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特に第6話がいい
おそらく作者山本弘の代表作と思う。この作者の小説は時々説教臭が鼻につくことがあるがこの本はその点が薄めで読みやすい。
特に最近進歩が顕著で身の周りにあふれ出し始めているAIの未来像 その光と影を描き出し問題提起している。もちろん単なる啓発書ではなくSF小説としても素晴らしく面白い。特に第6話の最終行など、出来のいい映画の一画面を見るような思いがした。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
1940〜2040年、それはヒトが最初の
コンピューターを開発して、
AI、アンドロイドへと移りゆく100年間
物語の舞台はそれ以降の先の話
現在はアンドロイドが地球を支配し、
ヒトの文明は崩壊して僅かに生き残っている
各地で昔話を語って回る主人公は、
少女型アンドロイド(アイビス)に捕らえられ、
彼女から6つの物語と1つの物語を聞かされる
その真意は?
めーーーちゃくちゃ良かった!!
こんな壮大な物語とは思わなかった
約20年前に書かれた本だけど、
AIの台頭、仮想現実、ウイルスの脅威、など
まるで預言書みたいだった
現実も、この物語の時代設定に近づきつつあり、
これからの行く末を深く考えさせられた
アンドロイド視点で、ヒトがいかに
矛盾した生き物か的確に突いてくる
作品の内包するテーマと、問いかけは
まさに今読むべき神作といえる作品
もっと評価されるべき本
また、アイビスがヒトに読み聞かせる物語も
それぞれの話が独立して
一つの物語として成り立つくらい良かった
例えば↓
【第3話 ミラーガール】
これだけで映画がつくれそうで
とても面白かった
【第5話 正義が正義である世界】
面白かったなぁ
途中から気づいたとき、
そういうことか、となった
【第6話 詩音が来た日】
アンドロイドの自律の話に、介護を持ってきたのは
凄く現実的なチョイスだと思う
作中、その彼女(アンドロイド)が
初めて外に出かけるシーンがあり、
ブティックや化粧品店を素通りするのを見て
ヒトが着飾ったり化粧するのは、
容姿に対するコンプレックスや衰えに対し、
不安が要因の一つとしてあげられてると
書かれてるが、なるほどなと思う
アンドロイドは確かにその必要はないかもね
【第7話 アイの物語】
色々考えさせられた
多分こういう議論は
この先の現実でもまってるんだろうな
物語の中でアンドロイドがヒトに対して
自律した行動をみせたとき、
優しさを感じると共に若干の怖さも感じた
自我が目覚めた先に待ち受けるものは何か
現実社会でもその時が近づいてきてる気がする
そしてその議論をするとき、
アンドロイドはヒトに従順なのか、
それとも反逆するのか、
という0か100、白か黒かの二元論に陥りやすい
考えさせられた
近年でもAI同士が理解不能な会話をして
開発者がやめさせた話かあるけど、
この物語でもそれが起こる
読み手は???となるが、
そこは流し読みして構わない
ネタバレになるので深く言えないけど、
とにかく大好きな話だった
Posted by ブクログ
人類が衰退しマシンに支配された世界で
語り部である「彼」はアイビスというマシンに物語を聞かせられる
その目的とはなんなのか
物語はフィクションであり真実ではない、が真実以上の力がある。
人間はフィクションの中で生きている
外界を内面に映し出し、それを主観的現実と認識して行動や思考を決めている。
その認識に齟齬が生じた場合、マシンであれば修正し正しい考えに書き換えることに抵抗を持つ事はない
しかし人間はしばし自らの考えに固執し、正しい情報を拒否してしまう(ゲドシールド)
そしてそれを自覚することが難しい
詩音の言う「すべてのヒトは認知症なのです」はヒトの確信をついていると思う
しかし、人と違いマシンはヒトが劣っていることを蔑むことはせず許容する事ができる
世の中には問題の本質や答えであると思える物語が溢れているし
ラビが「自分の嫌なことを隣人にしてはならない」という明快な答えに辿り着いているというのに
なのに、間違いがなくなる事がない
全てのヒトがその物語を読んでいないから、知っていないからということもあるだろう
或いはゲドシールドに阻まれて、その本質を見る事ができないということもあるだろう
ヒトが愚かであることを許容し、正しいことをしようと何度も思うしかない
物語としても面白い上に、ヒトとはなんなのか、自分とはなんなのかを考えさせられる物語
何度でも読みたい
Posted by ブクログ
人類が衰退したあとの世界で、主人公とアンドロイドのアイビスが出会うところから物語が始まる。アンドロイドを憎む主人公にアイビスが話したのは、いくつかの物語だった。
この作品は、作者の過去作をアイビスが語るスタイルで読むことができる短編集であり、話が繋がることで長編になるように構成されています。
ひとつひとつのお話も面白く、すぐに読み終わってしまいました。本当にアンドロイドがいたら、こうなるだろうな、こんな問題が起こるのだろうなとリアルに想像ができた。本当、きっとこうなる。
「紫音が来た日」では、人の心を救うということについての答えを見た気がする。「ミラーガール」では、子供の頃に人形を友達にしていた気持ちを思い出し、「宇宙を僕の手の上に」では物語のもつ力を、インターネットを始めたばかりのときの気持ちと合わせて想像して感じた。
後半、自分の想像を超えてアイビス、アンドロイドたちが別種の生き物として懸命に生きて見えた。ひとにこの話が書けるならまだ大丈夫なんだと思えました。同じことを願うひとがきっと居る。居たらいいな。
アンドロイド語に少しはまりました。
(5+7i)
Posted by ブクログ
豊崎由美のあとがきに共感する。
山本弘は物語で世界を変えようとしている。
『アイの物語』は強いメッセージのこもった本だ。
あらすじの通り、アイビスが読み聞かせるのは6つの物語。
「宇宙をぼくの手の上に」
「ときめきの仮想空間」
「ミラーガール」
「ブラックホール・ダイバー」
「正義が正義である世界」
「詩音が来た日」
「アイの物語」
こうして並ぶからこそ多少の差は出るが、すべて☆5でいい作品たちだ。
書き下ろしは最後の2作品だけだが、その他は初出の時期がバラバラで、それを一冊にまとめてひとつの物語を紡ぐという構成力がすごい。
一つ一つの物語を見ても、構成の上手さが光る。
SFなので都合の良い設定を生み出しやすいとはいえ、それをどう使うかは力量次第。
この作品では設定されたものは使いつくされる。
情報に無駄がない。
構成をいじって、山本弘がよりうまく伝えようとしたものは何か?
それは「i」だよ「i」。
人間というものは、とにかく自分のものさしではかろうとする生き物だと考えさせられる。
作中にある通り、「フィクションは『しょせんフィクション』ではない」。
現実の言葉だろうがフィクションの中の言葉だろうが、その言葉自体の重みは変わらない。
それどころか、物語の方が現実より正しいことは往々にしてある。
『アイの物語』には真実が書かれている。
たくさんの人に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
#日本SF読者クラブ 自殺騒動も記憶に新しい山本弘氏の作品。人類が衰退し、マシンたちが繁栄する、まるで「ターミネーター」のような未来の地球(ここ重要です)。美しい女性型アンドロイドに囚われた「僕」。彼にいくつかの物語を聞かせるアンドロイド「アイビス」。そう未来の千夜一夜物語だ。
そもそも本作は、作者が別々に発表した短編に書下ろしの2編を加え、インターミッションで繋いで一つの長編にしている。それぞれの短編も面白いし、長編としてもうまく構成されている。特に書下ろしの第6話が効いている。そして最終話で、前述した重要ポイントの真相が明らかにされる。7回日本SF大賞候補、吉川英治文学新人賞候補になるのもうなづける。
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