古沢嘉通のレビュー一覧

  • 死角 オーバールック

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    ストーリー・テリングは過去のコナリー作品ほどこなれていないのだが、読者の視点を一撃で裏返して見せるラストシーンの出来映えは逆に過去のいずれの作品にも劣らぬほど良くできている。まさに「死角」。本書は「買い!」だ。

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    2011年01月16日
  • エコー・パーク(下)

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    もう十二作目なのかあ。まったくハイレベルなシリーズで期待はずれだったことがない。それでも因果な本読みの性、あっといわせる目新しいものを追い求めてしまうのでついつい後回しにしていたら、十三作目が出ちゃったのであわてて読む。

    本当にこれが初めてのコナリーだったならひっくり返るほど面白い。同時にシリーズを追いかけてきたからこその味わいもある。アメリカの警察ものの常としてすぐに政治がらみの駆け引きが繰り広げられて、それはあんまり好きじゃないが、それを補ってあまりある充実した内容だった。

    人物像・ストーリー展開・意外性、どれをとっても一級品。後書きで次作の内容がちらっと紹介されていたが、これがなんと

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    2011年11月26日
  • 死角 オーバールック

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    やはり旨い!いつもの長編に比べると相当に短いが、そのぶん話の展開にドライブがかかった感じ。コクはあえて求めなくてよろしいかと。

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    2011年01月06日
  • 死角 オーバールック

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    マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズ第13作。上下巻に分かれていないのは、久しぶりです。展望台で発見された射殺体。新たな部署で、新たな相棒と捜査に臨むボッシュだが、被害者の身元から、テロリストの関与が浮かび上がる。とにかく、追跡、また追跡のノン・ストップ・サスペンス。前作のあとがきで触れられていた翻訳の予定も決まり、ファンとしては嬉しい次第です。

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    2011年08月03日
  • エコー・パーク(上)

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    筋金入りの刑事ボッシュに、意外な連絡が来る。
    ボッシュが13年も気に掛けていた女性失踪事件。
    機会があるごとに調べ直し、容疑者と睨んだ金持ちのドラ息子には圧力をかけ、嘆き悲しむマリー・ゲストの両親とも連絡を取っていたが…
    死体を車に乗せていて逮捕された男レイナード・ウェイツが、死刑を免れる代わりに、いくつもの犯行を自供する司法取引に。
    マリー・ゲストの事件も自分の犯行だと。
    野心丸出しの検察官らの言動。にわかには信じられないボッシュだが…?
    現場検証で、死体を埋めたという現場に出向くと、犯人が逃走する大事件に発展してしまう。
    ケンカ別れしたEBIの女性レイチェル・ウォリングと18ヶ月ぶりに連絡

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    2013年03月14日
  • ラスト・コヨーテ(上)

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    休職中のボッシュが母親殺しの犯人を追う本作品は、ボッシュのルーツを辿るロード・ムービーを観るようなイメージで読める。カウンセリングを通して自分の取るべき行動について閃く辺りは都合がいいようにも感じたが、その後のボッシュの覚悟を伴った心境の変化に比例するように、ひとつひとつ踏み込んでいく複雑な過去にすっかり入り込んでしまった。

    善と悪、守るべきものと排除するもの、これらのコントラストが効いており、いろんな局面で考えさせられることが多い。またミステリ的にも面白く、ふっと気の抜けた後のサプライズに、心地よい緊張を強いられた。

    憂いを帯びた物悲しいストーリーが読み手に訴えるものは大きく、いかに

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    2010年07月27日
  • ブラック・ハート(上)

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    ボッシュ・シリーズ第三弾。法廷シーンが多く、これまでのシリーズとは違った印象がある。と同時に、コナリーがリーガル・ミステリにも秀でた書き手だということがよくわかる。

    容疑者は無実だったのか? という設定はよくあるが、コナリーはそこに緊迫した法廷劇と主人公の葛藤をうまく絡ませることによって、吸引力の強いストーリーに仕上げている。どことなく派手がシーンが多いせいか、いつもの重苦しさは多少軽減されている。謎解きへの興味が強くなる展開のため、ページを繰る手はさくさく進む。しかし多くの読者は、コナリーが巧くコントロールしているプロットにハマり、ミスリードされてしまうのではないだろうか。

    クライマック

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    2010年07月27日
  • ブラック・アイス

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    例の如く、チームに加えてもらえないボッシュだが、一匹狼の特性(?)を活かして執拗に捜査を続けていく。ボッシュの人となりが浮かび上がると同時に、別々だった事件がやがてひとつの方向性を導いていく──この辺りのプロットが秀逸である。

    事件性だけではなく、人間ドラマとしてもしっかり読ませてくれる。メキシコの可能性を見出してからの、個々の背景を事件に投影させる様は、ストーリーに重厚さと奥行きを与えている。アクション色の濃いクライマックスを経てのサプライズなラストまで、中盤から一気に駆け上がるスピード感は中身も充実しており読み応え抜群。

    これまで麻薬ルートを扱ったサスペンスでは、『トラフィック』と『犬

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    2010年07月27日
  • エコー・パーク(上)

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    短期間でシリーズを読破しようと思わないこと。刊行に合わせてリアルタイムで読むのがベストだが、私のように逆走してシリーズを制覇しようとする場合は、間に別作家を挟んでから次の作品に取り掛かるべし。恐ろしくクオリティの高いシリーズだが、続けて読むとそのハイレベルさが当たり前になる。当然、次作品におけるハードルも高くなる。コナリー作品基準でハードルを上げてしまうということは、他の小説はもう読めないということにもなりかねない。なので、一定の間隔を空けてからこの世界観を堪能しましょう。

    現代ハードボイルドでは、こういう展開が常なのだろうが、刑事という職業に忠実な警察ミステリとしてのボッシュ・シリーズも読

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    2010年07月27日
  • エコー・パーク(上)

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    暗く聖なる夜ほどではないけれど、おもしろかった。やりたい放題のボッシュが警察組織の中でなんで生き残れているのか不思議。

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    2011年09月07日
  • エコー・パーク(下)

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    やはり、ハリー・ボッシュ・シリーズは面白い。爽快感のある落ちではないが、十分納得がいくものでした。「ハヤカワ・ミステリ・マガジン」の特集もお勧めですよ!

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    2011年12月31日
  • エコー・パーク(上)

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    マイクル・コナリーのロス市警刑事ハリー・ボッシュ・シリーズ第12作。ロサンジェルスのエコー・パーク地区で、女性二人のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕された。容疑者は司法取引を申し出て、死刑免除を条件に過去九件の殺人も自供するという。男の口から語られるおぞましき犯罪。その中に未解決事件班のボッシュが長年追い続ける、若い女性の失踪事件も含まれていた 以上あらすじの引用。途中から展開が激しく変わっていきます。続きは下巻に。

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    2011年12月31日
  • エコー・パーク(下)

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    いやー、おもしろかったー。驚きの展開が次々とあって、ほんとに、ええっ!と思いながら読む。犯人をさがす、っていうこととはまた別に、警察組織内の悪をさぐる、本当の黒幕はだれかつきとめるっていう部分にもおもしろさがあって。自分のなかにはいい犬と悪い犬がいて餌をやる犬をまちがえてはいけない、っていう話も心に残った。里親家庭や施設で育ったボッシュの過去がまたしても出てきて胸が痛むような。そのせいか、このシリーズはいつも暗いなーと思ってしまう。二転三転する展開で最後に謎が解けてもなぜかあんまり爽快感はないというか……。あと、読んでるときはすごーくおもしろいと思ってるのに、読み終わるとすぐ忘れちゃうような。

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    2011年09月18日
  • ナイトホークス(下)

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    前半(上)はハリーボッシュの紹介的なところがあったが、人間関係や彼の頑固なところ、一匹狼的なところが描かれ、後半はクライマックスへと進むが、最後の展開がちょっとあり得ないという雰囲気を感じさせる。その後のハリーボッシュを支配する出会いもあるので、仕方がないか。

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    2010年04月07日
  • ナイトホークス(上)

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    マイクル コナリーのハリーボッシュシリーズは読み始めて数年経つが、今回読み直して、また彼の作品のすごさを再認識してしまった。ジャーナリスト出身だけあって、細部の描写がよくできていて、その情景が浮かんでくる、映画のシーンのようだ。この作品は第一作目にあたるため、力も入っていたのだろう。

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    2010年04月07日
  • リンカーン弁護士(上)

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    作品の前半にあたるので、刑事弁護士としての日常を語る事前説明が多く、人物名も多く出てくるので、ともすれば退屈してしまうが、微妙に後半への伏線をはっているので、後半に乞うご期待。特にさいごのところで、いよいよハラハラするそれらしい展開が見えはじめ、後半は息もつかせず読み込んでしまう。

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    2010年04月07日
  • 終決者たち(上)

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    3年のブランクを経て刑事に復帰したハリーボッシュ。マイクルコナリーはジャーナリストだっただけあってリサーチが行き届いている。リアリテイ警察ものとして、とても引きつけられる。

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    2010年03月05日
  • 暗く聖なる夜(上)

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    コナリーのシリーズ本の9作目。IN Pocket 2005年総合ランキング第1位、このミス2006年代2位という帯に惹かれて購入。しかし、最初からとっても読みやすく、ぐいぐい引き込まれる。上下巻を一気に読める。

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    2010年03月07日
  • リンカーン弁護士(上)

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    ミッキー・ハラーは、高級車リンカーンを事務所代わりに乗り回して移動するやり手の刑事弁護士。
    ちょっと久しぶりな気がするマイクル・コナリーの作品です。
    刑事ボッシュ・シリーズではなく、弁護士が主人公。

    二度の離婚経験のあるミッキー、仕事に追われて幼い娘に会いに行く時間もなかなか取れない。
    広大な州に点在する裁判所や刑務所をこまめに回って、仕事を受けているのだ。
    そこそこ成功しているが、大仕事には最近恵まれていなかった。前半、現実的な事件の描写は余り盛り上がらないが、勤めている大人にはわかりやすいかも。

    そこへ飛び込んできた事件は…
    大金持ちの一人息子の30男が、女性に暴行で訴えられたのだが無

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    2010年03月04日
  • リンカーン弁護士(下)

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    事件を調査するうちに、かつて弁護した人間が無実たったことを知り、動揺するハラー。さらに衝撃的な事実に直面しながらも弁護を展開せざるをえない彼が、最後に見たものは・・・。始動がゆったりな分、後半は怒涛の一気読みでした。翻訳されていない作品が五つぐらい控えているとか。まだまだ楽しみは続きます。ちなみに、「バッドラック・ムーン」と「チェイシング・リリー」は未読のままです。

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    2011年12月31日