あらすじ
バリで精霊の存在を感じながら育ち、物の記憶を読み取る能力を持つさやかのもとに、ある日奇妙な手紙が届いた。「庭を掘らせていただけないでしょうか」。それは左手が動かなくなった悲惨な記憶をよみがえらせ……。愛娘の世話や義母との交流、バリ再訪により、さやかの心と体は次第に癒えていく。自然の力とバリの魅力に満ちた心あたたまる物語。
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Posted by ブクログ
冒頭に出てくる七尾旅人さんが歌う「サーカスナイト」を聞いた。
読後だからこその登場人物たちそれぞれのイメージがじんわりと心に浮かんでくる。
よしもとばななさんを久しぶりに読んだ。
仕事帰りバスの中での読書タイム(そのままうたた寝してる日もたくさんあったけど)存分に楽しめた。仕事終わりの爽快感も相まって。
主人公さやかは事情を抱えていても強く、周りの力もしっかり借りながら生きていて尊敬する。
子供に向けるまなざしも優しい。
私自身あまり周囲の人に懐かないというか心を開かない正確なので、私の生活にあんまり登場人物増えていかない気がする…
しかし、さやかは周囲の人たちを家族のようにしていく力があるんだなぁと感じた。
人と人との結びつきは血縁や時間をも超えてゆく。
春先の今読んでいたからバリの熱帯感は肌身に感じにくいけれど、読んでいてガムランの響きとにぎやかなお祭りの夜を想像した。
人だけでなく場所がその人を甘やかしてくれるっていいなぁと思った。
私にとってのそういう所はどこなのかなぁ。
Posted by ブクログ
久々によしもとばななさんの本。
弱っている心に浸みてくる・・・
自分の心と体に良く耳を傾けて生きる。
それが大事と思う。
バリで生まれ育って、早くに両親を事故で亡くした さやか。
ずっと友人だった悟に、癌で余命幾ばくも無くないけど、自分の子どもを産んで欲しいと頼まれ、みちるを授かる。
悟の両親とみちるとの日々に、自分の居場所をみつけていくさやか。
生きてきた姿勢が、いろんな今を引き寄せる・・・そんな感じかな。
バリに行ってみたい。
Posted by ブクログ
自分がああだこうだと思うことなんてたいしたことない。喪失と生死と、それを包み込むもっと大きな力。優しい言葉で時間と思いが紡がれていて、それでいて力強い小説。
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バリに来てみると、日本で考えていたいろんなことがみんなどうでもよく思えてくる。小さくて、取るに足りないことに。そのくらい、まるで川がごうごうと流れるみたいななにか大きなものがこの島では流れている。
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まさに。バリでも読もう。
#よしもとばなな #サーカスナイト #大切な1冊
Posted by ブクログ
主人公のさやかは周りの人に支えてもらいながら生きているように見えて周りの人をしっかり支えてあげられる女性。登場人物がみな軸がぶれない。憧れの人ばかりで埋め尽くされた素敵な物語でした。悲しいけど幸せ。登山という趣味にもすごく憧れる。
※生きている限りはちゃんと生きる
Posted by ブクログ
人との関わりほど深く絡み合ってめんどくさいものはない、でもだからこそ生まれる愛も信頼も幸せもある…
自分も周りの人を大切にしようと思える物語でした。
ちなみに、気に入った文は
「たとえまた会えるとわかっていても、小さな別れでも、別れは切ないものだ。」
今の自分に共感してくれる言葉で、気持ちが楽になりました。
Posted by ブクログ
たぶん学生の時に読んだことあるな、と途中から気付きながら再読。
よしもとばななさんの本に対して好きなものが詰まった作品でした。現実世界をベースに少し私の身の回りでは起きないような設定で物語が進んでいく感じ。
病気を理由に友人と結婚し、子供を授かり、友人が亡くなった今も義実家で過ごす。義父母も受け入れ温かい家族の形がある。一方で忘れられない過去がある元恋人との再会。そして娘と3人でバリを訪問。
一貫して登場人物が皆、凛として自然に身を置き、人間と運命強さをあっけらかんと捉えている。
そんな世界に魅力され、私自身もそうでありたいと強く思わされる。
強く逞しく、優しく、愛を持って。
大事な人が遠く羽ばたくことを、可能線をどんどん広げていくことを切実に願える人間でありたい。
Posted by ブクログ
あとがきにも書いてある通り、ゆるくだらっと読める本でした。人生の苦しい部分も描かれてるのにそんな気持ちになれる不思議。ばななさんの小説を読んでいると、癒されます。
匿名
心がぽかぽかする物語
孤独、痛ましい事件、死。それぞれが真摯に向き合い、進んでいくうちに新しい心優しい人たちの輪が広がっていく心がぽかぽかする物語。
いつかバリにも行ってみたい。
Posted by ブクログ
ばななさんの言葉は、いつもわたしを救ってくれる。
わたしの人生をいい具合に認めてくれる気がする。
たからものにしたくなるような大切な言葉を拾い集めてはおまもりにして、ノートにのこす。
以下、サーカスナイトのわたしのメモ。
私はなにもしていないでふらふらしていたようで、実はいろんなことをしながらちゃんと歩いてきたんだ、と思った。
それに、私こそが子どもを育てながら子ども時代をじっくりと取り戻しているのだと思う。
「だいじな人を失うと、人はそこに何か深い意味をどうしても見いだしたくなるから。」
楽しそうに見えるから大丈夫と言うことはない。
ただ楽しそうでない自分がいやなのでそうふるまっているというだけで、そこに悲しみはいつも大きく重く存在するのだ。
「すごく早くに親が死ぬと、早く大人になる面と、いつまでも子どもみたいな面が混じっちゃうんだよね。」
細かい理屈は抜きに、ただいっしょにごはんを食べることで育まれるものまたひとつ育むために。
みんなが楽しそうなので、私もにこにこしてごはんを食べた。
「明るいのはとりえかもしれないなあ。赤ちゃんのときからずっと陽気だった。」
「きっとすごく愛されているのがわかっているんだね。」
一郎は微笑んだ。
「みちるは、そういう意味では、ほんとうに恵まれていると思う。みんなにがっちり守られて、自分がいるということ、この世に自分がいていいということに疑問を持ったこともない。」
生まれたての赤ちゃんからは四方八方にまるでビームみたいに真っ白い幸せの光が放たれていた。こんなに光るもの見たことがない、と私は思っていた。
「人はたまにふるさとを訪れたほうがいいのよ。そうすると思ってもみないくらい素直に、気持ちが原点に返っていくから。」
Posted by ブクログ
ばななさんのキッチンとか今まで読んできて、今回久しぶりにばななさんの作品を読んだ。
主人公がなのかもしれないが、いままでとは年齢が上がって大人な雰囲気だった。
主人公が若い頃の話を振り返ることが多いし、様々な年代の人たちが登場するので、人生について考える部分が多かったようにおもう。
あとバリと日本を比較している部分がとても面白かった。バリにはいったとこはないけど、日本にはないアジアの感じが書かれてる。
日本は変わってしまったのかなあー。
★バリにいつかいきたい
★ばななさんの他の作品も読みたくなりました
Posted by ブクログ
こんなに『日常』『人生』を感じる作品は初めてでした。
特に急展開を迎えたり、意外なことが起こるわけではなくて、時間の流れが本当にゆっくり。ある意味、変わらない日常を過ごす感覚が心地よい作品でした。
もちろん、ゆっくりの中に確実で、大切な変化があるけど、そういうのがまさに人生という感じ。
ちょっとした噛み合わせでたまたま起こった小さなことが後につながってる、みたいなところが。
Posted by ブクログ
愛し合って結婚したわけでなくても、のちに家族としての意識ができてくるさやかの家族が好き。自分の元の家族とは早々と別れなければならなかったけど、後に自分で作ることができるのだ。いなくても確かに存在する、そう思えればいいなあ。すべてむき出しのバリと平和風味の日本。さやかがうけた心の傷がよくわかった。
Posted by ブクログ
久し振りのばななさん。
ばななさんはわたしにとって 優しさに触れたい時のお守りのような位置づけ。
言葉と言葉を優しさでつないでいるかのようなばななさんの文章は、心にはすっとしみ沁み渡る。
生々しい処があっても圧倒的なもので優しく包んでいてくれるから何処にも不安はない。
類稀な存在である。
Posted by ブクログ
さやか、みちる、悟、一郎そしてそれぞれの父母兄弟、深く縁がある人達との暖かい物語。 日常を丁寧に引き伸ばしたような、テンポが良い話ではないけれどとても豊かな気持ちになりました。 今は実りのとき。ふりかえって人生を味わうとき。 あとがきのその言葉がしっくり。じっくり咀嚼して過去の思い出も収まるところに収まったりするものなのかも。 さやかの考え方思考回路が理想的過ぎて、なんとなく途中読んでて疲れる部分もあったけど、全体的に好きでした。バリ行きたいわ〜
Posted by ブクログ
ちょっとした幸せを噛みしめながら、ときに親や恋人、世話になった人々の愛情を反芻しながら、日々を過ごしていく主人公さやか。そんな生活のなか、さやかは不思議な巡り合わせで悲しくもある物語と引き合うことになる。やがてその物語は、彼女と彼女を守ってきた愛情によって、輪郭をともない、生きる人へとつながっていく。
①現代社会に平和、憩いとして描かれるものに注目
多くの愛情を受けたことが幸せを呼び、その幸せがまた愛情を呼ぶという循環によって延々と続いていく優しい世界。そんな世界が描かれることは、その世界が現代と近くて遠い状況にあることを意識させる。
②生き方を分ける境界
主人公さやかは最後まで幸せな側として描かれるが、絶対的なこととして幸せであるわけではない。作中の印象的なセリフ「それでもね、なにか、ひとつ薄い膜だけれど、幕のようなものがあって、私はなかなかあそこに世話になる状況にはなりにくいと……」
ここでのキーワードが古井由吉の『杳子』を連想させる。健康と病気の間の「薄い膜」に留まることで生を実感する杳子。膜に守られて自分があるとするさやか。いずれの場合も、「薄い膜」を意識した瞬間に顕在する、生き方への思いというものがある。
③著者から読者への愛情
幸せで憩いのある小説として描かれた小説であるが、読み手は「薄い膜」の向こう側からの視点をイメージしてこの小説をみつめることもできる。しかしそんなことは著者も想定しているだろう。むしろ誰であってもこの小説から、幸せに生きるためのエネルギー、愛情を注ぐことへの信頼を享受しても良い。そんなメッセージが感じられる。
Posted by ブクログ
思わず人に勧めたくなるような、激しい面白さではなく、静かに心に寄り添い、癒されながら、自分を省みながら最後まで読みきってしまうようなお話でした。
あくまで主人公の主観で進んでいくのに、理解の範疇を越えた人生なのに、すっと馴染んでくる、自分にもわかるところがある、不思議な感覚。
子どもに対する愛がこれほど伝わる文章はないな、と思いました。
Posted by ブクログ
よしもとばななならではの、不思議な、でもほんわかするストーリー。
夫を亡くしながらも、義父母とほどよい距離感でいい関係を保ち、不思議な縁で元カレと再会。色々な出来事を乗り越え、ちょっと明るい未来が待っていそうなストーリー展開に、少し元気をもらえた感じ。
Posted by ブクログ
さやかの義理のお母さん、すっごく素敵な人だなあ。
どんなことも自然に受け止めて自分で解釈して慌てない、憧れる。
バリ島出身だったり登山やスポーツが趣味だったり、自然に近い精神の人が多く出てくる。
自分も母がそんな側面も持っている上に田舎育ちだったので、懐かしい気持ちも持ちつつ読んだ。
スピリチュアルな感覚についてはあまり共感できないが、人の想いが伝染して大きな力になる、というのはわかる気がする。
年を経たらスピリチュアルもわかるようになるものなのか…?
"人はたまにふるさとを訪れたほうがいいのよ。そうすると思ってもみないくらい素直に、気持ちが原点に返っていくから。"
上記はとても共感する一文。
Posted by ブクログ
言葉にしようとすると消え去ってしまうものや
繰り返しやってくる夜や朝の中で
夢となっていくしかない儚い瞬間を
“美しい言葉”で表現してくれているばななさん♡
読んでいる間だけ出会える彼らたち…
読んでいたら いつの間にか眠りについてて
起きたらいつもの朝がはじまってて…
全部夢だったのかと思うほどで…
でも確かに私の傍らにはこの作品がいてくれてた…
窓から射している陽はいつものように
部屋を真っ白にさらしていたとしても
読んだ時の余韻がじわりと甦ってきて
新しい世界の面影を映し出す朝へと変えてくれた…
今はいない人に話しかける言葉は
決して目に見えないけれど…
でもきっと花となり どこかで咲いているような
優しい気持ちにさせてもらえた作品_
ばななさんの小説は いつも読者に寄り添ってくれている
言葉を丁寧に 丁寧に掬いとって…
小さな灯(ともしび)を私たちに照らしてくれている
Posted by ブクログ
よしもとばななさんの小説は、学生時代に好きで何冊か読んでいた。久しぶりに読んだばななさんの作品。
気を張らずに、のんびりと読みやすい作品だった。
主人公の心理描写が多めなので、なかなかストーリーが進まないと感じる部分もあった。
ばななさんの小説を読むといつも、とても感受性の豊かな人なんだろうなと感じてしまう。
透明感に溢れてる、ピュアで純真なイメージがある。
でもそれは表面的なものじゃない。汚い、怖い、恐ろしいなど、この世界で見たくないものが確かにある中で、それらに蓋をするんじゃなく、それらを知ってて、受け入れた上で成り立っている感じ。
透明に、繊細に受け止めて、そのうえで背筋を伸ばして生きている。そんな登場人物たちに力をもらえる。
ばななさんの小説はいつもそんな感じがして、そういう部分に感動する。
主人公さやかさんのような、おおらかだけど繊細で、キレイな感性で、この世を見られたらいいな
と思った。
忘れてた感覚をとりもどせて、なんとなくポジティブになれる作品でした。
Posted by ブクログ
ばななさんを初めて読んだけど、とてもキラキラとした女性らしい物語だと感じた。
登場人物がみんな異様に素敵に描かれていて、(唯一、一郎が頼りないくらい)ちょっとキラキラしすぎかなと感じたけど、読んでるとこっちの心も表れてくる気がする。
少しピュアな人になれるかしら。
どこか頼りなかった、一郎が成長していることがわかっていく様子と、さやかも「ただただ時間の流れを受け止められるようになっていく」感じが好きでした。
蓮の花って、朝から昼くらいまでしか咲かないんやね。
Posted by ブクログ
優しい物語だった。ずっと日本で生活していると分からないけど、八百万の神がいてる国とは思えないくらい、目に見えないもののことを否定する国になってしまったんだなあと思う。海外に行くと、特に昔からの考え方や物事が未だに生活の中心にある国に行くとそのことを実感する。
Posted by ブクログ
出た頃は惹かれなかったのだけど、夏に父を亡くしたら急に読みたくなった。
読みながら、父を思ってたくさん泣いた。
媒介が無いと泣けないんだ。
七尾旅人のサーカスナイトめっちゃ聴いてたから、この本出たときはビックリした。
Posted by ブクログ
たまたま読んだよしもとばななさんの本がそうなのか
みな、死ではじまる物語が多いような気がし
まさにこの本でもそうだった
ちょっと、この手の話は今はいいかなって感じ
めずらしく、ページをめくる手が遅かった
バリの雰囲気、情景はとても浮かんで
とても行きたくなる
そして、母になったからか
こどもへの愛情はひしひしと伝わってきた
娘さんがいとおしくなった
Posted by ブクログ
帯にある「あるものをないことにするのがいちばんいけないのだ」というのは真理だ。
血を巡る神社での殺傷事件が取り扱われていて、フィクションとノンフィクションはどこまでも紙一重だ。
Posted by ブクログ
昔大恋愛をした相手との辛い過去や、結婚相手の病死など、悲しみを抱えつつ、親切な義理の両親や、昔生活していたバリの人々、愛娘のあたたかさに救われる、さやかの物語。
温かく穏やかな話だったが、後半はやや失速気味な印象...。