よしもとばななのレビュー一覧
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ネタバレ大好きなママが死んでしまった主人公。
過去に壮絶な経験をしたのであろう中島くんとの出会い。
付き合っていると言えるのかどうか、でも毎日一緒にいるような不思議な関係。
どうまとめたらいいのか分からないくらい、いい意味で物語の中に境目がなくて、起承転結というほどの話の転換もないのだけど、ただ水の上に浮かんでいるうちに流されて遠くまで来てしまったような読後感。
文量も多くないので、さらっと読めて、まとまった時間が取れない人にもおすすめだなと思いました。
ばななさんの作品は、作品に流れてる空気感がとても心地いい印象。
ほんの一瞬の、秋の過ごしやすい気候みたいな、そういう空気感が閉じ込められていて -
Posted by ブクログ
こんなにも有名なのに、何故か1冊も読んだことがなかったよしもとばななさん。
「あの本、読みました?」に出演されていた際のお話が面白かったので、ご本人が満足されているという本作を選びました。
恋愛小説はあまり好まないこともあり、文体に慣れるのに少し苦労しました。読みやすいのに頭に入れるには少し力を入れて読まないといけない感じ。けれど途中で投げ出す気にはなりませんでした。
切ないラブストーリーながらも、先々幸せが訪れそうな雰囲気で終わる短編集でした。しかしながら世の中に数多ある「希望と再生」とか「傷付いたあなたの心に寄り添う」的なものとは一線を画すレベル。
これがよしもとばななさんの魅力なので -
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ネタバレ以前読んだ吉本氏の『鳥たち』という作品が、半カルト集団の生き残り・自死遺族を扱う、とてもドロドロとしたものだったので、今回も重たいのかなあと戦々恐々としつつ臨みました。
ところが、何でしょうか、本作品も独特のアクは有りましたが、希望が感じられる、読み口良い作品であったと思います。
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本作は母親を亡くしたちひろが、恋人未満の天才引きこもり的な中島くんとの仲を徐々に深めてゆく話。
で、中島くんもまた幼少期に負った傷を抱えて生きているのだが、ちひろはその傷にアプローチせず、彼から話が出るのをゆっくり待つ姿勢を取る。そして彼から話を打ち明けられて、徐々に中島くんにもちひろにも変化が訪れてゆ -
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「アルゼンチンババア」に続いて、よしもとばななの短編集を読む。作者本人にとって(少なくとも発表時点で)一番の自信作で、かつ自叙伝的要素を含むお気に入りの作品とのこと。
五篇いづれも切ない話なのだが、中でも、「あったかくなんかない」のまことくんが印象深い。草むしりひとつとっても、まことくんがやったところだけ神々しい、というくだりがなんともよい。
次に「おかあさーん!」の女性編集者。幼児虐待の話はどんな筋書きであっても(最後は救われるのであっても)、読むだけで心の負担が大きい。
表題作の「デッドエンド」は、作中登場するバー「袋小路」の英語。(最初、ハッピーエンドの対義語のバッドエンドのひどい -
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国民的作家なのに、よしもとばななさんの本って読んだことないなあ、と思って、インパクトのあるタイトルの本作を手に取った。(もう一冊は「デッドエンドの思い出」)
わずか80頁(プラス奈良美智さんの挿画)
奥さんを亡くした後のお父さんとその恋人(渾名:アルゼンチンババア)と娘のお話。周囲のことばに惑わされず、自分の価値観に忠実に生きることの素晴らしさとしんどさとその他諸々。初めての作品なので、よしもとばなな的なのか否かはよくわからないけれど、不思議なあたたかさを感じる本だった。
P76 ユリさんのことば
「どうして人が遺跡を作るのか知ってる?」
「好きな人がいつまでも、死なないで、い -
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ネタバレよしもとばなな氏は1987年に『キッチン』でデビュー。
その後ヒットを連作。父親は批評家の吉本隆明氏。
なお本作は2014年の作品。
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主人公の女子大生まことは、彼氏の嵯峨の子を宿すことを夢見つつ演劇に没頭する。
まことと嵯峨はどちらも親を自殺で亡くした遺児。彼らはいわゆる新興宗教のような共同生活を米国で送っていた。そのトップが亡くなり、それを追うように嵯峨の母親が後を追い、そしてまことの母親も、ある日ふつっと自死してしまう。
彼らはその後日本に送還され、施設を経て世に出るが、その経験の衝撃の大きさ故周囲からは浮いてしまう。
まことは子どもより死を選んだ母親への複雑な気持ちを克服