あらすじ
地球は監視されている――月の裏側に基地を設け、地球で核兵器が使用されてから60年以上も監視を続けてきた知的生命体・スターファインダー。彼らは“最終シークエンス”の発動を決定しようとしていたが、地球を低高度で視察していた最高権限者ペイルブルーが地上に不時着、京都の山中に取り残されてしまう。その第一発見者となった小学生3人組は、ペイルブルーを自宅に連れ帰り、UFOネタなどを取り上げるバラエティー番組を制作するディレクター・大迫に連絡。大迫は美人UFO研究家の千里と共にかけつけるが、直後に、UFOカルト集団・新興宗教団体DSIにペイルブルーを強奪される。ペイルブルーを奪還して宇宙に返すため、DSI本部に潜入しようとした大迫たちだったが……。サスペンス要素あふれるエンタテイメント作品で、UFOネタやトンデモネタも満載。クライマックスでは“銀河の歴史”も解き明かされる壮大なスケールのSF長編小説。
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Posted by ブクログ
日常SF?…本町・山科・茨木と舞台が関西ということもあり、非常に親近感の湧く作品。テーマとしては異星人SFのベタ…もとい王道たる「第一種接近遭遇」モノだけど、そこは山本作品。「ET」とか「未知との遭遇」なんかとは全く違うテイストをまとわせて楽しませてくれる。
トンデモ科学、カルト宗教批判部分については賛否分かれるところだろうなぁ。俺は「カルトやトンデモを笑い飛ばそう」という姿勢が大好きなんだけど、生真面目にそれらを信じている人らには不愉快だろうし、唯物論・無神論あたりに触れてくる後半に至っては、俺も少々抵抗を感じないわけでもなかったし。もっともそこを含めてノンフィクションなんだから、その抵抗感含めて楽しませてもらいましたが。
タイトルや「女の子を食え」という謎の言葉等の伏線は秀逸。クライマックスはこれらの伏線が効いて、思わず首肯。SFというよりミステリーの醍醐味に近い感じ。
そしてクライマックス部分の主張にも賛成。
家の中が散らかってるのに「いつか誰かが掃除してくれる」って思ってても誰も片づけてくれないよな。誰も来ないからと悲嘆したり恨んだりしてたってしゃーない。自分で片付ければいいだけの話。
「神様助けて」「行政が悪い」「金持ちに生まれたらよかった」…ついついそう思いがちやけど、行政に助けを求めるなら自分で動かなあかんし、金持ちに生まれなおすのは現実的ではないし、神様の助けってそういうもんではない。まず自分が動かないと。
異星人にそういうこと教えられる前に、自分たちで気付いて自分たちで実践していこうよ、人間ども…特に俺!
Posted by ブクログ
クラーク先生の「地球幼年期の終わり」へのオマージュ的コンタクトSF。ジェットコースタームービー的展開で小難しい話は出てこないのでSF嫌いにもオススメです。各章のサブタイトルが英語表記だったので気になって調べてみると、60年代のアメリカSFテレビドラマ「アウター・リミッツ」のエピソードタイトルのようです。
Posted by ブクログ
亡くなった山本弘氏の小説は初めて読んだ
つーか作家さんとは認識してなかった
新井素子氏と同期だったとは
UFOに関するうんちくが随所にありさすがと学科会長
とてもワクワクしながら読めた
特に悪役の龍彫が実に味のあるいいキャラで気に入った
Posted by ブクログ
山本さんの小説の中では、読んだ中で一番面白かった。
UFO系のウンチクもちりばめられていて、それだけでも価値がありそう。
名前の付け方とか竜の卵っぽいと思っていたら、巻末の資料集もそんな感じだった。
若干、知性化戦争辺りも感じる。
ただ、タイトルのセンスの無さはどうかと思うし、人物の深みの無さも相変わらず。ライトノベルだと思えば良いのか。
Posted by ブクログ
UFOというオカルト的な事象を、と学会会長としての現実的な視点から捉えて物語にしたらこうなった、というような味わい。
面白かったけど、本当にタイトル通りになってしまったら、オカルト好きとしてはかなしい。
Posted by ブクログ
トンデモ科学の研究者であり批判者である作者らしい内容で始まるところから楽しく読めます。トンデモ科学周辺の事柄について云々すること自体は好きなのに、無暗に信じてしまう人たちには、本当に困ってしまうという作者の姿勢が登場人物の描き方によく表現されています。 異星人の描写って難しいなぁと改めて実感。今回は、少々人間よりすぎるかなとの印象でしたが、これ以上人間離れさせるとストーリーが展開が厳しくなるのかなとも思いました。 難しいテーマを楽しく軽快に捌いた一冊でした。
Posted by ブクログ
山本弘が描く未知との遭遇。
オカルト系番組のディレクター、UFO研究家、カルト宗教団、異星人ともう盛りだくさん!!
と学会全開ですw
異星人の比喩表現の言葉選びにすごいセンスを感じる。
途中の展開も面白いし、最後の締めも良かったです。
やっぱりどこか異星人に幻想を描いてるところはあるよなー
すごく納得させられました。
やっぱり、キャラクターも書けるSF作家は貴重。
Posted by ブクログ
異星人とのファーストコンタクトものではあるが、そもそも異星人二抱くイメージというか幻想というものが地球人全般的に広く誤った認識で捉えられていることが、少し少しの嘘と意図的な事実の隠ぺいにより、蓄積された歴史によって積み重ねられたものであり、この辺りの蘊蓄が作者らしいところではあるが、逆にここに拘り過ぎたが故に、物語が小さくなっているのではないかと思われる。全く価値観も世界観も異なる異星人とのコミュニケーションや、異星人側の思考が地球人と殆んど変らないこととか、異なる進化の過程を経て、同じ生物ではあるものの、同じ大気組成や同じ重力下で生存できるのも違和感が残る。ただし、確かにファーストコンタクトをもって、なおかつ現実を知らしめない限り、異星人に神の幻想を持つ人間の夢は覚めないだろうとの認識は正しいのだろう。話としては蘊蓄を除けば、実にテレビ的でいつものSF的な素養は少なく、少々、肩すかし気味である。
Posted by ブクログ
宇宙には神も仏も存在せず、生命体は死んだら全て無に帰すという世界観には一抹の寂しさを覚えるなぁ。
そもそも、死んだら何も残らない非情な世であれば、おそらく不死が究極の目的になるだろう。
にもかかわらず、宇宙の開闢以来、数多の文明が未だそれを実現(努力)していないというプロットになっている。
それはいいとして、
もしも科学の発達によって目出度く不死身の生命を手にしたとする。
そうなると、無常(世代交代)を断ったそれはもはや生命の定義から外れて、永遠の停滞が約束される。それから逃れるには自殺が唯一の手段となる寂寞たる世界。
否、自殺さえ不可能な状態かもしれない。
う~ん恐ろしいですね。これはいわゆるひとつの「無間地獄」(笑)。
個人的な好みになるが、輪廻転生を主眼とする仏教的価値観で構築してくれたら物語にもっと深みが感じられたはず?だが。
それでも楽しく読めました。
Posted by ブクログ
異星人と地球人のファーストコンタクトを描いたSF小説。
異星人の設定自体はなかなか独創的だったし、登場人物達によるオカルトや宗教批判の部分は読んでいて小気味が良く、「と学会」会長の面目躍如!といった感じだったが、肝心のストーリーが、地球に取り残された異星人の誘拐とその奪還劇にほとんど終始し、全体的にスケール感に乏しかった点は、少し残念だった。
勿論、ストーリー自体は展開がスピーディーで、それなりに緊迫感があるし、某有名SF映画を髣髴させるシーンも何度かあって、決して退屈はしないが、壮大なスペースオペラ的なものを期待して読むと、肩透かしをくらうかも...
Posted by ブクログ
スターファインダーの言い回しとか、進化や体格などの性質的にこういう言い方になるだろうと考えられていて、山本弘さんらしさを感じる。
特に、女の子を食べるって表現が伏線になっているとはおもったけど、比喩でもなんでもなくそのままの意味だったのはちょっと驚いた。たしかにそんな進化を遂げた生物がいても不思議ではない。
最終シークエンスは人類滅亡かとおもったけど、そうなったら、山本弘さん的に滅亡になっちゃいそうだし、どうするのかと思ったけど、最後の着地点は違った方向だった。
シークエンスの様子はちょっとみたかったけど、それはそれで蛇足かもしれない