よしもとばななのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【本の内容】
恋人と初めて結ばれたあと、東京を離れ、傷ついた女性たちが集う海辺の寺へ向かった小説家キミコ。
外の世界から切り離された、忙しくも静かな生活。
その後訪れた別荘で、キミコは自分が妊娠していることを思いがけない人物から告げられる。
まだこの世にやってきていないある魂との出会いを、やさしく、繊細に描いた長編小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
小さい頃に両親を失ったどん子とぐり子が、
WEBに、メールの返事をする、他愛のないやりとりがテーマのサイトを作るお話。
わりとふんわりとしていて、
もちろん、ばななさんらしい切なさも混じっている小説。
日々、生活する中で、そのスピード感に合わせて、
擦り減っていったり、破壊されていったり、異次元に葬られたりする、
でも、実は大事な他愛のない会話やこころごとに支えられている、こころの部分。
それって生きていくうえでの、その人の豊かさに関係している。
気の利いた冗談やウィットに富んだ話ができるわけじゃなくても、
その人の心の中に息づくいろいろなきらきらしていたりどろどろしていたりする記憶が、
その人自身の厚みを作りだしていて、それが豊かさだったりする。
何も書かないでテレビにもでないで、まったく世に出なかった人が、
その内面にいろいろ宿したまま旅立っていくことだって、美しいじゃないかと
著者は本書の中で言っています。
美しさ、豊かさのそういう捉え方って僕は好きですし、
本書を読んだがために本書から言葉を得て「僕もそう思ってた!」と言えるのですが、
とても共感できるところが多かったです。
集合無意識なのでしょうか、そういうものを描写するところもありましたが、
それってきっとユングと考えを一にするイメージがあるからなのかもしれないです。
よしもとさんは河合隼雄さんとも対談されてましたし。
心が、生活に触れている感覚器であるところが、
じゅわーっと充電できるような作品です。
共通して「教育」や「推薦図書」についての訊いていますが、
そのインタビュイーに合わせた質問を多数していて、彼らの専門の世界が垣間見られます。
とくに、トム・レイトンさんのいるインターネットの裏側の話は、
まるで詳細に聞いたことが無かったので、とても興味深かったです。
数学にとことん強くて才能もあれば、アカマイ社に入ってネットの裏側で頑張りたかったかもしれない。
また、同じような質問に対しても、答えが人によって違ったりもして、
各々が自分なりの答えを持っているわけで、
正解が世界に転がっているわけでもないのだよな、
ということを改めて感じさせられました。
チョムスキーさんの章では、アメリカがやってきた、
権力を維持するための支配的で利己的な行動についての言及があって、
そういうのを歯に衣着せぬ言いようで言い放つ彼の正義感と勇気には、
それによって逆に、そんなことは露知らない、
あるいは知っていても、臆病さゆえにそれを隠す現代人は
牙の抜けた虎のようになってしまっていることを
感じさせられました。
ほんとねぇ、毒づいてしまうけれども、
個人の知的探究心や好奇心が弱まり、エンタテイメントの享受などにばかり走って、
肉体的には肥満でっていう国民が増えているアメリカや日本を
俯瞰的に眺めてみるとどうですか。
家畜だって思えてしまうきらいはないでしょうか。
僕もとりあえずは肥満を解消したいところだなぁ…。
また、あとがきで教えられましたが、
気配り上手さんがなぜ気配りにがんじがらめなのか。
それは、多くの人が個人の違いを認め合っていないのを知っているから、
ということなんですよね。
はっとしました。 -
Posted by ブクログ
無理心中に巻き込まれて死んだ父。残された妻と娘のよっちゃんの悲しみや怒りが生々しい。
関東圏に住んだことがないので下北沢という場所の土地柄みたいなものがさっぱり分からず残念だけど、どん底の2人にとっては下北沢で口にした麦のサラダや甘い茄子カレーが救われるきっかけになった。人間、美味しく食べられるうちはまだ大丈夫だ。
心中って殺人なんだな、と再認識。かの太宰治氏も何度か心中しようとして、女性だけ死なせちゃったりしてたな…自分が死ぬまで他人を巻き込み続ける人は怖いなぁ。自殺にしたって、周りの残された人々はもしもワールドの中で取り返しのつかないことを悔やみ続けるのだし。
新谷くんと慎重に距離を詰めて気持ちも確かめて、でも結局なんか違ったーってなるのは悲しいけど仕方ない。でも山崎さんと…っていうのは正直よく分からないや。 -
Posted by ブクログ
様々なテーマを綴ったエッセイ。
相変わらず、日々の生活の中から人生の大切なことを見つけ出すのが天才的だと思った。ばななさんは「これこれこういうことがあって幸せです!」と幸せアピールするのではなく、「辛いこともあるけれど、見方を変えたら幸せなことってたくさんあるよ」と背中を押してくれるような感じが読んでいてとても救われる。
ただ、「今の日本はここがだめだ」と常々考えてるような点が所々あり、日本に住んでいる身としては悲しい気持ちになる。おそらくばななさんは日本をけなしたいわけじゃなくて海外の素晴らしかった点を伝えたいだけなのだろうけど…。それと、自分たちの単なる非常識な行動を、今の日本では融通が利かないと言い切ってしまうのはいかがなものかと思う部分もあった。
とはいえ、一度立ち止まって考えることが大事だと思わせてくれる素敵なエッセイ集でした。 -
Posted by ブクログ
片岡さんとの距離がずいぶん近くなった。
失恋した雫石を一生懸命なぐさめてくれるのがほほえましい。
不倫期間、あんなに素敵な関係だった真一郎君がすっかり色あせて
つまらない男に見えてしまう。恋愛って勝手だねぇ。
片岡君の庭、秘密の花園。
彼が生きていて出会ったらまた雫石の人生は違ったかも。
ていうか、そんなに植物や自然とつながってる人がいるのかなぁ?
この小説の中では普通のことみたいに描かれているけど。
でも、そういう感受性を少しでも持てたら、楽しそう。
いや楽しいというのはちょっと違うか?
なんか、世界が広がってワクワクしそうな感じがする。