山本弘のレビュー一覧
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タイムトラベルSF。ある日、未来からアンドロイドがやって来る。目的は「人間を守る事」。テロリストや犯罪者、独裁者を逮捕し、現代の医学では治せない病を治療する。本当に善意なのだろうか?
アンドロイドを神様と置き換えれば、宗教になる。それ位、何でも出来る事に違和感があるけど、非常に面白く引き込まれた。ただ、未来の人類が戦争せずに共存しているとは思えない。その前に滅んでる気がする。それと過去の自分宛のメッセージなんてナンセンス。その時点で歴史は変わっちゃうし、ほっといて欲しい。
オチは作中で登場人物が言うとおり「SFにハッピーエンドはない。ただ物語は続く。」 -
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本書は1962年公開の東宝特撮映画『妖星ゴラス』制作陣に捧げられている。大枠は映画と同じだが、地球とニアミスする放浪惑星が何故?Xデ―の24年前まで発見されなかったかの謎解きと、地球を安全圏に移動させるという大ネタが読み処。カバーイラストにはちょっと引くが内容はハードSF。ミラー物質からなる「見えない星」は作者のでっち上げだと思ったが一応そういう学説があるようだ。実は温暖化対策として地球を移動させようと考えている学者までNASAにはいると聞く。「動かすことになりました」といきなり言われても困るが… +_+
未読だが『「見えない星」を追え!―今世紀最大の宇宙の謎“ミラーマター”の秘密に迫る』という本があるらしい。【著者紹介】ロバート・フット : 1964年生まれのオーストラリア人。メルボルン大学を卒業後、ウィスコンシン・マディソン大学(米国)、サウサンプトン大学(英国)、マクギル大学(カナダ)等で研究を続け、現在はメルボルン大学物理学部研究員。理学博士。専攻は、素粒子物理学、宇宙物理学、宇宙論
地球移動作戦 >> 最近、感染症に関する暗めの本ばかり読んできたので、ここらで気分転換に大ボラSFを読む。ところで、この表紙はなんじゃ!^^; 2012年03月16日 -
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読み応えがあり、SFとしての「旨味」がギュッと凝縮された本である。
宗教、超能力、進化論、未確認飛行物体、物理学、人類学、情報工学・・・「神」という存在論を導き出そうと様々な分野で、丁々発止の議論を展開し、しかも読者に専門的知識も要求することなく、とても刺激的にストーリーが展開していく。
現実の世界でもそうだが、物事を突き詰めて考えていくとどうしても「オカルト」めいた現象にぶつかってしまう。
「確証バイアス」に惑わされることなく、どんなにばかばかしい現象でも、疑念と理論を持って取り組むことの思考法を教えてくれると同時に、世の中の「不可思議さ」を垣間見せてくれる。
フィクションの枠を超えたSF小説。 -
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ネタバレ未来から大量のロボットがやってきて、人類を良き方向に導こうとするが、個人や社会に様々な問題も発生するという話。
タイムパラドックスものは思考実験のようなものになりがちだが、この話の個性的なところは、作者が自分に降り掛かったらどうだろうかという思考実験を公開しているところと言えるかもしれない。
未来から数百万のロボットが人類を助けるためにやってきて、人類を良き方向に導いていく。山本さんのところには特に親しくやってきて、未来の自分からのメッセージを置いていく。
しかも、連中は自分のいた時代から1年ごと遡って、10年間滞在するということをもう300年もやっているというのだ。
のだから、山本さんに関わるのももう10回目とかで、どんどん枝分かれする影響時間軸や、どんどん増えていく平行世界の山本さんが、思考実験をどんどん複雑なものにして行って、発散した挙句論理よりも感情の世界に突入してしまう。
思考実験について、
私はSFの醍醐味は付加要素(もしくは欠落要素)が発生したときに人間はどう動くかということだと思ってるのですが、この話だと、自分にこういう事件が降りかかったらどうなるだろう、そしてどう思うだろう、というのを、かなり山本さん視点で書いていて、作者に親しみを感じると共に、自分であればどう感じるだろうということを想起させてくれて面白かったです。
その上で、登場人物に現実の人が大量に出てきて、こんな事まで書いてしまって良いのか?と思ったり、最後にこのメインの山本さんがひどい目にあうくだりでは、これ見てご家族怒らないのかなあ、とか、余計な心配もしてしまいましたよ。
結局、ロボット君たちがやっている人類救済というのが、おせっかいなのですよね。
現実のおせっかいというのも、良かれと思って手を出して、あんまり良い結果にならないことがままある。余計な手出しをして、かえって悪い結果になることもあるのであれば、本人に任せたほうが良いだろう、となってしまうのに、
ロボットの最大の快楽は人助けで、悪いこともあることはわかっていても、やめられないという展開には、じゃあしょうがない、となってしまいました。
このあたり、人間だとどうしても「お前たちのためにやってやっているんだ」から逃げ切れないところ、ロボットの本能に根ざした行為にすることで、それまで人間と似せても異なる存在であることを示していたこともあり、欲望からは逃げられないという点で、別の視点の「人間味」を感じさせられました。
人間同士でも私が感じる「話せば分かる」は、理解を深める事で同じでないことを認識する、ことを示してくれたような。
それでやはり山本さんの作品世界は好きだと思うのだけど、それだけにメインの山本さんの不幸が残念でした。
別の時代の山本さんが救われてても、やはり残念で、私の中で星をひとつ落とした感じです。
教訓:自分を見つめることをためらっているとろくなことにならない。 -
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「親切」を仕事にする若い女性・詩羽(しいは)。お金も住む所も持たず、人にした親切のお返しとして、食事を得、服を貰い、家に泊まらせてもらう生活。詩羽の作ったネットワークは人々を幸せにする。
SFと思って読み始めたら、全く違っていました。もっとも、山本さんはSFだと主張してますが。まあ、ファンタジーでしょう。
えらく「まとも」に描かれています。
若者文化と言うべき漫画・ラノベ・ゲーム・ネットなどを背景にしながら、善意が悪意を滅ぼし、親切が広がっていく。もっとも裏には"親切は愛や思いやりでは無く、論理なのだ"と、ちょっとひねった解説も入れていますが、ある意味、1970年代、SF最盛期の“未来はきっと良くなる”的なオプティミズムを思わせるところが、山本さんの言うSFたる所以かも知れません。
軽い感じですが、結構読みごたえもあり、かつ気持ち良い作品でした。 -
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山本弘さんの著作は二冊目ですが、長編を読むのは初めてでした。
SFを読んでいると、作者がドラマを書きたいのではなく、思いついたアイディアを書くために小説の形式をとっているのだろうなと思うことが多いのです。そのため、途中で理論の説明などを挟まれると辟易して、読む気がそがれてしまうのですが、そこは流石に山本弘。トンデモ本の世界でともすれば気分を害するようなとんでも話を楽しく読ませてくれるリーダビリティに長けています。自分が小説の世界に入り込んでしまったように錯覚するくらい、一気に読ませます。
というか、これを夫に書いてもらった奥さんは幸せだろうなあ -
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新規開拓の日本SF。いやぁ、面白かった。日本のSFというと堀晃氏しか知らなかった私だが、今回は素直に感激。
クラーク、フォワード、イーガン、瀬名氏が好き(もちろん私も大好き)だという主人公は、吹田市在住だ。
ラスト50pの山場では、太陽の塔は言うに及ばず津雲台、千里南公園などわが家の生活圏がどしどし登場する。
ガーディアンという人間型ロボットとエクスキューショナーという脳髄だけになった人類との戦いがひとつの山場なんだが、この2者の対比は、瀬名氏に近い。
ちなみに、作者は P・K・ディックには興味はないんだろうか? その色は出てこなかったようだなぁ。
歴史を改変して人類を救おうとするガーディアン。でも、それってありがた迷惑ではないのか? ヒトは確率や多数決で生きているのではないのだってなテーマが、アシモフのロボット原則のうえで流れ、(少し安直だが)感動的なハッピーなフィナーレを迎える。
満足!
カバーの裏に使われている写真(中ノ島だ)も気に入った。ほかの作品も読みたいな。SFの好みが同じで自宅生活圏・吹田や職場生活圏・中ノ島が出てくるから親近感がより出たのかな。 -
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どんどん面白くなってるから、とっても期待の山本作品。
超自然現象の筆者なりの解釈(うんちく)が半分ほどを占めている。それはそれで面白い。しかし、それらはさくっとスルーして、私は読み進める。
SFという意味では下敷きとなったのは「フェッセンデンの宇宙(エドモンド・ハミルトン)」らしい。そしてそれを AI とかシミュレーションとかを交えて高度化している。
AIという意味では「記号着地問題」「チューリングテスト」「サールの中国語の部屋」なんてワクワクするようなワードが紙面を踊るし、宇宙という意味では「アープの橋」「オールトの雲」「ダークマター」「パイオニア減速問題」なんてワードが理科系心を刺激する。
あっけなく、お仕着せっぽさが残るオチのよしあしはあるものの、ワクワクするファンタジーだ。作者を超えた本の中の主人公、創造主である神を超えた人類。いいテーマだ。「アイの物語」を頂点に、作者のテーマは一貫しているように見えるので、ぜひともこの路線の新作を読みたいと思う。
山本弘作品はこれで一応終了なので、次は別の作家にトライしよう。 -
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台風や地震と同様に「怪獣」が我々の日常を脅かす「自然災害」ってそりゃこわいわ。MMはモンスターマグニチュードの略。「気象庁特異生物対策部」略して「気特対」は予報・予測をするだけで戦うのは自衛隊(+アルファ)というところがミソ。
終始明るめに読めて楽しい。
SF苦手な人でも大丈夫。
妖怪や怪獣の存在する理由もわかりやすく説明されている。神話宇宙の残存、人間多重原理ーなるほどねぇ。
最終話、そう来たかって感じで、最後まで笑える。
次作でもヒメが活躍するんだろうなぁ。楽しみ~♪
映像化されたらおもしろいだろうなぁと思って調べたら、既に去年MBSでドラマ化されてるんだ!
見てみたかったなぁ… -
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ネタバレ天体衝突を避けるために知恵を絞る大仕掛けなSF
遊星のニアミスによる大災害を必死で避けて、最後に残るのが地震と津波なので、この時期に出したのは英断かもしれない。
文庫版の後書きは震災に言及があった。私は、被害者に配慮して話題そのものも避けるという意見にはあまり賛同しない。災害に立ち向かう力強い物語は、読む人を元気づけることもあると思う。
SF的なガジェットの大きなものは、おおよそ3点。
夢のタキオン駆動装置、ミラー物質で構成される、見えないけど重力のある遊星。仮想現実に住む人工知能。
見えない遊星が危機を作り、現代科学ではとても不可能な対策に、タキオン駆動装置を使うことでぎりぎりの答えを導く。人工知能は添え物のようではあるが、山本弘SFではある意味主題だ。ここではAIは多くが肉体を持たないが、人との関わりはアシモフ以来のパートナーとして重みを増し、共に歩む隣人として、大きな存在になっている。
ミラー物質天体や、タキオン機関を使った大仕掛は、そのようなものがあったとした世界での、知恵パズルが淀みなく展開されて、面白かった。こういうお話で、決定的な敗北はまず有り得ないにしろ、人間の及ぶ限界のプロジェクトという感触は良く描けていてのでないかと思う。
そして、半分ぐらい使って描かれる、神と人とAIの関わり。
この世界のAIは、無理に近い努力を諦める言い訳に使われかけて、人類を守るためにさらに衝撃的な事件を起こす。多くの人に友として認められたAIの人とはまた違う機微が面白い。こういうのだと、友人にも良いよなあ、と思う。