よしもとばななのレビュー一覧
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三ヶ月間の島暮らしをしたあと、実家に帰って本棚を眺めていた時、そういえばこの本を読んでいないままだったと何ともなしに手に取った。それがこの『海のふた』だった。
自分が暮らす場所に誇りをもっている人は格好いい。それだけで、その町が輝いて見える。人々が大切にしている土地を、自分も大切にしないと、という気持ちになる。
島に住んでみてわかったことだが、自然は人間のことなんて待ってくれないし、上手く付き合うためには妥協も必要だ。だからこそ、タイミングによってはこの世のものとは思えないほど美しい瞬間を見ることができる。実際は、この世のものであるので、私たちは海のふたを閉めて帰らなければならない。 -
Posted by ブクログ
2026.08.28
吉本ばななさんの綴る言葉選びがとても好き。
沖縄は私も好きな場所の一つ。固有名詞は出ていなくてもなんとなくこのお店はあのお店のことかな?と思える箇所もあり、私の中の「沖縄」とリンクさせながら読んだ。
沖縄に行く時は大抵の人が旅行で行くだろうから、滞在時間がゆったりと過ぎていくように感じるけど、そもそも沖縄に流れている時間が本島に比べてゆるりとしているのは事実なんじゃないかと思う。
あの眩しくも心地よい日差しや、温かいひとたち、ぴかぴかと輝く真っ青な海。
何かにせっつかれて日々を追われることなく、自分のペースで好きなようにまったりといられる、そんな場所が私の中の「沖縄」だ。
そんな沖縄を通して見る、人とのつながりや心の休息の物語。
南の温かい風が優しく包んで自分を後押ししてくれるような読後感を与えてくれる、
何かに悩んで心が揺らいでいるときに、自分に処方したい小説だと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ2013年初版発行。東日本大震災後の日本中にあった悲観的な空気や漠然とした不安を薄らと思い起こさせた。一方で著者は家族や知人との日々の関わりや出来事から小さなぬくもりや奇跡を見出している。配達員に貰ったびわからびわの木が育ったお話や、家族旅行でずっと行きたかったモルジブに行ったけど結局記憶に残ったのは桟橋を三人で歩いた時の足音のお話が特に印象的だった。読後、夫と旅行でフェリーに二泊するために駅弁やパン、お菓子を買い込んだ時、このワクワク感もきっと大事な思い出になるのだろうとふと、思ったりした。生活の中にある小さな幸せを大切にしたいと思った。
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Posted by ブクログ
ネタバレカルトにのめり込んだ母親とのトラウマを払拭するためにいとこと当時の関係者を巡る女性の話。
何もかもにしっかりと土台を育てて生きてこられた昇一に憧れる、ぐらぐらしたところを辛うじて飛び歩いている私。親の差、私の母親は同じ強さを外に外に力を得ることに使い、昇一の母親はぐっと押さえ込んで内側の世界を育てることに使った。
一見何も文句なく海外の彼氏、金持ちのパトロンもいる私が望んでたのは安定した日々、同じような日常を重ねて、重ねていることにも気づかなくなるくらい繰り返してできた分厚い愛の塊は、死でさえも壊せないくらい頑丈なんだろう。
生い立ちは悲しいけど、私は強くて明るい。
「私は、私として生まれてきて、私にしかできない感じ方と考え方を持っていて、ただそのことだけでもう、いいと思うの。決して悲しくはないよ。」
生きるための土台。
「この世は生きるに値すると思う力よ。抱きしめられたこと、かわいがられたこと。それからいろいろな天気の日のいろいろな良い思い出を持っていること。おいしいものを食べさせてもらったこと、思いついたことを話して喜ばれたこと、疑うことなくだれかの子供でいたこと、あたたかいふとんにくるまって寝たこと、自分はいてもいいんだと心底思いながらこの世に存在したこと。少しでもそれを持っていれば、新しい出来事に出会うたびにそれらが喚起されてよいものも上書きされて塗り重ねられるから、困難があっても人は生きていけるのだと思う。」
出てくる人みんな優しくて綺麗でちょっと都合良すぎて、いとこは優しいけどいとこなのに恋愛感情あってちょっと気持ち悪いなあなんて思って読んでたら最後の方が意外な展開だった。母親に殺されてたのにそんなに優しい思いをもたなくていいのに。