山本弘のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ここ数年で最も衝撃を受けた本です。この物語で言われるような神の定義自体は、以前からあったと思いますが、ミーム(文化を形成する様々な情報、人々の間で伝達や複製をされる情報の基本単位を表す概念!?)や、サールの悪魔などの思考実験を、上手くストーリーに織り込んで、神の説明をするあたりは、相当な筆力だと思います。
登場人物の中で、最もキャラ立ちしている加古沢の言葉として文中に述べられている社会・教育・政治の話などは、書かれた時期を考えると、かなり予言的なところもあり興味を惹かれます。私達のシンポジウム(漫画家、デザイナー、会社社長、ライターなどやさぐれたオヤジの飲み会)ではよくネタになっています。 -
Posted by ブクログ
ふんぎゃあ。
なるべく読み終わった直後に感想を書くことにしている。その興奮なんかを冷まさずに書く為に。
ふんぎゃあ。
ああもう。
本当は五つ星なんて連発したくない。
これも読んでる途中まで、「よくできている。物凄く良くできている。でも、これじゃ四つだな」と思っていた。
いやもう。
ラストの章。
間違いなく五つな訳で。もっと星ないの。
神様ありがとう。
全然いると思ってないけど、ありがとう。
『アイの物語』を手に取らせてくれたことと、新刊のこの本に気づかせてくれたこと。
作中、『アイ〜』にて、人と云う存在に絶望している的な気持ちが込められているって云う下りがある訳ですが、でもね、やっぱり作者 -
Posted by ブクログ
03年の作品「神は沈黙せず」を読んだ記憶が
蘇ってきた。相当面白く読んだ記憶が。
それ以降作者の他の作品を一切読んでなかったですが
自分の好きな作家さんなのかもしれません。
一般的に分かりにくくて敬遠されがちなSFですが
凄く丁寧に、伝えるんだという熱と意思がヒシヒシと
感じられる凄く人間味のある文章と、このSFド直球な
内容のギャップが堪らなく面白いです。
もう今年も4月になっていてビックリですが、個人的な
2010年のベスト3当確でしょうねー。
作家さんの人柄、そしてアィデア、ストーリー展開、
台詞まわし...とても自分の好みです。
丁寧に書かれてるのでSF苦手〜って方でも充分
楽しめ -
Posted by ブクログ
「神は沈黙せず(上)(下)」
著者 山本弘
出版 角川文庫
p447より引用
“自分が間違っている可能性を探すこと。
それが道を誤らない為の唯一の方法です。」”
SF作家で、
と学会会長である著者による長編大作。
子供の頃の災害により、
神に疑問を抱いた兄妹を主人公とした物語。
世界の不条理な出来事を元に、
神の存在について精密な論理が展開されます。
この作品をよむまでは、
著者の事をと学会会長としてしか知りませんでした。
小説家としてまったく触れた事が無かったのですが、
しかしこの作品は読んで本当に良かったと思います。
上記の引用は、
登場人物の一人が安易に確信を抱く事に対しての、
-
Posted by ブクログ
新しい年が明けたけど、年賀状もおせちも無いお正月はさしずめ『門松は冥土の旅の一里塚めで度くもありめで度くも無し』といった具合。
その年頭に読む、衰退した人類に代わりマシンが支配する未来のお話。これが深い。
食料を盗んで逃げる途中に女性型アンドロイドに捕獲された“僕”。
アイビスと名乗るそのアンドロイドは、僕に対しロボットや人工知能に纏わる7つの物語を読み聞かせる…。
題材以外に関連性もない物語は、しかし、マシンと人の歴史の真実を少しずつ露わにする。
6つ目の「詩音が来た日」で介護用アンドロイドが辿り着いた結論に唖然とし、最後の「アイの物語」で語らえるマシンの価値観と行動に慄然とする。
ヒトが如 -
Posted by ブクログ
下巻になると超常現象も大量に起きてずっとテンションがピークになりますね。このお話での結論は丁寧によんできたら納得できるけど、エンターテイメントとして物足りない部分がありますが、それを超えて読ませる力がありました。
今読むとどうしても生成AIと結びつけてしまいますね。理論としてはむちゃくちゃ昔からあった生成AIですが、実現したのはここ数年。それが2003年発刊なのにここまで現実的に書かれているとは驚いた。内容が古びれてないのが素晴らしい。ビットコイン(=AVP)が日本の通貨になる未来もあり得るのでしょうかね。
山本弘さんの小説は全部読んでみようと思えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ神とは何か?というテーマの小説。一神教の信者からしたらこの内容だけで冒涜なんだろうなぁ。
筋書き自体は単純なことで、AI研究してたら、実は神さまってのは人間育成ゲームをしてるんじゃないかって気づく人が出てきて、じゃぁプレイヤーたる神となんとかコミュニケーション取れないか?と考える人が出てきて、その四苦八苦の過程でオカルト現象やら、社会動乱やらが起こって、世界の常識が覆っていく…みたいなデストピア系の近未来SF。
ただこの小説が凄いのは、解説資料の膨大さ。確信犯だと思うのだが、ストーリーほったらかしで、超常現象やら宗教観やらに関するウンチク話が玉石混交で多量に挿入されていく。
作者自体が「