斜線堂有紀のレビュー一覧

  • 死体埋め部の悔恨と青春

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    大学一年生の祝部(はふりべ)は突然暴漢に襲われ、必死の抵抗の末に相手を殺してしまう。
    途方に暮れていた彼の前に偶然現れた同じ大学の三年生・織賀(おりが)の提案で一緒に死体を埋めにいくことに。だが織賀の車にはすでにもう一体の死体があって…。

    タイトルの『死体埋め部』というインパクトからどんな話なのかと興味を惹かれて読んでみた。
    元々織賀が一人で行っていた、死体を埋めるという闇のお仕事に祝部が巻き込まれ付き合わされることによって『死体埋め部』となるという設定はかなりシュールなのだが、死体を埋めるために織賀の愛車・ジャガーの中で毎回死体を巡る謎解きを行うというのもかなりシュールだ。

    左手の指だけ全部骨折した死体の謎
    多数のページが切り取られた辞書を所持していた死体の謎
    サイズの合わないワンピースの下にスクール水着を着ていた死体の謎

    これらの謎を解くのが祝部なのだが、なかなかの探偵振りだ。だがそれが真実なのかどうかは分からない。何故なら死体を埋める依頼を受けた織賀ですら死体を巡る事情は知らされていないからだ。
    大切なのはそれが織賀を納得させ面白がらせることが出来るかどうか。それが出来た時には織賀の『承認しよう』の言葉が得られる。

    異常な設定で起こる謎解きというのはこれまでもいくつか読んできたが、ここまでダークな設定も珍しい。
    だが一方でタイトルにもあるように『青春』を思わせるような織賀と祝部の関係も描かれて、その対比が新鮮だ。
    端から見れば仲の良い大学の先輩後輩だが、ふたりともそれぞれの事情を抱えている。

    そしていくら織賀がサークルのようなノリで祝部を付き合わせても、その原点は『死体埋め』という違法で決して人に知られてはならないものである以上、楽しいものとはならない。

    第四話ではそのことを突きつけられて苦かった。
    個人的にはこのままカラっと進んで欲しかったが、他の方のレビューを読むと、この作家さんの作風はどうもそうではないらしい。
    そしてラスト、これはどう想像すれば良いのか。

    シリーズ作品がすでに出ているらしい。ということは織賀と祝部との関係は続くのか否か。
    機会があれば読んでみたい。

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    2025年10月28日
  • 病に至る恋

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    やっぱ寄河景って怪物だったのかも。
    幼少期の話を読んでも「ああ、親思いなんだね」とはならないもんな。
    単純に怖いなあと思ってしまう。
    きっと彼女に愛された人間だけは、その異常性の餌食にならずにすむのだろう。
    そう考えたら『どこにでもある一日の話』が悲しいほど煌めいて見えた。
    そのまま“普通”に溶け込んで欲しかった気持ちもあるけど、そもそもの性質が違う。
    だからやっぱり悲恋にしかならんよねえ。

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    2025年10月27日
  • 病に至る恋

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    『恋に至る病』を読んでいないのに
    こちらを読んでしまったからか
    救いのない気分の悪い話ばかりだった
    子どもが気味の悪い話…
    『恋に…』を読んでから感想を書こう

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    2025年10月27日
  • ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に

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    ネタバレ

    ※後半、ネタバレが多いのでご注意ください

    [こんな人におすすめ]
    *斬新な設定のミステリーが読みたい人
     とにかく設定が面白いミステリー短編集です。タイトルや本の帯に書かれている通り、スマホがない状態でメッセージを伝えること、メッセージを読み取ることに焦点を当てていて、どの話もとても読みやすいです。それぞれのお話がキレイにまとまっているので、ストーリー自体にはストレスを感じずスルスル読むことができます。
     ミステリー小説を読みすぎて既存の設定に飽きてきた人も本書なら楽しめるかもしれません。

    [こんな人は次の機会に]
    *勘の鋭い人、想像の斜め上のミステリーが読みたい人
     設定は斬新ですが、謎解きパートや結末にはあまり驚かされないので、普段からミステリー小説が好きな人には物足りなく感じるかもしれません。謎解きより世界観を楽しむタイプのミステリー小説です。
     最初から4編目までは物語の序盤で結末に気づく可能性が高いです。個人的には最後の話が人間ドラマとしても余韻が残る面白さなのでおすすめです。

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    2025年10月23日
  • 星が人を愛すことなかれ

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    推しもアイドルも日常も、すべてがきらめく“星”として描かれながら、その裏では誰にも言えない孤独や承認欲求が燃えている。語り手の冷めた視線に引きずられるように、彼らの日常も闇も刺さってくる。好きであることも、愛されることも、普通であることも──どれも“簡単なものじゃない”と静かに教えてくれる。軽やかな文体なのに胸に残るセリフが多く、読み終えた後も余韻が広がっていく。

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    2025年10月23日
  • ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に

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    ネタバレ

    短編集。著作名にミステリを冠しているが、中にはミステリー要素がほぼない作品もある。「ある女王の死」もその1つだが、これが1番面白かった。一方「ワイズガイによろしく」は退屈な作品だった。玉石混交。

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    2025年10月22日
  • 禁断の罠

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    全6編の豪華書き下ろしアンソロジー。
    「ヤツデの一家」新川帆立
     疑心暗鬼が仕掛ける見えない罠。短編でも冴える描きぶり。
    「大代行時代」結城真一郎
     Z世代の生き様を描く。いっそ清々しいほどの割り切りが印象的。
    「妻貝朋希を誰も知らない」斜線堂有紀
     他人の本質は最後まで掴みきれない。果たして誰の罪だったのか。
    「供米」米澤穂信
     直木賞受賞後の小品ながら、丁寧に紡がれた物語。亡き夫の罠にかかりにいった妻。
    「ハングマン」中山七里
     副題の雛鵜は、無知ゆえ罪に落ちる若者の象徴か。操られた末の強盗事件。
    「ミステリ作家とその弟子」有栖川有栖
     弟子は師匠作家の教えを実行する。作品と現実が重なる趣向が光る一編。

    皆さんお忙しい売れっ子作家。そんな中、お題の決まったアンソロジーまで完成度がお高いものでした。

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    2025年10月20日
  • 私が大好きな小説家を殺すまで

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    ネタバレ

    遥川悠真
    大学在学中に、とある文学賞を受賞して世に出た小説家。ファンイベントの直後、突如失踪した人気小説家。

    豊島警察署捜査一課の刑事

    幕居梓
    小学生のころ、午後七時から朝の七時まで母親から押し入れの中に閉じめられる。遥川悠真の小説を愛する少女。十七歳。西ヶ浦高校の二年生。

    梓の母親

    工藤

    守屋和幸
    文芸部。梓の先輩。


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    2025年10月11日
  • ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に

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    ネタバレ

    またまた朝井リョウさんの紹介本。
    斜線堂作品は2冊目だが、『星が人を愛すことなかれ』とは同じ著者が書いたと思えないぐらい全く毛色が違う作品でびっくり!

    ミステリ短編集なのだが、それぞれの作品が全然違う世界観でどれも変わった作品ばかりで斬新だった。
    SFっぽいものや外国のギャングスタを題材にしたもの…。
    振れ幅が大き過ぎて、ついていくのが大変だった。
    結構現実離れした内容なので、読み手の想像力が試される気がする。
    ミステリといえばトリックや謎解きを楽しむものだと思っていたが、この本はどちらかといえば展開や個々の登場人物を楽しむものなのかなと思った。

    最後の短編『ゴールデンレコード収録物〜』はよく分からず、後で調べてみたら実際の出来事をモチーフにしていたのか!
    とすると玖水という架空の人物が謎過ぎる…。
    こういう人物がいたら面白かっただろうな、という著者の妄想、で合ってる?

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    2025年10月08日
  • 楽園とは探偵の不在なり

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    ネタバレ

    神や天使の存在意義や天国の有無がどうとか探偵の使命がどうとか、そのへんがあまり乗り切れませんでしたが、2人が死ぬと地獄に落ちる世界でいかにして連続殺人が起こるかという魅力的な特殊設定ミステリで、犯人がここまでするに至った動機などに説得力があり、トリック等も細部までよく練られています。


    【以下かなり詳細なネタバレがあるので注意】



    私が根本的なところを勘違いしているのかもしれないが、前半の三つの殺人で黒幕が実行犯に自殺を唆した理由がわからない。そのまま放置しておけば、実行犯が焼死して良い感じじゃないか?実行犯がアッチではなく、アッチと判明することで何か不都合があったのか…?

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    2025年10月07日
  • ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に

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    ある女王の死、妹の夫、雌雄七色、ワイズガイによろしく、ゴールデンレコード収録物選定会議予選委員会、の5短編。チェスを道具とする金貸しの人生、返れぬ宇宙旅行で妻の殺人者を伝える、虹の7色の手紙、ジュークボックスからの声、応募写真の裏事情。

    人生をかけた勝負、宇宙の彼方への旅など、さまざまな状況でやりとりされるメッセージに含まれるミステリー要素が、さまざまな状況の中でテンポよく解き明かされていくのが面白い。

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    2025年10月06日
  • 夏の終わりに君が死ねば完璧だったから

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    斜線堂有紀さんの物語は、どれも斬新な設定と繊細な語り口が魅力。
    際立った導入で一気に読者を引き込みながら、気づけばとても原則的な恋愛小説を読ませてくれる。
    挑戦的な設定と、どこか保守的なストーリー。
    その絶妙なバランス。

    病を抱えた少女と、家庭に恵まれない少年。
    ふたりは、少女の病をきっかけにして、知り合った。そして、それぞれが本心を隠しながら、自分の気持ちを正直に表現する道を見つけていく。

    読み終えて、少し若返ったような気がした。
    そんなわけないけど٩( 'ω' )و

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    2025年10月06日
  • 星が人を愛すことなかれ

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    自分と境遇が似ているからか、1番はじめの話が刺さった。最後の話はあまりに起こりえないだろうと思ってしまった。一貫してアイドルとはファンとは愛情とはを描いた、まさに自分の読みたかった作品だった。

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    2025年10月02日
  • 本の背骨が最後に残る

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    刺さる話よりあまり刺さらなかった話の方が個人的に多かったです。
    表タイトルと表紙デザインはすごく好み。

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    2025年09月28日
  • 死体埋め部の悔恨と青春

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    話がつながった短編集であり読みやすいが浅い印象。
    先輩は死体を埋めるバイトをしており、後輩は正当防衛で殺人をしてしまい、先輩が、後輩が殺めた死体を処理するシーンから始まる。
    死体を埋めに行く車の中でどういった状況で殺されたを推測するゲームに興じる大学生2人。
    ロジックは薄いため雰囲気を楽しむものかと。
    履修登録の雰囲気は好きやた。

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    2025年09月20日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    子供向けなのですごくさらりと読めてしまう。短編なのでいきなり怖さを出してくる感じがよい。バッドエンド多めなのもよい。

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    2025年09月14日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

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    ネタバレ

    任意同行された奈緒崎への刑事(束の兄は控え目に言って糞)の対応とか、そもそも親が(少なくとも奈緒崎の)こんなに無関係なのおかしくない?とか真犯人の取り扱いとかいろいろいろいろ突っ込みたいところや相変わらず誤字が多かったけれど、作者のパッションで最後まで完走させてくれた。
    別出版社から出たこの2人のその後も読んでフィナーレを迎えなければ!

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    2025年09月10日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

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    メインストーリーが動き始めた感じ。
    内容は面白く読めたのだけど1巻目から引き続き誤字が多い…。
    これ校正とかしなかったの?
    何刷もされてるのに作品が気の毒になってくる。

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    2025年09月07日
  • こわい話の時間です 部分地獄

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    【収録作品】
    黒史郎 「えんまさん」
    太田忠司 「おはよう、アンちゃん」 
    加門七海 「青いコップ」 
    井上雅彦 「きれいずかん」
    斜線堂 有紀 「部分地獄」 
    宇佐美まこと 「おやすみ、ママ」
    澤村伊智 「靴と自転車」 
    芦沢央 「ログインボーナス」 
    宮部みゆき 「よあるきのうた」

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    2025年09月06日
  • キネマ探偵カレイドミステリー

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    メインキャラやテンポがとてもアニメ的。
    YA向けのような雰囲気で進む連作短編と思ったら突如ぶっ込まれる重い設定。
    厨二っぽさ、臭い会話のやり取り。
    時折ツッコミたくなる設定やヲチの荒さ。
    「次はもういいかな」と思わせるあれこれがあるのだけれど、それをすべて乗り越えて読ませてくる得体の知れない魅力が斜線堂さんにはある。
    とりあえず過去作から全部追っかけたい。

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    2025年08月29日