古沢嘉通のレビュー一覧

  • 母の記憶に

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    ネタバレ

    著者の実力が判る短編集。様々なSF的素材を上手いとうならせる料理法で絶妙な作品に仕上げている。それぞれに味があり面白かったが、題材はありがちだが残されし者が心に残った。人としての尊厳と子供たちの未来の天秤。以外に早くその時は訪れるのでは?
    以下 覚書
    ・ウスリー羆:バンパイヤ
    ・草を結びて環を銜えん:揚州大虐殺
    ・重荷は常に汝と共に:異世界の税金
    ・母の記憶に:ウラシマ効果
    ・プレゼンス(存在):遠隔介護
    ・シミュラクラ:3次元カメラ?の発展版
    ・レギュラー:ハードボイルド探偵
    ・ループの中で:遠隔戦争
    ・状態変化:魂が氷だったら
    ・パーフェクトマッチ:ビッグデータ=ビッグママが支配する世界

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    2017年09月23日
  • ラスト・コヨーテ(下)

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    ネタバレ

    パウンズとの軋轢 人違い 停職 精神分析 セッション マージョリー・ロウ殺し 追及 過去との遭遇 母の友人 犯人 どんでん返し 最初からいたんだ

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    2017年11月28日
  • 転落の街(上)

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    ボッシュが担当している未解決事件でレイプ殺人事件の容疑者のDNAに当時8歳の男の子が該当し、捜査を割り振られた直後に、ロス市警OBの市議の息子の転落死の捜査を指名されて、2つの事件の捜査が同時しながら、物語が進行する。

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    2017年09月17日
  • 母の記憶に

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    各篇実に多様な趣の短篇集なのだけど、そのどれにも独特の叙情感が漂っているのがケン・リュウの特徴ではないかなあ。作品によって濃淡はあるが、切なく心にしみる感じが共通している。

    強く印象に残るのは、揚州大虐殺に材を取った二篇。隠蔽され続けてきた歴史に光を当てたもので、心を揺さぶられた。特に「訴訟師と猿の王」の田の造型が見事。

    進んだテクノロジーが家族にもたらす軋みを描いたものも目につく。テーマ的な新しさはないが、ケン・リュウの故国や家族、特に母に対する思慕の念が色濃く投影されているようで、しみじみと読んだ。

    なかでもやはり表題作が出色。SF的ガジェットと普遍的な親子のありようが溶け合った一篇

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    2017年07月20日
  • ブラックボックス(下)

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    ネタバレ

    (上巻より)

    でもまあ、16才の娘といろいろとぎくしゃくしながらも、誕生日を祝ってもらったり、
    銃の訓練をしたりと、
    幸せな人生を送っているようで良かった。

    しかし、なぜ監察官がボッシュのピンチに現れたのかが、
    わからない。

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    2017年06月24日
  • ブラックボックス(上)

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    ネタバレ

    しまった。
    ボッシュ刑事の最新作だと思って飛びついたら、
    どうも何巻か飛ばしてしまったらしい。
    ボッシュ周辺の話がつながらない。

    過去に自分が遭遇した未解決事件を追うというストーリーは面白かった。
    刑事ものとしてはありがちといえばありがちが、
    その過去がロス暴動だし、
    これまたお約束のように入ってくる横やりが、
    人種差別だと思われかねないという政治的判断なところが、米国らしい。

    (下巻へ続く)

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    2017年06月24日
  • ラスト・コヨーテ(下)

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    ターニングポイントとなるハリー・ボッシュシリーズ第4弾。主人公はハリウッド署殺人課に所属する一刑事に過ぎないが、コナリーは群れること嫌う「一匹狼」的な存在として描いてきた。
    本作は、第1作から伏線としてあったボッシュの母親の死の真相を追い求める物語で、これまで以上の私闘を繰り広げている。上司への暴力行為で休職処分となったことを機に、30年以上前の未解決事件を再捜査するのだが、埋もれた過去から浮かび上がってくる事実は、当然のこと痛みを伴う。娼婦であるがために引き離された息子と再び暮らすことを夢見ていた母親の思いを知るほどに、ボッシュは殺人者への憎しみを深める。
    事件の性質上、全編がボッシュの単独

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    2017年06月23日
  • ブラックボックス(上)

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    ロス暴動大混乱の最中に発生し、まともに捜査ができず心に残っていたジャーナリスト殺害事件から20年。すべての事件には解決につながる「ブラックボックス」があるという信念のもと、ロス市警未解決事件班ボッシュは再捜査を開始。市警上層部の政治的圧力による監視をくぐり抜け、単独で事件を追いかける。

    シリーズ何作目かわからない。とにかく20周年記念らしい。

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    2017年06月05日
  • ラスト・コヨーテ(下)

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    十二分に面白いが、最後のちょっとばかし現実離れした展開がなければ、シリーズ屈指の大傑作になっていたであろう点が、どうにも悔やまれる。

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    2017年05月24日
  • 母の記憶に

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    卓越。

    どうも私は ”ガジェットと家族関係” テーマに惹かれたようで、「存在」「ループのなかで」が気に入った。
    技術がどれだけ発達しても世の中や常識がどれだけ変化しても、”家族のせつなさ” のようなものは消えてなくならないような気がする。

    短編にしておくのがもったいないような壮大な設定のものもあって、「草を結びて球を環をくわえん」など長編で読んでみたい。

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    2017年05月18日
  • 転落の街(下)

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    刑事ボッシュシリーズ。過去の未解決事件と現在の事件の二つを同時に担当し、自分の信念に従って捜査していくボッシュをテンポよく書いてあると思う。

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    2016年12月31日
  • 転落の街(下)

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    ネタバレ

    定年延長選択制度を適応され、ロス市警未解決事件班で現場に居続けるボッシュ。
    未解決事件のファイルの中から、DNA再調査で浮上した容疑者は当時8歳の少年だった。高級ホテルの転落事件と並行して捜査を進めていくが、事態は思った以上にタフな展開を見せる。2つの難事件の深まる謎! 許されざる者をとことん追い詰めていく緊迫のサスペンス!
    転落した市議の息子は殺害されたのか、自殺だったのか。未解決強姦殺害事件の背後に潜む深い闇とシリアルキラーの影。
    ”誰もが価値がある、さもなければ誰も価値がない“という信条のもと非情な捜査を進めるボッシュ。
    陰惨な様相を呈しはじめた事件には戦慄の結末が待っていた!

    これ

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    2016年12月18日
  • 転落の街(下)

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    ハラーシリーズにも登場したりしてたからそんなにご無沙汰とは思わなかったけど、ボッシュシリーズとしては「ナインドラゴンズ」の次になるわけだ。「ナイン~」は、第一作からずっと愛読している読者には衝撃の展開で、また、ハリウッド映画的に派手なアクションがあったりして、それまでの作品と比べてぐっとエンタメ色が濃厚であった。私は「暗く聖なる夜」なんかの暗いタッチが好きなんだけど、さあ新作はどう来るか?

    読後の印象としては、今回は比較的地味な「警察小説」に戻ったような感じ。このシリーズは現実の時間と同時に進行していて、ボッシュは六十歳になっている。守るべき娘もいて、以前とは雰囲気が変わっているのは当然かも

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    2016年12月08日
  • 転落の街(下)

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    ボッシュ・シリーズでは『ナイン・ドラゴンズ』に続く作品。香港を舞台にしたエンタメ重視の前作とは違い、丁寧に捜査過程を追っていく本来の警察小説に回帰したとも言える内容。

    原題の『TheDrop』には複数の意味が込められている。ボッシュが捜査するふたつの事件──ホテルからの転落(drop)事件と、血痕(drop)からDNAが採取された未解決事件。そして刑事としてのキャリアを左右する定年延長制度(drop)のことでもある。宿敵が事件に絡み、ボッシュは否応なくハイ・ジンゴ(政治的意味合いのある事件)に巻き込まれていく。その中で、捜査手続きをキープし、落とし穴に嵌らぬよう行動するボッシュの決断が本作品

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    2016年11月21日
  • 蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二 囚われの王狼

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    一巻目と比べて女性の活躍が目立ち,そこが史実と違って楽しめる.それにしても権力を持つと人間は変わるというのが,とても上手く描かれている.ただ神々の名前がごちゃごちゃして,狂言回しのように登場するたび,混乱した.続きがあるなら,訳者の工夫を期待する.

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    2016年09月20日
  • 転落の街(上)

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    純然たるハリー・ボッシュ・シリーズの上巻。若い頃の血気盛んなボッシュが定年を目前に控え、警察組織に従順なボッシュに成り下がってしまったのは淋しい限り。或いは、従順なボッシュは仮の姿なのか…

    ロス市警未解決事件班のボッシュは相棒のチューと四半世紀前に起きた未解決殺人事件の調査と並行し、有名ホテルで起きた要人転落死事件の調査にあたる。少しずつ解れていく、2つの事件の謎。一体、どちらの事件がメインで進むのか。或いは2つの事件はどこかで交錯するのだろうか。

    帯には『ボッシュ・シリーズ最高峰!』とあるが、今のところは驚愕の展開も、ボッシュに迫る命の危機も無く、無難な展開。

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    2016年09月18日
  • 蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二 囚われの王狼

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    ネタバレ

    楚漢戦争を下敷きにしたケン=リュウの異世界ファンタジー第2巻。第一部の完結編。
    前巻と比べ、主要登場人物の陰の部分がより深く描かれている印象。
    登場人物の多くがそれぞれ自分なりに葛藤やら業やらを抱え込んでどんどん濁っていく中で、クニ=ガル(劉邦)は「自分はそんなことしたくなかったんだけど、周りの意見を聞き入れた結果…」という体。実際は相当えぐいことをやっているのに、一人だけそんなに濁らない構造になっているのは実にズルくてうまい。

    人物の大きな運命に関してはここまでのところ下敷きに忠実なので、あの人やあの人やあの人も今後随分ひどいことになっていくのかなあ…と思いながら読むと実に苦々しい気分にな

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    2016年08月02日
  • 蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一

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    (巻の一、二を併せての評である)
    ケン・リュウ版「楚漢戦争」。竹や木、鯨骨といったアジア的な材料を用いて、飛行船や潜水艦を活躍させる、著者自らの命名によるシルクパンクというジャンルを創出して見せたファンタジー小説。

    紀元前中国における項羽と劉邦の対決を、ゲド戦記の舞台、アーキ・ペラゴのような架空の多島海に置き換え、ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』に登場するような神々に似た各国を贔屓する神々まで登場させて換骨奪胎している。

    ただ、ストーリーそのものは、人口に膾炙した鴻門之会や四面楚歌など、楚漢戦争をなぞっており、新味は少ない。横山光輝のマンガを読んでいるのと似ている。英雄は英雄らしく、

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    2016年07月24日
  • ラスト・コヨーテ(下)

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    ネタバレ

    第1作目のナイトホークスから順に読み返してきたからこそ、存分に本作を堪能できたと感じた。

    下巻に入ってからは終始驚かされっぱなしで、緊張感みなぎる圧巻の読み応えで、あまりのおもしろさに圧倒され、一気に読み終えてしまった。

    ボッシュがパウンズのバッチをこっそり持ち出したり、パウンズの名前を騙って情報を入手したり、相変わらずいろいろ無茶なことをやってくれるので、ハラハラさせられたが、期せずして、ゴードン・ミテルのパーティーに潜り込むこととなったボッシュが、その場しのぎでした記帳が、恐ろしい悲劇を引き起こす種となってしまったのには衝撃を受けた。

    蒔いた種しか生えない。
    この予期せぬ悲劇の種を蒔

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    2016年06月14日
  • ラスト・コヨーテ(上)

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    ネタバレ

    ますます盛り上がるハリー・ボッシュシリーズ第4作目。
    第1作目からふれられてきた母の事件、死の謎を解く物語がいよいよ始まる。

    のだが、ボッシュはまたもや何かまずいことをやらかしたらしい!
    ボッシュはストレスによる強制休職に処されており、復職するためにカウンセリングを受けているのだ!

    何をしでかしたのかすぐに明かされないし、ボッシュの自宅はLAを襲った大地震で半壊の被害を受けて、立ち入り禁止の赤札がつけらているし、第2作の『ブラック・アイス』からの恋人シルヴィアはボッシュの元を去ってしまっているしで、悲壮感漂う散々な出だしで、ボッシュに一体何があったのか、のっけからグイグイ話に引き込まれる。

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    2016年06月12日