斜線堂有紀のレビュー一覧
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ネタバレ自分の命を救ってくれた小説家の堕落を目の当たりにして、助ける為に起こした行動から軋轢が生まれてしまう話。
梓がゴーストライターとして活動しだしてからの先生の態度は最悪だが、正常な精神状態ではなかっただろうし、想像しきれないほどの複雑な思いがあったのだろうなと思う。
共依存の最たるもので、共感しきれない部分もあったが、神様ほどに思っている人の為なら犯罪も起こしてしまうのかもしれない。
ラストは想像が掻き立てられる終わり方で好きだった。
読み終わった後に表紙を見ると印象がかなり変わって悲しくなる。
あと書き出しは本当に名文だと思う。 -
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ネタバレ「カタリナの美しき車輪」
炎上の話。途中まではわざと炎上させたりといった現実的な部分があるが、ラストが呪い系のホラー展開。自分の死に方が何個も書かれているのが絶望感でいいラスト。
「かんのさん」
万人受けしそうな読みやすい話。最初はかんのさんを見ることに関心が無かった主人公が周りの影響と好奇心で一線を踏み越えてしまう。本当に大切なものと、スピリチュアルなものの優先順位は現実世界でも踏み越えては行けないものだと思う。
「夢見鳥」
かなり好みの作品。好かれてはいけない相手だったのかもしれないが、特殊な力を持つものが支えてくれる立ち位置は悪くはない。善意なのがまた良い。
「やどりこ」
ピノコ…?眼球の裏という自分で確認できない場所に得体の知れないものが、という話。自分だけではなく、フコウさんのメモがあるのがいい味を出している。
「噛み砕くもの」
レビューで見ていたほど怖くはない。最後はこちらに来てしまうというところに怖さがあるのかもしれないが、事前情報が得体の知れないものであることからこの結末は当然のように感じる。主人公の頭の悪さにより鈍感な思想のまま展開が進むのが本作だが、設定としての発想は好みなので他の作品も読んでみたい。
「さなぎおに」
不可解な話。あまり怖さが分からず…。人を違うものに変えようとしたのか。個人的にはカマキリを恐ろしいものだと思っているので、中盤に一瞬登場するカマキリの表現が怖かった。 -
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ミステリーからホラーやSF…5人の作家による様々なシチュエーションからの脱出劇。
「屋上からの脱出」阿津川辰海
中学時代の仲間の結婚式。『一ノ瀬』は二人のなれそめとなった出来事に想いを馳せる。天文学部の合宿中、極寒の屋上に閉じ込められたことを。
一番現実的で想像しやすい舞台。脱出方より理由を解く方が本題。青春物の皮を被っていながら少し後味はよろしくない。ミスリードを狙っているのだろうが、2歳差を歳の差婚というのはちょっと違和感。
「名とりの森」織守きょうや
夏至から十日の間に入ると出られなくなると言われている町はずれにある森。名前を忘れてしまうらしい。一人で森に入り行方不明になってしまった友達を探すため、『夕陽』は森に入る。
ファンタジーよりかな。名前を思い出せば戻れるらしい。ラストは二人で戻れてめでたしめでたし。
「鳥の密室」斜線堂有紀
これは何と言えばよいか。中世の魔女狩りがテーマ。拷問シーンが辛過ぎる。
「罪喰(つみばみ)の巫女」空木春宵
民俗学を調べている男が興味を惹かれたのは、罪を喰ってくれる特別な能力を具えた巫女がいるというもので、ようやく探し当てたその神社を訪れる。
ホラーかな。祈祷や念力ではなく、文字通り肉体を食べる美貌の巫女。なんだか『進撃の巨人』を思い浮かべてしまった。二人の視点が入り混じって複雑な構成。
「サマリア人の血潮」井上真偽
記憶をなくし研究所で目を覚ました『トオル』は、血を吸うゾンビのような人間に襲われる。絶体絶命の彼を助けたのは『カズト』と名乗る声。 一体奴らは何なのか、そしてカズトは本当に味方なのか?断片的に思い出す記憶を頼りに、トオルは上を目指す。
SFかな。薬となる希少な血液を持つが故自由を奪われた少年の脱出劇。人類が滅んでも構わないと思う一方で、親身になってくれた一人を見殺しにはできない。パニック映画のようでいて、意外と奥の深い話だったのかも。
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銃乱射事件により閉鎖され、廃墟と化した遊園地に人々が集められる……そして始まる「宝探し」という魅力的な設定に、最初からすっかり心を掴まれました。
そして「なぜ宝探しが行われるのか」「集められた人々はどんな秘密を抱えているのか」と次々に提示される謎に引き込まれ、ページをめくる手が止まりませんでした。
謎解きパートの描写(特に死体の状況など)は、結構特殊だったので、一読しただけでは理解が追いつかない部分もあり、想像力をフル稼働させながら読み解いていきました。
また、主人公自身も秘密を抱えた人物であり、もし続編が刊行されるのであれば彼の過去がどのように明かされていくのか、今から楽しみにしています。 -
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一億総推し時代の残酷と切なさ。地球人と星(推し)、遠いまま互いを照らし合う恋の物語。
アイドルグループ「東京グレーテル」を取り巻く人々を描いた4つの短編集。
『ミニカーを捨てよ、春を呪え』:恋人が推しているのは地下アイドル
『星が人を愛することなかれ』:VTuberの「中の人」
『枯れ木の花は燃えるか』:SNSの炎上システム
『星の一生』:カリスマアイドルとして生きるということ
誰もが誰かを「推す」時代において、ファンとアイドルの「推しつ推されつつ」な歪で愛おしい関係性がポップかつリアルに描かれています。子供の頃あんなに大切にしていたミニカーがどこかへ消えてしまったように、どれだけ熱狂的に買い集めた推しグッズも、いつかはまとめて無機質なコンテナに収納されてしまう――。推し活という文化が抱える「消費の残酷さ」を突きつける描写が非常に秀逸です。
そして何より面白いのは、地球人(ファン)にとって星(アイドル)が遠い存在であるのと同時に、星であるアイドルにとっても地球人は遠く届かない存在であるという構造。お互いがお互いを遠い場所から憧れ続け、交わらないまま照らし合い続ける……それこそが「推し活」という現象の真理なのだと深く納得させられる一冊です。