あらすじ
多額の報酬が約束された事件を調べるハラーは、かつて弁護を手がけたある裁判へと辿りつく。もしかしたら自分は無実の人間を重罰に追いやってしまったのではないか。思い悩む彼の周囲に、さらに恐るべき魔手が迫る。絶体絶命の状況下で法廷に挑む彼に勝算はあるか?コナリーワールドの新境地を拓く意欲作。
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主人公を追い詰めながら、鮮やかなラスト。今までにないシニカルで現実的な弁護士像に魅了されました。新作だけでなく、未読のコナリー作品を読みあさりそうな予感。
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マイクル・コナリーはジャーナリスト出身なので事実の調査に基づいて書くため、フィクションでもリアリティがある。この作品も構想から5年かけて仕上げたということで、念入りに細部が作り込まれていてまるで映画のワンシーンの連続である。すぐに映画化の話が来たそうだが、さもあろう。今年公開予定というが、やはり、私の中ではミッキーハラー像は出来上がっているので、別物として見に行きたい。
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リーガル・サスペンスを書きたいと思っていたというコナリーが、野球場である弁護士に出会い、満を持して5年がかりで書いた作品。
弁護士のハラーは刑事のボッシュとは反対の立場で、淡々と仕事をこなしていく様子だった始まりですが、なぜか似たような場所に住んでいる。
危機に陥って、しだいにボッシュと似てくるような?
犯人との対決はいかに?!
ハリー・ボッシュ・シリーズに比べると、細かい説明が長く丁寧で、ジャンルと始まった時代の違いを感じさせます。
コナリーは達者ですね~。
続く作品では、ボッシュと共演もあるとか。
それは楽しみ!
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来年マシュー・マコノヒー主演で映画の公開が決まっている。
読んでから観るか?観てから読むか?
もう読んでしまったので読んでから観ますが、かなり期待しています。
このミステリーは久々に本当におもしろかった!
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待ちに待っていたマイクル・コナリーの新作。しかも、あらたな分野に挑戦。今回は、なんと異色のリーガル・サスペンスであった。ハリー・ボッシュ、テリー・マッケイレブに次ぐ、本書の魅力的な主人公は、弁護士のミッキー・ハラー。高級車リンカーンの後部座席を事務所代わりに、ロサンジェルス郡に点在する40ヶ所近い裁判所を縦横に行き来し、こまめに事件を拾って弁護報酬を稼ぐ刑事弁護士である。期待を裏切らない面白さだった。主人公ハラーが悩み、追い込まれていく過程に、ドキドキ・ハラハラしてしまい、どんな対抗策、どんな結末が待っているのかと、読むスピードが一気に上がったほどだった。内容(「BOOK」データベースより)多額の報酬が約束された事件を調べるハラーは、かつて弁護を手がけたある裁判へと辿りつく。もしかしたら自分は無実の人間を重罰に追いやってしまったのではないか。思い悩む彼の周囲に、さらに恐るべき魔手が迫る。絶体絶命の状況下で法廷に挑む彼に勝算はあるか? コナリーワールドの新境地を拓く意欲作。悪魔のような男を弁護をしなければならないという、心の葛藤。こんな男の代わりに無実の人間を重罰に追いやったかもしれないという、罪悪感。大切な人を守らなければならないという、使命感。二転三転する展開に驚かされ、最後の最後までわからない決着。こういう展開はお約束ではあるだけに、なおさら落し処が気になった。すばらしい作品だった。主人公の成長話はやはり好きだ。本国ではすでに続編が出ているそうだ。それも、嬉しいことに、ミッキー・ハラーとハリー・ボッシュの共演だという。本書に勝るとも劣らぬ迫力の力作とのことで、早くも胸がわくわくする。しかし、邦訳は次の次の次と、まだまだ待たされる。次のコナリー邦訳予定作品は、ハリー・ボッシュ刑事シリーズの第12弾Echo Parkだそうだ。これが、シリーズ最高傑作らしいので、相当に期待している。年内だそうだ。メチャクチャ楽しみだ。
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うーん、流れが良くてすごく考えられてるんだろうなぁ、とは思うけども。でもよ、最後に警察が犯人に気がつくというくだりが理解できないよ。てかみんな付いてってるの?馬鹿なおじさんにも分かるように3行で教えてプリーズ。
みたいなのもあるけどそこら辺は勢いで無視してまぁ面白かったよ。最終的には主人公もコテンパンでwin-winどころかlose-loseじゃろうがってことだけど、なんか一皮むけた主人公の次回作に乞うご期待って感じよね。
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面白かった。最後まで落ち着き先が分からなかったが一気に読み終えた。
全て円満の解決ではなかったが納得のいく結末だった。
主人公が魅力的なので続編があれば読みたい。
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やっと、文句なしの面白い本に会えた。最近面白いなぁと思ったものは多いが、全編を通して、息継ぎがないくらいに読み通したのは久々で、評判どおりだった。
リンカーン・コンチネンタルの後部座席を事務所にして仕事をする、弁護士のマイクル(ミッキー)・ハラー。
儲からない貧乏仕事ばかりで、別れた妻の元にいる子どもへの養育費も含めて経費の支払いに汲々としている。計算高いが、人間味もある、勝つためには裏技も使う、知的戦力に優れ、法廷の弁論合戦も計算された演技力を駆使する。
面白く読み応えがあった。
いくつかの小さな担当事件が挿入されているが、これがメインの事件につながるところもあり、こういったわずかな報酬の仕事で作り上げた人脈が、後に幸いするのも、人柄だろう。
* * *
売春婦の殴打暴行事件の犯人ルイス・ルーレイは、犯行直後に、隣人二人に捕まえられた。拘留中のルイスから弁護を依頼されたマイクには、この富豪の息子の弁護は、やっと運が向いてきた萌しだと思えた。彼はルーレイを一目見て、内向的で無垢な笑顔に、冤罪を感じた。
だが、状況は全てに不利だった。直感に従えば、無罪の犯人を弁護する難しさを実感する。
「(父は)弁護士が担当する依頼人のなかでもっともまれなのは、無実の依頼人である。と語っていた。もし弁護士がへまをして、無実の依頼人が刑務所にいくようなことがあればそのことが生涯、弁護士を悩ませるだろうと。」
「親父さんは文字通りそんなことを言っているのか?」
「そういう趣旨の発言をしている無実の依頼人には(略)妥協するな、ひとつの評決あるのみ。スコアボードにNGをつけなばならない。無罪ノットギルティ以外の評決はない」
一方、使っている調査員ラウルの報告は次第に、ルーレイの素顔に迫っていく。
事件の真相は、警察の捜査が進むにつれて、ミッキー・ハラーの中でも被告人の罪状に対する印象が二転三転し、そのたびに無邪気に見えたルーレイの顔つきも変化していく。
頼りにし親しくしていた、捜査員のラウル・レヴンが殺された。使われた銃は、ハラーが父から遺贈されたものだった。しまいこんでいたクローゼットの箱の中身が消えていた。ラウルは手がかりをつかんだと最後の電話で伝えてきていた。
ハラーは犯人の弁護と、身の潔白を明かさなければならないという羽目になる。
ラウルのつかんだ証拠が犯人に不利になるのを知っていた、だれが銃を持ち出したかもほぼ見当がついた。
ラウルの最後の言葉は不明ながら、真実に近いものだと分かっていた、しかし彼は弁護を続ける。
検察に追い詰められれば証拠について反証されることも承知の上だ。
が、彼は次第に犯人の意図が見えてくる。無罪を勝ち取るためにジレンマを抑え弁護を展開する。
ルーレイは仮釈放から追尾アンクレットをつけていた、彼の動きはパソコンに記録され、大きなアリバイになっていた。
また、ハラーの持つ数々の証拠から、検察側の証拠を粉砕する論拠は確実になった、相手の新人検察官は追い詰められ、ついに有利な答弁取引を提案した。しかし、これを聞き入れれば、ルーレイの罪を認め、彼は短いながらも拘留され、犯罪歴が残る。実績を残すには、彼は無罪でなくてはならない。
ハラーは監察官の取引をはねつける、そのとき自分の勝ちを実感した。
* * *
日常のハラーは、抜け目のないところが小粒な収入であっても彼の仕事を続かせている。
街の薬物中毒者は、麻薬密売の現行犯からハマーの弁護で厚生施設送りに減刑されてもまた罪をくりかえす、いいお客さん(リピート客)だが、そのつどハラーは全力で弁護してきた。
カード詐欺、売春、麻薬取引、下町の犯罪を弁護する話は、読んで楽しく興味深い。
第一部の「刑事調停」はハラーの家族や彼の世界と、法律のあり方や犯人との絡みが面白く、
第二部の「真実のない世界」というのは、その後のハラーの生き方のさまざまな象徴とも言える。
Posted by ブクログ
文句なしに面白い。マイケルコナリーの作品では、初めてのハリーボッシュ以外の物だったが、相変わらず面白い。アメリカの司法制度や裁判の詳細がとても詳しく書かれていて、またその周辺で活動している人々のことも詳しい。とにかく文句なしに面白く、ミステリー好きの人にはお勧め。この作者のシリーズは、経年で主人公も年を取るので、できれば最初から読むのをお勧め。
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顧問弁護士が居ながら、何故自分に依頼してきたのか、わかったのは、依頼人による罠にはまった後ですが、その後の生き残りを賭けた逆転劇は見事。
アメリカの司法制度に関わる部分もあり、日本との違いを感じますが、逆に言うと、これぞアメリカの法廷劇という感じです。
面白いのが、離婚した妻とも意外に良い関係を続けていること。しかも、一人ならず二人も(笑)
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暴行事件 資産家の息子 無罪の主張 監視カメラのDVD 凶器のナイフ 過去の事件との共通点 無実の服役囚 調査員殺される 銃の紛失 かけられた嫌疑 依頼人の殺人告白 秘匿特権 法廷 検察の失策 勝訴 ドンデン返し 殺人の真犯人
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(上巻より続く)
ただハリー・ボッシュが主役の作品に比べると、
深みがなく、ハラハラドキドキ感は少々薄い。
焦燥感が足りないというか。
ただ、ここにきて、マイクル・コナリーの作品を好む理由が一つわかった。
主人公とどういう関係にあれ、
登場する女性が常に強く、優秀だというこだ。
「スケアクロウ」の解説にあったように、
どうもそれは、男性の目から見てかわいくない女性、のようだが。
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恐かったです。
上巻の途中で急展開を見せた事件が、二転三転します。
弁護士ではないけれど、守秘義務を扱う仕事をしているので、主人公に自分を重ねてしまいました。
ほとんどが法廷内でのやり取りで、専門用語も多かったですが、上巻ほど辛くなく、スリリングで面白かったです。
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リーガル・サスペンスは法曹界に身を置く人により副業として書かれ、それが成功に結び付けば作家業として転身、というパターンが多いように思う。だからこそ、業界に身を置かぬが既にプロである犯罪小説作家が、このジャンルに手を付けるというのは、対本職という意味でのハンディを負っており、それゆえに相応の決意と準備とが必要とされるものだと思う。
アメリカン・クライム・ノヴェルの現役頂点に立つ作家と言って過言ではないコナリーでさえ、本書の執筆に5年を費やしたそうである(ボッシュものだと通常執筆にかける時間は2年)。法曹界もののスリラーが、作家にとっての新ジャンルとは言え、質の高い創作が常に求められる頂点の作家であればこそ、かくも慎重なる5年であったことだろう。この作品の、どのページからもそうした並々ならぬ創作側の苦労と決意が滲み出ている気がする。
これまで、なぜ誰も書かなかったのだろうと思われるのが、まず表題ともなっているリンカーン弁護士のような存在である。事務所を持たず超零細経営で、裁判所から裁判所へと渡り歩き、ケチな報酬をちびちび稼ぐという、何だか夢のないリアリズムいっぱいの商売に従事する弁護士のことであるらしい。
我らが主人公ミッキー・ハラーはどうであろうか。事務所はリンカーンの後部座席、保釈を勝ち取ってやった犯罪者を報酬の支払い一部として運転手として用立て、広告に記載されている連絡先は、元妻兼マネージャーの住居の電話を当てがっている有り様だ。
ミッキーは、依頼人としてとうとう金の成る木を掴まえる。不動産女王からの依頼により、息子を暴行事件の容疑から逃れさせて欲しいというケースである。有能な調査員とのコンビにより調査が進むにつれ、事件は、過去にミッキーが弁護を手がけたある裁判に結び付く。
過去の自らの判断への懐疑が産む、罪悪感にプラスして、なけなしの正義感。別れた妻二人と残された娘の命を危険に曝しながら、捜査線上に浮かび上がる邪悪なものへの脅威が徐々に増してゆく。
LAの迷路のような世界、煮立った鍋の底のような世界を、職業と生命を賭けて切り抜けようと足掻く壮年弁護士のサスペンスに仕上がったこの一作。
コナリーはまたも新たなアンチヒーロー像を作り上げたのである。彼の行手には、完璧なサスペンスを楽しめる複雑な迷宮。次回作も既に上梓されているそうで、そこではボッシュとの競演が見られるらしい。これまた実に楽しみな話である。
Posted by ブクログ
遅れてきたコナリーファンとしてはボッシュシリーズだけで十分と今まで読まずにいました。ところが、読んでみるとミッキー・ハラーもこれまた面白い。ボッシュものと違い明るい雰囲気なのもいい!
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事件を調査するうちに、かつて弁護した人間が無実たったことを知り、動揺するハラー。さらに衝撃的な事実に直面しながらも弁護を展開せざるをえない彼が、最後に見たものは・・・。始動がゆったりな分、後半は怒涛の一気読みでした。翻訳されていない作品が五つぐらい控えているとか。まだまだ楽しみは続きます。ちなみに、「バッドラック・ムーン」と「チェイシング・リリー」は未読のままです。
Posted by ブクログ
いっとき、法廷モノがはやっていたのに最近はめっきりなくなってさびしい。そんなおり、マイクル・コナリーで法廷モノということで飛びついて読む。王道をいく感じで、期待を裏切らないおもしろさ。お金のために、罪を犯してるとわかっている人間のことでも弁護するっていう弁護士の、人として正しいか正しくないか、っていう問題はさておき(おいていいのか?、その葛藤がまた物語としておもしろいのだけれど)、わたしは家族を守ろうとする主人公が好き。最後の最後まで本当にハラハラしたー。シリーズ化されているとのことなので次も楽しみ。
Posted by ブクログ
上下巻。ベストセラー作家、コナリーのシリーズの1作。リンカーン弁護士というのは通称で主人公はミッキー・ハラー。独自の事務所ではなく高級車のリンカーンを事務所代わりに刑事事件専門の弁護士を営んでいる。ちょい悪親父のような風貌で悪い人物だろうが自分の中でお金に換えられるのであれば弁護する、というのが信条。但し、ポリシーも持っておりその葛藤を作品で読ませてくれる。絶妙な正義感を持っており白黒ハッキリ付けるタイプというよりもグレーで世の中を渡っていく感じか。作品としては非常に読みやすくプロットも二転三転としていて面白い。依頼人の底知れない不気味な所が上手く表れていると思う。ラストは案外すんなりと終わっていくのがもったいないが、リーガルものだけあって法廷シーンは見もの。