古沢嘉通のレビュー一覧
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ネタバレ魔法!ファンタジー!わくわく!と思って読み始めたらめちゃめちゃダークファンタジーで、 苦しい…悲しい…と思う場面が多くありました。けれど学生らしいふふっとするようなシーンもあり、読んでいてほんとうに色々な感情が芽生えました。 言葉を訳すことによって生み出される魔法の力。たくさんの言葉の意味が作中に登場して、それがどのような効果を生み出すのか、読んでいてとても面白かったです。しかし後半に行くにつれて、その力は正しく使われているのか。 そう疑問に思う主人公たち。その結末はとても胸が苦しくなりました。 ラヴェル教授が序章では想像もつかないくらいひどい(グリフィンとロビンをバベルに連れてくるための経緯)人物だ…と気づいたり、グリフィンとロビンの切ない関係性だったり、 物語だけではなく、人間関係も細やかに描写されていて本当に読み応えがある作品でした。 ヴィクトワールとレティはその後どうなったのか、あれこれ考えてしまいます。 とても面白い作品を読ませていただいて、ありがとうございました!
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本作のテーマはタイトルにもある「復活」。
ある女性の冤罪を晴らすため、ハラーはボッシュとともに法廷で検察と戦う。
優位に裁判を進めるハラーだが、決定的な証拠が採用されず、苦戦を強いられる。ボッシュの刑事としての長年の経験が、窮地を救うことになるのだが・・・。
ストーリーの中心となる法廷劇はどちらかというと脇役で、著者はハラーがどのように復活していくかのきっかけを与えようとしているのではないか。ただし、ハラーが到達した転換点は読者に明かさないで終わる。
そしてもう一つの復活がボッシュだ。癌からの復活。これも治癒したかどうかまでは明らかになっていないが、快方に向かっていることは伺える。
ボッシュも73歳。ボッシュシリーズはどこへ行くのだろうか。
リンカーン弁護士シリーズ、そしてボッシュシリーズが大きく変わる前の準備段階とも言える作品かもしれない。 -
Posted by ブクログ
上下巻。ベストセラー作家、コナリーのシリーズの1作。リンカーン弁護士というのは通称で主人公はミッキー・ハラー。独自の事務所ではなく高級車のリンカーンを事務所代わりに刑事事件専門の弁護士を営んでいる。ちょい悪親父のような風貌で悪い人物だろうが自分の中でお金に換えられるのであれば弁護する、というのが信条。但し、ポリシーも持っておりその葛藤を作品で読ませてくれる。絶妙な正義感を持っており白黒ハッキリ付けるタイプというよりもグレーで世の中を渡っていく感じか。作品としては非常に読みやすくプロットも二転三転としていて面白い。依頼人の底知れない不気味な所が上手く表れていると思う。ラストは案外すんなりと終わっていくのがもったいないが、リーガルものだけあって法廷シーンは見もの。
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ネタバレ敏腕記者だった経歴もあり、プロットが緻密です。長編でありながら破綻のない展開とたまに顔を出すハードボイルド的セリフも魅力。とはいえ、何故か主人公に感情移入しづらいのも事実。これは、ジャーナリストとしての職業的特性から登場人物たちを客観的に、かつ状況描写を公正、正確に行おうとする性(さが)が前面にですぎている為の様な気がする。試しに、過剰な描写を排除するパトリシア・コーンウェルあたりと比較すれば私の言いたいことが伝わるかな。
本作は、ハリー・ボッシュシリーズ9作目。訳者のあとがきが、シリーズ内容を時系列にまとめておりわかりやすい。
解説は、ローレンス・ブロック推しの林家正蔵氏。彼はまた、落語家ながら一万枚以上のジャズレコードを所蔵しているジャズマニア。本書の主人公もジャズサックスを習っており、文中にもサッチモ「What a wonderful world」やアート・ペッパーなどが出てくるのでジャズファンも楽しめる。 -
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ネタバレ前作「ラストコヨーテ」では休職させられてカウンセリングに通わせられて憤慨していた。今作では殺人課に復職、上司もビレッツ警部補というまともな人物に。
事件はサクサク解決に向かいそうなのだが、途中でエレノアと再会する。
さあ、ここから色々なことが起きるんだろうな。
下巻楽しみ。
ハリー・ボッシュが帰ってきた!ハリウッド・ボウルを真下に望む崖下の空き地に停められたロールスロイスのトランクに、男の射殺死体があった。「トランク・ミュージック」と呼ばれる、マフィアの手口だ。男の名はアントニー・N・アリーソ、映画のプロデューサーだ。どうやら、彼は犯罪組織の金を「洗濯する」仕事に関わっていたらしい。ボッシュは被害者が生前最後に訪れたラスヴェガスに飛ぶ。そこで彼が出会ったのは、あの『ナイトホークス』で別れた運命の女性、エレノア・ウィッシュだった。 -
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ネタバレ本筋の事件とは別に幾つもの事件について同時並行的に進行していく。それらがラスト100ページ(適当)バタバタと判明していく。そこのところはご都合的な感じを抱かせずハラハラとページを捲らせる。
型破りでありながら自らのライフスタイルへの拘りを見せるバラードと老いてもなおアクの強さと粘りが衰えないボッシュ。次も期待したい。
作品紹介・あらすじ
バラードは、ホームレス男性の焼死事件の現場に出向いていた。テントに暮らしていたエディことエディスン・バンクス・ジュニアが、大量のアルコールを摂取して寝ているうちに、うっかり石油ヒーターを倒して、その火が全身に移り、焼死した模様だった。事故死とみて、バラードはロス市消防署に処理を任せた。一方、元服役囚ジョン・ヒルトン殺害事件、担当刑事の捜査における不作為がおかしいことにバラードは気づく。現場を縄張りにしていたギャング団のストリート・ボス、エルヴィン・キッドに聴取していないし、現場周辺の売人のひとり、デナード・ドーシーは麻薬取締課の情報屋だったため、取締課からのドーシーはなにも知らないという連絡だけで追跡捜査をしていないなど。また、なぜ担当ではないトンプスンが殺人事件調書を盗んだのかも疑問だった。事件を解決するためではなく、解決させないために盗んだのか、とボッシュとバラードは疑問を抱く。やがてキッドとヒルトンが、同時期に刑務所に収監されていたことが判明する。絵が得意だったヒルトンが残した獄中でキッドを描いた絵から、ふたりが恋人同士であった可能性が浮かぶ。 -
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ネタバレ今回もバラードとの共同捜査。
リンカーン弁護士のハラ―も登場している。
ボッシュも69歳。
膝の不調で杖を使ったりしているがまだまだ元気。
今のところ好調だが下巻でどうなるか。
良いなあボッシュシリーズは。
ロクでもない事件に出会うけど最後まで諦めずにコツコツとやるべきことをやっていく。
物語だと分かっていながら元気づけられる。
こういう読書が今の自分に合っている。
下巻楽しみ。
作品紹介・あらすじ
ハリー・ボッシュが新人の殺人事件担当刑事だったころ、パートナーを組んで、殺人事件に関する取り組み方を一から教えてくれた恩師にあたるジョン・ジャック・トンプスン元刑事が亡くなり、ボッシュが葬儀に参列したところ、未亡人から夫が自宅に残していた一冊の殺人事件調書を託される。二十年まえに(2000年1月)ロス市警を引退したトンプスンは、その調書を市警から盗んで、自宅に保管していたらしい。
その事件とは、1990年に起こった元服役囚で麻薬中毒者の白人男性ジョン・ヒルトン(24歳)がハリウッドの路地で後頭部を撃たれて亡くなった未解決事件だった。
恩師の執着していた未解決事件を解決すべく、ボッシュはバラードに協力を求める。
また、ボッシュは、ミッキー・ハラーが担当しているモンゴメリー上級裁判事暗殺事件裁判に被告側調査員として協力もしていた。モンゴメリーは日中に裁判所近くの公園で刺殺され、現場に残されたDNAが一致したことでジェフリー・ハースタットが逮捕され、裁判にかけられていた。ハーシュタットは自供もしており、有罪必至の状況だった。
一方、バラードは、ホームレス男性の焼死事件の現場に出向いていた。テントに暮らしていたエディことエディスン・バンクス・ジュニアが、大量のアルコールを摂取して寝ているうちに、うっかり石油ヒーターを倒して、その火が全身に移り、焼死した模様だった。事故死とみて、バラードはロス市消防署に処理を任せた。
これら三つの事件(「元服役囚殺害事件」「裁判所判事暗殺事件」「ホームレス焼死事件」)が複雑に重なり合い、終盤の怒濤の展開は近年屈指の作品に仕上がった。 -
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・ケン・リュウ編「金色昔日 現代中国SFアンソロジー」(ハヤカワ文庫SF)は「折りたたみ北京」に続く中国SFの第2弾である。登場人物等、さすが中国である。カタカナでではなく、漢字の名前が多い。ま づこのことに感心してしまつた。それほど私が中国とは無縁の読書生活を送つてゐるといふことである。さういふ内容の作品もあればさうではない作品もある。実に様々である。「本アンソロジーには、全部で十四名の作家による十六篇の作品が収録されて」(「序文」12頁)をり、「作品渉猟の場を拡大する方向に目を向けて」(同前)編まれたといふ。ただし、「本プロジェクトは、中国現代SFの代表的な作品を集めるという意図は」(同13頁)持つてゐないといふ。私にはいかなる作品が「中国現代SFの代表的な作品」か分からない。「中国SFと呼びうる作品の多様さと中国SF作家界の雑多な構成」(同前)といふことは、中国SFといつたところで、決して一つにくくれるものではないといふことなのであらう。
・表題作宝樹「金色昔日」はおもしろい作品であつた。私は現代中国の歴史を知つてゐるわけではないが、 それでもこの作品が現代中国の歴史をさかのぼつてゐることは分かる。主人公の「いちばん古い記憶はオリンピックの開会式だ。」(222頁)といふのが北京五輪であれば、彼は私達の同時代人であると言へる。 「三年生のときに感染症のSARSが流行し」(226頁)た。次にサダム・フセインやビン・ラーディンが出てくる。例の9・11もある。かうして様々な出来事があり、ゴルバチョフがソ連邦を作り、「?小平の計画経済改革が失敗し、経済は悪化の一途をたど」(243頁)る。さうして共産党内部抗争から天安門事件が起きる。主人公は学生側の指導部に加はるも、最後は軍隊に掃討される。……ここまで書けば十分であらう。この作品は歴史を改編しつつさかのぼつてゐる。従つて、最後は日独伊の三国同盟対米ソ同盟であ り、この中国側の動きとして国共内戦と国共統一戦線による抗日闘争である。この間に幼なじみの恋人が登場する。この女性の運命は歴史に弄ばれてゐる。最後は日中戦中に主人公に会ふことかなはず死ぬ。「ある意味で本書の作品中最も中国的な物語であ」(ケン・リュウ解説218頁)り、「人民共和国の歴史を知れ ば知るほど、この物語の意味もはっきりと見えてくる。」(同前)といふ。私に見えたものが宝樹の見たものであるなら、これが中国国内で発表できるのかと思ふ。「最初の公式な出版が英語版と」(同前)なるさうである。原典には"No Chinese publication"とある。中国語版なし。訳者はケン・リュウである。「公式な出版が英語」であるなら、非公式な中国語もあるのであらうか。中国国内で出せないから英語版を出したのではないのか。中国の現状を見る限り、危険を顧みずに敢へて出版するとは思へない。宝樹はいかなる人かと思つても、フリーライターであるらしいとしか分からない。web上 にもこれ以上はなささうである。この人、中国で現役の作家としてやつてゐるのだらうか。天安門事件や文革を描き、?小平の経済改革を失敗といふ。かういふことが許されるのなら、中国は今少しまともな国にな つてゐさうでる。しかしさうではない。あくまで習某の中国である。かうして日本語版が出るからには、この人の現在を心配する必要はないのかもしれない。もちろんこれは例外的な作品である。本書は普通のSFばかりである、とは語弊があるか。しかし、ここに様々な傾向の作品があり、様々な内容の作品があると知れる。おもしろい作品集であつた。