古沢嘉通のレビュー一覧
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現実と夢の境界が曖昧に溶けていく独特の読書体験を与える作品だった。
主人公ピーターが現実世界と夢諸島を行き来する構造は非常に魅力的で、どちらが“本当”なのか分からなくなる感覚は、どこか村上春樹作品にも通じるものを感じた。
一方で、ピーターの人物像には強い苛立ちも覚えた。特に終盤、女性に原稿を読んでほしいと執拗に頼む場面は痛々しく、自分の存在を他人に承認してもらおうとする必死さが露骨に表れていて印象的だった。彼の行動は共感しづらいが、その不器用さや逃避の姿勢にはどこか現実的な怖さもある。理解しきれない部分を残しつつも、読後にじわじわと思考を刺激し続ける、不思議な余韻を持った一冊だった。 -
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ネタバレ上巻で積み上げられた「翻訳の魔法」という独創的な舞台装置は、下巻に入ると一転して、救いのない破滅へと突き進む。
全編を通して流れるのは、あまりにもダークで閉塞感に満ちた空気だ。最終的にロビンたちが選ぶ「自決」という結末にはほとんど希望が残されず、読み進めるのはなかなかに苦しい体験だった。
読後、強く感じたのはこの物語が持つ重層的な「政治性」だ。
銀のパワーで世界を牛耳るイギリスに対する「翻訳者たちの人生を賭けた儚い反乱」という構図。それは単なる歴史ファンタジーの枠を超え、現代における「アメリカ・英語・テクノロジー」という覇権に対する強烈なアンチテーゼのように映る。著者のルーツを思えば、効果 -
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ネタバレ「翻訳で失われる意味」を魔法のエネルギーにするというのは独創的な設定ですね。
上巻の半ばまでは、正直なところ物語の運びが少し回りくどいと感じる部分もありました。著者自身のオックスフォードに対する強い思い入れや、アジア系学生としての複雑な視点が色濃く反映されているせいか、必ずしもストーリーに直結しない衒学的な描写も多く、もっと軽快なエンターテインメントを期待していた身としては、少し足踏みをしているような感覚があったのも事実です。
しかし、主人公たちがイギリスを離れ、広東へと渡るあたりから物語の相貌が一変します。
それまで「知識」としてしか知らなかった植民地主義やアヘン貿易の残酷な実態を、彼ら -
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架空の星にあるドリーム・アーキペラゴ諸島の観光ガイド、物語で紹介する連作短編集
実は購入してから3回目の挑戦で、ついに読み終えた。毎度眠くなるのだ
実に半年程、3回目の挑戦でやっと読み方、付き合い方がわかった
時間勾配の歪みのため正確な地図が作れない
この設定部分を勘違いして読んでいた為何が何だかわからず毎度眠くなってしまっていた
島々の逸話集とてっきり思っていた為、例えば何度も出てくるパントマイマー殺人事件
別の島の話になってもその事件が語られ始め時間と土地の認識が自分の中で整理することが出来ず理解しようとゆっくり読んでいたらいつの間にか寝ていた
はっきりとSF設定のある架空のガイド本で -
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19世紀円半のロンドン、オックスフォード大学が主な舞台。中国、インド、ハイチなど、当時の大英帝国の支配下にあった国々から集められた言語能力に優れた子供達。オックスフォード大学の翻訳研究センター、通称バベルの塔で翻訳と銀を使った不思議な銀器を取り扱う。銀の力と言葉の力で魔法を起こすものだが、その力でイギリスは産業革命を成し遂げ、植民地支配を広げているというもの。アヘン戦争前後の下りは史実と一緒だが、一種のパラレルワールドになっている。主人公を含む4人の学生の友情や葛藤、愛国心、人種差別、奴隷制度、植民地制度をめぐる相剋が描かれている。オックスフォードという世界最高の学びやで、奨学金や生活費を支給
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魔法!ファンタジー!わくわく!と思って読み始めたらめちゃめちゃダークファンタジーで、 苦しい…悲しい…と思う場面が多くありました。けれど学生らしいふふっとするようなシーンもあり、読んでいてほんとうに色々な感情が芽生えました。 言葉を訳すことによって生み出される魔法の力。たくさんの言葉の意味が作中に登場して、それがどのような効果を生み出すのか、読んでいてとても面白かったです。しかし後半に行くにつれて、その力は正しく使われているのか。 そう疑問に思う主人公たち。その結末はとても胸が苦しくなりました。 ラヴェル教授が序章では想像もつかないくらいひどい(グリフィンとロビンをバベルに連れてくるための経緯
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ネタバレ謎の船の上で意識を取り戻した、7人の男女。彼らは全員、自分の名前も過去も忘れていたが、過去に職業上獲得したと思しき専門技術は身につけていた。赤い霧に包まれた川を遡上しながら、携帯電話から一方的に指示されるまま使命を遂行している彼らが見たのは、異形と化した世界の姿だった・・・
【以下、激しくネタバレ注意!】
めっちゃ面白いです。まるで生きるか死ぬかのアクションゲームの世界を進んでいるかのようで、ページを繰る手が止まりません。ある大富豪が不死を目指して開発させた細菌?が人体を怪物化させるウィルスと化し、感染者がカニのような姿に、あるいは虫のような姿に変異して共食いし崩壊していく人間社会の描写も、 -
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AIが普及した近未来にAIと人間の関係を考えさせる16編。海外の作家でケンリュウ以外知らない作家だが、面白かった作品も多い。日本のロボットはお友達SFに比べてダークなものが多かった。
エンドレス サード・Z・フセイン 個別のAIにも経済的な浮き沈みがある設定が楽しい
アイドル ケン・リュウ 自分とそっくりのAIをつくるということを三井住友中島社長は実現してる?
もっと大事なこと サラ・ピンスカ― AIによる殺人? よくある設定だが実際におこると怖い
人形芝居 アレステア・レナルズ 乗組員ほぼ全員死亡した宇宙船でAIが右往左往
翻訳者 アナリー・ニューイッツ AIの言葉を人間にわかるように翻訳