古沢嘉通のレビュー一覧

  • レイトショー(上)

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    マイクル・コナリー『レイトショー(上)』講談社文庫。

    レイトショーと呼ばれる夜勤の初動捜査を専門に行うハワイ出身のロス市警女性熱血刑事のレネイ・バラードを主人公にした警察小説。

    マイクル・コナリーが描く新しいヒロインということだが、ハリー・ボッシュ・シリーズと変わらぬ闇夜の匂いがする。なかなか良いじゃないか。バラードの趣味がサーフィンというのも面白い。

    とある夜、トランスジェンダーへの悲惨極まりない暴行事件とナイトクラブでの銃撃大量殺人事件とが立て続けに事件が起こる。バラードは相棒のジョン・ジェンキンスと共に現場に駆け付け、仲間内の妨害を省みずに地道な捜査を続ける……

    本体価格880円
    ★★★★★

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    2020年02月18日
  • リンカーン弁護士(下)

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    ネタバレ

    (上下巻)

    無実の依頼人には妥協するな、ひとつの評決あるのみ。スコアボードにNGをつけねばならない。無罪 ノットギルティ以外の評決はない。


    リンカーン弁護士 上下


    リンカーン・コンチネンタルの後部座席を事務所にして仕事をする、弁護士のマイクル(ミッキー)・ハラー。

    儲からない貧乏仕事ばかりで、別れた妻の元にいる子どもへの養育費も含めて経費の支払いに汲々としている。計算高いが、人間味もある、勝つためには裏技も使う、知的戦力に優れ、法廷の弁論合戦も計算された演技力を駆使する。

    面白く読み応えがあった。
    いくつかの小さな担当事件が挿入されているが、これがメインの事件につながるところもあり、こういったわずかな報酬の仕事で作り上げた人脈が、後に幸いするのも、人柄だろう。


    売春婦の殴打暴行事件の犯人ルイス・ルーレイは、犯行直後に、隣人二人に捕まえられた。拘留中のルイスから弁護を依頼されたマイクには、この富豪の息子の弁護は、やっと運が向いてきた萌しだと思えた。彼はルーレイを一目見て、内向的で無垢な笑顔に、冤罪を感じた。
    だが、状況は全てに不利だった。直感に従えば、無罪の犯人を弁護する難しさを実感する。

    (父は)弁護士が担当する依頼人のなかでもっともまれなのは、無実の依頼人である。と語っていた。もし弁護士がへまをして、無実の依頼人が刑務所にいくようなことがあればそのことが生涯、弁護士を悩ませるだろうと。

    「親父さんは文字通りそんなことを言っているのか?」
    「そういう趣旨の発言をしている無実の依頼人には(略)妥協するな、ひとつの評決あるのみ。スコアボードにNGをつけねばならない。無罪ノットギルティ以外の評決はない」


    一方、使っている調査員ラウルの報告は次第に、ルーレイの素顔に迫っていく。
    事件の真相は、警察の捜査が進むにつれて、ミッキー・ハラーの中でも被告人の罪状に対する印象が二転三転し、そのたびに無邪気に見えたルーレイの顔つきも変化していく。

    頼りにし親しくしていた、捜査員のラウル・レヴンが殺された。使われた銃は、ハラーが父から遺贈されたものだった。しまいこんでいたクローゼットの箱の中身が消えていた。ラウルは手がかりをつかんだと最後の電話で伝えてきていた。

    ハラーは犯人の弁護と、身の潔白を明かさなければならないという羽目になる。

    ラウルのつかんだ証拠が犯人に不利になるのを知っていた、だれが銃を持ち出したかもほぼ見当がついた。
    ラウルの最後の言葉は不明ながら、真実に近いものだと分かっていた、しかし彼は弁護を続ける。
    検察に追い詰められれば証拠について反証されることも承知の上だ。
    が、彼は次第に犯人の意図が見えてくる。無罪を勝ち取るためにジレンマを抑え弁護を展開する。

    ルーレイは仮釈放から追尾アンクレットをつけていた、彼の動きはパソコンに記録され、大きなアリバイになっていた。

    また、ハラーの持つ数々の証拠から、検察側の証拠を粉砕する論拠は確実になった、相手の新人検察官は追い詰められ、ついに有利な答弁取引を提案した。しかし、これを聞き入れれば、ルーレイの罪を認め、彼は短いながらも拘留され、犯罪歴が残る。実績を残すには、彼は無罪でなくてはならない。

    ハラーは監察官の取引をはねつける、そのとき自分の勝ちを実感した。
    だが。

    日常のハラーは、抜け目のないところが小粒な収入であっても彼の仕事を続かせている。
    街の薬物中毒者は、麻薬密売の現行犯からハマーの弁護で厚生施設送りに減刑されてもまた罪をくりかえす、いいお客さん(リピート客)だが、そのつどハラーは全力で弁護してきた。
    カード詐欺、売春、麻薬取引、下町の犯罪を弁護する話は、読んで楽しく興味深い。

    第一部の「刑事調停」はハラーの家族や彼の世界と、法律のあり方や犯人との絡みが面白く、
    第二部の「真実のない世界」というのは、その後のハラーの生き方のさまざまな象徴とも言える。

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    2019年12月20日
  • 訣別(下)

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    コナリーの快作と言っていいだろう。齢を重ねたボッシュが2つの事件を並行して捜査していくのだが、謎が徐々に明らかになっていく過程と、一方で見事に期待を裏切る展開もあり、とにかくページをめくる手が止められない。エピローグも含め、娯楽作品としてほぼ完璧ではないだろうか。

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    2019年10月30日
  • 夢幻諸島から

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    北と南に大きな大陸があり、その中間に広がる無数の島々から成る夢幻諸島。そのガイドブックという形を取った連作短篇集でありながら、長篇としての作品。半分は夢幻諸島に点在する島々の紹介であるが、それがこの作品の下地となって物語を引き立たせる。6~7人くらいの主要な人物が、時折挟まれる中編の物語に登場し、互いにリンクし影響を与え合いこの夢幻諸島に様々な痕跡を残す。超凶悪昆虫スライムとカムストン&カウラー、そして最後のヨーとオイの物語が強く印象に残った。

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    2019年10月18日
  • 紙の動物園

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    中国で生まれ、幼年期を同国で過ごした著者。そのため表題作をはじめ、多くの作品には東洋文化の影響が色濃く反映されており、同じ文化圏の私たちには特に心にグッとくるものがある。お気に入りは「もののあはれ」「太平洋横断海底トンネル小史」「円弧」あたり。すでに多数の短篇を、しかも驚異的な速さで書き上げているみたいなので、どんどん邦訳され刊行されると嬉しい。あ、長篇も出ている様なので、そちらもお願いします。今後大注目の作家。

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    2019年10月18日
  • スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選

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    ゲームをテーマにしたSF短篇アンソロジー。
    ゲームを扱った作品と言っても様々なパターンがあり、ゲームをやることがストーリーの基軸となるもの、ゲームの中の世界が書かれたもの、ゲームのような展開があるもの、などなど。それぞれゲームに対するアプローチが違っており、こんな風に扱うこともできるのかと驚かされるアンソロジーでした。

    死んだ時に近くの人間に乗り移ってしまう男、友が残したゲームには友の死の真相が隠されている、脳の障害による病気の治療に効果があるというシミュレーションゲーム、命を懸けたパズルゲームの行方、FPSゲームの私ならではのプレイ法、MMORPG内のミッションでリアルマネーが手に入る理由とは。
    どれもゲームの魅力と小説の魅力が融合し、思いもがけない展開に目を見張ります。

    ゲームは元々大好きでずっとやっていたのですが、ここ15年くらいはご無沙汰しているんです。その間に様々な新しいゲームが現れ、新しい世界が広がり、新しい遊び方が増えてきました。
    このアンソロジーに出てくるゲームにも驚かされることしきり。そうか今はこんな楽しみ方もあるのかと、ゲーム熱も再熱させられそうでした。
    実に贅沢で満足度の高いアンソロジーです。

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    2019年09月06日
  • 双生児 下

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    こういうオチね。
    しかし、スムーズに幻想の世界に入っていくなぁ。
    騙されるか、と身構えていてもムダ。
    たった一行の文章で、ぜんぜん違う世界に変わっちゃうんだから。
    読み返してもダメ。
    そことは繋がっているようで、繋がっていないから。
    プリーストの作品、これまで読んだのはずれ無し。

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    2019年08月29日
  • 双生児 上

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    クリストファー•プリーストの長編。
    なんか、普通の話だな、とちょっと退屈しながら読んでいくと。
    最後に爆弾。
    え?え? 話が違うんだけど。
    続き、めっちゃ気になる!

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    2019年08月29日
  • 訣別(下)

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    ハリーボッシュ・シリーズの最新作。本当に相変わらずとても面白い。前作よりも面白かった。作者のマイケル・コナリーのクォリティの高さには驚くし、信頼を深めるのみ。どの作品も本当に面白いので、是非とも読んでもらいたい。

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    2019年08月18日
  • 訣別(上)

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    ハリーボッシュ・シリーズの最新作。本当に相変わらずとても面白い。前作よりも面白かった。作者のマイケル・コナリーのクォリティの高さには驚くし、信頼を深めるのみ。どの作品も本当に面白いので、是非とも読んでもらいたい。

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    2019年08月18日
  • 母の記憶に

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    ほんとすごい作家だ。3年間で54篇書いたとか、異常。
    『母の記憶に』『存在』『パーフェクト・マッチ』

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    2019年08月15日
  • 訣別(下)

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     『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。

     探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって久しいにも関わらず、まさにシリーズ終盤を思わせる今になって、老齢に達したボッシュの前にヴェトナム時代が蘇る。

     今になってボッシュという人間像の一部を象ることになったヴェトナムを、改めて当人に振り返させることになるこの事件。主人公とそのシリーズをより深部まで理解させるために重要なポイントとなり得る一冊。蘇るヘンドリックス、クリーム、ストーンズ、ムーディ・ブルース。『青春の光と影』。まさにぼく自身も、日々ギターと長髪とベルボトムで送って過ごした1970年の日々。

     さらに、病院船にヘリで慰問に訪れたボブ・ホープとコニー・スティーヴンスの挿話。強風で一旦は着艦を諦めながらも、引き返して強引に船に着け、五か月前に月面を歩いたアームストロングとともに彼らが降り立った昔日のエピソード。その後、コニーとLAのシアターで再会した時の追想を共有する一瞬。心にずんと来る情感に満ちたこれらのシーンは、本書における追憶の名シーンである。

     以上のことだけでも本書はシリーズにとってとても重要な意味を成すことのように思う。ましてや大学に通う娘マディとの時間の中ですら、ヴェトナムの時間が登場するようになるのである。そしてリンカーン弁護士ミッキー・ハラーとの重要な共同作業に取り組んでゆく点も含め、最新のオールスターキャストで臨む本書で、ボッシュは非常に困難な二つの事件に取り組んでゆく。

     さて本作は、タイトルも重要だ。チャンドリアンである作者は、この作品に『ロング・グッドバイ』へのオマージュとも取れる名をつけた。"Tre Wrong Side of Goodbye"。矢作俊彦の二村刑事シリーズ『ロング・グッドバイ Wrong Goodbye』を想起する人もハードボイルド・ファンであれば、少なくないに違いない。

     LA市警を追われたからのボッシュの今後が気になる。一作毎に急変を遂げつつ、それらのバリエーションのなかで、一歩も譲ることなくハイレベルのストーリーを編み続けるコナリーの手腕に市警の仲間たちとともに、高らかなスタンディング・オベーションを送りたい。

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    2019年08月12日
  • 訣別(上)

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     『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。

     探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって久しいにも関わらず、まさにシリーズ終盤を思わせる今になって、老齢に達したボッシュの前にヴェトナム時代が蘇る。

     今になってボッシュという人間像の一部を象ることになったヴェトナムを、改めて当人に振り返させることになるこの事件。主人公とそのシリーズをより深部まで理解させるために重要なポイントとなり得る一冊。蘇るヘンドリックス、クリーム、ストーンズ、ムーディ・ブルース。『青春の光と影』。まさにぼく自身も、日々ギターと長髪とベルボトムで送って過ごした1970年の日々。

     さらに、病院船にヘリで慰問に訪れたボブ・ホープとコニー・スティーヴンスの挿話。強風で一旦は着艦を諦めながらも、引き返して強引に船に着け、五か月前に月面を歩いたアームストロングとともに彼らが降り立った昔日のエピソード。その後、コニーとLAのシアターで再会した時の追想を共有する一瞬。心にずんと来る情感に満ちたこれらのシーンは、本書における追憶の名シーンである。

     以上のことだけでも本書はシリーズにとってとても重要な意味を成すことのように思う。ましてや大学に通う娘マディとの時間の中ですら、ヴェトナムの時間が登場するようになるのである。そしてリンカーン弁護士ミッキー・ハラーとの重要な共同作業に取り組んでゆく点も含め、最新のオールスターキャストで臨む本書で、ボッシュは非常に困難な二つの事件に取り組んでゆく。

     さて本作は、タイトルも重要だ。チャンドリアンである作者は、この作品に『ロング・グッドバイ』へのオマージュとも取れる名をつけた。"Tre Wrong Side of Goodbye"。矢作俊彦の二村刑事シリーズ『ロング・グッドバイ Wrong Goodbye』を想起する人もハードボイルド・ファンであれば、少なくないに違いない。

     LA市警を追われたからのボッシュの今後が気になる。一作毎に急変を遂げつつ、それらのバリエーションのなかで、一歩も譲ることなくハイレベルのストーリーを編み続けるコナリーの手腕に市警の仲間たちとともに、高らかなスタンディング・オベーションを送りたい。

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    2019年08月12日
  • 訣別(下)

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    マイクル・コナリー『訣別(下)』講談社文庫。

    シリーズ第19作。上巻に書き忘れたのだが、本作にはボッシュの異母弟、リンカーン弁護士ことミッキー・ハラーも登場する。

    まさに現代最高峰のハードボイルド警察小説。27年間、衰えを知らないマイクル・コナリーの筆が冴える。シリーズでは久し振りに手放しに面白いと言える作品だった。

    85歳の富豪、ホイットニー・ヴァンスから依頼された人探しは一筋縄ではいかず、まさかの展開が……一方の『網戸切り』と呼ばれる連続レイプ犯の正体は……

    納得のゆく感動の結末。

    シリーズはまだ続くようだ。

    本体価格900円
    ★★★★★

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    2019年07月19日
  • 訣別(上)

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    マイクル・コナリー『訣別(上)』講談社文庫。

    シリーズ第19作。扶桑社ミステリーの『ナイトホークス』を読んで以来、マイクル・コナリーの作品を読み続けて27年になる。作品によっては多少の出来・不出来はあるものの、常に一定水準の作品を描き続けて来たマイクル・コナリーには敬意を表する。

    さすがは現代最高峰のハードボイルド警察小説と評されるだけのことはあり、非常に面白い。巧みなプロットと類い稀なるリーダビリティ、どれを取っても全く非の打ち所が無い。

    サンフェルナンド市警の嘱託刑事と私立探偵を務めるハリー・ボッシュに85歳の富豪、ホイットニー・ヴァンスから名指しで人探しの依頼が舞い込む……破格の報酬の割りには単純と思われた依頼は困難を極める。一方、刑事としてボッシュは『網戸切り』と呼ばれる連続レイプ犯を追い掛けるのだが……

    タイトルの『訣別』の意味はそういうことだったか。いや、まだ何かあるやも知れない。波乱の予感。

    ボッシュが新鋭ジャズ・トランペッター、クリスチャン・スコットのアルバムを聴いている!(^_^)

    本体価格880円
    ★★★★★

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    2019年07月18日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    楽しめた!
    知ってる作家も知らない作家も、1枚の絵から広げる想像力の半端なさをまざまざと見せつけられた思い。キング御大、ジョイス・キャロル・オーツ、ローレンス・ブロックなどはさすがの出来で、中でもジョー・R・ランズデールがダントツ。ウォーレン・ムーア、クリス・ネルスコットが発見だった。

    しかしそれぞれヴァラエティに富みながらも、全体としてはダーク寄りの傾向なのは、そもそもエドワード・ホッパーの絵の中にある「孤独感」「空虚感」の為せる技だろう。

    読む前、読みながら、読んだ後、何度もホッパーの絵を見返したことよ。

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    2019年06月24日
  • 隣接界

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    ネタバレ

     カメラマンのティボー・タラントはトルコで野戦病院で業務に従事する看護師の妻を反政府ゲリラの攻撃で失い、海外救援局によって英国に連れもどされる。しかもその英国はわれわれの知る英国ではない、グレート・ブリテン・イスラム共和国なのだ。ロンドンを通るが、救援局は何かを隠している。それは正三角形にすべてが消失している敵の攻撃のあとであり、彼の妻もその兵器にやられたのだ。そしてその兵器は隣接にかかわっているらしい。タラントは現実なのか何なのかわからないカフカ的世界に引き込まれていく。
     そしてそのタラントの物語に別の物語が挿入される。第一次大戦中、敵を欺いて飛行機を見えなくする作戦に駆り出された手品師は道中の列車の中でH・G・ウェルズと知り合う。隣接を発見した晩年のリートフェルト博士に取材に行く記者、同道するカメラマンは若き日のタラントだ。第二次大戦中、いわくありげなポーランド出身の女性パイロットに恋した整備兵の話。いやそれはその女性パイロットの来歴の物語でもある。そして夢幻諸島のブラチュウスで一旗揚げようとする奇術師の巻き込まれる事故、それにかかわる女性の視点からの別の現実。プリーストの多くのモティーフが放り込まれているのだが、こうした物語が隣接なのだ。
     全体を覆う戦争の影、そして航空機への愛。いや、「限りなき夏」のプリーストが帰ってくるのだ。

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    2019年05月06日
  • 真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下)

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    そうきましたかぁ。黒幕の事は、なんとなく最初から怪しいとは思っていましたが、まさか本当に黒幕だったとはねぇ。

    それにしても、ミッキーは、弁護士なのに(逆にむしろ刑事専門弁護士だから?)、いつも命を狙われますねぇ。そういう仕掛けがあるので、このシリーズは、単純な法廷ものとは違う、スリリングな感覚があるんですね。

    それと、ハリーとミッキーがねぇ、まさか、そんな関係だっとはね。

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    2019年01月27日
  • 蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二 囚われの王狼

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    続きがある!ことに解説を読んで歓喜です!

    完全に善である人もおらず、完全に悪もおらず、神様ははて悪魔?と思うほど。

    その目線の優しさにケン・リュウらしさを感じます。

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    2018年06月03日
  • 蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一

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    見た目の感じや、表題の感じで
    三国志かはたまたライトノベルかと思われそう。

    思った以上にすごい面白いです!

    文体がいつもと違います。簡潔で読みやすい、好きとかは関係なく。

    名前や地名で最初わかりにくく感じますが、
    なれてくるとこの世界にどっぷり。

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    2018年06月03日