山本弘のレビュー一覧

  • トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と

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    怪獣小説MM9シリーズのスピンオフというか外伝的なものというか。怪獣が日常的に存在する地球での、世界各地での怪獣とヒトの物語を綴った中編集。

    ​これまでは基本日本が舞台だったが、タイ、アメリカ、コンゴが舞台で登場する。それぞれの国の「怪獣事情」の違いが面白く、やはり我々の世界との地続きを感じる。

    筆者の本をよく読む読者としては、筆者の願望や妄想がダダ漏れているキャラや設定が楽しく、もちろん知らなくてもこの「怪獣人間ドラマ」を楽しめるのではないだろうか。

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    2017年10月19日
  • MM9 ─destruction─【文庫版】

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    文字なのに大スペクタクルな怪獣物語だった。

    日本はもちろん、世界の神話との絡ませ方も面白く、終盤の「顕現」はワクワクすらする。現代日本に怪獣が日常的に発生し襲ってくる、という世界観の中で、なんとも壮大な展開をしたものだ。

    2作目の続編にして長編で、気特対(気象庁特異生物対策部)の活躍は控えめになり、その分恋愛色とジュブナイル感が増しているので、その意味でこれまでのシリーズと毛色は違うが、これはこれ、SFとして楽しく読めた。

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    2017年10月19日
  • 僕の光輝く世界

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    アントン症候群という、失明したのに当人はそのことに気付いていない実在の症状を盛り込み、それ故に膨らむ無限の想像力と創造力を軸に謎解きをするミステリーもの。最初は日常に根ざしていた(特殊ではあるが)が、最後は刑事事件にまで至った。

    SF作家の書くミステリーってどうなるんだろう……という杞憂は杞憂で終わった。読み終えてみれば、現実の延長線上のSFを書く普段の作風同様、あくまで現実と実証に基づいた中に物珍しい味付けを施した、この著者だから書ける作品になっていたと思う。話中話のミステリーも面白い。

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    2017年09月19日
  • BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない

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    たぶんSFじゃないんだけどSF者の血が騒ぐのでこのカテゴリに決定。
    昔過ぎて思い出せないけど高校生ってこんなに純粋なのか。かわいいぞ。

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    2017年08月28日
  • 神は沈黙せず(下)

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    壮大すぎて、果たして自分かどれだけ理解出来たか…。
    世の中や神様についてこんな角度から見る人もいるのだなぁ、とただただ感心するのみ。
    しかし何とも恐ろしい。
    宗教観が物凄く揺さぶられた作品でした。

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    2017年06月30日
  • SF JACK

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     SF界隈での著名人・新人引っくるめてのアンソロジー集です。SFにはあまり馴染みがなく、フィリップ・K・ディックは好きですがそれもアニメ『PSYCHO-PASS』の影響で最初からというわけではなかったので、慣れる、と言うか、映画は好きなんですが小説はなかなか食指が伸びず、アンソロジーならまだ読めるかな?と言う気持ちで購入しました。
     冲方丁さんは、『マルドゥック・スクランブル』を読んでいましたし、新井素子さんは名前くらいは聞いたことがあるなあ、『グリーン・レクイエム』は読んだっけな、夢枕獏さんは『陰陽師』だなあ、とか。
     個人的に好きなのは宮部みゆきさんの作品。ロボットとの哀愁漂う感じが好き。

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    2017年05月14日
  • BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない

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    今回のビブリオバトルのテーマは「恐怖」&「戦争」。
    やっぱりSFが読みたくなるシリーズだ。
    どうしても埋火くんに物申したい気持ちになるので、空を応援したくなることが多いのだけど、今回は部長がやってくれたぜ。しかしまさかMMD動画を「読む」ことになるとは…
    フィクションの力は偉大なのだ。

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    2017年05月03日
  • 僕の光輝く世界

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    不幸な事件で“VR体質”になってしまった少年が探偵役。まさに山本弘が描いたらこうなる、という感じのミステリー。高1男子目線でラノベ風なのでサクッと読める。完成度はともかく「アントン症候群」という稀な障害を特殊能力に換えてしまう発想が凄い。

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    2017年03月22日
  • BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない

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    前作よりも本の紹介が減って、物語色が強くなった印象。
    ジャンル問わず、面白い本を紹介してくれるので、新しい発見が出来て良いですね!
    真鶴高校とのビブリオバトルも楽しみ。

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    2017年03月04日
  • 怪獣文藝の逆襲

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    樋口真嗣『怪獣二十六号』(25年前に書いた)怪獣映画の企画書。建設技師や自衛隊員が協力して土木機械で怪獣に立ち向かったり、インテリ美人が出てくるあたり…、いや、表紙の「怪獣は常に人間にとって恐怖の存在でなくてはならない」とか「この映画は人間の前に怪獣が現われ、人間は自らの身を守る為に智慧と勇気で闘う、ただそれだけの映画」「我々がこだわりたいのは、「ただそれだけ」にする事なのです。」とか…うん、シン・ゴジラを思い出す。
    大倉崇裕『怪獣チェイサー』怪獣対策が進んだ日本。ヒロインの怪獣省の怪獣予報官・岩戸正美は、封鎖区域で怪獣の動画を撮影する違法行為を行う「怪獣チェイサー」と予期せず協力することにな

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    2017年01月12日
  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上

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    ネタバレ

    ビブリオバトルのことをどんな風に描いているのかということに興味があったんだけど、なんだこりゃ!SF愛にあふれまくっている!!
    というわけで、読後、ハインラインやらハミルトンやら読み返すはめになりました。

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    2016年11月13日
  • MM9【文庫版】

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    思ったよりSFで思ったより怪獣小説だった。
    登場人物たちが微妙に苦手なタイプであることが多いけど、なかなか続きが気になる。

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    2016年09月03日
  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 下

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    なるほど、こうやって「バトル」感出してきたか…確かに、これはこれでおもしろかったけど、ビブリオバトルの楽しみ方としてはおかしくなっちゃうもんなあ。良い決着だ。
    しかし先生カッコいいーーー!

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    2016年08月25日
  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上

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    おもしろかった。
    SFはもちろんのこと、ラノベもちょこちょこ登場するのでうれしい。タイトルだけではあるけど、桜庭一樹や乙一、野﨑まどの著作からそれぞれ選ばれている一冊が握手をしたいレベル。あと「愛の伝道師」の紹介もっと見たい。
    ただ、個人的には、ビブリオバトル部で一番波長が合わないのが埋火だったので困った。本はフィクションでこそあれ!ラノベ愛してる!という立場の私としては、フィクション(娯楽作品)を堂々と軽視する態度が実に腹立たしい。まあ今後きっと変わるであろう…。しかし元々「まっすぐな正義タイプの人」、というのが苦手なので難しいかもしれない。
    おもしろかったしビブリオバトルの紹介としてもとて

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    2016年08月25日
  • SF JACK

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    SFアンソロジー。
    新しい作品ばかり。こういうの読みたかった!
    苦手なのもあったけど、全体的には十分に満足。

    吉川良太郎「黒猫ラ・モールの歴史観と意見」:中世ヨーロッパ的な雰囲気とSFの組み合わせが斬新。
    上田早夕里「楽園(パラディスス)」:意識の移植?人格のお話?ちょっと切ない。
    小林泰三「草食の楽園」:別の惑星での文明の発達のお話。読みやすい。好き。
    新井素子「あの懐かしい蝉の声は」:第六感。哀愁漂う感じ。
    宮部みゆき「さよならの儀式」:ロボットとの別れ。切ない。
    夢枕獏「陰態の家」:オカルト。これはSF?ファンタジー?

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    2016年08月07日
  • トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と

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    「MM9」の番外編の短編集。
    4つのお話の内最初の3つは、アニメ化のために書かれたプロット案がベースになっているという。
    なるほど、オチのつけ方(第1話)やミステリーっぽい構成(第2話)や戦争反対の語り口(第3話)は、初期のウルトラQやウルトラマンを思い出させる。
    そう思って読んでいたら、第4話の舞台設定はまんまキングコングかターザンといった趣。
    そこに東西冷戦をまぶして、文明社会に警鐘を響かせ、宇宙生物の侵略を描くとなれば、これはまたウルトラQ長編版みたいな世界。そんで最後はジャミラじゃないか!
    2011年の作品ながら全く昭和のテイストで、私の年代には入り込み易く読み易かった。

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    2016年07月27日
  • MM9 ─destruction─【文庫版】

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    MM9、3冊目。
    前作のエピローグで示された謎の巫女の下に集められた一騎らとヒメ。
    ここでもまた美少女?が登場し、この前から続くラブコメ調に拍車がかかり更に恥ずかしい感じになった上、これでもかと語られる神話が改竄されるお話は、後になれば大事なことが語られているのが分かるのだけど、多少げんなり。
    この本、467頁もあって税込み1,058円もするんだけど、この辺りをもう少し刈り込めばもっとテンポ良く、またお安くなったんじゃない、と思いながら読み進む。
    多重人間原理をベースに、神話宇宙とビッグバン宇宙が鬩ぎ合う基本スキームは既にお馴染み。
    地上に顕現している唯一の女神たるヒメを倒して地球制圧を企む宇

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    2016年06月30日
  • MM9 ─invasion─【文庫版】

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    手を付けていなかった前作を東京出張に持って出たけど、行きの新幹線の中でかなり読み進み、そのまま読み終えそうだったので、帰りの新幹線のために有楽町の三省堂で続編となるこの本を購入。今度の表紙はエレキングっぽい怪獣ね。
    前作から6年が経過し、クリプトビオシス状態となってつくばから北海道へ運ばれることになったヒメを乗せたヘリに正体不明の火球が衝突し、いきなりヒメ対宇宙怪獣の闘いが繰り広げられる…、という幕開け。
    ヒメには地球を守ろうとする宇宙人が憑依しており、一方で、宇宙怪獣を導き地球を脅かそうとする宇宙人&妖怪の存在も示唆される。
    ここでもまた“多重人間原理”が語られ、ビッグバン宇宙と神話宇宙のせ

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    2016年06月30日
  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上

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    ビブリオバトルGO!いかに読みたくさせるか?それだけが勝つ秘訣さ!そんな書評バトルを繰り広げる学生たちを描いた作品がこれだ!

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    2016年06月08日
  • BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上

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    ランキングから物色し、皆さんの評価も良さげだったし、また、“ビブリオバトル”の存在は薄~く聞いたことはあったけど、細かな内容については全く知らなかったので、何よりそれに惹かれて買ってみた。
    それにしても、本の紹介をする“バトル”を題材に、殆ど中身を本の紹介に費やしながら、物語を組み立てていくって、なかなか凄い。
    導入のSF本の紹介は、これでもかというくらいでかなりくどく、そこは気になりつつも、しかし、紹介される本はそれぞれなかなかに興味深く、あれもこれも読んでみたくなる。
    これに続く、学校でのバトルもジャンルを広げて引き続き、個性豊かに延々と紹介される内容に圧倒される。
    確かに、世に出る本の量

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    2016年05月12日