あらすじ
バラードは、ホームレス男性の焼死事件の現場に出向いていた。テントに暮らしていたエディことエディスン・バンクス・ジュニアが、大量のアルコールを摂取して寝ているうちに、うっかり石油ヒーターを倒して、その火が全身に移り、焼死した模様だった。事故死とみて、バラードはロス市消防署に処理を任せた。一方、元服役囚ジョン・ヒルトン殺害事件、担当刑事の捜査における不作為がおかしいことにバラードは気づく。現場を縄張りにしていたギャング団のストリート・ボス、エルヴィン・キッドに聴取していないし、現場周辺の売人のひとり、ディナード・ドーシーは麻薬取締課の情報屋だったため、取締課からのドーシーはなにも知らないという連絡だけで追跡捜査をしていないなど。また、なぜ担当ではないトンプスンが殺人事件調書を盗んだのかも疑問だった。事件を解決するためではなく、解決させないために盗んだのか、とボッシュとバラードは疑問を抱く。やがてキッドとヒルトンが、同時期に刑務所に収監されていたことが判明する。絵が得意だったヒルトンが残した獄中でキッドを描いた絵から、ふたりが恋人同士であった可能性が浮かぶ。
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判事暗殺事件の真犯人を追うハリー・ボッシュ。
ホームレス焼死の真相を探るレネイ・バラード。
老いてきたボッシュには出来かねる活躍を見せるバラードです。
亡き先輩刑事トンプスンが執着していた事件の謎は。
なぜ、捜査資料を家に隠し持っていたのか。
三つの事件の絡み合いが読み応えあり!
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2024年の16、17冊目は、マイクル・コナリーの「鬼火」です。ハリー・ボッシュ&レネイ・バラードのシリーズ2作目です。参りました。読書に時間がかかる方ですが、短時間で読み切ってしまいました。面白過ぎました。オープニングからクライマックスまで、中弛みする事なく、緊張感を保ったまま進行するストーリーテリングの巧みさに感嘆します。訳も良いのでしょうが、頭の中で文章がスムーズに映像として変換されて行きます。そして、何と言っても登場人物が良い。バラードの切れ味の凄まじさとボッシュの衰えない情熱。人生の先輩としてボッシュの生き方には、見習うべき物を感じます。娘マディに対しての思いやりにもグッと来ます。
今回は、ホームレスのテント焼死事件、1990年の未解決のジョン・ヒルトン殺害事件、モンゴメリー判事の殺害事件の3つを同時に捜査します。事件がどのように絡み合い、解決されて行くのか。面白さ請け合います。
☆4.9
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だんだん歳老いていくボッシュを目の当たりにするのは淋しいけど、バラードが『私が行くまで待って』って言ってるのに…ってとこは若かりし頃と変わらないなとも思う。エドガーを怒らせていた頃よりボッシュも丸くなったってことかな。
マディの成長も頼もしいし、バラードとのコンビもいい感じで相変わらず読み応えあり。
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ナイトホークス(1992)から全作読んでいますが、毎回高いレベルで楽しませてくれるマイクルコナリーさま。本作はここ最近では出色。それにしてもハリーボッシュも70歳手前、とうとう追い抜かれてしまった!
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複数の事件捜査が並行して進むが、破綻することなくスリリングに展開され、あっという間に読めてしまう傑作。前作から始まったボッシュとレネイ・バラードの視点が交互に書かれる構成が見事に機能して、(ハイレベルな水準とはいえ)近年のボッシュものに感じていたマンネリズムは微塵も存在しない。シリーズが始まって20年以上経つこのタイミングでさらなる進化を遂げようとは思いもしなかった、というのが正直な感想だ。伏線もきれいに回収され、今後への含みがあるような結末も完璧と言わざるを得ない。
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マイクル・コナリー『鬼火(下)』講談社文庫。
下巻。ボッシュが託された元服役囚殺害の未解決事件を中心にミッキー・ハラーが担当する裁判所判事暗殺事件、レネイ・バラードが関わるホームレス焼死事件の三つが複雑に絡み合い、意外な強敵が浮かび上がる。69歳のボッシュに代わり、八面六臂の活躍を見せるレネイ・バラード。
最後までストーリーはスリリングな展開を見せ、シリーズの第22作目でも全くマンネリ感はなく、寧ろ進化しているように思えた。シリーズはまだ続くようだが、そろそろボッシュも完全に引退の時期を迎えるのだろうか……ボッシュの娘マディがロス市警に入り、レネイ・バラードとコンビを組むのも面白そうだ。
ハリー・ボッシュはミッキー・ハラーが無罪を勝ち取ったモンゴメリー上級裁判事暗殺事件の真犯人を追い、レネイ・バラードはレイトショーを続けながら、ホームレス男性の焼死事件の捜査を行い、さらにはボッシュと共に元服役囚ジョン・ヒルトン殺害の未解決事件の捜査を行う。
モンゴメリー上級裁判事暗殺事件の真犯人とホームレス男性の焼死事件の意外なつながり……ボッシュとバラードの前に立ち塞がる強敵……
定価990円
★★★★★
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今回も文句なし。この作家は本当にすごい。ハリーの未解決事件とバラードの焼死体事件、ハラーの判事殺害の3つが自然な形で進行するという盛りだくさんのストーリーだが、全く違和感がない。私の読みでは、ボッシュシリーズは今後こんな感じで、オールスター気味に進行するのではないか。本当に素晴らしい作家だと思う。
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上巻の巻頭にタイタス・ウェリヴァーに対する謝辞が述べられているけど、読み進めながらも完全にイメージはボッシュ=タイタスがイキイキと動いてるよ。
それにしてもミッキー、ハラーが弁護する被告人のDNA鑑定を覆す裁判シーンとか、引退したギャングをバラードとSWATが捕獲する現場とか、そこだけ切り取っても立派な短編のように抜群に面白いのは、本当に感心する。
バラードとボッシュのチームも見事に動き出したし、69歳になったボッシュにはまだまだ活躍してもらいたい。
エンジェルフライト(ケーブルカー)のシーンとか、ドラマがらみで映像が浮かんでくるのがうれしいな。4.2
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ボッシュとバラードがパートナーとなり、事件を解決していくが、そこにリンカーン弁護士のハラーもちょっと出てきて、主な事件三件が徐々かつ同時に解決に向かう。登場人物も多く、ごちゃつきがちになりそうだが、さすがコナリー読みやすい。
ボッシュもバラードも、それぞれ人として警察官として一本芯が通っているので、信頼出来る主人公達で安心して読み進められる。
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あとがきに、この作品でのボッシュの年齢が書かれていますが、まぁまぁの年齢ですね。って言うか、その年齢で、マディがまだ大学生って、だいぶ年が行ってからできた子どもだったんですね。
作品の最後で、今後も犯人との因縁が続きそうな描写がありますが、果たしてどうなるのでしょう?
ボッシュも、まぁまぁな年齢ですしね。ボッシュが登場するのも、最後の方に近づいてきているのは感じます。
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(上巻より続く)
ボッシュの娘の大学での侵入事件は
あっさりと解決して良かった。
警官ではなくて、司法の道を進むつもりのようだが。
それとバラードが「レイトショー」になった原因の
元上司を追い込めたのは面白かった。
でも、衝撃だったのは、
ボッシュが白血病になったということ。
前回もシリーズの最後なのではと、
びくびくしながら読んでいたが、
いや、シリーズにいつか最後が来るのは仕方がないが、
できればボッシュがこの世からいなくなるのを知りたくはない。
例え、バラードがその闘志を引き継ぐとしても。
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ボッシュシリーズでありバラードシリーズでもある今作。この二人に加えてハラーも登場するから面白くなるに決まってる。バラードの存在がボッシュを生き生きとさせているような感じがってここ最近のシリーズでは一番面白い。三つの事件の捜査と姿の見えない犯人。終盤にある人物が浮かび上がってからの展開は迫力と緊張感がある。こういう空気があるからこのシリーズは長く続いていても飽きないしずっと面白い。
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本筋の事件とは別に幾つもの事件について同時並行的に進行していく。それらがラスト100ページ(適当)バタバタと判明していく。そこのところはご都合的な感じを抱かせずハラハラとページを捲らせる。
型破りでありながら自らのライフスタイルへの拘りを見せるバラードと老いてもなおアクの強さと粘りが衰えないボッシュ。次も期待したい。
作品紹介・あらすじ
バラードは、ホームレス男性の焼死事件の現場に出向いていた。テントに暮らしていたエディことエディスン・バンクス・ジュニアが、大量のアルコールを摂取して寝ているうちに、うっかり石油ヒーターを倒して、その火が全身に移り、焼死した模様だった。事故死とみて、バラードはロス市消防署に処理を任せた。一方、元服役囚ジョン・ヒルトン殺害事件、担当刑事の捜査における不作為がおかしいことにバラードは気づく。現場を縄張りにしていたギャング団のストリート・ボス、エルヴィン・キッドに聴取していないし、現場周辺の売人のひとり、デナード・ドーシーは麻薬取締課の情報屋だったため、取締課からのドーシーはなにも知らないという連絡だけで追跡捜査をしていないなど。また、なぜ担当ではないトンプスンが殺人事件調書を盗んだのかも疑問だった。事件を解決するためではなく、解決させないために盗んだのか、とボッシュとバラードは疑問を抱く。やがてキッドとヒルトンが、同時期に刑務所に収監されていたことが判明する。絵が得意だったヒルトンが残した獄中でキッドを描いた絵から、ふたりが恋人同士であった可能性が浮かぶ。