山本弘のレビュー一覧
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ネタバレアンドロイドが改編した時点でパラレルワールドになるとしても、過去の人類の生活を改善しようとタイムトラベルしに来るというお話。うーん、そういう思考をするようになるかな。。
AIの思考は、人類と接触するのであれば、チューリングマシーン的にある程度相互理解が可能なやり取りを出来るようでなければならないとは思うのだけど。どうもその思考にリアリティを感じない。
超越者が神様にしろ、宇宙人にしろ、未来人にしろ、アンドロイドにしろ、物語にするために、顕現させるとこういう発想になりました、ということかな。
2300年で概ね人類の幸せのためにやれる事はやり尽くして、後は過去を改編して幸せに感じる人間の総量を増やす。そう、多分、SFを読むときに先鋭や未来を見たいのだけれど、2300年の先は特にありませんと言われるように感じるんだよね。アンドロイド目線では先が過去なんだろうけど。やっぱり違和感あるな。 -
Posted by ブクログ
異星人とのファーストコンタクトものではあるが、そもそも異星人二抱くイメージというか幻想というものが地球人全般的に広く誤った認識で捉えられていることが、少し少しの嘘と意図的な事実の隠ぺいにより、蓄積された歴史によって積み重ねられたものであり、この辺りの蘊蓄が作者らしいところではあるが、逆にここに拘り過ぎたが故に、物語が小さくなっているのではないかと思われる。全く価値観も世界観も異なる異星人とのコミュニケーションや、異星人側の思考が地球人と殆んど変らないこととか、異なる進化の過程を経て、同じ生物ではあるものの、同じ大気組成や同じ重力下で生存できるのも違和感が残る。ただし、確かにファーストコンタクトをもって、なおかつ現実を知らしめない限り、異星人に神の幻想を持つ人間の夢は覚めないだろうとの認識は正しいのだろう。話としては蘊蓄を除けば、実にテレビ的でいつものSF的な素養は少なく、少々、肩すかし気味である。
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宇宙には神も仏も存在せず、生命体は死んだら全て無に帰すという世界観には一抹の寂しさを覚えるなぁ。
そもそも、死んだら何も残らない非情な世であれば、おそらく不死が究極の目的になるだろう。
にもかかわらず、宇宙の開闢以来、数多の文明が未だそれを実現(努力)していないというプロットになっている。
それはいいとして、
もしも科学の発達によって目出度く不死身の生命を手にしたとする。
そうなると、無常(世代交代)を断ったそれはもはや生命の定義から外れて、永遠の停滞が約束される。それから逃れるには自殺が唯一の手段となる寂寞たる世界。
否、自殺さえ不可能な状態かもしれない。
う~ん恐ろしいですね。これはいわゆるひとつの「無間地獄」(笑)。
個人的な好みになるが、輪廻転生を主眼とする仏教的価値観で構築してくれたら物語にもっと深みが感じられたはず?だが。
それでも楽しく読めました。 -
Posted by ブクログ
異星人と地球人のファーストコンタクトを描いたSF小説。
異星人の設定自体はなかなか独創的だったし、登場人物達によるオカルトや宗教批判の部分は読んでいて小気味が良く、「と学会」会長の面目躍如!といった感じだったが、肝心のストーリーが、地球に取り残された異星人の誘拐とその奪還劇にほとんど終始し、全体的にスケール感に乏しかった点は、少し残念だった。
勿論、ストーリー自体は展開がスピーディーで、それなりに緊迫感があるし、某有名SF映画を髣髴させるシーンも何度かあって、決して退屈はしないが、壮大なスペースオペラ的なものを期待して読むと、肩透かしをくらうかも... -
Posted by ブクログ
ネタバレスターファインダーの言い回しとか、進化や体格などの性質的にこういう言い方になるだろうと考えられていて、山本弘さんらしさを感じる。
特に、女の子を食べるって表現が伏線になっているとはおもったけど、比喩でもなんでもなくそのままの意味だったのはちょっと驚いた。たしかにそんな進化を遂げた生物がいても不思議ではない。
最終シークエンスは人類滅亡かとおもったけど、そうなったら、山本弘さん的に滅亡になっちゃいそうだし、どうするのかと思ったけど、最後の着地点は違った方向だった。
シークエンスの様子はちょっとみたかったけど、それはそれで蛇足かもしれない -
Posted by ブクログ
ネタバレ山本 弘 『MM9』
(2007年11月・東京創元社)
地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。
有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」
略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。
多種多様な怪獣たちの出現予測に正体の特定、そして自衛隊と連携するべく直接現場で作戦行動を執る。
世論の非難を浴びることも度々で、誰かがやらなければならないこととはいえ、苛酷で割に合わない任務だ。
それぞれの職能を活かして、相次ぐ難局に立ち向かう気特対部員たちの活躍を描く、本格SF+怪獣小説!
●収録作品
「緊急!怪獣警報発令」「危険!少女逃亡中」「脅威!飛行怪獣襲来」
「密着!気特対24時」「出現!黙示録大怪獣」
(東京創元社HPより)
一読して、やられた!と思わせる作品である。
マニアックな方面からは、やれパクリだのオマージュだの、SF的な設定がどうだの、批判的な声もあるだろう。
でも、でも、でもでもでも・・・、まさにそんなの関係ねぇ!であります。
怪獣は自然災害です。だから気象庁の管轄なんです。
台風と一緒なんです。だから怪獣5号なんです。
さらにはカッコイイ名前つけたり、進路予測だってやっちゃいます。
・・・このアイデアだけでもう当選確定であります。
この後、多少ネタバレ。
ただ、「怪獣」と「妖怪」を同じ扱いにするのはどうなん?
西洋の世界で怪獣も妖怪も、モンスター、のカテゴリーに入るのはわかるわいな。
でも日本じゃ怪獣と妖怪は違うんじゃね?
怪物くんの後ろにフランケンじゃなくてガメラがおったらおかしいやん。
京極夏彦の次作が『エレキングの悩み』やったらおかしいやん。
仮面ライダーの敵の総大将がぬらりひょんやったらおかしいやん。
日本人ならば誰もが常識のように持ってるはずのその枠組みを、ごちゃまぜにしたことによる違和感。
作者が盛り込みたかったところも着地点もわかるけど、これじゃ最終話だけ梅原克文の『カムナビ』やん。
せっかく傑作になりそうなところだったのに、そのへんのズレがちょっともったいなかったなぁ・・・。
75点(100点満点)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読ませることは、読ませる作品。
ブログやホームページなどの文章に近い、
ネット的な文章。
いかに読ませるか、に主眼が置かれている
(作者自身も、作中で、そんなようなことを
書いている)。
普通、小説は電子版になると一気に読みにくくなるが
(青空文庫でもわかるように)、
この小説は、電子版になってもわりと普通に「読ませる」
のではないかと思う。
出だし100ページくらいは、
主人公(作者の山本)が未来から来たアンドロイドと
延々と話をしているだけで、何の展開もないが
(ウルトラセブンの例えが出てくる)
それでも読ませるし、引き込まれる。
設定もしっかりしていて、ワープやタイムトラベルは、
人間では不可能だが、ロボットだったら可能、とか
こういう話の場合、ロボは数体しか来ないが、
500万体も来て、事態の収拾にあたったり
(そのくらい来ないと、無理でしょう)
ターミネーター型の歴史改編でなく、パラレル分岐型なので、
タイムパラドックスを発生しないとか
宝くじや競馬の結果は当てられないとか
(ただし、カオス理論の前提として、天気の予測もできないので、
天気や、地震が予定通りに起こるのは、たぶん間違い。
人間や動物が息を吸ったり吐いたりしているだけで、
天気なんて、予定とは変わってくるはず)
宝くじの予測はできないが、
普遍的なものとして、科学技術は有効なので、
それにより、金儲けをしたり、などなど
(未来から金を持ってくると、同一ナンバーで、偽札の疑いを
かけられるとか、芸が細かい)
ただ、欠点として、コンセプトに一貫性がない。
作者のHPをみると、あらかじめ言い訳めいたことが書いてあるが
・微妙な読後感になることを覚悟してほしいこと
・アンドロイドが理想的な人格であるという結論は、
すでに前作で出たので、今回はそれをさらに進めて、
そこに疑問符をつけるということ
の、2点がかかれている。
そして、「善意からの行動が本当に人のためになるか」
ということを、テーマにあげている。
しかし、そもそも、このテーマの上げ方自体がおかしくて、
「善意」が人のためにならないなら、一体、なにが
人のためになるのか?
はっきり言って、問うまでもない、バカげた質問だと思う
(ちゃんとした善意なら、人のためになるに決まっています。
作者だって、安田均に金を借りに行って、あっさり貸してくれたことに
感謝しているではないか)
そして、実際は、これは「問われる」訳ではなく、
作者が「答えありき」で進めている。
すなわち、この作品のテーマとしては、
必ずしも、善意が、いい結果を生むとは限らない、という
「答えありき」で進めているので、なんだか不自然なことになっている。
たとえば、未来が改変されたことにより、フィギュアスケートの
選手になれなかったとか、より不幸になった人たちが出てくる。
作者自身も、妻と娘を失う。しかし、これはアンフェアであろう。
なぜなら、911テロで犠牲になるはずだったが、命をすくわれた人とか
虐殺から救われた人、拷問から救われた人などが、
(つまりそちら側の視点が)まったく出てこないのだ。
だから、アンドロイドが「悪いことだけ」をしているように見えるが、
実際は感謝している人だってたくさんいるはずである。
作者の最後に言う、外国で人が何人死のうが、
家族が無事ならそれでいい
(ハリウッド映画などで、さんざん繰り返される、エゴイスティックな
視点だが。赤の他人がどれだけ死のうが、主人公の家族さえ助かれば、
ハッピーエンドで、ちゃんちゃん式の)
とにかく、その主張にしても、仮に作者の家族が911テロにより
死んでおり、アンドロイドの改変により助けられたとすれば、
まったく逆になり、赤の他人はどれだけ死んでもいいから、
家族を助けてくれて、ありがとう、ということになる。
つまり、立場次第で、どちらにでもなる、なんの正統性もない
主張である。
ここら辺に、最初から、テーマの結論ありきで進めている
作者の「作為」が透け見えるので、いかがなもんかと思う
(改変=悪、という、一種、保守的な)。
あと、作中で、「確かにすばらしい文章だが」とかいって、
自分の文章を褒めさせるのも、やめた方がいい。さぶいので。
あと、現実がSFになったので、SF小説が売れなくなるとか(なぜ?
SFなんて、だれも「本当のこと」だと思って、読んではいないが?)
未来の作品を使うのにやたら抵抗を持っている姿勢もよく分からない
(潔癖な僕、を演出したいみたいで気持ち悪い)。
パラレル構想が広がりすぎて、収拾がつかなくなるラストも、
「やりがち」なのだが、結論がないなら、書かなければいいのに、
とも思う。
コンセプトの一貫性の無さとしては、やはりタイトルで
「去年はいい年になるだろう」というのは、ブラッドベリばりの
抒情的ないいタイトルで、ラストは、たとえば
「幸せな未来」を予感させつつ、宇宙船が飛んでいって、終わり、という
いかにも「去年はいい年になるだろう!」という
山本視点で一貫させるべきだと思うのだが、
全然、そういう結論にならない(し、視点もおかしい)。
作者自身が、作中でも言っているが、なにか絶望的な終わり方になっている。
ほとんど「奇妙な味」みたいな、ホラーに近い終わり方である。
書いているうちに、初期コンセプトとずれていったのかもしれないが、
だったら、タイトルの方を変えるべきだったと思う。
視点については、「去年は~」というタイトルは、
タイムトラベルをしない、山本の視点のはずなのだが、
話のメイン・視点は、どう考えても未来人の方であり、
内容も、どちらかと言うと
「2001年分岐における未来人たちの失敗例~次はうまくやります~」
という感じだと思う(つまり、視点が逆である。主人公、
フェイドアウトするし。だれが「去年は~」って言ってんだ?)。
なぜこういうことになったのかについて、作者はHPで、
大局を動かすような大物でなく、小市民の視点から、
書きたかった、といっているが、
これが裏目に出ていて、主人公が、全然主人公っぽくない。
作中で、作者は、リセットをかけているのは未来人の方で、
我々は、1度きりの人生を、うんぬんかんぬん、といっているのだが、
これをTRPGやゲームでたとえるなら、実は未来人(ロボットだが)が
プレイヤーであり、
作者を含めた現地の人々は、その他のNPCと言っているようなもんである
(話に全然、関わらない訳である)。
しかもNPC(市井の人)の視点で一貫されているかと言うとそうでもなく、作者の好みとして、SF設定の根幹部分を書きたい、という姿勢があるために
より、「メインから外されている」感、「関わっていない」感がある。
で、結局、タイトルだのなんだのは、置いておいても、
グループSNEで、未来から来たトラベラーを見守るくだりまでは
おもしろかったので、あの攻防まででいいので、
そのあとの、とってつけたような悲劇的な展開とか、
カオス的説明とか、
25歳くらいの山本のエピローグとかは、
いらなかったのではないかな、と思う。
そして、とにかく原理主義だの陰謀論だのを信じるバカが、
平和を無茶苦茶にして、「人類は永遠にバカ」という絶望的な
テーマが見え隠れするのだが
(未来からやってくるやつらも、バカ。ただし、作者自身まで
発病してしまっている、くだりは面白かったが)
作者の絶望的な世界観を、娯楽が読みたい「読者」に向けて、
強要する姿勢も、いかがなものかと思う。
作者に言わせれば「世界ってそういうもんだ」ということなのだろうが、
「世界がそうだからといって、フィクションの世界まで、
そう書かねばいけないという、法は無い」と、
誰かが言っていた気がする(吉村夜か?)
読者を気持ちよくさせる為だけに、妄想・ハーレム・ラブコメを書けとは
言わないが、せめてもうちょっと「明るさ」とか「勧善懲悪」とか、
あってもいいだろう、とは思う。
結局この話は、人類の革新などは(冨野が好きなテーマだが)存在しないし、
現状維持以外の解決策もなし、という、
ぐるっと回ってスタート地点に戻るだけの、なんのこっちゃ、な
話のなので(あえていえば、「今の現実が一番いい」という
現状肯定妄想?)
読んだ人も、なんだかなあ、と思うのではないだろうか。
せめてコンセプトが一貫して、きれいに落ちていれば、
話として楽しめたから、それでオッケー、となっていたのだが。 -
Posted by ブクログ
上下巻なんとか読破。いやぁ、長かった。
前半では、それこそ大量の「オカルト」めいた怪しい話から、「学術的」な話まで幅広い分野を網羅しながら「神」の正体に迫っていくというスリリングな息もつけない展開だったので、その核心に触れる後半ではどんな結果が待っているのかわくわくドキドキしながら読み進めていったが、ちょっと肩透かしをくらった感は否めない。
「未来予測」的な世界観を構築しすぎたせいで、登場人物が単なる「説明係」に終始し、それぞれ人間らしい感情を吐露する場面もあったはあったが、あまり感情移入できず、小説としてちょっと機能不全な部分が目立つ。
おそらく著者の「いいたいこと」が全面に出過ぎたせいかと。
政治や宗教や情勢やネットの未来の行く末を、豊富な知識量から予測する力は「なるほど、納得」できる箇所もあるし感心できるが、登場人物を「代弁者」として扱うと、フィクションとノンフィクションの「ほどよい」バランスが崩壊してしまう。
でも期待できるSF作家。