よしもとばななのレビュー一覧
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そうかぁ。こういうことになるのか。
その2を読んでいた時にはこの展開は予想できなかった。
でもそういうこともあるなと、諦めにも似た感覚もある。
自分を冷静に客観的に見ることはなんて難しいのだろう。
何かに執着してしまって、意固地になっている自分の強がりをどうやって見抜いて脱力させればいいのか。
打ちのめされた後、どう生きるのか。
雫石はすごいなぁと思う。
とても柔軟で清らかだ。
楓も片岡さんも、おばあちゃんも、みんな柔らかい。
やはりこの物語はとても優しい。
力を入れすぎてガチガチになった心と身体をほぐしてくれる。
力んでいたなと気付かせてくれる本だと思う。 -
Posted by ブクログ
雫石とおばあちゃん、雫石と楓、雫石と片岡さん、雫石と真一郎くん、その全ての関係が美しくて読んでいて幸せな気持ちになる。
雫石がそれぞれのことを、それぞれに愛しているのが分かる。
一つとして同じ関係も同じ愛情もない。
人との関係って本当に代わりのないものなんだ。
そのことが本当には解ってなかったなと反省。
そして雫石がテレビを見て発見したこと。
「あんなよどみを、あんなくささを飲み込んでもびくともしないなんて、そしてあの人たちが夜に光るコケ類のようにちゃんとそれぞれの美しさを持って生きることを許されているなんて、世界とはなんと包容力があって、すごい浄化作用を持っているのだろう。」
「私はただここで小さく輝いて、消えていくだけ。小さな小さな物語を作って。それでいい。」
この発見に私も許された気がした。
ここで生きていることを。
私のことも飲み込んでいるこの世界に。
そしてその世界で一緒に生きている人(雫石のような)に。 -
Posted by ブクログ
著者が文庫版のあとがきのなかで、
「なんちゅー悲しい話を書いてしまったんだ」と
読み返しながら思ったと書いていましたが、
読んでみた僕としては、そんなにすごく悲しい話には思えないんですよ。
そりゃ、登場人物たちは人生のなんやかやに縛られて自由ではない。
でも、自由ではないなりに、
そのなかでの自由を獲得できているように読み受けました。
与えられたカードはよくなくても、
それをどう使っていくかというのは比較的できている人たちが主要人物でした。
著者は、登場人物たちの持って生まれた星周りというか、
やっぱり与えられたカードというか、
そういうのに対して「悲しい話」と言っているのではないかなと
そういう気がしました。
さらに言えば、そこからぱたぱたと大空へはばたくようなことは
できなかったりする人たちだから、
そこにも悲しみというものは感じられるわけです。
ただ、鎖に繋がれたような状況の中での自由に甘んじている人には、
その悲しみは感じられないのかもしれない。
そういう意味で、僕がすごく悲しい話には思えなかったのには、
僕自身がはたからみたら悲しみを感じてしまうような状況に
あるのだろうなあなんて、考えてしまったところでした。
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違うから好きになるのに、違うから届かない。
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本作には91ページに上記の一節がありましたが、響きましたね。
その人と自分には違いがあるからその違いによって
その人に惹きつけられたのに、
その違いゆえに手が届かない、
違いゆえにはばかられる、というのはあるよなぁと思った。
はたして、僕に対してもそう感じる人はいるのかどうか。
なにげない気持ちから何かをつかみとる感性がすごいですよね。
下町の良さっていうか、スローな街のよさ、
かけがえのなさも感じられて、そういうところもよかったです。
おもしろかった。
出てくる人物たちに愛おしさを感じて、
読み終わると名残惜しいのはおもしろかった証拠です。 -
Posted by ブクログ
読み終えてあとがきを見てわかったのだけど、これは3.11の震災のことを思って書かれた小説なのだそうです。
よく「死と隣り合わせ」と言うけれど、そうじゃない状態で生きている人なんてこの世の中にはひとりもいないと思う。
事故にあって1時間後に死ぬかもしれない、急病で明日死ぬかもしれない、だけどそのときはそんなことを少しも考えずに生きている。
みんな同じ条件で生きていて、特別な人間がいるわけではないと思う。
この小説は、冒頭で大切な人をなくした主人公が、自分も死の淵から生還したあと、半分生きていて半分死んでいるような人間に生まれ変わって、少しずつ自分を取り戻して再生していく物語。
でも、それを経験した前の状態には絶対に戻れない。
失ったもの、新しく得たもの、自分を見つめなおした結果。新しい自分として歩いていく決意。
大事な人を失って、そこから再生していく過程やスピードって人それぞれ違うけれど、自分のことを思い返すと自分のことが愛おしくなる。
もがいて苦しんで、だけど自分はきちんと生きるんだって思いを強くしたりして。
そういうのって過ぎ去ったあとに輝いて見えるものなのかもしれない。そのときは苦しい気持ちのほうが圧倒的に強いから。
物語の中に、「もしも自分が恋人や伴侶よりも先に死んで、その相手が自分とは別の人と結婚して子どもをつくって…っていうのが空の上から全部見えてしまったら?」みたいな話が出てくるんだけど、自分だったらどう思うのか想像してみた。
たぶん嫉妬するし何で自分じゃないの?って悲しくなるしむかつくとも思うけど(笑)、ずっと鬱々と死んだ自分のことを思って泣かれるのはもっと辛いし、たまに思い出してもらえるくらいがいちばん綺麗なのかもしれない。
想像でしかないけど。
死んだあと何も見えないのなら、ただただ幸せになってねと思えるんだろうから、やはり人間はエゴイストなんだろうな。(私がそうなだけか?笑)
沖縄のユタ、青森のイタコ。
幽霊を信じるか?信じないか?
それも人それぞれだろうし、証明する方法もないけれど、そういう世界の中で生きている人にとっては、真実なのだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
【本の内容】
由美子は久しぶりに会ったいとこの昇一と旅に出る。
魔女だった母からかけられた呪いを解くために。
両親の過去にまつわる忌まわしい記憶と、自分の存在を揺るがす真実と向き合うために。
著者が自らの死生観を注ぎ込み、たとえ救いがなくてもきれいな感情を失わずに生きる一人の女の子を描く。
暗い世界に小さな光をともす物語。
[ 目次 ]
[ POP ]
双子の姉妹を母親に持ついとこ同士の由美子と昇一。
大人になった昇一が突然、由美子の前にあらわれたのは、過去の忌まわしい出来事から、由美子を解放するためだった。
身近で根源的な幸せと、慈しみの大切さを教えてくれる、愛と救済の物語。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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【本の内容】
恋人と初めて結ばれたあと、東京を離れ、傷ついた女性たちが集う海辺の寺へ向かった小説家キミコ。
外の世界から切り離された、忙しくも静かな生活。
その後訪れた別荘で、キミコは自分が妊娠していることを思いがけない人物から告げられる。
まだこの世にやってきていないある魂との出会いを、やさしく、繊細に描いた長編小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
小さい頃に両親を失ったどん子とぐり子が、
WEBに、メールの返事をする、他愛のないやりとりがテーマのサイトを作るお話。
わりとふんわりとしていて、
もちろん、ばななさんらしい切なさも混じっている小説。
日々、生活する中で、そのスピード感に合わせて、
擦り減っていったり、破壊されていったり、異次元に葬られたりする、
でも、実は大事な他愛のない会話やこころごとに支えられている、こころの部分。
それって生きていくうえでの、その人の豊かさに関係している。
気の利いた冗談やウィットに富んだ話ができるわけじゃなくても、
その人の心の中に息づくいろいろなきらきらしていたりどろどろしていたりする記憶が、
その人自身の厚みを作りだしていて、それが豊かさだったりする。
何も書かないでテレビにもでないで、まったく世に出なかった人が、
その内面にいろいろ宿したまま旅立っていくことだって、美しいじゃないかと
著者は本書の中で言っています。
美しさ、豊かさのそういう捉え方って僕は好きですし、
本書を読んだがために本書から言葉を得て「僕もそう思ってた!」と言えるのですが、
とても共感できるところが多かったです。
集合無意識なのでしょうか、そういうものを描写するところもありましたが、
それってきっとユングと考えを一にするイメージがあるからなのかもしれないです。
よしもとさんは河合隼雄さんとも対談されてましたし。
心が、生活に触れている感覚器であるところが、
じゅわーっと充電できるような作品です。
共通して「教育」や「推薦図書」についての訊いていますが、
そのインタビュイーに合わせた質問を多数していて、彼らの専門の世界が垣間見られます。
とくに、トム・レイトンさんのいるインターネットの裏側の話は、
まるで詳細に聞いたことが無かったので、とても興味深かったです。
数学にとことん強くて才能もあれば、アカマイ社に入ってネットの裏側で頑張りたかったかもしれない。
また、同じような質問に対しても、答えが人によって違ったりもして、
各々が自分なりの答えを持っているわけで、
正解が世界に転がっているわけでもないのだよな、
ということを改めて感じさせられました。
チョムスキーさんの章では、アメリカがやってきた、
権力を維持するための支配的で利己的な行動についての言及があって、
そういうのを歯に衣着せぬ言いようで言い放つ彼の正義感と勇気には、
それによって逆に、そんなことは露知らない、
あるいは知っていても、臆病さゆえにそれを隠す現代人は
牙の抜けた虎のようになってしまっていることを
感じさせられました。
ほんとねぇ、毒づいてしまうけれども、
個人の知的探究心や好奇心が弱まり、エンタテイメントの享受などにばかり走って、
肉体的には肥満でっていう国民が増えているアメリカや日本を
俯瞰的に眺めてみるとどうですか。
家畜だって思えてしまうきらいはないでしょうか。
僕もとりあえずは肥満を解消したいところだなぁ…。
また、あとがきで教えられましたが、
気配り上手さんがなぜ気配りにがんじがらめなのか。
それは、多くの人が個人の違いを認め合っていないのを知っているから、
ということなんですよね。
はっとしました。