山本弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ランキングから物色し、皆さんの評価も良さげだったし、また、“ビブリオバトル”の存在は薄~く聞いたことはあったけど、細かな内容については全く知らなかったので、何よりそれに惹かれて買ってみた。
それにしても、本の紹介をする“バトル”を題材に、殆ど中身を本の紹介に費やしながら、物語を組み立てていくって、なかなか凄い。
導入のSF本の紹介は、これでもかというくらいでかなりくどく、そこは気になりつつも、しかし、紹介される本はそれぞれなかなかに興味深く、あれもこれも読んでみたくなる。
これに続く、学校でのバトルもジャンルを広げて引き続き、個性豊かに延々と紹介される内容に圧倒される。
確かに、世に出る本の量からして、こちらが読めるものは限られており、読めば琴線に触れた筈の本でも出会わなければどうにもならないわけで、私がランキングから探すのもひとつの方法だろうが、こうしたバトルを見て心動いた本に触れてみるというのもそこはまた一興だろう。
物語としては大した中身はないが、紹介される本の量と内容に圧倒され、トライもせずにここで興味を持った本でも全ては読み切れないだろうという残念感に浸りつつ、下巻へ続く。 -
Posted by ブクログ
少し前に、高校生版のビブリオバトルの記事が載っていた。
優勝作品は、筒井康隆の『残像に口紅を』。
作品の面白い部分を上手く掴んだ内容で、実際に声として聞いていたら、きっともっと魅力的だったんじゃないかと思う。
そういう意味で、この作品は、本であるがゆえに、ビブリオバトルの本当の魅力までは伝えられない制限がある。
加えて、空の知識量の凄まじさをタイトルで列挙していくわけだけど、一つ一つをていねいに取り上げるのではないので、面白みに欠ける。
そんな中で、部員たちが一冊にかける気持ちを厚くしていって欲しいなーとも思う。
ビブリオバトルというものの大枠を知るのには良いかも。 -
Posted by ブクログ
山本弘の小説で鼻白むのは人物造形。何だかアニメみたいで、読んでいる方が気恥ずかしくなってしまう。と思いながら、「アニメみたい」ということの内実をきちんと論ずるのが難しいことに気づく。なぜアニメみたいと思うのかうまく言語化できないのだ。登場人物たちの会話がアニメに出てきそうな感じだからというのもあるだろうが、人物造形そのものにアニメ臭さがあるようにも思う。だからといって人物に葛藤がない、というわけでもない。だが、何だか人物が複雑じゃない。
そこまで考えて、こんなことを思いついた。アニメの登場人物はまずは絵として演出されたものが作られ、その後に、声優が声で演ずる。アフレコである。極言すれば作画監督と声優とが表現を持ち寄って1つの演技を作り上げるのである。まさに絵と声とが複雑に葛藤する状況。のはずだが、その葛藤が露呈してはいけないのだ。作画監督は声優が演じやすいように絵を描き、声優はその絵と葛藤を生じないように演ずる。2つのものを組み合わせるがために、アニメの質が上がれば上がるほど、必要以上に統一的な表現、もっといえば平板な表現が生まれるという状況があるのではないだろうか。例えば、名優は言語的な表出と非言語的な表出を微妙にずらしながら演技するといった複雑なことをしているはずである。アニメでもそれは原理的には可能だろうが、表情の声との分業体制によって、言語と非言語の不一致ならば、にこやかな表情で脅迫するといった紋切り型の表現に陥ってしまうのではないか。
山本弘は論理的であることに美徳を見出している作家である。そして『地球移動作戦』は、負の側面が強調されてすっかりダサくなってしまった「科学」の力と、人間の意志の力で未曾有の天災に立ち向かう物語である。いくつかの科学的フィクションを導入した上で、それ以外については科学的に考証してストーリーを組み立てており、その点では大した力業だと思う。もちろん情感に訴えるエピソードにも事欠かない。『日本沈没』に比肩してもいいだろう。
しかしながら、もはやわれわれは広島後、3.11後を生きているのだとは言わずも、善人と悪人しか出てこない物語が厚みを欠くように、科学と非科学しか出てこない物語には謎めいた空虚がないのだ。人間というものは謎めいた空虚を持った存在で、論理的にでもなく、非論理的にでもなく、無論理的に思考し行動する瞬間があるのだ。その無論理に人間的な何かが宿り、謎めいた空虚が物語に魔術的な駆動を与えるはずなのに。 -
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『トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と』山本 弘 著 角川文庫刊
山本 弘による怪獣小説『MM9』3部作の世界で起こるスピンオフストーリー4編を集めた短編集。正統派な怪獣SF小説として描かれた一作目の『MM9』でみられたハードなドラマ展開から一転、『MM9―invasion―』『MM9―destruction―』に観られるボーイ・ミーツー・ガール、少女と怪獣といったライトノベル寄りのコンセプトを継承するストーリーではあるものの、少年の自立、ミステリー仕立ての冒険譚、疎まれた者の心と神の存在、自然と文明といったシリアスなテーマを「怪獣のいる世界」の中で短編で描き切った秀作ぞろい。
中でも「怪獣神様」は市川森一、「怪獣無法地帯」は上原正三といった60~70年に放送されたウルトラシリーズの重鎮的シナリヲライターによる作品群を彷彿とさせるストーリーは「怪獣特撮作品群」を正当な“ドラマ”として観てきたファンの心に響く出来。 -
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2013年に刊行された「怪獣文藝」の続編として、怪獣と怪獣が跋扈する世界をこよなく愛する映像作家(監督)と小説家による持ち前のセンスを生かして書き上げた怪獣短編小説で構成したアンソロジー集の第二弾。
前作が怪異な世界観をメインテーマに据えて構成したミステリー、ホラー色の強い怪奇小説作品集としての仕上がりは≪怪獣小説≫を期待した読者の評価が二分した結果を踏まえ、今回はより具体的に怪獣の暴れまわる事件に焦点を当てたビジュアル的なストーリー展開の作品で構成されている。映像でストーリーを読ませる映画監督による文章表現と、文章を用いてビジュアルをイメージさせる小説家の双方が「怪獣」をテーマにした競作は≪文藝同人誌≫としての仕上がりとしてもまた楽しい。日本では映像作品が先行している「怪獣話」はミステリー、ホラー、SFの世界に統合されており、小説として一つのジャンルとしては確立していないのが現状であり、その点でも「怪獣小説」の今後の発展に期待したい。 -
Posted by ブクログ
評価★★★:そのジャンル(ゴーストハンターや、ホラー系TRPGや、クトゥルフやら)が好きなら手を出してみてもいいかも
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電源ゲームはやったことはない。
TRPGでゴーストハンターシリーズは遊んだことがある。
以上の状態で、実は「ラプラスの魔」を読むのは初めて。
TRPGのリプレイなどで登場人物の何人かは把握できていたし、クトゥルフ系ネタも少しは理解できたので、読むのがラクチンだった。
傾向はホラー、SF。
ついでに1920年代に興味があるとなお読みやすい。
導入はいわゆる幽霊屋敷探検だが、後半は一転して舞台が広がる。
恐怖の規模も大きくなるのだが、逆に大きすぎて読者がゾッとした気分を味わいにくい。
(これは「コズミック・ホラーをどう表現するか」の難しく面白いところだと常に思うのだけど)
後半はSF色をぞんぶんに楽しむ形ということかな~。 -
Posted by ブクログ
好きなジャンルであり、初作も楽しめたのでハードカバー版もすぐにでも読みたかったのだが文庫本をコレクションしている身としては 文庫版になるまで「じっと我慢の子」は長かったなぁ。
前作のコンセプトが、元々は特撮を用いた大人向けの怪奇ミステリーシリーズ『アンバランス』から派生した『ウルトラQ』の形態を踏まえており、大人でも楽しめる「気特対」の面々の視点でドラマが構成されて≪怪獣版・怪奇大作戦≫となっていたのに対し、第2部の本作は最初から少年向けの特撮冒険活劇として企画された『ウルトラマン』のド!ストレートなリスペクトであり、巨大ヒーローストーリーを照れることなく真摯に胸を張って挑んでいる所が気持ち良い。
『ウルトラマン』のメインシナリオライターを務めた故・金城哲夫の筆によるノベライズ作品『小説 ウルトラマン』に倣い少年冒険活劇を今風のボーイ・ミーツ・ガールをを絡めて描いているので、若い読者から見れば≪ライトノベル≫として読める事だろう。が、そこは大人の目で怪獣小説としてを読むか?はたまたテレビに噛り付いて30分という時間を夢中で過ごした「あの頃の自分」の目で読むのか?で印象がガラリと変わる作風を「演出」として得てして行っている所に作者の『御企み』を伺い知ることが出来る。
物語の中では古今東西のSF怪獣映画作品を多数「事例」としてとりあげ、その方面のマニアならばニヤリとさせられる「くすぐり」もサービスとして盛り込まれているのは前作から受け継いで健在。
今回のメインキャラクターとして 登場する人間側の味方である巨大ヒーロー(ヒロイン)はその設定こそ『ウルトラマン』のそれであるものの、容姿の設定は「映像化」が不可能であろう事を承知の上で描いており、今日の日本の特撮、映像の業界に対して「実写では描けないもの」を提言する作者のシニカルな面も見え隠れする。もっとも、今の邦画業界においては、こういうお話は充分な予算も与えられないし、安易に映像化などすると8割方失敗するから「読んでイマジネーションを膨らませて脳内演出する方が正しい楽しみ方である」と同時に活字の話を楽しむ「小説の強み」を作者自身が力強く語っているようにも視得る。 最終巻の「第三部」も非常に楽しみ。