ジェフリー・ディーヴァーのレビュー一覧

  • ウォッチメイカー 下

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    確かに大どんでん返し。
    なぬー。
    .....と思わせて、またまた大どんでん返し。
    .....なんだけど、最初の大どんでん返しでよくね?

    残りページ少なくなって、犯人捕まるの?って思ったら、
    都合のいい偶然で話が進んでいくのはイマイチ。

    ハリウッド映画向けかな。

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    2020年02月20日
  • ウォッチメイカー 上

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    久しぶり、自分としては二作目のリンカーン・ライムシリーズ。いつものことだが、長いサスペンスは波に乗るまで時間がかかる。

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    2020年02月16日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    アメリカの書評で話題だったので気になっていましたが、和訳が出たので早速読みました。これを手に取るのはやっぱりみんなホッパー付きの人だと思うのだけれど、私もその一人で、で、読んでいる中で、お、と思うタイミングでホーッパー作品が出てくるので読んでて心地よかったです。いろんな作家さんの短編小説が入っていて、初めて知る人もいて、それも良いです。ただちょっとこじつけじゃないの?と思ってしまう組み合わせもありましたが、それもまあ楽しみかと。なによりこういう本を企画し実行した編集さんがすごい。

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    2020年02月03日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワードエドワード・ホッパーの絵を題材にした短編集。
    絵と物語を楽しめる。
    「オートマットの秋」「牧師のコレクション」「音楽室」が面白かった。

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    2020年01月26日
  • ボーン・コレクター(下)

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    ネタバレ

    注意深く犯行を進めてきた犯人が、その周到さゆえに手掛かりを残してしまい、それをライムが見つける場面が手に汗握る。ライムとサックスのいちゃいちゃが下巻は多くて笑ってしまった。クライマックスの畳み掛けが良かった

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    2020年01月21日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワード・ホッパーの絵をもとに
    17人の作家の17つの短編。
    序文でローレンス・ブロックも言っているけど、本当にバラエティ豊かだ。
    色白で、表情が虚ろにも見える人びと。
    (そのせいなのかちょっと死体と犯罪が多い)
    スウェーデンの映画監督、ロイ・アンダーソンの作品にでてくる人みたい。

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    2020年01月18日
  • クリスマス・プレゼント

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    ジェフリー・ディーヴァー 短編も面白かった。ありがとう。短編を書くのも好きなのだそうだ、期待してます。
    ジェフリー・ディーヴァーの「クリスマス・プレゼント」を読んだ。

    クリスマスにふさわしい気の利いた短編集で、ページを開くのが楽しみだった。ただ、ディーヴァーの短編というのは知らなかったので、海外フェアに入っていなかったら読まなかったかもしれない。
    ビギナー向きだったし、すぐに読めそうだったが、文庫で600ページ近く、読み終わるのに時間がかかった。

    短編というと最後のどんでん返しとが、気が利いたコント風とか、パズルを解く楽しみとか、短い中にも遊びがあるものが多い。

    これはディーヴァーらしくというのか、短編といえどもストーリー性があって、読んでいると物語が出来上がる、それが面白いこともあれば何か少し気合が入りきらないものもあった。

    「ジョナサンがいない」「サービス料として」
    だまそうとして馬鹿な失敗する。計画を煉りつくしたつもりで墓穴を掘ってしまう。

    「三角関係」
    どうも他に好きな人が出来たらしい。「三角関係」という本を買ってきてじっくり読んで研究をする。この手なら相手をうまく殺せるのではないか。何食わぬ顔をして、一緒に猟に出かける。ここだ!と本で勉強した場面は逃したが、何とか目的は達した。さて空港まで帰ってきたら。
    これは最後でやられた。そうだったのか。これオススメ、巧い。

    もう一編

    「この世はすべてひとつの舞台」
    シェークスピアが意欲的に脚本を書いていた頃だという時代がかった物語が実にうまい。
    芝居を楽しんで帰り道、名士だった父親がムルタにはめられた話を聞く。今は好きな芝居代もやりくりする生活だ。敵は父親の土地を元に肥え太っている。復讐だ。橋の上で決闘だ。今ではムルタは宮中にまで取り入っている男である。決闘の声で治安官が駆けつけた時にはムルタは橋から突き落とされ岩に頭をぶつけて死んでいた。
    裁判が行われた、犯人にされたクーパーは申し開きにこういった。
    「わたしたちは芝居の稽古をしていたのです、そこに通りかかったムルタさまが、私があまりに下手で稽古をつけてくれたのです。軽く突くとよろけて、手摺にぶつかり不幸にして崩れ、落ちてしまわれたので私は胸が塞がる思いでございます」
    ムルタは芝居好きだったが。民衆に憎まれている。うぬぼれやでつい剣を抜いたのだろう。と検察官は考えた。
    そこで呼ばれたシェークスピアが証人に立った。「クーパーは芝居を愛好していて、一度舞台で演じてみたいといって来ました。台詞も優雅でいいので剣も練習して置くようにといったのです」
    私の次の戯曲ですか?推敲中ですが。仮の題は「ヴェニスのムーア人、オセロー」と呼んでおります。
    クーパーは放免された。
    その夜は仲間が集まって祝杯を挙げた、決闘中どういう手順で誰が助けたか興味深いが、少なくともシェークスピアは一枚噛んでいた。

    「クリスマス・プレゼント」
    短編というには少し量が多い。車椅子の気難しいリンカーン・ライムはクリスマスの騒ぎが気に入らない。母親が家出したという少女が尋ねてきた。なんだかだとぶつくさ言いながらそれでも少女の訴えに協力する。リンカーンファミリー総出で、アメリアは昔のカーレースの腕を生かして雪の積もった橋の上を突っ走って、真っ赤なカマロを追跡する。介護師のトムは車椅子の後ろにリースをつけてライムに怒鳴られる。ちょっとテレもあってクリスマスをあからさまに楽しめないライムがなんだか可愛いらしい。
    母親も無事に見つかり、結婚詐欺師まで捕まえて、ご機嫌なライムは主義に反して母子のパーティに参加する。オールスターが顔をそろえた、クリスマスストーリーだった。

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    2019年12月26日
  • 追撃の森

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    緊迫した生き残りゲームがほとんどのページを占めている。
    保安官補の女性と殺人犯の知恵比べのサバイバルが読みどころかな。
    偶然二人組みになった逃げる側と追う側、見方を変えれば、逮捕する側とされる側、警官と殺人犯、という組み合わせ、時間とともに理解が少し深まって二人の関係が次第に変化していく、このところはありかもしれないが、一夜の出来事にしても、暗い森の長い追跡は少し飽きる。

    * * *

    人里はなれた森林の中の別荘で夫婦が殺される。保安官補のブリンは現地に行き、生き残った女(ミッシェル)と出会う。
    二人組みの犯人が追跡してくるが、二人は湖岸の森を抜けて逃げていく。
    連れて逃げていく女優崩れの女は足手まといになるし、何かとぐずり続ける。
    やっとたどり着いた窪地に止まったキャンピングカーは、ほっとする隙もなく、麻薬製造の一味だった。この一味にも狙われる。
    そこで追いつかれた犯人たちの銃撃で一味は殺され、ブリンは生き残った少女を保護する。
    隙を見て逃げるが、今度は子ども連れの難行。
    ブリンはありえないほどの困難の中で、さまざまな智恵で犯人をまくが、この智恵比べが読みどころ。

    * * *

    一気に読めばそれなりに面白いが、少し時間が空くと、まだ逃げているのかと思うほど、悪条件が次々に降りかかり、追いつ追われつの果てしない物語に思える。
    ただ、そこは実力派というか、ブリン組の人物像、ブリンの家庭や仕事場の事情、犯人達の目的などもあって、興味をひく部分もある。
    被害者の夫婦はなぜ殺されなくてはならなかったのか。
    ブリンとともに逃げることになった女の真の顔が見えてくるところなど面白い。
    だが今回はあまり魅力は感じなかった。
    こういう、少しゲームっぽい筋書きは長いと緊迫感が少し薄くなる。

    娘はまだ確信がなさそうにしていた。ブリンは罪悪感には複雑なDNAがあることを知っている。毒性を持つものにかならずしも純粋種である必要はない。しかしミシェルは、ブリンの言葉に多少の慰めを見出したようだった。「時計の針を巻き戻せたらいいのに」
     それって毎日の祈りじゃないの、とブリンは思った。

    こういうところは好きな部分で、つい次の作品に手を出す。

    「逃げる」ということで、面白かった映画を思い出したが題名を忘れた。ただ逃げる、どんどん逃げる映画だったが、なぜか面白かった。
    ついでに「ジェリー」という映画も思い出した。
    砂漠に入った二人の若者が道に迷い、歩き続けていく、二人がついに独りになってしまっても歩く、ただそれだけで、恐怖や孤独感が、すばらしい風景の映像とともに伝わってきた。

    事件や出来事の経過を伝えるだけでなく、何か響くものがあってほしい。この作品を読みながら、ストーリーをたどるだけでは面白みがないという感じがした。

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    2019年12月20日
  • 12番目のカード 下

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    南北戦争後の解放奴隷の逃走場面から始まるストーリーは、そのDNAを持つ被害者の危機的状況から始まる。リンカーンライムシリーズ特有の疾走感と、幾重にも張り巡らされた伏線(と回収)は相変わらず秀逸で、読む者を夜通し惹き付けて止まない。Colors(有色人種)やジェンダー差別はアメリカだけの闇ではないが、差別・被差別との対比を嫌味なく、誤解を恐れずに書くと、両者ある程度公平に描いている秀作。公民権運動前、有色人種が5分の3人と扱われていたのは僅か150年前のことである。自分を完全な人間として見て生きるか、否かは自分自身で決めることだ、と四肢麻痺の犯罪学者は教えてくれる。

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    2019年12月05日
  • 煽動者 下

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    上巻では、キャサリンのキネシクスにさほどの冴えが感じられない、というか、尋問に失敗したと思われる事例さえあったが、下巻に入ってもしばらくはそんな感じが続く。主に3件の事件を軸に話は展開するが、ある時から急にその動きが活発化して、それぞれがドンデン返しで解決することになる。結末付近の話の転回はやや急ぎ過ぎとも思えるが、読後感は、いつもの通り、スカッとする。さすが、ジェフリー・ディーヴァーだ。

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    2019年11月21日
  • ウォッチメイカー 下

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    やっぱりおもしろかった。
    どんでん、どんどんでん、でんどんでん返し。
    さすがに多いわ。ってなったけどまあよし。

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    2019年10月26日
  • 魔術師 下

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    シリーズものだと知らずに読んだ。大きな支障はない。何度も予想を裏切り、最後までページが残るので「まだあるのか!?」という気にさせる。トリックよりストーリー重視だと犯行動機が今ひとつだが、警察側の人々が素敵だったので良し。

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    2019年10月09日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワード・ホッパーという画家の絵から、17人の作家たちがそれぞれの物語を紡いでいく、いっぷう変わった趣向の短編集。

    文章に合わせた絵ではなく、一場面を切り取った絵から背景にある物語を想像するというのは、なかなか興味深い。皆それぞれ個性的で、そこまで想像の世界を広げていくのかと驚く。
    知っているのはキングとキャロルオーツくらいだったが、大御所キングの作品は絵そのままという感じでいちばん凡庸だった。
    自分ならこの絵からどんな物語を作るだろうと、読む前に考えるのも楽しかった。

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    2019年10月02日
  • 魔術師 下

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    リンカーン・ライムのシリーズは何作か読んでいるが、それらの中でも理解しやすい部類に入る。
    展開もスピーディーで楽しめた。

    ただ、背表紙の惹句には疑問符がつく。

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    2019年09月15日
  • 青い虚空

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    同様のテーマの著作は多数あるが、
    すごいな。
    コンピュータマニア
    ネットワークのハッキング
    (現実はこれを超えたか)

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    2019年08月17日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    ネタバレ

    エドワード・ホッパーの絵画を基に、17人の作家が想像を膨らませたアンソロジー。編者はローレンス・ブロック。海外小説通の方ならご存知なのかもしれないが、ぼくはスティーヴン・キングとローレンス・ブロックしか知らなかった。好きな作品も、どうだろうと思う作品もあったが、嫌いな作品はなかった。アンソロジーでは稀有なことだと思う。そして一緒に収録された絵画も素晴らしかったが、これを観て1本の小説を書き上げてしまう作家たちの才能に、ただただ敬服した。

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    2019年08月11日
  • ウォッチメイカー 上

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    凄い期待の元、読んだが、いつも通りの感じで、普通に面白い感じだった。
    しかし、下巻にあれほどの展開が待っているとは…

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    2019年08月07日
  • 短編画廊 絵から生まれた17の物語

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    エドワード・ホッパーという画家がいる。現代アメリカの具象絵画を代表する作家で、いかにもアメリカらしい大都会の一室や田舎の建物を明度差のある色彩で描きあげた作品群には、昼間の明るい陽光の中にあってさえ、深い孤独が感じられる。アメリカに行ったことがないので、本物を目にしたことはないが、アンドリュー・ワイエスと同じくらい好きなので、ミュージアム・ショップでカレンダーを買って部屋の壁にかけている。

    深夜のダイナーでカウンターに座るまばらな客を描いた「ナイトホークス」に限らず、ホッパーの画には、その背後に何らかの物語を感じさせられるものが多い。作家のローレンス・ブロックもそう考えた一人だ。彼は、これはと思う何人かの作家に自分のアイデアを持ちかけた。それに呼応した作家の顔ぶれがすごい。好き嫌いは別として、御大スティーヴン・キングをはじめとする総勢十七人。その中にはジョイス・キャロル・オーツまでいる豪華さ。

    ブロックも序文で書いているように「テーマ型アンソロジーというのはどうしても似通った物語の集合体になる。だから、一気に読まずに一編ずつ時間を空けて読むことが勧められる」ものだが、驚いたことに、ここには様々なジャンルの物語が収められている。だから、一篇終わるたびに、また別の本を手にしているような新鮮な感動が待っているのだ。もっとも、すぐ読み終わってしまうのが惜しくて、結局は時間をおいて読んだのだが。

    ひとつの物語につき一枚のホッパーの画が最初のページを飾る趣向。以外に女性のヌードを描いた画が多いのに驚いた。いわゆる名画のヌードとはちがって、ホッパーの画の中の女性は、神話的な存在でもニンフでもない。都会の孤独を一身に背負ったリアルな女性像である。そこから、物語を紡ごうと考えた作家が多いのも理解できる。しかし、個人的な好みからいうと、少し違和感がある。それで、何篇かを紹介しようと思うが、作品の選択が個人的な好みに偏ることをお断りしておく。

    「海辺の部屋」の冒頭を飾るのは、紺碧というよりは幾分暗さを帯びた海の見える掃き出し窓が開き、正面の壁に斜めに陽が指している無人の部屋を描いた絵だ。作家はニコラス・クリストファー。アメリカに移住してきたバスク人の血を引くカルメンは、母の死で祖母の屋敷を相続した。そこには、ソロモン・ファビウスという料理人が、母の代から邸の専属シェフとして住み込みで雇われていた。

    祖母が書いた『海辺の部屋』のバスク語版と英語版の二冊を抱えてやってきたカルメンは、そこで不思議な経験をする。なんと、その家では部屋が増えていくのだ。初めは一年に一度の頻度で増えていたものが、次第にそれがひと月に一度、週に一度の割合になる。戸惑うカルメンとちがい、ファビウスは、家の奥にある自分の部屋に迷うことなくたどり着けるのも謎だ。バスク人はアトランティス文明の末裔であるという伝説を隠し味に利かした、アンソロジーの中では異色の海洋幻想譚に舌鼓を打った。

    「夜鷹」(ナイトホークス)は、刑事ハリー・ボッシュ・シリーズで有名なマイクル・コナリーが選んだ。画から物語を作るのではなく、ハリー・ボッシュを探偵役とするミステリの中にホッパー描く「ナイトホークス」が登場する。シカゴの冬は寒い。監視対象者がその画の前で熱心にノートに何かを書いている。突然「あなたはだれ」と話しかけられる。観察眼の鋭い娘は作家志望だった。話を聞くうちにボッシュは考えを改める。短い中にもシリーズ物の探偵の人間性をきっちり生かしたストーリー展開はさすがだ。

    正面入り口に低い角度で陽が指している、海岸段丘の上に建つ素朴な教会をわずかに見上げるような角度で描いた画は<South Truro Church>。「アダムズ牧師とクジラ」を書いたのはクレイグ・ファーガソン。八十歳をこえた長老派教会員牧師のジェファーソン・アダムズは末期癌だった。妻を亡くしてから頻繁に顔を出すようになった友人のビリーが仕入れてきた、ジャマイカ風にシガレット・ペーパーで巻いた細いマリファナ煙草をやるようになってしばらくたつ。もはやハイになることはないがそれは二人だけの儀式になっていた。

    渚に打ち上げられて次第に腐敗してゆくタイセイヨウセミクジラの死骸を前に、実子ではなく養父母を喜ばせるために牧師職を継いだ、実は無神論者だというジェファーソンの死後を憂うビリー。彼はミイラのように痩せこけたジェファーソンを乗せ船をこぎ出す。そんな二人の前に巨大なクジラが現れる。クジラの眼に見つめられた二人は共にある決意を抱く。本当にアメリカ人は、プレスリーの双子の兄弟の話が好きなんだな、と実感される一篇。

    開いた窓から見えるのは、肘掛椅子に腰を下ろし新聞を読む男と壁際に置かれたピアノを戯れに弾く女。その間には天井まで届く暑いドアがある。スティーヴン・キングは、これだけの材料からいかにもモダン・ホラーの巨匠らしい、淡々として怖いホラーを仕上げてみせる。ドアの向こうから「どすん」という音が聞こえてくる。それを嫌がる妻に対し、夫の方は新聞のマンガの話で気をそらせる。ディック・トレイシーだ。そのうち泣き声が混じる。夫は妻にピアノを弾くよう勧める。「音楽室」には何があるのだろう。

    粒よりの佳作が目白押しのアンソロジー。人によって好みはちがうだろうが、誰でもお気に入りの作品が必ず入っている。エドワード・ホッパーを知らない読者は、きっとこれを機会にファンになるはずだ。「コッド岬の朝」という一枚の画には物語がついていない。高名な作家が書けなくて返してきたらしい。物語は「読者に書いてもらいましょう」と担当者は言う。あなたなら、どんな物語を書くだろう?

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    2019年08月07日
  • 12番目のカード 下

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    今回もどんでん返しの連続だった。
    まぁ、よくここまで出来るなと感心。
    面白かったな〜。
    いよいよつぎはウォッチメイカーだ。

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    2019年07月26日
  • 12番目のカード 上

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    前作のカーラが出て、びっくり。
    これからも出てくるのだろうか。
    アベレージ・ジョー怖すぎる。
    早く下巻が読みたい。

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    2019年07月26日