山本弘のレビュー一覧

  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上

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    ランキングから物色し、皆さんの評価も良さげだったし、また、“ビブリオバトル”の存在は薄~く聞いたことはあったけど、細かな内容については全く知らなかったので、何よりそれに惹かれて買ってみた。
    それにしても、本の紹介をする“バトル”を題材に、殆ど中身を本の紹介に費やしながら、物語を組み立てていくって、なかなか凄い。
    導入のSF本の紹介は、これでもかというくらいでかなりくどく、そこは気になりつつも、しかし、紹介される本はそれぞれなかなかに興味深く、あれもこれも読んでみたくなる。
    これに続く、学校でのバトルもジャンルを広げて引き続き、個性豊かに延々と紹介される内容に圧倒される。
    確かに、世に出る本の量からして、こちらが読めるものは限られており、読めば琴線に触れた筈の本でも出会わなければどうにもならないわけで、私がランキングから探すのもひとつの方法だろうが、こうしたバトルを見て心動いた本に触れてみるというのもそこはまた一興だろう。
    物語としては大した中身はないが、紹介される本の量と内容に圧倒され、トライもせずにここで興味を持った本でも全ては読み切れないだろうという残念感に浸りつつ、下巻へ続く。

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    2016年05月12日
  • SF JACK

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    いろんなジャンルのSFがある。
    楽しくてワクワクってよりも、ちょっと手を伸ばすのに躊躇してしまう怖さを含んでいるかのような。

    山田正紀著
    「別の世界は可能かもしれない」
    以降はそんな感じに思えた。

    宮部みゆき著
    「さよならの儀式」
    はホロってくる感動作

    夢枕獏著
    「陰態の家」
    有名で知ってはいたけど初読。読みやすいし、傀儡(くぐつ)屋の妖的な話に引き込まれる。

    新たな作家さんの発掘にもなったかな。

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    2016年05月11日
  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 下

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    上巻より、テーマが敷かれた分、面白くなった!
    人種差別、歴史の修正。
    重たいテーマだし、対する相手側の浅はかな本との向き合い方には、もはや敵と見なさず!という感じではあるのだけど。

    テーマがあるからこそ、それぞれのキャラクターがどう考えて、自身の頭の本棚から引っ張り出してくるのかが面白くなる。
    当たり前だけれど、このバトルの根本は、その本をその人自身は読んでいるところから始まるのだ。

    上下併せて読んで良かった。

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    2016年05月01日
  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上

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    少し前に、高校生版のビブリオバトルの記事が載っていた。
    優勝作品は、筒井康隆の『残像に口紅を』。
    作品の面白い部分を上手く掴んだ内容で、実際に声として聞いていたら、きっともっと魅力的だったんじゃないかと思う。

    そういう意味で、この作品は、本であるがゆえに、ビブリオバトルの本当の魅力までは伝えられない制限がある。
    加えて、空の知識量の凄まじさをタイトルで列挙していくわけだけど、一つ一つをていねいに取り上げるのではないので、面白みに欠ける。

    そんな中で、部員たちが一冊にかける気持ちを厚くしていって欲しいなーとも思う。
    ビブリオバトルというものの大枠を知るのには良いかも。

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    2016年05月01日
  • SF JACK

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    人は宇宙をも想像できるんだな。

    元々ファンタジーが好きなので、時々こうやって別世界に旅立つことは、楽しい。
    どれも短編なのに、すごい力を持っている。

    冲方丁「神星伝」は、長編で読みたい。
    壮大かつ緻密な設定が、この分量では到底足りないと感じた。樹体と和風テイストな世界観の絡み方が美味しすぎる。

    ミュータントであるネズミと人間の争いを書いた、山田正紀「別の世界は可能かもしれない」は一番衝撃だった。
    共感能力を使って、他者を支配下においていく、そのオリジナルの怖さがギャップ。

    からの、宮部みゆき、夢枕獏できちんと終わる感。

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    2016年03月13日
  • 神は沈黙せず(下)

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    ネタバレ

    上巻で論じられている、ファフロツキーズ、ダーウィンズ・ガーデン、ドーキンズ・ガーデン、アーフとミーム、フェッセンデンの宇宙、中国語の部屋などについて、膨大な情報を蓄えれば蓄えるほど、下巻をより楽しめると思われる。

    上巻は情報量が膨大で学術論文を読んでいるように感じたが、下巻は上巻より物語主体だったので楽しめた。

    月に現れた「神の顔」はどんな顔なんだろう、ありとあらゆる超常現象が頻繁に発生する世界に入り込んで見てみたい、「怖い物見たさ」の興味をそそられた。

    「正しく生きたいから、正しく生きる」という優歌の思想には共感できた。

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    2016年03月01日
  • 地球移動作戦(下)

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     山本弘の小説で鼻白むのは人物造形。何だかアニメみたいで、読んでいる方が気恥ずかしくなってしまう。と思いながら、「アニメみたい」ということの内実をきちんと論ずるのが難しいことに気づく。なぜアニメみたいと思うのかうまく言語化できないのだ。登場人物たちの会話がアニメに出てきそうな感じだからというのもあるだろうが、人物造形そのものにアニメ臭さがあるようにも思う。だからといって人物に葛藤がない、というわけでもない。だが、何だか人物が複雑じゃない。
     そこまで考えて、こんなことを思いついた。アニメの登場人物はまずは絵として演出されたものが作られ、その後に、声優が声で演ずる。アフレコである。極言すれば作画監督と声優とが表現を持ち寄って1つの演技を作り上げるのである。まさに絵と声とが複雑に葛藤する状況。のはずだが、その葛藤が露呈してはいけないのだ。作画監督は声優が演じやすいように絵を描き、声優はその絵と葛藤を生じないように演ずる。2つのものを組み合わせるがために、アニメの質が上がれば上がるほど、必要以上に統一的な表現、もっといえば平板な表現が生まれるという状況があるのではないだろうか。例えば、名優は言語的な表出と非言語的な表出を微妙にずらしながら演技するといった複雑なことをしているはずである。アニメでもそれは原理的には可能だろうが、表情の声との分業体制によって、言語と非言語の不一致ならば、にこやかな表情で脅迫するといった紋切り型の表現に陥ってしまうのではないか。
     山本弘は論理的であることに美徳を見出している作家である。そして『地球移動作戦』は、負の側面が強調されてすっかりダサくなってしまった「科学」の力と、人間の意志の力で未曾有の天災に立ち向かう物語である。いくつかの科学的フィクションを導入した上で、それ以外については科学的に考証してストーリーを組み立てており、その点では大した力業だと思う。もちろん情感に訴えるエピソードにも事欠かない。『日本沈没』に比肩してもいいだろう。
     しかしながら、もはやわれわれは広島後、3.11後を生きているのだとは言わずも、善人と悪人しか出てこない物語が厚みを欠くように、科学と非科学しか出てこない物語には謎めいた空虚がないのだ。人間というものは謎めいた空虚を持った存在で、論理的にでもなく、非論理的にでもなく、無論理的に思考し行動する瞬間があるのだ。その無論理に人間的な何かが宿り、謎めいた空虚が物語に魔術的な駆動を与えるはずなのに。

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    2016年02月07日
  • アイの物語

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    ネタバレ

    SFは苦手意識があったけど、この本のお話はどれも読みやすいし、いい感じでまとまってた。
    仮想現実の世界の話や宇宙の果ての話など、いろんな世界観の話があって飽きずに読める。
    「詩音が来た日」は長いけど、最後は感動できた。こんな世の中になったらいいなって思える。

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    2021年06月23日
  • トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と

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    『トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と』山本 弘 著  角川文庫刊

    山本 弘による怪獣小説『MM9』3部作の世界で起こるスピンオフストーリー4編を集めた短編集。正統派な怪獣SF小説として描かれた一作目の『MM9』でみられたハードなドラマ展開から一転、『MM9―invasion―』『MM9―destruction―』に観られるボーイ・ミーツー・ガール、少女と怪獣といったライトノベル寄りのコンセプトを継承するストーリーではあるものの、少年の自立、ミステリー仕立ての冒険譚、疎まれた者の心と神の存在、自然と文明といったシリアスなテーマを「怪獣のいる世界」の中で短編で描き切った秀作ぞろい。
    中でも「怪獣神様」は市川森一、「怪獣無法地帯」は上原正三といった60~70年に放送されたウルトラシリーズの重鎮的シナリヲライターによる作品群を彷彿とさせるストーリーは「怪獣特撮作品群」を正当な“ドラマ”として観てきたファンの心に響く出来。

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    2015年12月11日
  • 怪獣文藝の逆襲

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    大倉崇裕「怪獣チェイサー」がよかった。自分、MM9シリーズみたいな怪獣に関する架空の職業について書かれた小説が好きなのかもしれない。プロフェッショナルは格好良い。

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    2015年09月30日
  • 神は沈黙せず(下)

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    神は存在せず、死後の世界はなく死すればすべて無になるのであれば人間存在意味はない。人間は人間に都合のよい神を創作し、有はしない死後の世界を語る。ならばこの世界の存在理由とはなんなのだろう。てなことを考えてみて眠れぬ夜を幾夜過ごしたことだろう。この症状を世の中では中二病発症という。本書は真っ向から中二病に立ち向かった内容となっている。これはこれなりに評価は高い(笑

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    2015年07月21日
  • 神は沈黙せず(下)

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    上・下巻と神が人間世界とどのように関わっているかを議論している本作品。
    考えたこともない視点から描かれていて、
    とても興味深い本となりました。
    そして、気になる結論は、私の好きな感じで終えておりました。
    この本を読んだ方々と自分の考えを議論したくなる作品でした。

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    2015年07月08日
  • 神は沈黙せず(上)

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    著者の知識の豊富さに驚かされる作品。
    フィクションなのか、ノンフィクションなのかが分からなくなってしまうほど巧妙な構成。
    この本は強い影響力を持つと感じる。
    また、万人受けする内容ではないと思う。
    しかし、超常現象やオカルト、都市伝説などが好きな方は非常に興味深いものとなると思われる。

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    2015年07月03日
  • 怪獣文藝の逆襲

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    2013年に刊行された「怪獣文藝」の続編として、怪獣と怪獣が跋扈する世界をこよなく愛する映像作家(監督)と小説家による持ち前のセンスを生かして書き上げた怪獣短編小説で構成したアンソロジー集の第二弾。
    前作が怪異な世界観をメインテーマに据えて構成したミステリー、ホラー色の強い怪奇小説作品集としての仕上がりは≪怪獣小説≫を期待した読者の評価が二分した結果を踏まえ、今回はより具体的に怪獣の暴れまわる事件に焦点を当てたビジュアル的なストーリー展開の作品で構成されている。映像でストーリーを読ませる映画監督による文章表現と、文章を用いてビジュアルをイメージさせる小説家の双方が「怪獣」をテーマにした競作は≪文藝同人誌≫としての仕上がりとしてもまた楽しい。日本では映像作品が先行している「怪獣話」はミステリー、ホラー、SFの世界に統合されており、小説として一つのジャンルとしては確立していないのが現状であり、その点でも「怪獣小説」の今後の発展に期待したい。

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    2015年11月05日
  • 闇が落ちる前に、もう一度

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    SF短編集。しかしもともとホラー文庫で出すために書かれたそうで、そういう風味で読みやすい。しかし科学で原理や未来について考える必要がある問題は、哲学に近くなるね。高度な人工知能は心を持つと言えるのか、とか。

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    2015年01月19日
  • ゴーストハンター ラプラスの魔【完全版】

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    評価★★★:そのジャンル(ゴーストハンターや、ホラー系TRPGや、クトゥルフやら)が好きなら手を出してみてもいいかも

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    電源ゲームはやったことはない。
    TRPGでゴーストハンターシリーズは遊んだことがある。
    以上の状態で、実は「ラプラスの魔」を読むのは初めて。

    TRPGのリプレイなどで登場人物の何人かは把握できていたし、クトゥルフ系ネタも少しは理解できたので、読むのがラクチンだった。

    傾向はホラー、SF。
    ついでに1920年代に興味があるとなお読みやすい。

    導入はいわゆる幽霊屋敷探検だが、後半は一転して舞台が広がる。
    恐怖の規模も大きくなるのだが、逆に大きすぎて読者がゾッとした気分を味わいにくい。
    (これは「コズミック・ホラーをどう表現するか」の難しく面白いところだと常に思うのだけど)
    後半はSF色をぞんぶんに楽しむ形ということかな~。

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    2014年10月12日
  • MM9 ─destruction─【文庫版】

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    前半のラノベ展開にはちょっと引く。だって怪獣=災害という話なんだからこれ災害小説なんでしょ? ラノベにするなよぉ・・・。書いたの3.11以降なんだし。1巻は災害小説だった気がするだけに。
    ただ後半の怪獣大戦争は燃える。これ以降は完全にきぐるみ特撮の映像で読める。特撮からの引用もいっぱい。

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    2014年09月12日
  • MM9 ─destruction─【文庫版】

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    新たなストーリー展開の『MM9』、前作からの「神話は怪獣の物語だ!」のテーマで怪獣の存在を古くから伝えられる世界の神話になぞらえたハッタリの利いたトンデモ設定でノリノリな完結編的展開が楽しかった。そのテーマ故、妙に理屈をこねまわす大人な解釈で話を進めるよりもラノベ調へ振った展開は返って肩がこらずに明るい気分で読めたので正解だろう。 特撮映画や特撮ドラマ好きへの小ネタも満載。しかし、怪獣小説の難しさ故にネタの膨らまし方にも限界が視えてきた感もあり、「ここらが潮時!」っといった≪潔さ≫も気持ちが良く三部作を堪能できた。

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    2015年11月04日
  • MM9 ─invasion─【文庫版】

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    ウルトラマン世代ってどのくらいの幅があるのだろうか。Qを含むウルトラマン・シリーズへのオマージュ。舞台は2012年の日本のように見えるが文中で時折語られる歴史が一部改変されていることからここがパラレルワ―ルドであることが分る。自然災害の代りに怪獣災害が繰り返される世界を描いたシリーズ第二作。ウルトラマンの役を巨大怪獣少女が務めるという元祖オタク作家的展開。当初は激しく違和感を覚えるも知らぬ間に設定に馴染んでいる私がいた。お約束の三分間ネタも出てくる。見方を変えれば異類婚姻譚という伝統的物語世界とも言える。

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    2014年06月26日
  • MM9 ─invasion─【文庫版】

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    好きなジャンルであり、初作も楽しめたのでハードカバー版もすぐにでも読みたかったのだが文庫本をコレクションしている身としては 文庫版になるまで「じっと我慢の子」は長かったなぁ。
    前作のコンセプトが、元々は特撮を用いた大人向けの怪奇ミステリーシリーズ『アンバランス』から派生した『ウルトラQ』の形態を踏まえており、大人でも楽しめる「気特対」の面々の視点でドラマが構成されて≪怪獣版・怪奇大作戦≫となっていたのに対し、第2部の本作は最初から少年向けの特撮冒険活劇として企画された『ウルトラマン』のド!ストレートなリスペクトであり、巨大ヒーローストーリーを照れることなく真摯に胸を張って挑んでいる所が気持ち良い。
    『ウルトラマン』のメインシナリオライターを務めた故・金城哲夫の筆によるノベライズ作品『小説 ウルトラマン』に倣い少年冒険活劇を今風のボーイ・ミーツ・ガールをを絡めて描いているので、若い読者から見れば≪ライトノベル≫として読める事だろう。が、そこは大人の目で怪獣小説としてを読むか?はたまたテレビに噛り付いて30分という時間を夢中で過ごした「あの頃の自分」の目で読むのか?で印象がガラリと変わる作風を「演出」として得てして行っている所に作者の『御企み』を伺い知ることが出来る。
    物語の中では古今東西のSF怪獣映画作品を多数「事例」としてとりあげ、その方面のマニアならばニヤリとさせられる「くすぐり」もサービスとして盛り込まれているのは前作から受け継いで健在。
    今回のメインキャラクターとして 登場する人間側の味方である巨大ヒーロー(ヒロイン)はその設定こそ『ウルトラマン』のそれであるものの、容姿の設定は「映像化」が不可能であろう事を承知の上で描いており、今日の日本の特撮、映像の業界に対して「実写では描けないもの」を提言する作者のシニカルな面も見え隠れする。もっとも、今の邦画業界においては、こういうお話は充分な予算も与えられないし、安易に映像化などすると8割方失敗するから「読んでイマジネーションを膨らませて脳内演出する方が正しい楽しみ方である」と同時に活字の話を楽しむ「小説の強み」を作者自身が力強く語っているようにも視得る。 最終巻の「第三部」も非常に楽しみ。

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    2015年11月04日