古沢嘉通のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1882年に生まれ、1967年に亡くなった、エドワード・ホッパーというアメリカの画家の17の作品を題材にして、17人の作家が、それぞれの絵に対しての短編物語をつくるというコンセプトの本。要するに、エドワード・ホッパーの17の作品に対して、17編の短編が書かれ、本書はそれを収めた短編集だ。
アイデアを思いつき、物語をつくることに参加を呼びかけたのは、ローレンス・ブロックである。ローレンス・ブロックは私の最も好きな作家の一人なので、読んでみることにしたのだが、ローレンス・ブロックが書いた短編だけではなく、面白い短編が多かった。ローレンス・ブロック以外にも、マイクル・コナリー、ジェフリー・ディーバー、スティーブン・キングなどの有名な作家が短編を寄せている。
エドワード・ホッパーという画家は知らなかったが、とても独特なタッチの絵を描く作家だ。アメリカでは名の知れた画家なのだろう。
また、絵を題材に物語をつくるという試みは成功している。思いもよらない物語を寄せている作家も多い。 -
Posted by ブクログ
マイクル・コナリー『鬼火(下)』講談社文庫。
下巻。ボッシュが託された元服役囚殺害の未解決事件を中心にミッキー・ハラーが担当する裁判所判事暗殺事件、レネイ・バラードが関わるホームレス焼死事件の三つが複雑に絡み合い、意外な強敵が浮かび上がる。69歳のボッシュに代わり、八面六臂の活躍を見せるレネイ・バラード。
最後までストーリーはスリリングな展開を見せ、シリーズの第22作目でも全くマンネリ感はなく、寧ろ進化しているように思えた。シリーズはまだ続くようだが、そろそろボッシュも完全に引退の時期を迎えるのだろうか……ボッシュの娘マディがロス市警に入り、レネイ・バラードとコンビを組むのも面白そうだ。
ハリー・ボッシュはミッキー・ハラーが無罪を勝ち取ったモンゴメリー上級裁判事暗殺事件の真犯人を追い、レネイ・バラードはレイトショーを続けながら、ホームレス男性の焼死事件の捜査を行い、さらにはボッシュと共に元服役囚ジョン・ヒルトン殺害の未解決事件の捜査を行う。
モンゴメリー上級裁判事暗殺事件の真犯人とホームレス男性の焼死事件の意外なつながり……ボッシュとバラードの前に立ち塞がる強敵……
定価990円
★★★★★ -
Posted by ブクログ
マイクル・コナリー『鬼火(上)』講談社文庫。
マイクル・コナリーの33作目の長編で、ハリー・ボッシュ・シリーズの第22作、レネイ・バラード・シリーズの第3作、ボッシュ&バラードものの第2弾ということらしい。さらにはミッキー・ハラーも登場し、ハリー・ボッシュ、レネイ・バラード、ミッキー・ハラーの揃い踏みという何とも贅沢で非常に面白い作品となっている。
かつて『現代最高峰のハードボイルド小説』と唱われたハリー・ボッシュ・シリーズは、警察小説と法廷ミステリー小説との融合小説に進化した。同時に、我らがヒーローの元ロス市警刑事のハリー・ボッシュも69歳となり、痛めた膝を人工関節に置換する手術を受け、リハビリをしているという事実に衝撃を受けた。我々は、ボッシュと共にそれだけ長い時間を過ごしたのだ。
ボッシュが殺人事件担当の新人刑事時代にパートナーを組み、殺人事件の捜査の在り方を教えてくれた恩師である元刑事のジョン・ジャック・トンプスンが亡くなり、ボッシュは葬儀に参列する。ジョンの妻、マーガレットは亡き夫から頼まれていたとボッシュに1冊の古い殺人調書を託す。その内容は1990年に起きた元服役囚で麻薬中毒者の白人男性ジョン・ヒルトンがハリウッドの路地で後頭部を撃たれて死亡した未解決事件だった。ボッシュはこの未解決事件を捜査するべく、ホームレス男性の焼死事件の現場に出向いていたレネイ・バラードに協力を求める。
また、モンゴメリー上級裁判事暗殺事件裁判を担当するミッキー・ハラーに協力していたボッシュは、ハラーに自分が慢性骨髄性白血病にかかっているという驚くべき告白をする……
この後、ボッシュが託された元服役囚殺害の未解決事件を中心にミッキー・ハラーが担当する裁判所判事暗殺事件、レネイ・バラードが関わるホームレス焼死事件の三つが複雑に絡み合う展開のようだ。
定価990円
★★★★★ -
Posted by ブクログ
ボッシュ・シリーズ19作目、後半。
サンフェルナンド署の嘱託刑事としては、連続暴行事件を追い、私立探偵としては、大富豪の遺産を相続させる人間を探すボッシュ。
捜査の過程で、若い頃にヴェトナム戦争に参加した記憶がよみがえる。
シリーズ初期には、ヴェトナム帰りの暗さを引きずった刑事だったが、最近はその影はだいぶ薄れていました。
この数年、いることも知らなかった最愛の娘マディと出会い暮らしている日々も影響しているのだろう。
サンフェルナンド署では、新入りだが経験豊か過ぎるボッシュのやり方に、同僚がついて行けないところも。
自分もミスをしないわけではない、これまでミスをして覚えてきたことを教えたいと語るボッシュ。
目の付け所の確かさに、次第に信頼を得ていきます。
全く異なる事件それぞれの展開と、66歳になったボッシュの人生。
コナリーの衰えない筆力に感動しました。
様々な新鮮味とスケール感、いつもの解決力と、きびきびした文体で、読ませます。
ボッシュが首になりそうだと何年もハラハラさせたくせに(笑) -
Posted by ブクログ
20世紀を代表するアメリカ人画家の一人であるエドワード・ホッパーの作品は、写実的だが郷愁を感じさせるタッチ。現代的な孤独感。描かれる人物の物憂げな表情。ありふれた構図なのだが何故か惹かれるものがある。
そんな魅力に惹かれる作家も多く、この本の編者であり著者の一人が、これまたアメリカ探偵小説の雄ローレンス・ブロック。ホッパーの作品から発想された短篇小説を創り出すというアンソロジーの企画に賛同したのは、彼と交友関係のある多彩なアメリカ人文筆家達。
18枚のホッパーの作品に、ブロックを含め、17人の作家が描く17編の短編は、ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、スパイモノ、ホラー、ヒューマンドラマ、コンゲーム、ラブロマンスと幅広いジャンルの作品が揃う。
翻訳陣もニクイ。スティーブン・キングには白石朗、マイケル・コナリーには古沢嘉道と、過去に夫々の作家の翻訳を手掛けた人を起用している。
贅沢な一冊。
個人的にはロス市警を退職し私立探偵となったハリー・ボッシュが登場するマイケル・コナリーの『夜鷹 ナイトホークス』が一押し。 -
Posted by ブクログ
刑事ボッシュは二つの事件を抱える。1.未解決事件班として、1989年女性が殺害された事件で残されたDNAと合致する者がいた。その容疑者ペルは当時8歳だった・・・ 2.不倶戴天の敵アーヴィング市議(元市警副本部長)の息子がホテルから転落死した。市議から指名され、他殺、事故、自殺のいずれかか捜査するよう命じられる・・・
勿体ないので、旅行の時のように最小限の、確実に読み通すからという場合にしか読まないシリーズ。やはり、面白すぎだった。
ボッシュはもう60歳。このシリーズが終わってしまうのかと、危惧する。震える。
次作を読むときに忘れないように下にネタバレ。
※ネタバレ
アーヴィングの息子は、タクシー会社が新規参入するために他の会社の免許が更新されないようにするため暗躍していた。アーヴィング自身が警察に圧力をかけ、また息子の親友の警官が違法な捜査をしてタクシー会社を潰そうとしたとボッシュは解釈した。そして対立会社の者に殺されたと、しかし、アーヴィング自身は関与してなく、息子は離婚の故の自殺だった。アーヴィングを潰したい本部長が意図してメディアに偽情報を流していた。アーヴィングは激怒している。
女性殺害事件は、ペルを虐待する男が犯人だった。虐待するときに使用したベルトで殺害していた。その男は父親にはなりすまして暮らしていた。そして37人も殺していた。ボッシュは正規の令状をとって捜索をしていなかったのと、護送の際にペルが犯人に襲いかかってもおり、警察の不手際をこれからアーヴィングに責められるはずである。