山本弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
他人に親切にするのが仕事という女性、詩羽。彼女に導かれ変わっていく人々の姿を連作調で描いた作品。
彼女の仕事の特徴というのは、人と人を結びつけるということ、そしてその際お金を受け取らない、ということ。
では詩羽自体どうやって生計を立てているかというと、友達の家を渡り歩いたり、お金以外の報酬をもらったり(例えば店の看板を新調したいという飲食店の店主に、絵の巧い人を紹介してその仲介料の代わりにその店で使えるチケットをもらう)
彼女の手によって結びつけられた人々は、自らの希望を叶えつつ、相手も喜ばせるようになっていきます。この辺は昔の物々交換とちょっと似ているかも。
そんなにうまくいかないよ、 -
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Posted by ブクログ
これは僕のツボでした。
ウルトラQやウルトラマンで子供時代を過ごした身としては、怪獣ものSFはたまりませんね。
しかも、物理学的、生物学的に「怪獣」の存在はありえないと、「空想科学読本」などで指摘されていることを、「多重人間原理」という非常にSF的な仕掛けでうまく(?)説明し、単にファンタジーとしてだけではなく、SFとしても成り立たせていることも気に入りました。
さらに、怪獣をやっつける存在が、「科学特捜隊」(科特隊)ではなく、気象庁(!)の「特異生物対策部」(気特対)だっていうのも、しゃれが効いていていいですね。しかも、「怪獣災害」への対応が、現実の自然災害への対応手法とパラレルになっていて -
Posted by ブクログ
見えない星が地球の近くに来て人類滅亡しちゃいそうだから地球をちょっとズラしちゃおうぜ!
すてきな発想。元々惑星移動モノのオマージュらしいんだけど、そっちは不勉強なので読んだ事無い。なんだか、南極にエンジンつけて移動しようぜ。って事らしい。すげぇw
実体のあるアンドロイドじゃなくて、AR技術の応用(後半では実体化するけど)による知性、人格(に近い)を持つコンパニオンとか、ちょっと欲しいかも。で、そのカーネルはオープンソースで公開されているとか、最近のネット事情も加味されたバックグラウンドは思い浮かべやすかった。
そんなラノベ的要素も含みながらも、ストーリー的にはかなりしっかり重厚。生きて地 -
Posted by ブクログ
表紙を見て、「あれ? 『アイの物語』が文庫になったの?」と思った。
しかし、よく見るとタイトルが違う。
内容は、『アイの物語』につながるし、『神は沈黙せず』にもつながる短編集である。
今の自分は、本当にいるのだろうか。この世界は誰かに作られたものなのではないのか。そんな考えを持つとき、創造神を信仰に持たない自分にとって、「創造主」は、ひどく不気味だ。
小説を読むのは良い。
しかし、自分が登場人物で、楽しみも、痛みも、喜びも、悲しみも、愛しさも、切なさも、怖さも、怒りも、何もかもが作られたものだとしたら、それは、恐怖だ。
はじめから決まっている、アカシックレコードの上にいるのも許せるものではな