斜線堂有紀のレビュー一覧
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金塊病と言われる、難病にかかった女大生の弥子と、ひょんなことから「チェッカー」というボードゲームを通じて女大生を支える日向のお話し。
金塊病は、硬化が始まるとその体の部位が金塊のような結晶化が進行する難病であり、その金塊には総じて3億円もの値が付くと言われる。
出会った経緯は違えど、三億円もの価値を相続するに態度が変わる周りの人間模様。最愛の人の死に価値がつけられてしまった人間の、死への向き合い方、愛情は証明できるのか、など正解のない問題に悶々とする日々。
タイムリミットのある問題に対して、二人が出した回答も、瑞々しさを感じる。
SF要素が入っているため、多少強引なところもあるが、読み -
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改変歴史SFに特化した短編集。テーマが一貫しているので、SFアンソロジーの中でも読みやすい部類かと思います。
中でも印象的なのは、伴名練さんの「20001周目のジャンヌ」。様々な思惑のもとジャンヌダルクの火炙りをシュミレート上で繰り返すという酷い話なのですが、結果としてシュミレーション上の歴史改変に止まらず、実際の歴史にも影響を及ぼすという流れがとても興味深かったです。ラストの展開も綺麗で、印象的な作品でした。
異常論文に掲載された「解説──最後のレナディアン語通訳」もそうでしたが、こういった作風も描けるところが伴名練さんの大きな魅力ですね。他作品も素晴らしかったですが、この作品を読めただ -
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ネタバレ映画をネタにした事件もの。このレーベル読むの久々なんだが、読みづらっ!と感じてしまったのは自分がもう若くないからなのか、本読むの久々すぎて慣れていないのか、それとも中身が大して面白くないからなのか。
映画をモチーフにした事件を安楽椅子探偵が映画になぞらえて解決していく構図は、文章だとどうしても解説メイン、悪くいうと説教臭くなってしまってあまり解決までの爽快感は味わえんなぁ。。。というのが正直な感想。ラストも危機に陥る主人公を家から出られないはずの探偵が助けに来るという、ど定番の流れだったし、友情芽生えてるのはわかったから、そこまでくどくしなくていいんやで、という幕切。このくどさがこのレーベルが -
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ミステリ主軸ではなく若き天才達の過ぎ行く数日間に重きを置いて。
天才とは才能とは好きとは何か。
好きでいなくてはいけないのか、上り詰める事とは何か。
秘める葛藤をさらに揺さぶる器としてのレミントン。
優しいな、と思うのは決してこのプロジェクトが才能至上ではなかったこと。
埋もれる才能を惜しいと語る雲雀の言葉からは化学反応によって更に可能性を見出せるものだけではなく、レミントンによって自分のすがりついていた呪いから解放され新たな道を見つけて行くものへの想いが受け取れた。
惜しい。
それはその場にたちすくんで燻り続ける種火がただ世間などによって立ち消えさせられる事に対してなのだろうか、と感じる。
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