山本弘のレビュー一覧
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「人に親切にすること」を仕事としている主人公、詩羽。初っぱなからその「才能」を見せつけられ圧倒された。子どもたちがカードゲームの交換で悩んでいるところで三角トレードなんのその、四角、五角トレードまでひょいひょいっとこなしてみせるのだから、「このお姉さんただ者じゃない...!」と感じたのは子どもたちだけでなく多くの読者も同じだろう。
他にわかっていることはいうと、「家がないこと」と「お金を一度も触ったことがない」ということだ。「どうやって生きてるんだろ?」と思った人はすぐに本書を手に取ったほうがいい。「詩羽ネットワーク」に参加したいと思うはずだ。 -
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怪獣系のSF(?)。地震や台風と同じように、自然災害の一つとして「怪獣災害」が存在するパラレルな日本で、怪獣対策に携わる気象庁の人達の話。科学的には存在できないはずの怪獣が何故存在できているのか、という理由付けがある理論として提示されるのですが、その理論を用いて「怪獣と人間が同時に生きる世界」観がしっかりと作られていて、なるほどそれならこういうこともあり得るかも、とちょっと思ってしまいます。特に始めの方は有川浩の自衛隊三部作を思い起こさせますが、長編と短編、自衛隊と気象庁、何より人々の心理描写よりも怪獣対策や怪獣の存在そのものに焦点が当てられているなど、似て非なる作品でした。
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Posted by ブクログ
凄いタイトルだけど、それに負けない内容を持ち合わせた一冊。
読後には、違う世界にひとっ飛びしてきた錯覚を覚える程。
SFって夢物語でしょ?とか思ってた自分を、
一挙にSF好きに変えてくれた一冊でもある。
諸々の研究から得られた結果を組み合わせた思考実験のようなもので、
そのいくつかは、世の中の真理に迫っていくものなのかもしれない。
本著は神やら宇宙といった壮大なテーマの基に繰り広げられるけど、
リサーチやロジックがしっかりしており、
こんな現実もありだよね?と感じて安心して読めるし、
その中で読者一人一人が色んなものを感じ、そこから考えるハズ。
SFと聞いてウキウキしちゃう人、
昔の自分みたく拒否反応を示しちゃう人、
とにかくどんな人にもお勧めしたい大作♪ -
Posted by ブクログ
他人に親切にするのが仕事という女性、詩羽。彼女に導かれ変わっていく人々の姿を連作調で描いた作品。
彼女の仕事の特徴というのは、人と人を結びつけるということ、そしてその際お金を受け取らない、ということ。
では詩羽自体どうやって生計を立てているかというと、友達の家を渡り歩いたり、お金以外の報酬をもらったり(例えば店の看板を新調したいという飲食店の店主に、絵の巧い人を紹介してその仲介料の代わりにその店で使えるチケットをもらう)
彼女の手によって結びつけられた人々は、自らの希望を叶えつつ、相手も喜ばせるようになっていきます。この辺は昔の物々交換とちょっと似ているかも。
そんなにうまくいかないよ、だとか、ちょっと説教臭い、といったところもあるものの、彼女の言動、行動はとても論理的。彼女自身親切にする方が気持ちいいでしょ? という感情論で人を動かすのでなく、こうする方が合理的でしょ? とあくまで論理や合理性を前に打ち出しつつ、その結果としてみんなが幸せになっていくという合理性に裏打ちされた親切で人を動かすというのが、偽善臭くなくて良かったと思います。詩羽自体も人に親切にすることで生計を立てている面もあるので(もちろん人の幸せにするのが好きというのもありますが)、自身の利益や願望も満足させつつ人を幸せにもできるなんて、うらやましいなと思いました。
サブカルの様々な小ネタを挟んできたり、読む側に希望を与えてくれる伏線の回収もあって詩羽の行動だけでなく、ストーリー自体も十二分に面白かったです。
作中に『戦場の魔法少女』というマンガが出てくるのですが単なる作中作とは思えないストーリーの濃さがあって実際に読んでみたいなあ、と思いました。作中作がこんなに気になった作品は初めてかも(笑) -
Posted by ブクログ
これは僕のツボでした。
ウルトラQやウルトラマンで子供時代を過ごした身としては、怪獣ものSFはたまりませんね。
しかも、物理学的、生物学的に「怪獣」の存在はありえないと、「空想科学読本」などで指摘されていることを、「多重人間原理」という非常にSF的な仕掛けでうまく(?)説明し、単にファンタジーとしてだけではなく、SFとしても成り立たせていることも気に入りました。
さらに、怪獣をやっつける存在が、「科学特捜隊」(科特隊)ではなく、気象庁(!)の「特異生物対策部」(気特対)だっていうのも、しゃれが効いていていいですね。しかも、「怪獣災害」への対応が、現実の自然災害への対応手法とパラレルになっていて、いい感じでリアリティを出しています。
2009年頃に結構はやった本だそうで、ドラマ化もされているとか。僕はロンドンにいた間だったためか、今まで全く知りませんでしたが、心から楽しめました。 -
Posted by ブクログ
見えない星が地球の近くに来て人類滅亡しちゃいそうだから地球をちょっとズラしちゃおうぜ!
すてきな発想。元々惑星移動モノのオマージュらしいんだけど、そっちは不勉強なので読んだ事無い。なんだか、南極にエンジンつけて移動しようぜ。って事らしい。すげぇw
実体のあるアンドロイドじゃなくて、AR技術の応用(後半では実体化するけど)による知性、人格(に近い)を持つコンパニオンとか、ちょっと欲しいかも。で、そのカーネルはオープンソースで公開されているとか、最近のネット事情も加味されたバックグラウンドは思い浮かべやすかった。
そんなラノベ的要素も含みながらも、ストーリー的にはかなりしっかり重厚。生きて地球に帰還する事が叶わないと知った後のクルーの献身的行動に涙した。