古沢嘉通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1997年発表ハリー・ボッシュシリーズ第5弾。デビュー作以降は、己の過去と対峙し、そのトラウマを清算/払拭するための私闘を主軸としていた。母親の死を扱った前作「ラスト・コヨーテ」でそれも一段落つき、本作からは、殺人課刑事として犯罪者を追い詰めることに主眼を置いた警察小説の色を濃くしている。いわば、シリーズは第二期へと入ったのだろう。
ハードボイルドのテイストが失われているわけではない。だが、一匹狼ではなく、捜査チームを取りまとめる長としての責任を優先するボッシュの姿に、正直物足りなさも感じた。時に暴走する危うさを秘めた孤高の男といったイメージは薄れ、サブストーリーとなる元恋人への執着など、ボッシュから孤独の影を消そうという意図が見える。恐らく、そこにはプロットの面白さで勝負したいというコナリーの意欲が表れているのだろう。二重三重に練り込んだ筋立てなど、ミステリとしての完成度がさらに高まっていることは間違いないのだが、マット・スカダーのように急速に精彩を欠いていかないかという危惧はある。
ハリウッド映画界の最下層にいる女優、悪質プロデューサー、蔓延する犯罪組織など、ハードボイルド創生期では馴染みの舞台設定を、現代風にアレンジしているのだが、謎を解く主体が科学的捜査になってしまっているのは、何とも寂しい。本作は中盤まではかなりもたつき、細かく章分けされた後半に至って、ようやくスピード感が増す。相変わらず構成は巧みで、序盤からの伏線も見事なものだが、全体で見れば、シリーズの過渡期的な位置を本作は占めそうだ。 -
Posted by ブクログ
12人の作家が書いた、ゲームがテーマの短編のアンソロジー。
ゲームは好きだし、昔ゲームブックにすごくハマったし、ゲームっぽい小説(「クリムゾンの迷宮」とか「ソードアート・オンライン」とか)大好きだし、ピッタリだとおもって購入。
唯一知っていた著者桜坂洋の「リスポーン」は設定が面白かった。「ツウォリア」は設定自体はありきたりですごく短いんだけど、終わり方が好き。「アンダのゲーム」は結構考えさせられる内容で面白かった。
ひさびさに海外小説を読んだけど、やっぱり翻訳物は頭に入ってきにくい気がする。そんなとき各短編の前に、導入と著者紹介を書いてくれていて結構良かった。アンソロジーだと普通なのかな? -
Posted by ブクログ
2年ぶりのボッシュ・シリーズは、デビュー作から20年経った2012年に出版され、作品の舞台も同じ年。トラウマになっていた殺人事件を20年後に再捜査するボッシュの姿を描くというストーリー。タイトルの「ブラックボックス」は、飛行機事故の際のブラックボックスのように、すべての事件には解決につながる「ブラックボックス」があるというボッシュの信念になったものを表している。
上巻は「ブラックボックス」を求めての地味な捜査が続く。唯一の手掛かりである薬莢を手に右往左往するボッシュ。拡がりも展開も希薄なのでイマイチのれない感じ。凶器の銃を繋ぐ殺人事件。そこから細い糸を手繰っていくと事件は意外な展開を見せるが、例によって政治的思惑から捜査に圧力がかかるというお約束を経て、物語は後半から一気に動き出す。
とは言っても、事件の動機に繋がる部分は早い段階で予想がつくので、あとは着地勝負だけになる。無理矢理粗っぽい技で攻めてきたなという感はあるが、意外な方向にストーリーを膨らませたのは面白かったです。
あと、ボッシュが自分の所属をテレビドラマ「コールドケース」に例えて説明するシーンがあったけど、そこが一番腑に落ちた(笑