【感想・ネタバレ】訣別(下)のレビュー

あらすじ

ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になるかもしれず、そのため、会社側の利益(ひいては自分たちの利益)を優先させる行動に出る重役たちがいることが予想されるため、調査はくれぐれも極秘でおこなってほしい、と念を押される。また、この調査に関する報告は、かならずヴァンス自身にのみおこない、ヴァンス以外の人間から調査への問い合わせは一切しない旨、告げられる。 一方、同僚刑事と連続婦女暴行事件捜査を進めるなか、同一犯によると思しき暴行未遂事件が起こり、事態が急展開する。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ボッシュ・シリーズ19作目、後半。
サンフェルナンド署の嘱託刑事としては、連続暴行事件を追い、私立探偵としては、大富豪の遺産を相続させる人間を探すボッシュ。

捜査の過程で、若い頃にヴェトナム戦争に参加した記憶がよみがえる。
シリーズ初期には、ヴェトナム帰りの暗さを引きずった刑事だったが、最近はその影はだいぶ薄れていました。
この数年、いることも知らなかった最愛の娘マディと出会い暮らしている日々も影響しているのだろう。

サンフェルナンド署では、新入りだが経験豊か過ぎるボッシュのやり方に、同僚がついて行けないところも。
自分もミスをしないわけではない、これまでミスをして覚えてきたことを教えたいと語るボッシュ。
目の付け所の確かさに、次第に信頼を得ていきます。

全く異なる事件それぞれの展開と、66歳になったボッシュの人生。
コナリーの衰えない筆力に感動しました。
様々な新鮮味とスケール感、いつもの解決力と、きびきびした文体で、読ませます。
ボッシュが首になりそうだと何年もハラハラさせたくせに(笑)

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2021年07月03日

Posted by ブクログ

連続婦女暴行事件の犯人は、やっぱりこうなるのね。原題は、The Wrong Side Goodbye. チャンドラーの The Long Goodbye を連想するよね。

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2021年01月25日

Posted by ブクログ

テレビドラマBOSCHを観てから読む小説は2作目だけど、相乗効果は高くボッシュも娘のマディ(デスキャブのブラックサンをボッシュの着メロに設定してる)もドラマのイメージでいきいきと話し動く。
無給刑事として未解決事件の捜査にあたりながら、私立探偵として調査も請け負う生活を続けるボッシュ。元の勤務先であるロス市警とは訴訟沙汰以来、険悪な関係が続いてる。
連続強姦事件の捜査と大富豪の跡取り探し、という二つの立場でストーリーがグイグイと進み(特に跡取り探しの面白さ、ベトナム戦争絡みだと話が具体的立体感を持って迫ってくる!)どんなトラブルが待っているのかとハラハラしてしまうほど。
義弟のリンカーン弁護士とのタッグも相変わらず順調で、こちらも定番のストーリーになってるな。
もっともっと永遠に続いてもらいたいな。

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2020年12月28日

Posted by ブクログ

コナリーの快作と言っていいだろう。齢を重ねたボッシュが2つの事件を並行して捜査していくのだが、謎が徐々に明らかになっていく過程と、一方で見事に期待を裏切る展開もあり、とにかくページをめくる手が止められない。エピローグも含め、娯楽作品としてほぼ完璧ではないだろうか。

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2019年10月30日

Posted by ブクログ

ハリーボッシュ・シリーズの最新作。本当に相変わらずとても面白い。前作よりも面白かった。作者のマイケル・コナリーのクォリティの高さには驚くし、信頼を深めるのみ。どの作品も本当に面白いので、是非とも読んでもらいたい。

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2019年08月18日

Posted by ブクログ

 『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。

 探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって久しいにも関わらず、まさにシリーズ終盤を思わせる今になって、老齢に達したボッシュの前にヴェトナム時代が蘇る。

 今になってボッシュという人間像の一部を象ることになったヴェトナムを、改めて当人に振り返させることになるこの事件。主人公とそのシリーズをより深部まで理解させるために重要なポイントとなり得る一冊。蘇るヘンドリックス、クリーム、ストーンズ、ムーディ・ブルース。『青春の光と影』。まさにぼく自身も、日々ギターと長髪とベルボトムで送って過ごした1970年の日々。

 さらに、病院船にヘリで慰問に訪れたボブ・ホープとコニー・スティーヴンスの挿話。強風で一旦は着艦を諦めながらも、引き返して強引に船に着け、五か月前に月面を歩いたアームストロングとともに彼らが降り立った昔日のエピソード。その後、コニーとLAのシアターで再会した時の追想を共有する一瞬。心にずんと来る情感に満ちたこれらのシーンは、本書における追憶の名シーンである。

 以上のことだけでも本書はシリーズにとってとても重要な意味を成すことのように思う。ましてや大学に通う娘マディとの時間の中ですら、ヴェトナムの時間が登場するようになるのである。そしてリンカーン弁護士ミッキー・ハラーとの重要な共同作業に取り組んでゆく点も含め、最新のオールスターキャストで臨む本書で、ボッシュは非常に困難な二つの事件に取り組んでゆく。

 さて本作は、タイトルも重要だ。チャンドリアンである作者は、この作品に『ロング・グッドバイ』へのオマージュとも取れる名をつけた。"Tre Wrong Side of Goodbye"。矢作俊彦の二村刑事シリーズ『ロング・グッドバイ Wrong Goodbye』を想起する人もハードボイルド・ファンであれば、少なくないに違いない。

 LA市警を追われたからのボッシュの今後が気になる。一作毎に急変を遂げつつ、それらのバリエーションのなかで、一歩も譲ることなくハイレベルのストーリーを編み続けるコナリーの手腕に市警の仲間たちとともに、高らかなスタンディング・オベーションを送りたい。

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2019年08月12日

Posted by ブクログ

マイクル・コナリー『訣別(下)』講談社文庫。

シリーズ第19作。上巻に書き忘れたのだが、本作にはボッシュの異母弟、リンカーン弁護士ことミッキー・ハラーも登場する。

まさに現代最高峰のハードボイルド警察小説。27年間、衰えを知らないマイクル・コナリーの筆が冴える。シリーズでは久し振りに手放しに面白いと言える作品だった。

85歳の富豪、ホイットニー・ヴァンスから依頼された人探しは一筋縄ではいかず、まさかの展開が……一方の『網戸切り』と呼ばれる連続レイプ犯の正体は……

納得のゆく感動の結末。

シリーズはまだ続くようだ。

本体価格900円
★★★★★

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2019年07月19日

Posted by ブクログ

一気に上下巻を読み通した。
予想通り面白かった。悲惨ではあるが暗くは無く大団円を迎えるハードボイルドだ。
満足した。

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2022年03月07日

Posted by ブクログ

久しぶりのハリー・ボッシュシリーズ。
謎解きとしては特筆すべきところはないかなと思うが、その世界観は楽しめると思う。
相棒のミッキー・ハラーがいい味を出している。
リンカーン弁護士シリーズの方が面白いかも。

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2021年03月28日

Posted by ブクログ

ハッピーエンドとなってよかった!

読んだそばから次は何を読もうかと考える。
後を引く面白さが残るのがいい~

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2021年02月20日

Posted by ブクログ

刑事の立場と私立探偵の立場が並行して進行する今作。めちゃくちゃ面白い。ボッシュシリーズのテンポの良いストーリー展開が今作でも変わらない。レイプ事件と後継者探し、どちらも最後はいいオチに終わって良かった。刑事の相棒も生きてて本当に良かった。ボッシュがフルタイム刑事として復帰する次回作にめちゃ期待してる

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2020年09月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(上巻より)

ミッキー・ハラ―の助けを得ながら、
人探しと暴行事件を追うハリー。
大金がかかっているせいか、
どうしても大富豪の子供探しの方に関心がむいてしまう。
大金がかかっている以上、
受け継ぐ者たちが危険にさらされるのでは無いのかと、
はらはらした。

ハリーの活躍は相変わらずで面白いが、
相続がらみの事件はあっさり片づくし、
往年に比べると全体的に落ち着いた感じ。
娘との関係もそれほどひりひりしないし。
そういえば、娘は警察官になりたいって言って気がするけど?

とにもかくにも、久しぶりにハリーの活躍を読めて良かった。

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2020年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連続強姦犯人の生体情報を得られるかもしれない覆面と手袋を入手して、更に盗難車情報から車のキーを現場に落としたのでは?との推理をしたボッシュ。
しかし大富豪の末裔探しが佳境になっており手が離せない。
相棒女性刑事に任せたところ連続強姦犯に拉致された模様。
署内総出で探し、そこで気づいた犯人像。
そいつの家で色々あって、さすが修羅場を潜り抜けたボッシュ、サイコパスなクソ野郎に銃弾を浴びせる。
躊躇いなく撃てるっていうのもボッシュならでは。

こっちが一段落したと思ったら大富豪の死因が殺人だということで二人の刑事の訪問を受ける。
この刑事達との駆け引きもボッシュならでは。
彼等を手玉に取りながら与えた以上の情報を得るボッシュ。
狡知に長けた66歳。

最後は忠実だった秘書が犯人として逮捕され、アーチストの孫に莫大な金が行くことに。
そのアーチストだった女性も大金を手に入れたことで自分の望みは達成できたが、これから幸せなんだろうか?みたいな終わり方。

大富豪も秘書に少しは遺してやれば良いのに、ケチなんだなあ。
しかしボッシュが使ったレンタカー等の様々な経費はどうなったんだろう?

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2019年10月14日

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ボッシュの、経験が、事件を解決に導きます。やり方の違いで、ちょっと角が立ちかけていたSFPDの仲間と上司ですが、事件を解決したボッシュの実力の賜物で和解して、無休の立場から、常勤の立場を提示されるようです。この作者の傾向を見ると、実際に、常勤になるかどうかはわかりませんけどね。

早く次作を読みたいです。翻訳家の方、よろしくお願いします

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2019年08月23日

Posted by ブクログ

ハリー・ボッシュ・シリーズ19作品目。前作も面白かったが、コナリーもさすがと言うかしぶといと言うか(失敬)、本作品も甲乙つけがたい面白さ。

連続暴行犯の意外な犯人像を経ての息詰まる対決も面白かったが、今回の読みどころは私立探偵としてのボッシュだろう。少ない情報から糸口を見出し、そこから紐解いていく秘められたドラマが秀逸。じっくりと事件を追及する展開に隠された家族の物語がいい具合に絡んで、どっしりとした厚みとなってストーリー全体を支えている。刑事であろうが探偵になろうが、シリーズとしての世界観や雰囲気は損なわず、謎解きも緊迫感も相変わらずのハイレベルなのが嬉しいのよね。

無難な着地に若干物足りなさは残るものの、続編への期待が高まる読後感がファンとしては何より。次回作は女性刑事を主役にした新シリーズだとか。年内に読めるというのが嬉しい。

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2019年08月18日

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シリーズ第19弾。ボッシュは無給の嘱託刑事として捜査し、それとは別に私立探偵としても依頼を受ける。探偵としての調査の過程でヴェトナム時代の話がありボッシュの過去が再び浮き上がりつながるシリーズとしての面白さがある。刑事としてもわずかな手がかりからの捜査、上司の目、対立がある。刑事と探偵の2つの仕事をし、見つけていく自分の立ち位置。ボッシュの求めているものが見えて次作以降の展開がまた新たなものになりそうなラスト。ここ何作の中では一番だと思う。

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2019年08月07日

Posted by ブクログ

さすがにマイケル・コナーズ。二つの事件を絡ませながら、上巻ではいくつもの伏線を紡ぎ、下巻に入り徐々に両方の事件を膨らませ、後半にはスリルに満ちた展開と、意表をつく結末(ただし、少し前からそれらしき結末は予想していたが・・・)が待っている。だが、終末は些か唐突に訪れ、やや物足りなさを感じる。それにしても、ハリー・ボッシュにしてもミッキー・ハラー(リンカーン弁護士)にしても、常に良識派であり人権派であって庶民の味方である。そこが抵抗なく物語に入り込める所以であろう。次作も期待できそうだ。

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2019年07月19日

Posted by ブクログ

老い先短いことを悟った富豪には学生の頃知り合い妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人がいた。その子どもが生きていれば捜してほしいと頼まれたボッシュは調査を引き受ける。一方、同僚刑事と連続婦女暴行事件捜査を進めるなか、同一犯によると思しき暴行未遂事件が起こり、事態が急展開する。

こんなに簡単に関係者が判明してもいいのかとも思うが、そこには目をつぶりましょう。ボッシュ刑事はまだまだ現役です。次の翻訳は新キャラクターらしいので、そちらにも期待。

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2019年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性連続レイプ事件と、巨額遺産相続人の調査。
2つのストーリーをボッシュが前者は警官、後者は探偵として追う。

ただ、この2つのストーリーは交わらない。
推理小説にありがちな交差して、複雑な展開となって、
一挙に2つとも解決する、という展開にはならない。

マディとの関係、ベトナム戦争での記憶、元警官としての矜持。
様々なことが2つのストーリーのあいだに微妙に交差し、過ぎていく。
ボッシュの日常を描いた作品と言えるだろう。

シリーズも30作目。
ファンとしてはこのような作品もあっていい。
等身大のボッシュが日々どのように考え、悩み、事件に立ち向かっていくのか。
一つ確実に言えるのは、ボッシュは筋金入りのワーカホリックということだろう。
事件に携わっていることが自身の人生への大きな励みになっているように思えてならない。

最後に、ボッシュは刑事復帰への足がかりを掴んで終了する。
やはり筆者もボッシュを探偵ではなく、刑事として描きたい気持ちの方がが強そうだ。

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2019年12月15日

Posted by ブクログ

無理にクロスオーバーさせなくていいと思うんだ。
ちょっといつもと感じが違うんが自分にはマイナスかな。

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2019年07月21日

シリーズ作品レビュー

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