古沢嘉通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書備忘録620号。
★★★。
う~ん。私の感性が衰えたのか・・・。
叙事詩的な雰囲気をもったケン・リュウのSF短編集にあまり感じるものが無かった・・・。
何篇かに触れる。
「宇宙の春」宇宙には春夏秋冬があるというお話。
「ブックセイヴァ」作者が必ず入れてくる図書もの。
「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」なんか知らんけど文明が滅んだ後のファンタジー戦争モノ。女性3人が人間と動物の形態をとって戦う?
「歴史を終わらせた男-ドキュメンタリー」過去を覗き見ることが出来る技術開発。大日本帝国陸軍731部隊の真実を暴く。中国人らしい作品。
紙の動物園が素晴らしかっただけに、ちょっと期待してしまった。
自分には合わなかった。
さて次を読みまっせ! -
Posted by ブクログ
もはや大家といってもよいミステリの大御所の邦訳最新。デビュー作から邦訳は全て読んでいるがこれが33作目だとか。メインシリーズであるハリー・ボッシュものなのだけどベトナム帰りという設定の刑事なので本作ではもはや古希。ロス市警を不幸な感じで辞めて暫く小さい街の予備警官をやっていたがそこも辞めることになり現在は異母弟の弁護士を手伝うかたわら現役の夜勤刑事バラードと非公式のタッグを組んで主に未解決事件に取り組んでいる。本作では新人時代のメンターが亡くなりその未亡人から故人が自宅に持ち帰っていた殺人調書を託される。それは路地裏で殺害された麻薬中毒の若者の事件で故人が何に関心を持っていたのか不明なまま事件に取り組むことになる。一方、判事の殺害事件で異母弟が無罪を勝ち取るのだが調査に協力したことで古巣のロス市警から非難されることになってその真相究明に取り組むことになり、更にはバラードが関わっているホームレスが焼死した事件も以外な展開を迎え、ということで三つのそれなりに入り組んだ事件の捜査がこんがらがることもなく進んでいくところはやはり見事。ものすごく面白いのだけど…途中で放り出された箇所があるような気がしてどうにもすっきりしない。ざっと読み返してみたのだけどやっぱりどこかおかしい気がする。少し間を置いて再度最初から読んでみようと思うけどそんな感じ。面白いことは面白いし、このボッシュとバラードのシリーズは今後も楽しみなんだけど…どうにも気になる。
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Posted by ブクログ
ケン・リュウを読むのはこれで3冊目で、贅沢な言い方をするならば、その読み口に慣れてきてしまったなという気持ちはあった。特に、SFに東洋文化を絡めながらウェットな読み口に仕上げるような作品群において。
その中でも光るものはやはりあって、今回で言えば『思いと祈り』『歴史を終わらせた男』の2編については、今の現実から地続きの近未来をドキュメンタリー形式で描きつつ、いずれもマクロな社会と個人の物語との対比というものをかなり残酷な形で描いていて痛烈だった。
前者は銃乱射事件被害者遺族が、銃抗議活動の一端として、被害にあった娘の人生をVRで追体験できるコンテンツに仕立てたところ、つまるところ「炎上」「荒らし」に晒される顛末が描かれる。後者は731部隊の真相を明らかにするべく、「過去を実際に見る」技術を用いた歴史学者が、客観的な歴史研究と、個人の物語という主観との間で揺れ動く世論に飲み込まれていく。いずれも物語の構造としては近しいのかもしれないが、特に後者。731部隊を中国系の作家が描くとなると、日本人としては身構える部分があるし、実際それを危惧して翻訳を遅らせたとも書かれているが、しかし過度に政治的なわけではなく、絶妙なバランス感で仕上げられていて、非常に読み応えがあった。本書ではこれがベストだった。 -
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ネタバレゲーム小説だけどSF集じゃないかも。
最後の短編のケン・リュウは読んだことがなかったけど、ありきたりなテーマなのに見せ方が良くて、単純に小説が上手いなぁと思う。
一番面白かったのはお葬式にいくゲームキッズの話で、プロットの秀逸さを土台に、勧善懲悪と友情要素のバランスがいい小説だった。
「アンダのゲーム」も、有名小説のパロディに収まらない、やや苦い後味と女の子の可愛さがいいコントラスト。
テレビゲームで何かを表現する、またはゲームを表現する短編集だけど、小説の多くがテレビゲームを世界と結びつけているのが興味深い。私はあまりテレビゲームをしたことがないけど、一方的に鑑賞する小説や映画とは違い、コントローラーによってアバターを操作てきるゲームはより空間的に感じられるのかな。そこから発展して、立体感のある人工的な箱庭としてのゲーム空間の魅力、また現実との差や侵食をテーマとしたゲーム小説があったら読んでみたいと思った。この短編集では、女の子がエルフの王妃になっちゃう短編が一番近い? -
Posted by ブクログ
シリーズ20作品目は二本仕立てのストーリー。65歳になったハリー・ボッシュは、予備刑事としてサンフェルナンド市警に勤務している。
第一の事件はタイトル通り、ボッシュが汚名を着せられそうになる過去の事件。事件の解決人として真相を探り出そうとするボッシュと、やくざな弁護士丸出しのミッキー・ハラーの絶妙なコンビネーションが見どころ。物語の中盤を占める第二の事件は、現在進行形の二重殺人。ここでは高齢のボッシュだからこその重要な役割が事件の鍵を握る。老いを感じて困惑するハリーにとってはなんとも皮肉な展開だが、人との出会いに使命感を再認識し、次のステージに繋がっていく人間ドラマが秀逸。
謎解き目線で見ると、二本仕立ての事件はどちらも小粒でやや肩透かし。ひとつの大きな事件を掘り下げるのとは違って、別々の事件が並走する展開はある意味面白いが、個々の事件の厚みがイマイチなので物足りなさは残る。今作品は事件よりも、ハリー・ボッシュを巡る人間関係だったり、人との繋がりがメインなのかなーと思う。孤独さからますます事件を欲するハリーの姿がポジティブに描かれてるのが嬉しい。やはりこうでなくっちゃね。
余談だが、作中でハラーがホッパーの『夜更かしする人々(ナイトホークス)』がハリーを連想させると言うシーンがあるが、個人的に好きな絵で、私も絵の中の男性にハリー・ボッシュを重ねて見ていたので、妙に嬉しくなってしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公のレネイ・バラードは、ハワイ出身の三十代半ば(?)のロス市警女性刑事、独身、サーフィンとかパドル(よくわからない)が趣味。
2年に及ぶ深夜勤務(レイトショー)に倦みながら事件解決に向けた意欲と使命感を持っている。
しかし事件の本格的捜査は、昼勤の刑事に引き継ぐので、やりがいを覚えずにいた。
元々はジャーナリストだったが、ロス市警に入って殺人事件担当刑事として活躍していた。
詳細は不明だが、当時の上司のオリバス警部補のセクハラ行為を告発したところ左遷されて深夜勤務になった。
当時の相棒であるケン・チャステインの裏切りもわだかまっていた。
そんな深夜勤務の中で3つの事件が起こる。
この複数の事件が起きて、それに並行して取り掛かるのもボッシュシリーズと共通している。
上巻は、その事件が色々起こって登場人物や主人公の背景を把握するのに手間がかかる。
事件は3件:
①財布が盗まれ、クレジットカードが不正使用されたというひとり暮らしの老婦人の対応。
②ゲイの街娼が暴行され意識不明の状態で見つかる。
③クラブでの発砲事件で5名死亡。
三つめは大事件で、手伝いに駆り出されるが下働き的な感じで、現場を仕切っているのが因縁のオリバス警部補。
情報渡したら、さっさと出てけ的な対応をされる。
それぞれの事件で独自に情報を集めて行動するバラード。
①はカード会社からの情報により犯人逮捕
②も粘り強い捜査で犯人と思わしい人物に辿り着くが拉致されてしまう。
その脱出時の闘いを過剰防衛的に捉えられて失職の危機に立たされるが、機転と行動力と深謀で切り抜ける。
この辺りの痛快さは素晴らしい。
③の事件は元相棒のチャステインも殺害されるという展開になる。
思いもかけない犯人に辿り着き、それを騙して制圧する処の腹黒さも痛快。
その功績を買われて復帰しないか、との誘いに対する答えも痛快すぎる。
全体的には楽しめた読書だが、女性の読者にとっては違和感がある人物設定なような気がする。
何処がというのを書くのは難しいが、この辺は感覚としか言いようがない。
あと物語が、少し拡散しているような気もする。
①事件の犯人が所持していた盗んだ銃が、過去に大きな事件を起こしていて、その盗難先での捜査(結局失策でATFに引き継ぐ)
②犯人がどうやってバラードの正体を突き止めて拉致したのか?は結局謎。
③犯人の不用意さや、何となくバタバタ決めた感じ。
こうした枝葉を整理して上下ではなく一冊にまとめられたら、もっと締まるんじゃないかなあ。
まあでも、新たなシリーズとして次も楽しみにしている。 -
Posted by ブクログ
エドワード・ホッパーの絵画から生まれた十七の短編。
それぞれ全て異なる作家の手によって物語が編み出されており、短編好きも、絵画好きも、うまく取り込まれてしまう。
正直なところ、絵画を眺めているだけでも楽しい。
絵画は、18枚修められている。一枚は、読者が自分で話を作ってみてね、という序文の心憎さよ。
翻訳物なので、独特のクセがある。
決して変な日本語ではないし、つまらないわけでもない。
翻訳者も12人(贅沢!)いるので、この翻訳者だと合わない、といったことがあるわけでもないのだが、やはり「ニュアンス」「空気」という見えないものを取り入れることは、難しいのだろうか。
「キャロラインの話」はある老婦人の物語だ。
視点が変わっていくところ、また、老婦人の秘密がポイントだ。
老婦人の心の中にあったしこりは解消されただろうか。また新たなしこりを生んだだろうか。
願わくば、ハッピーエンドに、と思うが。
家族の問題は近しいだけに問題も起こりやすいことも、必ずしも皆が幸せにはならないだろうという、ざらついた余韻の残る物語であった。
「映写技師ヒーロー」
映写室にいる、少し引っ込み思案な男性の物語。
いかにもアメリカらしい展開だ。
小さな映画館にみかじめ料を求めてやってきた男たちから映画館と、経営者と、受付嬢を守るため、映写技師は立ち上がる。
でも、その「誰かのため」は表に出ることなく、消える。
そしてまた日常に戻る。
アメリカらしい解決方法だが、アメリカンヒーローらしからぬヒーロー。
いや、スーパーマンも普段は冴えない、んじゃなかったっけ。
だとすれば古典的なヒーローがここにいる、のかもしれない。