古沢嘉通のレビュー一覧
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マイクル・コナリー『素晴らしき世界(下)』講談社文庫。
マイクル・コナリーの32作目の長編にして、ボッシュ・シリーズの21作目。さらには『レイトショー』に登場したロス市警ハリウッド署深夜勤務担当女性刑事レネイ・バラードとハリー・ボッシュの共演作となっており、ボッシュ・シリーズ前作の『汚名』からの続きが描かれる。
下巻では、我等がボッシュが主役の座を奪回。スリリングで結末まで予断を許さぬ展開は、なかなか面白い。さすがは現代最高峰のハードボイルドと賞賛されるシリーズのことだけのことはある。
ボッシュとバラードによる未解決事件の捜査は続き、ボッシュに最大の危機が訪れる。ボッシュの危機を救うバラ -
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マイクル・コナリー『素晴らしき世界(上)』講談社文庫。
マイクル・コナリーの32作目の長編にして、ボッシュ・シリーズの21作目。さらには『レイトショー』に登場したロス市警ハリウッド署深夜勤務担当女性刑事レネイ・バラードとハリー・ボッシュの共演作となっており、ボッシュ・シリーズ前作の『汚名』からの続きが描かれる。
ボッシュとバラードの2人の主人公は確かに話題性がある。上巻を読む限りでは、どちらかと言えば、バラードの方が主役という感じ。その点は、ボッシュのファンとしては少し不満。しかし、このコンビの活躍も面白い。
今回は、ボッシュがこだわってきた15歳の少女デイジー・クレイトン殺害の未解決事 -
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マイクル・コナリー『汚名(下)』講談社文庫。
現代最高峰のハードボイルド警察小説、ハリー・ボッシュ・シリーズの第20作。
65歳を超えてもなお、根っからの警察官であり続けるハリー・ボッシュ。騙す者と騙される者、金に支配される者と支配する者。悪と善の構図は大昔から変わらない。
ボッシュの警察人生の最大の危険を救うのはリンカーン弁護士ことミッキー・ハラー。終盤の緊迫した法廷劇だけでも読み応えがある。
そして、ラストには次作へのプロローグが。
ボッシュが担当した30年前のロス市警での殺人事件捜査の証拠が捏造され、ボッシュの捜査に嫌疑が掛かり、警察人生に最大の危機が訪れる。また、サンフェルナ -
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マイクル・コナリー『汚名(上)』講談社文庫。
現代最高峰のハードボイルド警察小説、ハリー・ボッシュ・シリーズの第20作。扶桑社ミステリーの『ナイトホークス』を読んで以来、マイクル・コナリーの作品を読み続けて28年になる。毎回、巧みなプロットと類い稀なるリーダビリティには脱帽する。
原題が『TWO KINDS OF TRUTH』というからにはボッシュの過去と現在の2つの事件で何らかの真実が明らかになるのだろう。
サンフェルナンド市警の予備刑事として自発的に未解決事件の捜査を行うハリー・ボッシュに突然訪れた警察人生最大の危機。ボッシュが担当した30年前のロス市警での殺人事件捜査の瑕疵を巡り、 -
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当代最高のハードボイルド作品と言われる、ハリー・ボッシュ・シリーズの邦訳最新刊! ボッシュ刑事物の最新作は、前作『訣別』同様、ボッシュに関わるふたつの事件を平行して描く。ボッシュが陥る二種類の危機(潜入捜査における現実的な死の危険と、捜査官としての名誉が汚される危機)を迫力たっぷりに描きだし、またしても抜群のページターナーに仕上がっている。特に前者の潜入捜査では、何度も死の危険に襲われ、シリーズ中”ボッシュ最大の危機”を描いたと言っても過言ではない。
原著題名のTwo Kinds of Truth(二種類の真実)とは、かつての同僚たちからも証拠捏造を疑われた際のボッシュの心情に関するくだり( -
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シリーズ第20作。
SFPD(サンフェルナンド市警)の予備刑事(reserve officer)として、自発的に未解決事件捜査にあたっているハリー・ボッシュのもとを、昔のパートナーだったロス市警本部強盗殺人課未解決事件班刑事のルシア・ソトが現在パートナーを組んでいるボブ・タプスコットとロス検事局のアレックス・ケネディ検事補とともに訪れ、ボッシュが三十年ほど前に逮捕し、現在も死刑囚として服役中の連続殺人犯プレストン・ボーダーズに関して、あらたな証拠が出たとして、再審がひらかれる見込みだと聞かされる。残された証拠を調べ直したところ、すでに死亡している別の死刑囚ルーカス・ジョン・オルマー(連続婦女暴 -
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散々話題になって、2010年代SFのベスト10にも選ばれて、ようやく読んだケン・リュウの『紙の動物園』
確かに面白いのだけど、それ以上にSFというジャンルに吹いた新しい風というか、雰囲気を感じる短編集だったように思います。
表題作の「紙の動物園」は特に傑作だと評判は高かった気がしますが、本当に評判に違わない傑作!
アメリカ人の父と中国人の母を持つ息子が主人公。折り紙の動物に命を吹き込むことが出来る母。しかし息子は成長するに従い、中国人の母に反発を覚えるようになり……
国籍や言語の違い、文化の違い、それは親子ですらも遠い距離にしてしまいます。そして母からの手紙で明かされる、語られることのなか -
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景気低迷で、差し押さえ案件を手がけるようになった弁護士ミッキー・ハラー。自宅を銀行に差し押さえられそうになっていた依頼人のリサが逮捕されたという。銀行の重役を撲殺した疑いで。リサは差し押さえ被害者の会を立ち上げ、銀行の前でデモをしていた。様々な証拠が積み重ならがリサはやっていないと主張し、有罪答弁取引には応じない。担当の検事は凄腕で、絶体絶命のハラーは・・・
常に高品質のマイクル・コナリー作品の中でもピカイチ。何も文句のつけようがない。誰が何のために証言拒否するのか、なぜそれがタイトルなのか、予想を大きく裏切ってくれる。
有能な調査員、怪しい依頼人リサ、怪しすぎるリサの後援者と脇役が必要十 -
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楽しみにしていたコナリーのニュー・ヒロイン、レネイ・バラード初登場作品。コナリーのメイン・シリーズを背負う我らがヒーロー、ハリー・ボッシュがかつて在籍したハリウッド署、しかもそのナイトシフトの刑事たち(タイトルの通りレイトショーと呼ばれている)を舞台に展開する独特の警察小説ワールド。
コナリー作品の特色を余さず継続している。バラードの勤務先として描かれる警察署内の凌ぎ合い・暗闘・友情など従来のコナリーの描写にプラスして女性ヒロインならではのセクハラという材料などもじっくりと取り入れている。
さらにヒロインであるバラードを、彼女自身につかず離れずの視点で密着して描いている。新刑事ヒロイ -
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楽しみにしていたコナリーのニュー・ヒロイン、レネイ・バラード初登場作品。コナリーのメイン・シリーズを背負う我らがヒーロー、ハリー・ボッシュがかつて在籍したハリウッド署、しかもそのナイトシフトの刑事たち(タイトルの通りレイトショーと呼ばれている)を舞台に展開する独特の警察小説ワールド。
コナリー作品の特色を余さず継続している。バラードの勤務先として描かれる警察署内の凌ぎ合い・暗闘・友情など従来のコナリーの描写にプラスして女性ヒロインならではのセクハラという材料などもじっくりと取り入れている。
さらにヒロインであるバラードを、彼女自身につかず離れずの視点で密着して描いている。新刑事ヒロイ -
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マイクル・コナリー『レイトショー(下)』講談社文庫。
何ともクールなヒロインが誕生したものだ。ハリー・ボッシュやミッキー・ハラーのように人間味がある熱血漢。なかなか良いじゃないか。
『レイトショー』はマイクル・コナリーの30作目とのこと。コナリーの邦訳作品は『ナイトホークス』以来、刊行順に全て読んでいるが、いつもながら完成度の高さには驚かされる。この先の邦訳予定を見ると、何とバラードとボッシュの共演作品も控えているらしい。
ナイトクラブの銃撃大量殺人事件の後、かつてバラードを裏切った相棒の刑事が殺害される。幾つかの事件を掛け持ちし、精力的に捜査を進めるバラードだったが、トランスジェンダー -
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マイクル・コナリー『レイトショー(上)』講談社文庫。
レイトショーと呼ばれる夜勤の初動捜査を専門に行うハワイ出身のロス市警女性熱血刑事のレネイ・バラードを主人公にした警察小説。
マイクル・コナリーが描く新しいヒロインということだが、ハリー・ボッシュ・シリーズと変わらぬ闇夜の匂いがする。なかなか良いじゃないか。バラードの趣味がサーフィンというのも面白い。
とある夜、トランスジェンダーへの悲惨極まりない暴行事件とナイトクラブでの銃撃大量殺人事件とが立て続けに事件が起こる。バラードは相棒のジョン・ジェンキンスと共に現場に駆け付け、仲間内の妨害を省みずに地道な捜査を続ける……
本体価格880円