山本弘のレビュー一覧
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山本弘の小説で鼻白むのは人物造形。何だかアニメみたいで、読んでいる方が気恥ずかしくなってしまう。と思いながら、「アニメみたい」ということの内実をきちんと論ずるのが難しいことに気づく。なぜアニメみたいと思うのかうまく言語化できないのだ。登場人物たちの会話がアニメに出てきそうな感じだからというのもあるだろうが、人物造形そのものにアニメ臭さがあるようにも思う。だからといって人物に葛藤がない、というわけでもない。だが、何だか人物が複雑じゃない。
そこまで考えて、こんなことを思いついた。アニメの登場人物はまずは絵として演出されたものが作られ、その後に、声優が声で演ずる。アフレコである。極言すれば作画 -
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『トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と』山本 弘 著 角川文庫刊
山本 弘による怪獣小説『MM9』3部作の世界で起こるスピンオフストーリー4編を集めた短編集。正統派な怪獣SF小説として描かれた一作目の『MM9』でみられたハードなドラマ展開から一転、『MM9―invasion―』『MM9―destruction―』に観られるボーイ・ミーツー・ガール、少女と怪獣といったライトノベル寄りのコンセプトを継承するストーリーではあるものの、少年の自立、ミステリー仕立ての冒険譚、疎まれた者の心と神の存在、自然と文明といったシリアスなテーマを「怪獣のいる世界」の中で短編で描き切った秀作ぞろい。
中でも -
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2013年に刊行された「怪獣文藝」の続編として、怪獣と怪獣が跋扈する世界をこよなく愛する映像作家(監督)と小説家による持ち前のセンスを生かして書き上げた怪獣短編小説で構成したアンソロジー集の第二弾。
前作が怪異な世界観をメインテーマに据えて構成したミステリー、ホラー色の強い怪奇小説作品集としての仕上がりは≪怪獣小説≫を期待した読者の評価が二分した結果を踏まえ、今回はより具体的に怪獣の暴れまわる事件に焦点を当てたビジュアル的なストーリー展開の作品で構成されている。映像でストーリーを読ませる映画監督による文章表現と、文章を用いてビジュアルをイメージさせる小説家の双方が「怪獣」をテーマにした競作は≪ -
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評価★★★:そのジャンル(ゴーストハンターや、ホラー系TRPGや、クトゥルフやら)が好きなら手を出してみてもいいかも
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電源ゲームはやったことはない。
TRPGでゴーストハンターシリーズは遊んだことがある。
以上の状態で、実は「ラプラスの魔」を読むのは初めて。
TRPGのリプレイなどで登場人物の何人かは把握できていたし、クトゥルフ系ネタも少しは理解できたので、読むのがラクチンだった。
傾向はホラー、SF。
ついでに1920年代に興味があるとなお読みやすい。
導入はいわゆる幽霊屋敷探検だが、後半は一転して舞台が広がる。
恐怖の規模も大きくなるのだが、逆に大きすぎて読 -
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好きなジャンルであり、初作も楽しめたのでハードカバー版もすぐにでも読みたかったのだが文庫本をコレクションしている身としては 文庫版になるまで「じっと我慢の子」は長かったなぁ。
前作のコンセプトが、元々は特撮を用いた大人向けの怪奇ミステリーシリーズ『アンバランス』から派生した『ウルトラQ』の形態を踏まえており、大人でも楽しめる「気特対」の面々の視点でドラマが構成されて≪怪獣版・怪奇大作戦≫となっていたのに対し、第2部の本作は最初から少年向けの特撮冒険活劇として企画された『ウルトラマン』のド!ストレートなリスペクトであり、巨大ヒーローストーリーを照れることなく真摯に胸を張って挑んでいる所が気持ち良 -
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ネタバレアンドロイドが改編した時点でパラレルワールドになるとしても、過去の人類の生活を改善しようとタイムトラベルしに来るというお話。うーん、そういう思考をするようになるかな。。
AIの思考は、人類と接触するのであれば、チューリングマシーン的にある程度相互理解が可能なやり取りを出来るようでなければならないとは思うのだけど。どうもその思考にリアリティを感じない。
超越者が神様にしろ、宇宙人にしろ、未来人にしろ、アンドロイドにしろ、物語にするために、顕現させるとこういう発想になりました、ということかな。
2300年で概ね人類の幸せのためにやれる事はやり尽くして、後は過去を改編して幸せに感じる人間の総量を増や -
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異星人とのファーストコンタクトものではあるが、そもそも異星人二抱くイメージというか幻想というものが地球人全般的に広く誤った認識で捉えられていることが、少し少しの嘘と意図的な事実の隠ぺいにより、蓄積された歴史によって積み重ねられたものであり、この辺りの蘊蓄が作者らしいところではあるが、逆にここに拘り過ぎたが故に、物語が小さくなっているのではないかと思われる。全く価値観も世界観も異なる異星人とのコミュニケーションや、異星人側の思考が地球人と殆んど変らないこととか、異なる進化の過程を経て、同じ生物ではあるものの、同じ大気組成や同じ重力下で生存できるのも違和感が残る。ただし、確かにファーストコンタクト
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宇宙には神も仏も存在せず、生命体は死んだら全て無に帰すという世界観には一抹の寂しさを覚えるなぁ。
そもそも、死んだら何も残らない非情な世であれば、おそらく不死が究極の目的になるだろう。
にもかかわらず、宇宙の開闢以来、数多の文明が未だそれを実現(努力)していないというプロットになっている。
それはいいとして、
もしも科学の発達によって目出度く不死身の生命を手にしたとする。
そうなると、無常(世代交代)を断ったそれはもはや生命の定義から外れて、永遠の停滞が約束される。それから逃れるには自殺が唯一の手段となる寂寞たる世界。
否、自殺さえ不可能な状態かもしれない。
う~ん恐ろしいですね