまくいかないな気がする」とか「なんとなく嫌な予感がする」という、マイナス的な「なんとなく」という感覚を言葉で表現しているのではないかとも思えてくる。二人ならうまくやれていたのに第三者が入ってくると途端に関係がぎくしゃくしたり、本当は「なんとなく」そうなることはわかっていたのに…。というような経験は皆さんにもあるのではないかと思う。
それでも新たな一歩を歩みださないと前へは進めない。そうした勇気をくれる作品かもしれない。