古沢嘉通のレビュー一覧
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1992年に「ナイトホークス」でデビューしたマイクル・コナリーの長編は訳出されているだけで19冊ある。で、面白さの盛りはかなり早い時期に過ぎていて、私的には「ザ・ポエット」(96年)、「わが心臓の痛み」(98年)あたりがベストだろうか。もっとも、これはその後のコナリーの作品が面白くないという意味ではない。コナリーとローレンス・ブロックは、大リーグになぞらえればテッド・ウィリアムスやピート・ローズみたいなもので、ホームランは少なくても二塁打を連発する。4割を打つ。ハードボイルド史に残るアベレージヒッターだ。しかしですね、本作は紛れもない「ホームラン」である。ピークをつけてから20年以上たって、この一発が出てくるとは思いもしなかった。タイトルよし。プロットよし。キャラクターよし(なんとハリー・ボッシュとミッキー・ハラーの競演なのだ!)。そして、どんでん返しよし。やられた、そうくるかい!ってなもんで、未訳の4冊を読むのが早くも待ち遠しい。太鼓判です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ解説を読み直してみると、ボッシュは色々
女性とお付き合いしてたんですね、記憶にないけど、
ただ、エレノアだけは良く覚えています。
やっぱり、愛の弾丸説でしょうか。
って、私関係ないんですけどね。
二度も三度ものドンデン返し、最後の最後での
クロスの・・・衝撃でした。
彼の求めたものは?復讐?懺悔?誰かオレを裁いてくれ?
それは、分らないけれども、ん、衝撃というしかないなぁ。
リンデルは、いい同僚になってくれるといいなぁ。
ライダーにラングワイザー、ボッシュの周りには魅力的な女性も
たくさんいるのよね~。あと、私、詳しくないけど、ジャズ好きなボッシュも、シュガーレイとサックスを練習するボッシュのまたいいなぁと。
あれ、この次は、刑事に戻るんだよね。
ええ~~、何があったの?知りたいようで、知りたくもないような。もう暫く救われた気持ちで、パラダイスロードを散策していたい気分だわ~。 -
Posted by ブクログ
<ハリー・ボッシュ・シリーズ>の第12作目。シリーズ最高傑作かも。殺人犯と、それを追う主人公のボッシュ。出生から少年期を過ごした環境が、ふたりとも似ている。しかし、一方は犯罪者に、もう一方は刑事に。人生の矛盾を感じる。殺人犯が同じような環境で育った刑事に語る犯行動機。到底理解不能だ。なにが道を分けたのか。終盤の展開では、正義と悪の境界線が歪みを見せる。ボッシュ自身の心の闇も覗かせる。本シリーズは、「ボッシュの心」も注目するところだ。シリーズの中で明らかにされてきた、ボッシュの出生から少年期、刑事となり不明だった父親を見つけ出した頃の話、このあたりを読んでいないと本書読後の感慨が浅くなる。
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“現代ハードボイルドの最高峰”というフレコミに納得。イントロ、プロセス、巧みな人物造形に主人公を取巻くジレンマと企み、冷静で非情なクライマックスを経ての心揺さぶられるラストまで、クールで隙のないプロットにただただ酔いしれた。
ミステリらしい視点から紐解く真相もよかったが、やはり特筆すべきは、事件に関わる人物たちのドラマだろう。さらりとした描写の中にいかに多くの怒りや悲しみが隠されていることか。シチュエーション、会話、すべてが絶妙のタイミングなので、少ない行間から余りある感情をダイレクトに受け取ることができる。この感触が最後まで途切れないので、引き込まれた作中からはみ出すストレスは皆無だった。
『マルタの鷹』の“コケにされるはごめんだ”が、本作品の“アンジェラ・ベントン”になるのだろう。サム・スペードとハリー・ボッシュの共通点は、心に一本強い柱が通っていること。その信念を前面に出し、圧倒的な筆力で描ききったコナリーには脱帽するしかない。
ディーヴァーが東の横綱なら、西の横綱は間違いなくコナリーだろう。お互いタイプの違うシリーズだが、リピート必至という点では同じかな。ただボッシュの方が、人生と事件がシンクロしているような印象を受ける。そういう意味ではこちらの方が中毒性が高いかも。 -
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私の中では『ユダの窓』と本作品がリーガル・ミステリの双璧。
長めの助走を経て、物語は一気に加速する。中盤にサスペンス色を際立たせた、リーガル・ストーリーの挟み撃ち。この構成は素晴らしく、どうやっても抗うことのできない吸引力となって、読者を確実に支配する。サスペンスフルな展開の中にも、リーガル・ミステリとしてのテリトリーをキープしているので、全体のトーンは統一されている。
保釈保証人や調査員、検事である元妻や囚人など、脇役が次々と事件に絡んでくるストーリーもいい。その辺りに無駄な動きは一切なく、また過剰にキャラを利用して話を歪めるという欲深さもない。
刑事弁護士という主人公の立場は、いろんな局面でクローズ・アップされる。小さな手掛かりから繋がる謎の連鎖は読者を驚愕させ、主人公を苦境に立たせる。法廷シーンだけがリーガル・ミステリではないことを実感させられるだろう。弁護士という職業を逆手にとり、弱点を物語の根幹に据えた作者の手腕には脱帽するしかない。 続編を所望する読者も多いのでは?
マシュー・マコノヒー主演で映画化されるそうだが、彼は若干あくどさに欠ける。『エンゼル・ハート』の頃のミックー・ロークが私のイメージに近いかも。