山本弘のレビュー一覧
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読み応えがあり、SFとしての「旨味」がギュッと凝縮された本である。
宗教、超能力、進化論、未確認飛行物体、物理学、人類学、情報工学・・・「神」という存在論を導き出そうと様々な分野で、丁々発止の議論を展開し、しかも読者に専門的知識も要求することなく、とても刺激的にストーリーが展開していく。
現実の世界でもそうだが、物事を突き詰めて考えていくとどうしても「オカルト」めいた現象にぶつかってしまう。
「確証バイアス」に惑わされることなく、どんなにばかばかしい現象でも、疑念と理論を持って取り組むことの思考法を教えてくれると同時に、世の中の「不可思議さ」を垣間見せてくれる。
フィクションの枠を超えた -
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ネタバレ未来から大量のロボットがやってきて、人類を良き方向に導こうとするが、個人や社会に様々な問題も発生するという話。
タイムパラドックスものは思考実験のようなものになりがちだが、この話の個性的なところは、作者が自分に降り掛かったらどうだろうかという思考実験を公開しているところと言えるかもしれない。
未来から数百万のロボットが人類を助けるためにやってきて、人類を良き方向に導いていく。山本さんのところには特に親しくやってきて、未来の自分からのメッセージを置いていく。
しかも、連中は自分のいた時代から1年ごと遡って、10年間滞在するということをもう300年もやっているというのだ。
のだから、山本さんに関 -
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「親切」を仕事にする若い女性・詩羽(しいは)。お金も住む所も持たず、人にした親切のお返しとして、食事を得、服を貰い、家に泊まらせてもらう生活。詩羽の作ったネットワークは人々を幸せにする。
SFと思って読み始めたら、全く違っていました。もっとも、山本さんはSFだと主張してますが。まあ、ファンタジーでしょう。
えらく「まとも」に描かれています。
若者文化と言うべき漫画・ラノベ・ゲーム・ネットなどを背景にしながら、善意が悪意を滅ぼし、親切が広がっていく。もっとも裏には"親切は愛や思いやりでは無く、論理なのだ"と、ちょっとひねった解説も入れていますが、ある意味、1970年代、SF最 -
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山本弘さんの著作は二冊目ですが、長編を読むのは初めてでした。
SFを読んでいると、作者がドラマを書きたいのではなく、思いついたアイディアを書くために小説の形式をとっているのだろうなと思うことが多いのです。そのため、途中で理論の説明などを挟まれると辟易して、読む気がそがれてしまうのですが、そこは流石に山本弘。トンデモ本の世界でともすれば気分を害するようなとんでも話を楽しく読ませてくれるリーダビリティに長けています。自分が小説の世界に入り込んでしまったように錯覚するくらい、一気に読ませます。
というか、これを夫に書いてもらった奥さんは幸せだろうなあ -
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新規開拓の日本SF。いやぁ、面白かった。日本のSFというと堀晃氏しか知らなかった私だが、今回は素直に感激。
クラーク、フォワード、イーガン、瀬名氏が好き(もちろん私も大好き)だという主人公は、吹田市在住だ。
ラスト50pの山場では、太陽の塔は言うに及ばず津雲台、千里南公園などわが家の生活圏がどしどし登場する。
ガーディアンという人間型ロボットとエクスキューショナーという脳髄だけになった人類との戦いがひとつの山場なんだが、この2者の対比は、瀬名氏に近い。
ちなみに、作者は P・K・ディックには興味はないんだろうか? その色は出てこなかったようだなぁ。
歴史を改変して人類を -
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どんどん面白くなってるから、とっても期待の山本作品。
超自然現象の筆者なりの解釈(うんちく)が半分ほどを占めている。それはそれで面白い。しかし、それらはさくっとスルーして、私は読み進める。
SFという意味では下敷きとなったのは「フェッセンデンの宇宙(エドモンド・ハミルトン)」らしい。そしてそれを AI とかシミュレーションとかを交えて高度化している。
AIという意味では「記号着地問題」「チューリングテスト」「サールの中国語の部屋」なんてワクワクするようなワードが紙面を踊るし、宇宙という意味では「アープの橋」「オールトの雲」「ダークマター」「パイオニア減速問題」なんてワードが理科系心 -
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台風や地震と同様に「怪獣」が我々の日常を脅かす「自然災害」ってそりゃこわいわ。MMはモンスターマグニチュードの略。「気象庁特異生物対策部」略して「気特対」は予報・予測をするだけで戦うのは自衛隊(+アルファ)というところがミソ。
終始明るめに読めて楽しい。
SF苦手な人でも大丈夫。
妖怪や怪獣の存在する理由もわかりやすく説明されている。神話宇宙の残存、人間多重原理ーなるほどねぇ。
最終話、そう来たかって感じで、最後まで笑える。
次作でもヒメが活躍するんだろうなぁ。楽しみ~♪
映像化されたらおもしろいだろうなぁと思って調べたら、既に去年MBSでドラマ化されてるんだ!
見てみたかったなぁ… -
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ネタバレ天体衝突を避けるために知恵を絞る大仕掛けなSF
遊星のニアミスによる大災害を必死で避けて、最後に残るのが地震と津波なので、この時期に出したのは英断かもしれない。
文庫版の後書きは震災に言及があった。私は、被害者に配慮して話題そのものも避けるという意見にはあまり賛同しない。災害に立ち向かう力強い物語は、読む人を元気づけることもあると思う。
SF的なガジェットの大きなものは、おおよそ3点。
夢のタキオン駆動装置、ミラー物質で構成される、見えないけど重力のある遊星。仮想現実に住む人工知能。
見えない遊星が危機を作り、現代科学ではとても不可能な対策に、タキオン駆動装置を使うことでぎりぎりの答えを導く -
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超近未来SFファンタジー。いつも思うが誰がディレクションしてるか不明ですが、山元作品はもうちょい表紙考えた方がイイ。題材はラノベ使ってても、中身はラノベじゃないと思うから。これのせいでかなり読者を逃してると思われ。
現在進行形のテクノロジーや流行を巧みに取り入れちょっとだけ未来はこんなかな?この内のどのくらいが実現するのかなと想像するとわくわくします。
いつも以上にキャラクターに華が無いのに妙におもしろい。
ラノベチックな素材を使いつつ、断然ラノベより面白いのは流石!
上巻あっという間に読み終わりそう。
24年後に地球破滅するかもしれなかったら(バーチャル世界への安楽死、成功するかどうかわか -
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先日読んだ「アイの物語」がなかなか良かったので、山本弘さんをもう一冊。これも、なかなかです。
ジャンルとしてはSFに入れたけど、「闇が落ちる前に、もう一度」「時分割の地獄」「審判の日」がSF、「屋上にいるもの」「夜の顔」はホラーでしょう。つまり、SFとホラーが交互に出てくる感じです。
SFは思わぬ視点で引き込まれます。
研究したらこの宇宙がわずか17日前に出来たという証拠しか出てこなかったり、「アイの物語」同様のAIドル(AI=人工知能のアイドル)の殺人劇やら、突然わずかな人類を除いて全生物が消えた世界など、突拍子のない世界(褒め言葉ですよ)です。
ホラーにはさほど興味は無いのですが、それなり -
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ネタバレ作者自らが「私小説SF」という本作。
普段通りの小説家としての日常を送る作者の世界がある日を境に一変する。突如やってきた、9.11テロを未然に防いだ、という未来からのアンドロイド。
彼らは「歴史上起こった災害や事故」を未然に回避させるためにやってきたのだという。
そして作家山本弘は美少女アンドロイドの訪問を受け、未来の自分からのメッセージとこれから書くであろう作品を受け取る。
実名とかもバンバン登場する一風変わったつくりの小説。なるほど。私小説SFか。
SFというと結構ややこしい理論だとか複雑な設定を読み込むまでにちょっと骨みたいな印象が強くてあんまり手を出さずにいたところが大きいんですが -
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2001年9月11日、ワールドトレードセンターが崩壊する映像の直後に
画面の中に現れたのはガーディアンと名乗る美女だった。
彼らはこれから起こる事故や自然災害、戦争を防ぎ
人間を保護するために24世紀からやって来たと言うのだ。
歴史を1年ごとに遡ってはその時代に10年滞在し、また次の年へ向かう彼らは
その経験から我々の反発を見事に抑え込んだかのように見えた。
さらにSF作家の私の元には広報活動のため
カイラという名のアンドロイドが訪ねてきた。
未来の私のメッセージや小説を持って。
未来の私が書いた物を自分の作品として発表してもよいものか、
悩んだ結果編集者に相談してみるが
考えることは誰も似て