あらすじ
由美子は久しぶりに会ったいとこの昇一と旅に出る。魔女だった母からかけられた呪いを解くために。両親の過去にまつわる忌まわしい記憶と、自分の存在を揺るがす真実と向き合うために。著者が自らの死生観を注ぎ込み、たとえ救いがなくてもきれいな感情を失わずに生きる一人の女の子を描く。暗い世界に小さな光をともす物語。
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Posted by ブクログ
ばななさんの作品の中でもかなり好きな本です。
エネルギーと静けさがせめぎ合っていて、苦しくなるような感じがたまりません。
おそろしい出来事は日常の延長上に存在する事をあらためて思う一冊でした。
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ばななさんの小説でこんなにどんでん返しで涙が出るなんて初めて、曖昧な疑問全てに納得がいきました。不幸中の幸い、のひと言でまとめられてしまえる由美子だけれど、綺麗に安らかな終わり方で良かった。そして、どんなに惨い死に方をしても少し泣いてしまうくらいの夜を幼少期から何度も過ごしていても、最後に思い出すのは楽しいことばかりだということが私をとても安心させた。重いのに温かくて、不思議な気持ち
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ばななさん。
みんなからオススメされてたのに、子供の頃にキッチンを読んだきりで、ずっと気になってた。
とっても不思議で残酷でおそろしい話なのに、温かくて人生を前向きに考えさせてくれる作品だった。
ばななワールド。はまりそう。
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一見救いのない暗いファンタジーのように見えて、とてもリアルに現実にあることを描いている世界だな、と思った。本全体が光と綺麗な空気を纏って、たしかにそこに命が息づいているような。由美子と一緒に浄化を追体験しているような、そんな旅だった。
昇一もおばさまもとても素敵で、悲しいけれどとても癒された。
私、よく知りもしないのに、あなたのこととっても愛してるみたいに思う。
最後のページのどれもこれも素敵な文章のなかで、とびきり心に残る一文。
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由美子の潔い諦めゆえの前向きさに、昇一の真面目さ、正直さが合わさって、最終的に全てが綺麗に解決した感じ
その2人のバランス感がとても良かった
こんなふうにエネルギーを使って自分とまっすぐ向き合ってくれる相手がいるのはとても幸せなことだろうなと思うし(その発端が母への気持ちだったとしても!)、それが愛するということなのかもしれないなとも、思ったり
いつも好きなフレーズをメモしているけど、よしもとばななは景色の描写といい主人公の考え方といいあまりにも好きな箇所が多過ぎて選べない
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よしもとばななさんの言葉は とてもきれいで
ストーリーも よかったけど、何よりも 言葉と
その世界観が素晴らしかった。
スピリチュアルな作品。
浄化小説といった感じ。
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怒涛の展開。まさかのオチ。
本当にびっくりするくらい救いのない話。
過去をたどる旅をして、記憶を整理して真実を知る。
それできちんと取り戻すことができた。何かを。
どんな状況にあっても人生を造れる人でありたいと思う。
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1番の呪いは普通の日々の積み重ね
生きている人だけじゃなくて
悲惨な死を遂げてしまった人に
対してさえ
鎮魂の気持ちが込められているような。
ばななさん、すごい次元へ
行ってしまっていて
ついて行くのに少し大変だった。
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自分が親から貰った愛情を
きちんと受け取りなおすこと
自分を客観視すること
そんな通過儀礼を、
この一冊通じて体験したような気がした
自分が決めた愛のイデアみたいな像があって
それに当てはまらないものは
見て見ぬ振りをしてきていた
ほんとうはこの世の中は
愛でいっぱい溢れているのに
悲しい思い出がなければ、幸せになれる訳じゃない
受ける歯車と渡す歯車がかみ合わないだけで
人ってこんなに孤独になってしまうものなんだなぁ
未来に心奪われるのは過去に捕らわれるのと一緒
ただ、今ここの、特別でも何でもない
一つ一つの手の動き、話す言葉、噛み締める味わいが
人生を形作って乗り越えさせてくれる
毎日をしっかり生きる、っていうのはつまり、今の自分の動きにどっしりと集中することなんだなと最近になってよく思う
よしもとばななと同じ時代に生きられて良かった
長生きしてほしいなと身勝手に願う
職業として小説家の体を取っているけど、彼女こそ現代のよい魔女なのかもなぁと思う
Posted by ブクログ
ばななさんの本のなかでいちばん好きなもの。
内容は不思議だし暗い話だけど、私は好き。この「彼女」は色んな人なんじゃないかな。
トラウマってあってもいいんじゃないかな。トラウマがあるからこそ、優しくなれたりするんじゃないかなと思った。そんな作品。
Posted by ブクログ
読み進むうちに、最初感じた「何故」が分かってきて、小さいエピソードが最後につながるすっきり感がいいです。
隅さんとの会話が、とても暖かく、心に沁みます。
この人の死生感は好きです。
Posted by ブクログ
あり得ないくらい重い状況の中にふわふわのたんぽぽの綿毛が彷徨ってて、そこから日常を大切にしたいなって思える物語だったなあ
ちょっとスピリチュアル要素強くて個人的にはアムリタの方が好みだけど、またこれも読み直してみたい。
Posted by ブクログ
これも積読本から。
ハードカバーで。
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さようなら、
私の世界。
幸せの魔女が、復讐の旅にでた。
どこまでも暗く、哀しみに満ちた
世界を最後に救ったものとは——
大きな愛に包まれる、
ばななワールドの新境地!
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久しぶりにばななさんの作品を手に取りました。
この方の文章は独特というか、
どうしてこんな書き方読ませ方できるんだろう、と。
久しぶりに再会したような気持ちです。
同じ状況をほかの方が書いても、
ばななさんのような文書にはならないんだろうな、と。
両親を事件で亡くし、
たった一人で生きてきた由美子。
突然現れた従兄の昇一。
二人で過去の巡礼の旅に出るという印象なのですが、
あわせて謎解きのようなミステリーのような印象がありました。
魔術を使う姉妹、
精神病院、殺人事件、
出てくる人も言葉も本当なら怖いはずなのに、
なぜかあたたかくて優しい。
内容は痛く凄惨な部分もあるのに、
ばななさんの文章のおかげで
静かで優しい空気になっています。
仕事の昼休憩に読むと、心が落ち着きました。
最後は…夢落ちかい!死んでたのかい!と思いましたが。苦笑
ばななさんが描く文章が好きだから読んで良かったです。
読書中は心が落ち着く時間でした。
Posted by ブクログ
重く、非現実的なストーリーだったけど、
吉本ばななの表現が好きで、
次はどんなステキな言葉が出てくるんだろう、
っていう気持ちで読み進められた感じ。
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“今、いっしょにいる人があることが、いつも一人で行動している私を和ませた。隣にいる人にちょっとしたことをその場でしゃべれるのはいい、そう思った。”
“それでも、誰かが自分のために、普通に思いやりを持って動いてくれることがこんなに嬉しいなんて思わなかった。”
“土台って何ですか?”
“この世は生きるに値すると思う力よ。抱きしめられたこと、かわいがられたこと。それからいろいろな天気の日のいろいろな思い出を持っていること。おいしいものを食べさせてもらったこと。思いついたことを話して喜ばれたこと、疑うことなく誰かの子供でいたこと、あたたかい布団にくるまって寝たこと、自分はいてもいいんだと心底思いながらこの世に存在したこと。少しでもそれを持っていれば、新しい出来事に出会うたびにそれらが喚起されて良いものも上書きされて塗り重ねられるから、困難があっても人は生きていけるんだと思う。土台なのだから、あくまでそれは上に何かを育てていくためのものなのよね。”
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魔女の母親に殺された娘が、
幽霊となって現実の世界に戻ってきて、
人生の醍醐味を体感していく話。
Posted by ブクログ
乾いてひび割れた地面に、しとしと落ちてしみていく水みたいな。そんな小説だなと思った。
彼女の目線が怖いくらい素直で、目に映る情景が哀しいくらい綺麗で、透明なんだけど、どこか優しくて。話自体はすごく重たい話しなんだけど、重苦しさはなくて。なんだろう…当たり前のようでふだん目にもとめてないような、忘れてしまっていた何かほんとうに大切なものを取り戻していくような、そんな感じがして、「彼女」にとっても読み手のわたしにとっても、これはある部分で癒しの物語なんだなと感じた。
吉本ばななの本は、取り立てて何かあったわけではないけれど、なんとなく気持ちが落ち込んだり不安になった時、気持ちがぐらぐらして心もとない気持ちになった時、ふと読みたくなる。
天気は曇り。なんとなくふわふわしていて落ち着かない心持ちの、空白の時間にぴったりの1冊だった。2020.5.3
Posted by ブクログ
双子の母親を持ちいとこ同士の昇一と由美子が、昇一の母の遺言をもとに双子である母たちにまつわる過去の悲惨な思い出をひとつずつ紐解いてまわる物語(夢の中の話で、由美子はその事件の時にすでに死んでいた)
はじめてよしもとばななの小説を読んだ。ここの登場人物の感性がよしもとさんの内側から生まれ出てきたものならば、少年少女時代の感性をここまで緻密に言葉で表現できるものだろうかと驚嘆した。自分自身の原体験を再現するには、記憶の鮮明さだけではなく、子供時代の少ない語彙では言葉にできなかった感情を、あらためて言語化して、可能な限り自然に適合する言葉を選ばなければならない。その際にかかるフィルターはきっと、年を重ねれば重ねるほど分厚いものになっていくが、いかにそれを取り除いてありのままの記憶を言語化できるかが重要になることは想像に難くない。それを、すっと理解できる言葉で表現されているこの小説は、ふと少年時代を思い出したくなった時にはうってつけだと思った。
また、この小説に出てくる死生観は、今の自分にとって共感できる部分が大きかった。
「子供を持つって、自分は素直にもう席を譲っていいな、というこんな気持ちなのかもしれないな」って、感じた由美子にめちゃくちゃ同意。自分の席を譲るって表現が割としっくりきて、まさに子供はその席に座ってくれると信じることのできる存在になるのだと思う。別に子供がいなかったとしても、その席に座ってくれる誰かが見つかった時点で、(託せそうな人はすでにいるが)自分の生を捨てる覚悟も然り、その生を楽しむ喜びを素直に掴みにいくこともできるようになると個人的には思われる。
その生の楽しみ方の一つが、自分の身の回りを大切にし、その小さな世界を観察したり触れ合ったりすることなのだとこの小説を読んで感じた。
Posted by ブクログ
途中から、
あれ、もしかして、いや待てよ、そんなのイヤだよ、うん違うはず、でもな、
なんて一人でハラハラしながら読み進めてしまったので、主人公のいまが明らかになった時、ああ信じたくなかったのに、という残念な気持ちと、これで一息つけるんだ、という安心感がないまぜになりながら、ぐすぐすと涙が溢れてしまった。
沁み込む力のある、文章だったなあと思う。死は遠い存在では決してないのだと。
Posted by ブクログ
久しぶりのばななさんタイム(笑)ばななさんの作る作品の世界観が本当に好き。共感したり、元気をもらえたり、考えさせられたり、本当に癒された。ほっこり♡
「人間は、毎日いろいろな気持ちがあって、いらいらしたり、変な人間に見えたり、でもよく見ると大丈夫だったりしているものじゃないか。一貫性はそれほど求められてないような気がする。だからこそ、底のところでは一貫性が絶対必要だけれど。でもそれだって、意識してあるものじゃないだろう。強い人がいつも強いっていうこともないよ。」
「昇一には深いところでわかっているんだ、彼も傷ついているんだ、と私は感じたわ。ほんとうに大丈夫な人なんて、いないのよ。ほんとうに健全な人もね。そうふるまっているだけで。でも、すごく体調が悪いときにはささいなことが大変に思えるのと同じ分量で、そういうふうに良きものとしてがんばってふるまう体力や気力ってものが、結局は人類の存続を支えてきたんじゃないかしら?」
Posted by ブクログ
優しい。
そうだったのかー、、いや、まんまと騙された。
ばななの他の作品と、ちょっと雰囲気が違うかも。
トラウマが観てみたくなりました。
Posted by ブクログ
【本の内容】
由美子は久しぶりに会ったいとこの昇一と旅に出る。
魔女だった母からかけられた呪いを解くために。
両親の過去にまつわる忌まわしい記憶と、自分の存在を揺るがす真実と向き合うために。
著者が自らの死生観を注ぎ込み、たとえ救いがなくてもきれいな感情を失わずに生きる一人の女の子を描く。
暗い世界に小さな光をともす物語。
[ 目次 ]
[ POP ]
双子の姉妹を母親に持ついとこ同士の由美子と昇一。
大人になった昇一が突然、由美子の前にあらわれたのは、過去の忌まわしい出来事から、由美子を解放するためだった。
身近で根源的な幸せと、慈しみの大切さを教えてくれる、愛と救済の物語。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
「魔女だった母からかけられた呪いを解くために」という帯の文章に惹かれて読み始めました。物語のプロット自体はかなり現実離れしたもの…でしたが、中で語られる一つ一つのことの重さ、それらの言葉の現実とのフィット感に何回か泣かされました。ばななさん、すごい。
Posted by ブクログ
吉本ばななさんの短編以外を初めて読んだけど、言葉が好きすぎるから長ければ長いほどたすかる。パンチライン多すぎて抉られた。
まゆちも誰かの夢になれたらいいのになと思うよ❣️
Posted by ブクログ
とてもやさしいお話。
起こったことは、本当にとても悲しくどろどろしていて恐ろしいことなのに、とてもやさしくて何かに包まれるようなお話でした。
いい意味で、ファンタジーだろうに、にファンタジーらしくない。
魂さん、美しくあれ。
そして、誰かを強くやわらかくやさしく愛せたらいいなぁ。
Posted by ブクログ
気だるい雰囲気から始まって、重たさについていけるか不安があったけど、読後は良かった。
今までの出来事と向かい合う中で、心の安定を取り戻すお話で、主人公の心情と共に少し雰囲気も軽くなっていくけど、後半の展開には驚かされた。
Posted by ブクログ
久々のばなな作品。
昔はこの叙情的(?)なふわーっとした文章が好きだったけれど、もどかしく感じるようになってしまった。
美しい文章ではあると思うものの、心揺さぶられるほどの感動もなく。
結末は先に知ってしまっていたのですが、それでも唐突に感じました。
凄惨なはずの事件をさらっと描いてしまえるのはこの著者の持ち味だなと思います。