古沢嘉通のレビュー一覧
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ネタバレボッシュシリーズでたびたび目にするニーチェの警句、「深淵を覗く者は、そこに潜む怪物と同化せぬよう気を付けねばならない」が暗示してきたように、ついにボッシュは怪物と同化してしまったの?と不安にかられつつ、そんなはずはない!とボッシュを信じて読み進める。
裁判での検察側、弁護人側の抗戦、攻防のゆくえはどうなるのか、ボッシュの嫌疑は晴らされるのか、急な襲撃により危機一髪に陥ったマッケイレブは助かるのか、はらはらドキドキの期待を裏切らない展開で、やっぱり「マイクルコナリーは安心して読める、決して外れのない作家」だと再認識できた。
読み手をびっくりさせたり、陰惨な気持ちに陥れたり、呆れさせたりする奇をてらった派手な作品ではなく、じっくりゆっくり緻密に物語を展開させ、しっかりと性格付けされたキャラクターたちにより、そつなく見事に構成をまとめ上げ、ミステリーとしての”オチ”もきちんと用意されているコナリー作品に魅了させられた。 -
Posted by ブクログ
ここ(ドリーム・アーキペラゴ)ではどんなことも起こり得る―
時間勾配の歪みにより地図の作成が不可能とされている架空の世界。そこに点在する無数の島からなる通称夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)が舞台の物語。英国作家の”信頼できない語り手”ことプリーストが書き記した、死と狂気に彩られた島々に纏わる35の記録譚。
『グールン』~大提督劇場~
商業演劇の演出家を目指し、とある劇場に勤め始めた青年。出演者の一人、謎の王”ロード”を名乗る奇術師との出逢いを発端に様々な出来事が巻き起こる。やがて、執拗に主人公を付け回す不審な小男や奈落での亡霊騒ぎがひとつに繋がっていく。
『チェーナー』~雨の影~
人民裁判所に残されたある殺人事件容疑者の取調べ調書。正常なように見えながら節々に僅かに滲み渡る奇妙な印象を抱かせる自供文。繰り返される肯定と否定。果たして彼は本当に真犯人なのか。
『ミークァ/トレム』~足の速い放浪者~
夢幻諸島の地図を作るため島々の情報を集め飛びまわる無人飛行機ドローン。地図製作チームの一人ローナは、軍の占拠下にある立入制限区域に姿を消した恋人の行方を探ろうとドローンを利用することを思いつくが。異色の恋愛もの。
この他にもたくさんの物語が研究書・覚書き・独白・ガイドブックなど様々な形をとって表されています。それぞれの話がバラバラなようで実は繋がっているなどというところはまさしく群島のよう。詳細を穿って描かれた世界観はまるで本当に実在するかのような心地にしてくれます。夢幻諸島に秘められた物語たちはどこまでも尽きることを知りません。
そんなお話。 -
Posted by ブクログ
なかなか訳者あとがき定番の内容紹介に入ろうとしないのは、
作者の意向を汲んで、
読者になるべく目かくしした状態で本書を発見してもらうために、
訳者もくわしい内容紹介をされないそうだ。
あとがき定番の内容紹介がくわしいあらすじ紹介ならば、
言わずもがなのことだと思う。
同じく訳者の方は、イアン・マクドナルドの「火星夜想曲」
みたいな感じとおっしゃっているが、
私にはコードウェイナー・スミスの「人類補完機構シリーズ」風味も少し感じられた。
2012 年 英国 SF 協会賞長編部門受賞作品。
2012 年 ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作品。