よしもとばななのレビュー一覧

  • 彼女について

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    双子の母親を持ちいとこ同士の昇一と由美子が、昇一の母の遺言をもとに双子である母たちにまつわる過去の悲惨な思い出をひとつずつ紐解いてまわる物語(夢の中の話で、由美子はその事件の時にすでに死んでいた)

    はじめてよしもとばななの小説を読んだ。ここの登場人物の感性がよしもとさんの内側から生まれ出てきたものならば、少年少女時代の感性をここまで緻密に言葉で表現できるものだろうかと驚嘆した。自分自身の原体験を再現するには、記憶の鮮明さだけではなく、子供時代の少ない語彙では言葉にできなかった感情を、あらためて言語化して、可能な限り自然に適合する言葉を選ばなければならない。その際にかかるフィルターはきっと、年を重ねれば重ねるほど分厚いものになっていくが、いかにそれを取り除いてありのままの記憶を言語化できるかが重要になることは想像に難くない。それを、すっと理解できる言葉で表現されているこの小説は、ふと少年時代を思い出したくなった時にはうってつけだと思った。
    また、この小説に出てくる死生観は、今の自分にとって共感できる部分が大きかった。
    「子供を持つって、自分は素直にもう席を譲っていいな、というこんな気持ちなのかもしれないな」って、感じた由美子にめちゃくちゃ同意。自分の席を譲るって表現が割としっくりきて、まさに子供はその席に座ってくれると信じることのできる存在になるのだと思う。別に子供がいなかったとしても、その席に座ってくれる誰かが見つかった時点で、(託せそうな人はすでにいるが)自分の生を捨てる覚悟も然り、その生を楽しむ喜びを素直に掴みにいくこともできるようになると個人的には思われる。
    その生の楽しみ方の一つが、自分の身の回りを大切にし、その小さな世界を観察したり触れ合ったりすることなのだとこの小説を読んで感じた。

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    2019年04月18日
  • チエちゃんと私

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    同氏の本は恐らく4冊目。一番面白かった、肌に合ったというべきか。相変わらず主人公は読んでいて腹が立つんだけど、同居人のチエちゃんが救ってくれる。彼女は、ぱっと見、とろそうだけど、実のところ、その眼差しは真直ぐで、確固たる自分を持っていて、周りに左右されなくて、大変しっかりしている。その彼女を起点にして、周囲の人々の変化が顕著に観察できるという一冊。生き方について描かれている。

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    2019年01月20日
  • 小さないじわるを消すだけで

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    ダライ・ラマも、素晴らしいのではないかとは思うけど、私にはよくわからない。それよりも印象に残ったのは、よしもとばななの人間観。
    以下、引用。

    人ひとりひとりは、歯車ではなく細胞のひとつひとつと考えるといいのではないか。人間ひとりひとりが細胞で、皆で大きなな「人類」という人間を、作っているのだと思うと、いろんなことがよくわかるようになります。
    髪の毛の細胞の人、お尻の細胞の人、まぶたの人、唇の人、心臓の人、各部位の人にそれぞれ不満があり、それぞれの自負心があります。自分の部署でない機能に対して憧れを抱いたり、妬んだり、自分の部署の仕事をおろそかにしたり、それもすべてそんなふうに説明できると思います。お尻の人には頭の人のことがよくわからないくらい遠いが、確実につながっている。そんなところもよく理解できるような気がします。それから、異様な罪を犯したり、人を殺すのに心底喜びを覚えるような人たちに関しては、がん細胞のような異形の細胞だととらえると、しっくりきます。だとすると、その細胞全部が集まった人間という存在をひとつにつなぎとめているもの、それこそが魂と呼ばれるものであり、特定の宗教ではなく、生命への畏怖心を呼び覚ます、大きな物を、思うときの感覚ではないでしょうか。
    目の前の人を自分の一部だと思うことができれば、その弱さを理解することも、人を攻撃することはすなわち自分に対する攻撃だと言うことも分かり、相手に対する怒りもなくなるはずです。
    人類は全員で一人の人間であるという考え方になりました。人は皆根本のところでは同じ物を共有していて、それぞれに得意なことと不得意なことがあり、できることとできないことがあり、小さな細胞が集まって支え合って、人類という一つの大きな生き物を有機的に機能させている。たったひとつの共通項は、魂なのです。

    自分が持って生まれた物を十全に全うすることが大切なことだと理解しています。私が自分の役割を、放棄してしまったら、私には細胞の代わりができる人はいないのです。

    それを皆が身体的に、精神的ではなく身体的に、生活の感覚の中で真に理解できたら、この世は随分変わって行くと思います。

    ただ自分を十全に生ききるとき、それぞれの個人は初めて元々持って生まれた自分の枠を超え、他の人と本当に同じになることができます。仏教的に言うなら、カルマを解消し、越えるということなのかもしれません。

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    2019年01月14日
  • サウスポイント

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    あの本の続編だったとは知らず、読んでいる途中で気づく。
    よかった。そして、あの本をもう一度読み直してから、もう一回読みたい。

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    2018年12月24日
  • ひとかげ

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    トカゲを昔に読んでいたのですが、正直あまり記憶になく、こちらの本を読んでも違いがあまりわかりませんでした…。

    小説全体の暗い印象の中にも、登場人物たちのはっきりと輪郭のある性格に惚れ惚れしました。そんなわけで読んでいても安心感がありました。

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    2018年10月30日
  • High and dry (はつ恋)

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    挿絵もろとも可愛さ全開のほぼ絵本

    14歳のときにこんなに物事を考えれてたかどうか怪しい
    それが自分の未熟さなのか成人した大人が書いた小説だからなのかはよくわからん

    でもあったかくて良い
    寒い冬の夜に暖炉のそばで読みたい本

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    2018年09月30日
  • チエちゃんと私

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    私にとってのよしもとばなな作品は、心が弱ってるとき、心が渇いてるときに読んで「しみしみ」するものだった。
    久しぶりに読んで、渇いてなくとも「じわじわ」とした。
    自分の重ねた年月と変化も同時に味わった。

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    2018年09月10日
  • 花のベッドでひるねして

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    花のベットで昼寝して。秀逸なタイトル。吉本ばななさんならではの感性に心が癒される作品。繊細な描写、ゆっくりと時間が流れる幸せな空間。

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    2018年08月07日
  • 人生の旅をゆく

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    海外に限らず,自分のルール以外の場所でカルチャーショックを受けたり,新しい何かを体感することの重要性が身に沁みる。愛犬の件は涙なしには読めなかった。

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    2018年06月13日
  • サーカスナイト

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    久し振りのばななさん。
    ばななさんはわたしにとって 優しさに触れたい時のお守りのような位置づけ。
    言葉と言葉を優しさでつないでいるかのようなばななさんの文章は、心にはすっとしみ沁み渡る。
    生々しい処があっても圧倒的なもので優しく包んでいてくれるから何処にも不安はない。
    類稀な存在である。

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    2018年05月28日
  • サーカスナイト

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    さやか、みちる、悟、一郎そしてそれぞれの父母兄弟、深く縁がある人達との暖かい物語。 日常を丁寧に引き伸ばしたような、テンポが良い話ではないけれどとても豊かな気持ちになりました。 今は実りのとき。ふりかえって人生を味わうとき。 あとがきのその言葉がしっくり。じっくり咀嚼して過去の思い出も収まるところに収まったりするものなのかも。 さやかの考え方思考回路が理想的過ぎて、なんとなく途中読んでて疲れる部分もあったけど、全体的に好きでした。バリ行きたいわ〜

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    2018年05月19日
  • 彼女について

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    今まで読んだよしもとばななさんの作品のなかで、一番暗い。
    暗いのにジメジメしてない。やんわりあたたかい。ふしぎ。

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    2018年05月18日
  • サウスポイント

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    『本は読めないものだから心配するな』(管啓次郎)で紹介されていたからだけれど、やはり今年はハワイ島に行くとおもう。
    吉本ばななだなぁと思った、久しぶり。恋愛と死がすぐそこにある感じがする。
    あの頃の二人はもうどこにもいない、と歌ったのはユーミンだったかね、だからもういっしょに生きて行くことはできない、のではない、ここでは。
    つぐみ、とか、キッチンとか、好きだったはずなのに本棚にない。

    管さんも書いていたが、吉本ばななは立て続けに何冊も読めない、と。確かに。なんだろう何かが濃過ぎるのだ。

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    2018年04月15日
  • 王国―その3 ひみつの花園―

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    最初の2巻では、社会不適合者達が自分の世界こそ素晴らしいと、俗世界の人を下に見てるような表現が多く、ムカムカして読み進めた。しかし、3巻の雫石の失恋から、暖かい空気が全体を包んで、いつものバナナ節で完結。

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    2018年03月26日
  • 花のベッドでひるねして

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    命って失くされてしまうもの大事にされるもの
    様々だと思うけど
    やっぱり今自分が生きているのは
    生かされているのだと思う

    しあわせだと思えることがなによりの幸福

    大切に生きていきたい

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    2018年03月03日
  • 小さないじわるを消すだけで

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    小さな棘、ささいな悪魔を徹底的にとりのぞくと何がおこるだろう。

    「小さないじわる」
    この言葉にドキッとしました。
    自分のプライドを守るためとか、ちょっとした憂さ晴らしから、小さないじわるをしてしまう。
    心の中から小さな悪魔が、ちょっとだけいじめちゃえ!とそそのかす。

    自分に余裕がないと、やってしまいます。

    面倒だから、自分を認めてほしいから、許せないから、理由はいろいろ。

    自分が知らないうちに、小さないじわるをしていたことに気づかせてくれます。

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    2018年02月27日
  • すぐそこのたからもの

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    ネタバレ

    ふらっと買ったよしもとばななの「すぐそこのたからもの」。
    シンプルな子育てエッセイなんだけど、詩集のような、子供のレンズで見た世界を再構築するような、うつくしく切ない世界観に2度ほどグッときて泣きそうに。

    限られた時間ならではの感性のうつくしさとと、いつかそれを失っていく予感に満ちた、よしもとさんの願いのような祈りのような本。

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    2018年02月12日
  • サーカスナイト

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    ちょっとした幸せを噛みしめながら、ときに親や恋人、世話になった人々の愛情を反芻しながら、日々を過ごしていく主人公さやか。そんな生活のなか、さやかは不思議な巡り合わせで悲しくもある物語と引き合うことになる。やがてその物語は、彼女と彼女を守ってきた愛情によって、輪郭をともない、生きる人へとつながっていく。

    ①現代社会に平和、憩いとして描かれるものに注目
    多くの愛情を受けたことが幸せを呼び、その幸せがまた愛情を呼ぶという循環によって延々と続いていく優しい世界。そんな世界が描かれることは、その世界が現代と近くて遠い状況にあることを意識させる。

    ②生き方を分ける境界
    主人公さやかは最後まで幸せな側として描かれるが、絶対的なこととして幸せであるわけではない。作中の印象的なセリフ「それでもね、なにか、ひとつ薄い膜だけれど、幕のようなものがあって、私はなかなかあそこに世話になる状況にはなりにくいと……」
    ここでのキーワードが古井由吉の『杳子』を連想させる。健康と病気の間の「薄い膜」に留まることで生を実感する杳子。膜に守られて自分があるとするさやか。いずれの場合も、「薄い膜」を意識した瞬間に顕在する、生き方への思いというものがある。

    ③著者から読者への愛情
    幸せで憩いのある小説として描かれた小説であるが、読み手は「薄い膜」の向こう側からの視点をイメージしてこの小説をみつめることもできる。しかしそんなことは著者も想定しているだろう。むしろ誰であってもこの小説から、幸せに生きるためのエネルギー、愛情を注ぐことへの信頼を享受しても良い。そんなメッセージが感じられる。

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    2018年01月26日
  • ゆめみるハワイ

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    ネタバレ

    忙しい毎日の中で、一呼吸おいて、自分の頑張りを認める。生きている、確かにここにいることを感じる。あっという間に過ぎ去っていくから、自分で自分を大切にしないと。
    きっと、人それぞれ自分にとっての「ハワイ」があると思う。私にとってそれは沖縄なんだと思う。自分の中にいる本当の自分に気づける場所。

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    2018年01月20日
  • 彼女について

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    ネタバレ

    途中から、

    あれ、もしかして、いや待てよ、そんなのイヤだよ、うん違うはず、でもな、

    なんて一人でハラハラしながら読み進めてしまったので、主人公のいまが明らかになった時、ああ信じたくなかったのに、という残念な気持ちと、これで一息つけるんだ、という安心感がないまぜになりながら、ぐすぐすと涙が溢れてしまった。

    沁み込む力のある、文章だったなあと思う。死は遠い存在では決してないのだと。

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    2018年01月08日