感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2011年07月28日
下巻はツイストに次ぐツイストでラストまで息もつかせぬ展開が続く。わたしのようにこの作品でコナリーにはまった人も多いだろう。エドガー、アーヴィング等のレギュラーキャラクターも存在感を増してきた。
Posted by ブクログ 2019年11月10日
ハリー・ボッシュ・シリーズ第3弾、今回はボッシュがハリウッド署に異動になった原因となるドール・メイカー事件の裁判から始まる。原告側女性弁護士の名前がチャンドラーなんてハードボイルドだ。
Posted by ブクログ 2019年08月30日
一般人は警察に平和を守れとか犯罪をなくせとか
いろいろ言うくせに、その対価を払うのにはきわめて後ろ向きで、警察の不祥事みたいなのにはものすごい不満を言うし、誤認逮捕やらなんやら、本当に手厳しい。
そういう嫌なものは見ずに蓋をしてしまいたくなる感覚って、なんか日本人っぽいのかな?と思ったけどその感覚は...続きを読む日本でも米国でも同じなんだなぁ、と。警察が、なんと都合の良い、と思う気持ちも分からんでもない。
まぁでもそれが庶民だよねぇ。
そしてこの本はその庶民の代弁者であるチャンドラーさんの話であって、妙になよなよしたり気弱なところがあるボッシュさんは責め立てられるMの立場で、心の中ではもにょもにょ言いながらも目をそらしたりして実に情けなく、普段の強面とのギャップと彼女とのいちゃつきぶりもあれまぁであって、要するにマザコン。そんなん男はみんな気に入るさ~。
Posted by ブクログ 2016年06月06日
ハリー・ボッシュシリーズの中で何度も引用されるドイツの哲学者フリードリッヒ・ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』からの一節が原告側弁護士ハニー・チャンドラーによって、初めて引用される。
「怪物と戦うものはだれであれ、その過程において、自分が怪物とならぬよう気をつけねばならぬ。そして、深淵を覗き...続きを読む込むとき、その深淵も逆に見つめ返しているのだ・・・」
つまり、ボッシュが「ドールメイカー」事件で、ノーマン・チャーチを射殺したのは、深淵を覗くあまり怪物の側に立ってしまったからではないか、という指摘で、ボッシュの出生の事情や心に抱えている精神の闇(ブラック・ハート)が追求されていく。
ボッシュが背負っているトラウマ、自己の闇に立ち向かうため警察組織からはみ出した孤独な一匹狼となり、事件の渦中に飛び込み、自ら捜査する過程でその深淵と対峙していく姿が斬新なハードボイルドを感じさせる。
猟奇的な殺人事件を科学的、法的な見地から追求し捜査していく迫力、
やり手女性弁護士との臨場感あふれる公判場面、
迫り来る見えない敵との闘い!
それらがどれもスリリングで、息もつかせぬままクライマックスからエンディングへと導かれる。
Posted by ブクログ 2016年04月30日
ハリー・ボッシュシリーズ第3作。前作までの荒々しさが消え、プロットはより練り込まれ、洗練されている。三人称でありながら主人公に視点をしっかりと据え、その行動を通してしか物語が進行しない。このシリーズがハードボイルドたる所以の一つであり、ミステリとしても重要要素である。
娼婦らを狙った連続殺人犯〝ド...続きを読むールメイカー〟の住居に単独で乗り込み射殺したボッシュは、その4年後、無実を主張した男の妻から訴えられる。男の住居からは犯行を裏付ける証拠が見つかっていたが、幾つかの相違や矛盾する点もあった。裁判が進行する中、男のアリバイを証言する者が出現。さらには自らを〝ドールメイカー〟と名乗る者によって、同様の手口による新たな殺人事件が発生し、ボッシュは窮地に立たされる。4年前に葬った男が真犯人であることを確信しつつも、模倣犯と思しき殺人者がなぜ〝今〟になって姿を現したのか。原告側の敏腕弁護士との熾烈な対決で神経を消耗しつつも、ボッシュは改めて不可解な事件の真相を探るべく、まずは警察内部へと疑いの眼を向ける。
その名もチャンドラーという女性弁護士が、確たる証拠を事前に入手しないまま容疑者殺害に至るボッシュの動機がトラウマにあるとするくだりは、優れた法廷劇でもある本作の隠れた山場であろう。過去に被害者らと同じく娼婦であったボッシュの母親は殺害され未解決となっている。事実に根差した推測でありながらも心理的な攻撃を容赦なく放つチャンドラーに対し、ボッシュは煮え滾るような怒りを抑え、あくまでもクールに立ち振る舞う。自己弁明よりも事件解決を優先させる刑事としての誇りを表すエピソードが物語に深みを与えている。巧い作家だ。