山本弘のレビュー一覧
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賀来野市に暮らす人びとのつながりを生み出していく不思議な魅力をもつ詩羽(しいは)という少女と、彼女にみちびかれて人生の方向を変えていく勇気をもつことになった四人の登場人物をえがいた連作短編形式の作品です。
マンガ家志望の青年・飯塚陽生(いいづか・はるお)、自殺することを決意していた中学生の田神沙世(たがみ・さよ)、大学教授で人びとを困らせることに喜びをおぼえる長船紘一郎(おさふね・こういちろう)、詩羽のうわさをたしかめようと賀来野市へやってきた梶島早紀(かじしま・さき)という四人の人物が、それぞれ主人公となって、彼らの視点から詩羽の信念とその生きざまがえがかれるとともに、彼ら自身が詩羽との交 -
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山本弘さんの趣味が炸裂する、MM9の第二部となる作品です。
個人的なイメージでは前回は『ゴジラ』的な怪獣対策組織の活躍の物語だったと思うのですが、今回は『ウルトラマン』最近のアニメだと『グリッドマン』を思わせるような、怪獣対ヒーローの対決がメイン。それにボーイミーツガール的な要素が加わります。
ボーイミーツガール的な部分は、一昔前のラノベ的というか、どこか牧歌的な印象があります。この手の作品でお約束といえる要素もふんだんに取り込まれていて、ある意味吉本新喜劇を観てるような安心感(笑)
エンジンがかかってきたのは後半からかなあ。宇宙から怪獣が飛来し、スカイツリーに突っ込んでくるとい -
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ネタバレAIとVRとロボット技術が発達したら、そりゃ性風俗産業に流用転用することも考えるよなぁ…って世界の物語。
他の山本作品(プロジェクトピアノなど)とも世界観を共有しているあたり、辻村っぽいというかMCUっぽく、こういう物語のつながりは好き。
最先端技術の性風俗転用は善か悪か?という部分を論じているところは好き。
どんでん返しの黒マカロンの理屈「私が不快だから、世の道徳観とか人の意見はどうでもいい」あたりの議論も大いに考えさせられて良かった。
ただ、やっぱり俺はセクサロイドには、欲情(あくまで自慰的な)するかも知れんけど恋愛感情は持てないなぁ。と再確認できた。
価値観の多様化、それを認めること -
Posted by ブクログ
山本弘は、ロバート・F・ヤングのような青春SFとは違う独自の青臭さを持ったSF作家だと思う。現代に生きる人間(日本人)が直面している問題点をどこまでも青臭く、それでも自分の著書を通して誰かの意識を変えられると信じているのが伝わってくる。
今作も読んでいて思わずおいおいおい…と突っ込みたくなってくる箇所が無いわけではないが、読後の爽快感が素晴らしい。詩羽という謎の女性が1つの街の在り方を少しずつ変えていく様子が独立した4章の中で綺麗に収まっている。バラバラに読んでも話は通じるが、別章の人物との絡みや伏線が散りばめられているのがニクい。好きな人はとことんハマる構成だと思う。読んだ後は、人に親切を -